第九十話 魔導人形ガード
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
ランドルフ王は眉間に弾丸が命中され、血飛沫を上げて、倒れた。
その光景にランドルフ王の周囲にいた者も傾聴していた国民たちも反応が出来なかった。
「ら、ランドルフ王ーーーーーーー!!」
近衛騎士たちが我に返り、ガードに徹し、血まみれのランドルフ王を担ぐ。見晴らしの高台からジランド王国城の中に避難した。
そのショッキングな光景をようやく理解した国民たちが「きゃぁぁぁーー!!」と叫んだ。
◇◇ネクラ視点◇◇
「(キヒヒ、やりましたか!?)」
ネクラは歴史の転換を目撃し、大興奮していた。
「(さぁ、ここからです!!歴史は作るもの!!あとはフトッチョ様が魔導兵器を持ち出し、制圧するのみ!!」
「さぁ、皆さん、行きましょう!私たちの未来を掴みに!!キヒヒ!」
ネクラはクーデターに協力する騎士貴族の妻たちと正体不明の団体がジランド王国城内部に突入するように扇動していた。
◇◇ほぼ同時刻のフトッチョ邸宅◇◇
騎士伯爵貴族フトッチョ邸宅は正門から中庭を経て玄関まで100Mはあった。中世の欧風なレンガ造りで広大な邸宅だった。
「配置が完了しました!!」
ラインゴッド騎士団長に報告する部下。フトッチョ邸宅の周りを囲む塀にジランド騎士団の団員が各自配置についていた。
頬に傷がつき、スキンヘッドで威厳のある顔つきのラインゴッド騎士団長が腕を組み、「うむ。」と頷いた。
「フトッチョのお抱えの執事、メイドたちは?」
「避難させました!!」
「ではあの屋敷にはフトッチョ一人か。罪状を告げ、大人しく出頭するように通達はしたか?」
フトッチョに孤児院の助成金を横取りしたとして横領罪。冒険ギルドのレア素材を横流しし、利益を得たとして独占禁止法違反。自分の部下に蜥蜴族に対し、虐殺を唆したとして殺人教唆罪。その他にも脱税などの嫌疑をかけられていたのだ。これら全てが最強暗殺者ことオウギが証拠として、カインズに渡していた内容だ。
「通達はしましたが、すべて部下の独断だと聞き入れません!!」
「ここまできて、部下にすべて押し付けるのは無理があるだろうが。」
ラインゴッド騎士団長が溜め息つく。フトッチョの部下の荒くれ巨漢三人やフトッチョ直属親衛隊からフトッチョの悪事を吐かせ、首謀者はもう断定していたのだ。
「さらに侵入者撃退システムが発動されています!!」
「徹底的抗戦する気か・・・。」
ラインゴッド騎士団長が鉄格子の正門の先を眺める。そこにリュウたちがやってくる。
「状況は?」
リーゼがラインゴッド騎士団長に尋ねる。
「リーゼお嬢。ちょうど強硬突入を考えておりました。ただ侵入者撃退システムが発動していましてなぁ。どうしたものかと・・・。」
ラインゴッド騎士団長がチラッと鉄格子の正門を指差す。リュウたちが鉄格子の正門の先を見やる。なにやら全身鎧の物体が何十体も動き回っていた。規則的に徘徊していた。
「・・・魔導人形ガードね。しかも多い。どれだけ金をつぎ込んだのかしら?」
リーゼが目を見張る。リュウがアイリンに「魔導人形とはなんだ?」と訊く。
「魔石で動く自動人形。侵入者を検知すれば襲う仕掛け。一体金貨200枚する代物。」
クレアの目が金貨に変貌し、キラッと光る。
「価値があるなら、奪えるかしらぁ?」
アイリンが首を横に振る。
「それは厳しい。主の設定を書き換えるにはパスワードが必要。フトッチョが持ってるはず。」
「あら、簡単には行かないのねぇ。売れば、金になるかと思ったのにぃ~。」
クレアが残念がる。そこにジランド王国騎士団で働いているロックがやってきた。
「リュウ様!クレア様!どうしたダスか?!」
「ロック。フトッチョをこらしめに来た。非常に腹が立っているのでな。」
クレアも同じくと頷く。
「なんとリュウ様とクレア様に気分を害される人間とは許せないダス!!ならば、露払いはワスにお任せくださいダス!!」
ロックが憤る。ラインゴッド騎士団長と話終えたリーゼが皆に「強硬突入の合図が来るまで待機よ。」と指示した。
「あら?何をちんたらしてるのぉ?」
クレアがリーゼに訊いた。
「ラインゴッド騎士団長はあの魔導人形ガードの数の多さは想定外だったらしく、騎士の追加召集を急いでるのよ。」
「魔導人形ガード単体でCランク冒険者と同等の実力があるニャ。あの数はアタイたちでも手こずるニャァ。」
メイファが面倒だと言わんばかりの表情した。
「・・・ロック!」
