第九十四話 VSヘル・デーモンスパイダー
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
フトッチョは蜘蛛の糸でグルグル巻きにされてるリリスを抱え、融合体であるヘル・デーモンスパイダーにカインズと戦わせる。
ヘル・デーモンスパイダー
Sランク魔物
HP25000/25000
MP910/999
攻撃力9000
守備力8500
魔力4000
敏捷性400
◇魔法◇
蜘蛛魔法
◇スキル◇
糸鋼線
糸分身体
糸拘束
自己再生
カインズの大剣とヘル・デーモンスパイダーの左右三本足の衝突音が鳴り響いていた。
「やるな!カインズ!!」
フトッチョがあたかも自分の力と言わんばかりにドヤ顔していた。
「何故、お前がドヤ顔するんだ?ヘル・デーモンスパイダーに任せてるだけだろうが!!」
カインズが冷めた目でフトッチョを見る。見下されたと感じるフトッチョが激怒する。
「き、貴様ぁー!!」
ヘル・デーモンスパイダーが魔法を繰り出す。
「蜘蛛魔法・蜘蛛粘着陣!!」
地面に蜘蛛の巣のようなものが発現され、カインズに蜘蛛の糸で絡め、動きを封じようとした。カインズはすぐさまジャンプして、避ける。
「(リリスがいる限り、強力な技を繰り出せないな。まず、リリスの救出だ。)」
フトッチョの抱えているリリスを見やる。リリスが怯えている。
「神速!!」
カインズはあっという間にヘル・デーモンスパイダーの胴体にいるフトッチョに近づき、リリスの抱えてる腕を斬り落とし、救出した。
「ぎゃぁぁぁー!!腕がぁぁぁー!!」
フトッチョが斬られた腕を抱え、痛がる。
「リリス。大丈夫か?」
「あ・・・はい。」
カインズがリリスを片手で抱える。片方の手に大剣を握る。フトッチョが痛みをこらえ、なんと「自己再生」で腕が生えてきた。
「おいおい、ヘル・デーモンスパイダーのスキルを使って自己再生することが出来るのかよ。」
「自己再生」スキルはAランク以上の魔物にだけ持つスキルで人間は持たない。
「よくもやってくれたなぁぁぁー!!」
フトッチョの怒りがヘル・デーモンスパイダーに伝わり、一心同体であるかのようにヘル・デーモンスパイダーも怒った。
「糸分身体×3!!」
ヘル・デーモンスパイダーの分身体が三体出現し、リリスを抱えるカインズの四方に囲んだ。
「まずい!!」
カインズが四方をぐるりと見る。ヘル・デーモンスパイダー四体が魔法を繰り出す。
「最強蜘蛛魔法!ヘル・ジャッジスレッド!!」
四方に囲んだ上部が蜘蛛の巣の模様を発現させ、無数の強靭な糸が流星ごとくカインズたちに降り注ぐ。
「くっ!気合い防御!!」
カインズは防御スキルを発動し、リリスを庇い、背中越しにドガガガッと無数の強靭な糸を受けた。
「(まずい!長くは耐えられん!!)」
カインズの全身鎧が砕け、筋骨粒々な肉体が露になる。「気合い防御」スキルで耐えしのぐが、糸による魔法攻撃がやまない。やがてカインズの全身に血が吹き出すようになる。
「カインズさん!?」
リリスが心配になる。だが、カインズは笑顔で「こんなのは屁でもねぇ!!」と返した。
「(四方で連携して繰り出す魔法と見た。崩せば、魔法攻撃は止まるはずだ!)」
カインズは大剣をヘル・デーモンスパイダーの一体に投げつけた。すると一体の分身体が消え、同時に残りの二体の分身体も消えた。上部に蜘蛛の巣の模様が消え、攻撃がやんだ。だが、カインズはもはや満身創痍であった。
「くっ・・・。」
「ざまねぇな!カインズ!!」
フトッチョの融合体であるヘル・デーモンスパイダーがカインズに歩み寄る。カインズはリリスを背に立つ。拳を握りしめて闘志を見せる。
「まだ・・やる気か!?」
「そりゃ、国を守る騎士だからな。」
「そうか。では死ね!!」
ヘル・デーモンスパイダーが口を開き、「糸鋼線!!」と糸を束ねた光線のような攻撃を繰り出した。このままではカインズの身体を貫くだろう。
カインズの絶体絶命の場面に、影ながらタタタッと軽快な足音を響かせ、周囲を回る気配が一人いた。
「(セバスチャン?!助けに来たのか?い、いや、違う!)」
空間魔法使いのセバスチャンかと思いきや、それは別人であった。
「リリス。」
その影は小刀にて、フトッチョの背後から斬った。
「ぎゃぁぁぁ!な、なんだ!?」
「む?死なないだと?」
その影はフトッチョに確実に致命傷を与えたはずが、逆に困惑することになる。だが、ヘル・デーモンスパイダーの「糸鋼線」の矛先を変えさせた。これにてカインズたちから逸らすことに成功した。
「お、お前は!!最強暗殺者!!」
フトッチョが「自己再生」スキルで回復しつつ、その影を最強暗殺者だと認識した。
「オウギ!!」
「まさかこのような事態になるとはな。」
リリスがオウギを見るなり、ハッとする。
「ま、まさか兄さん!?な、なんで・・・。」
最強暗殺者オウギは顔を隠しつつ、カインズの隣に暗殺者独特のフォームで並び立つ。
「オウギ?お前は死にたくないんじゃなかったか?」
「私は汚れ役を散々やってきた。最後は創造神フォルトゥナ様にお目こぼししてもらおうかと思ってな。・・・兄として恥ずかしくない死に方がここだ。」
「に、兄さん?!」
最強暗殺者オウギはヘル・デーモンスパイダーと対峙する。
「お前、裏切り者めが!!前金積んだのに!!」
「それは悪かったな。返そうか?」
「命を差し出せ!!非常に腹が減るのだ!!」
「ならば、金をありったけ腹に詰め込もう。」
「抜かせ!!」
ヘル・デーモンスパイダーが襲いかかる。それに迎え撃つオウギ。
「瞬歩」
オウギが自身の残像を多く見せかけた。メイファのように行動を操作出来る影分身スキルなどとは違い、一瞬の残像を見せるスキル。
「ぬっ!」
ヘル・デーモンスパイダーの攻撃が空振る。その隙を突き、オウギが再びフトッチョに小刀で致命傷の攻撃を仕掛けるも、また自己再生する。
「どうなっている?」
オウギとしてはヘル・デーモンスパイダーを相手せずに本体と思しきのフトッチョを倒そうと目論んでいた。
「おい!フトッチョはヘル・デーモンスパイダーの自己再生スキルを使って回復している!!先にヘル・デーモンスパイダーを倒せ!!」
「無茶言うな。」
カインズのアドバイスにオウギがヘル・デーモンスパイダーを見やる。相手はSランク魔物。暗殺者には荷が重い相手であった。
私はかつて冒険者としてはBランク冒険者だった。火力が物を言う冒険者の世界に魔法も使えず、スキルも暗殺寄りで非力な私は向いていなかった。だが、金が必要だった。だから、対人専門に特化した暗殺者となった。それに冒険者活動でダンジョンなど死地に赴く必要はなく、国内に完結でき、孤児院やリリスを見守ることが可能。ただ暗殺者という職業柄、リリスや孤児院の子供たちに顔向けは出来なかった。
「・・・透明化」
オウギの姿が透明のように薄くなる。暗殺者本領発揮とも言えるスキルだろう。たびたび突如として姿を現し、消えたのもこのスキルだろう。
「消えた!!」
フトッチョが目を頼りにキョロキョロする。
「(これでヘル・デーモンスパイダーに対抗する術を見つけ出す!!)」
透明化オウギがヘル・デーモンスパイダーの周囲を回り込み、弱点となる部分を見つけようとする。
「(胴体は硬く、分厚くて無理だ。三本足の間接の繋ぎ目は例え、傷つけられても自己再生スキルがある。無駄だ。いくつもある目も同様。・・・やはりこの身を犠牲にしなければ倒せない!!)」
カインズはオウギの行動を完全捕捉していた。ヘル・デーモンスパイダーも同様にいくつもある目で透明化オウギを捕捉していた。
「おい!ヘル・デーモンスパイダーは気付いてやがるぜ!!」
カインズがそう声をかけると同時にヘル・デーモンスパイダーが動いた。
「糸拘束!!」
ヘル・デーモンスパイダーが糸を吐く。透明化していたオウギが「くっ!!」と腕に絡みつかれた。これにより姿が現れた。※透明化スキルは触れられると解除される。
「兄さん!!」
リリスが姿を現したオウギのピンチを心配する。
「そこにいたか!!引き寄せて喰え!!」
ヘル・デーモンスパイダーがオウギを引き寄せる。引き寄せられる側のオウギは手元に小刀を持つ。オウギは引き寄せられる勢いを利用し、小刀を振りかぶる。
「最強技・一撃狙撃!!」
ヘル・デーモンスパイダーの眉間に小刀を差し込む。
「ギャァァッ!!」
「どうだ?」
ヘル・デーモンスパイダーの眉間から繋がる脳に一撃が決まれば、自己再生スキルが発動せず、倒しは出来るはずと見込む。
「無駄な足掻きを・・・。」
フトッチョがクックっと嘲笑う。ヘル・デーモンスパイダーはピンピンしていた。
「効いていなかったか?!」
「冥土の土産に教えてやろう・・・。片方が死んでも片方が生きていれば、自己再生スキルが使えるのだよ。」
その話からして、フトッチョとヘル・デーモンスパイダーを同時に倒さなくてはならないと理解したオウギ。
「さぁ、喰え。」
「くっ!!」
至近距離にいたオウギは防御姿勢でヘル・デーモンスパイダーに喰われていく。
「・・・・ッ!!」
血塗れになっていくオウギの様子を見たリリスが涙を浮かべる。
「に、兄さん兄さーん!!」
「さぁ、悲鳴を上げろ!!悲鳴を上げんか!!」
完全に勝ち誇っているフトッチョ。
「断る。逆に悲鳴を上げるのは貴様だ。」
オウギが隠し持っていた爆弾を見せびらかす。
「そ、それはぁぁぁぁ!!や、やめろ!自爆するつもりかぁぁぁぁ!!」
瞬間的にフトッチョが鼻水垂らし、醜く顔を歪んだ。同時にオウギは勝ち誇る笑みを浮かべた。
「自爆技・道連れ!!」
爆弾が怪しく光り、ドカァァァァァン!!とオウギとヘル・デーモンスパイダー、融合体フトッチョが爆発に包まれた。
「オウギ!!」
「兄さん!!」
爆風の勢いに飛ばされたオウギがカインズとリリスの元に倒れた。
「がはっ!」
「兄さん!」
カインズとリリスがオウギの顔を覗き込む。オウギは生きていたが、虫の息に近い様相であった。
「・・・馬鹿な兄で悪かった。寄付金だけで悪かった。すまない。許せ。」
「そんなことはありません!兄さんは兄さんの事情があったんでしょう!それよりも今、助けますから・・・。」
蜘蛛の糸にグルグル巻きされているリリスが必死にオウギを介抱しようとする。
「・・・こいつは助からん。」
カインズがオウギの下半身を見やる。そこには焼け立たれ、何もなかったに等しかった。
「・・・兄さん、こんな別れ方ってあんまりですよ。でも創造神フォルトゥナ様のお加護があらんことを・・・。」
「すまない。私は地獄に行くだろう。創造神フォルトゥナ様の信徒だが、思いきり懺悔しておく。」
「兄さん・・・本当に馬鹿。」
二人の間で少しだが、笑いが込み上げた。
「・・・最期に会えて嬉しかった。」
オウギの偽りない言葉にリリスは今生の別れに肩を落とした。
「・・・オウギ。ランドルフ王に代わって伝えよう。感謝すると言っておられた。」
「そうか。」
カインズはランドルフ王たちの下で数年働いた功績に感謝の念を伝えた。
そこに爆発炎上する中から大きな影が蠢いた。
「最強暗殺者ァァァァァァ!!」
爆発炎上する中から、ヘルデーモンスパイダーと融合体フトッチョが現れた。
「リリスを連れて行け。頼んだ。」
「・・・わかった。」
「にいさん!!にいさーーん!!」
カインズがリリスを担いで、この場から逃走を図る。
「リリス!!逃がさぁぁぁん!!」
ヘル・デーモンスパイダーはカインズに目掛けて「糸鋼線!!」を放った。
「くっ!!」
逃走するカインズたちの前に巨体な影が現れた。
「ドラゴンスキン(弱体化)!!」
何者かがヘル・デーモンスパイダーの攻撃を防ぐ。
「ガイアスさん!?」
リリスが驚く。その正体はガイアスだった。
「・・・ガイアスだったな。」
カインズが2Mを超す巨体なガイアスを見上げた。
「・・・・娘。」
ガイアスはリリスを見やる。
「子供たちが泣いている。オレはどうしたらいいかわからん。だから帰って安心させてやってくれ。」
そしてカインズに振り向く。
「こいつはオレがやる。」
ガイアスがヘル・デーモンスパイダーと対峙する。
「・・・信じて任せていいんだな?」
カインズはガイアスを人間嫌いの暴竜だと知って訊いた。
「・・・行け。」
カインズは蜘蛛の糸によって、グルグル巻きされているリリスを抱えて、身を翻す。
「ガイアスさん!ガイアスさん、無事に帰ってきて下さい!!」
カインズたちはこの場を後にする。カインズたちと入れ違いでリュウとクレアも駆けつけた。
「リリス!?お前たち、邪魔する気か!?」
フトッチョの前にガイアスが立ちはだかり、その後ろにリュウとクレアがいた。
「あら?最強暗殺者じゃないのぉ?」
「クレア様・・・やはり首を突っ込まれましたか。」
クレアが意外といった表情で倒れているオウギを見やる。
「知り合いか?回復魔法は・・・もう俺では無理だな。」
中級の回復魔法を持つリュウが下半身を失ったオウギを助けられないと判断を下した。回復魔法で上級、極大魔法ならあるいは・・・。だが、使い手がいなければ、その仮定は無意味なものだ。
「もう助からないのねぇ。」
クレアはオウギを助けられないとわかったら、残念そうな表情する。
「最期に名前は?」
「オウギ。」
「あなたが死んでも私は忘れないようにするわよぉ。まさかの全力土下座なんて面白かったしぃ。」
「感謝する。」
クレアがウフフと悪魔的な微笑を浮かべる。それはまるで仇を討つと言わんばかりでもあった。
「お前はリリスの兄だな。今、わかった。匂いが似ている。」
ガイアスが倒れているオウギを見やる。
「・・・ガイアス殿。」
「喋るな。命をかけてリリスを守ろうとしたのはわかった。お前の心意気を感じ、約束は守る。」
「・・・。」
「そこで見ているがいい。オレたちの戦いを見てから逝け。」
「承知した・・・。」
最強暗殺者オウギは命を振り絞り、事の顛末を見届けることに決めるのであった。
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