「はいダス!」
クレアの一声で理解したロックが鉄格子の正門の前に立つ。
リュウがその様子に慌てて「クレア!!」と止めようとした。
「ロック!強硬突入はまだだ!上司の言うことを聞けー!!」
ラインゴッド騎士団長が慌てた。
「すまないダス。ワスはラインゴッド騎士団長よりリュウ様とクレア様の意向を優先するダス。」
ドラゴンとしての序列を優先するロックがぶちかましのポーズを取る。
「じっと待つのは性分じゃないのよねぉ~。」
クレアが「さぁ、おやりなさい。」とロックにゴーサインした。
「待て待てぇー!事態悪化はやめろぉー!!」
リュウの叫びも虚しく、ロックが鉄格子の正門を力ずくでぶち破った。リュウとクレアの言葉を優先するロックだが、クレアの言うことを最優先するようだ。ドラゴンとしての年齢的もリュウより上のこともあり、怖いようである。
数多くの魔導人形ガードが反応した。
「侵入者!!」
「侵入者!!」
「侵入者!!タダチニ排除!!」
魔導人形ガードたちが警報を鳴らし、一斉にロックに襲いかかった。
「邪魔するなダス!!」
ロックが斧で魔導人形ガードの全身鎧を横から斬り、瞬殺しまくる。ロックとクレアが一足先に突入してしまった。
「はぁ・・・。クレアを連れて来るんじゃなかったわ。」
リーゼが溜め息つき、メイファがあわあわする。ラインゴッド騎士団長も頭を抱える仕草する。そこに部下の一人が慌ててやってくる。
「ランゴッド騎士団長!!至急の報告が!?」
「次は何だぁ!?」
「ランドルフ王様が暗殺されました!!よって追加の騎士部隊は送れないとのことです!!」
「何ぃぃぃ暗殺だと!!」
ラインゴッド騎士団長の衝撃な表情と共に目の前のミッションを取るか、ランドルフ王のために馳せ参じるか二択に迫られた。
「(あっちにはカインズさんや近衛騎士団がいる!!よって・・・)」
「やむを得ん!!強硬突入だぁー!!」
ラインゴッド騎士団長が今いるだけの騎士たちを正門に投入した。
「(ランドルフが?)」
少しすると国中に響き渡る音声魔道具にもランドルフ王の安否が流れていた。それによってリュウたちもようやく暗殺の一報が飲み込めた。
「ニャニャ?!ランドルフ王様が暗殺?!」
「これはどういうこと?」
メイファもアイリンも目を見開いていた。
「(どうなってるんだ?)」
リュウも衝撃な展開について行けず、ただ驚くだけだった。
「皆!落ち着いて!!」
リーゼがリュウたちを落ち着かせる。
「目の前のことから対処していけば、きっと答えは見えてくるはずよ!」
リーゼのかけ声にメイファ、アイリン、リュウが頷き、フトッチョ邸宅に突入した。
◇◇フトッチョ邸宅までの道◇◇
フトッチョの屋敷まで続く道を多数の魔導人形ガードが阻む。ロックが先陣切って倒しながら進む。あとに続くリュウたち。周囲はジランド王国騎士団の騎士たちが魔導人形ガードたちを抑えていた。
「クレア!!勝手な行動は慎みなさい!!」
リーゼがクレアに怒声を浴びせた。
「あらぁ。フトッチョを取っ捕まえればいいんでしょぉ~。」
「被害を考えなさい!私たちには準備が必要なのよ!!」
「強ければ、問題ないことでしょぉ~。」
「自分さえよければいい考えはやめなさい!!」
魔導人形ガードたちとの戦いの最中でリーゼとクレアが言い争いを始めてしまった。
「(前からそうだったが、リーゼとクレアは仲悪いな・・・。性格の相性もあるだろうが、なんとかしたいものだな。)」
リーゼとクレアの犬猿の仲にリュウが内心そう思いながら、フトッチョ邸宅に向かう。先陣切っているロックが指を差す。
「屋敷が見えてきたダス!」
確かにフトッチョ邸宅が見えてきた。ロックが前に立ち塞がる魔導人形ガードたちに狙いをつけて、大きく息を吸い込んだ。
「ブレス(弱体化)!!」
横一線の竜巻で凪払うかのように息を吐き、魔導人形ガードたちを吹き飛ばした。これでフトッチョ邸宅まで敵なしの一直線の道が出来た。
「さぁ!リュウ様!クレア様!!お通りください!!ここはワスにお任せください!!」
「えぇ、ありがとうね。」
クレアが颯爽に通るとリュウたちも続いた。ロックはその場に残り、魔導人形ガードたちの相手をする。
リュウたちがフトッチョ邸宅に辿り着くと5Mの人型のロボットのような物体が待ち構えていた。鋼鉄製で分厚く、とこどころに角張っていた。
「あ、あれはなんなのニャ!デカいニャァ!?」
メイファが驚きのあまりにフシャーッした。
「こ、これはまさか魔導人形ガーディアン!?カスタマイズ可能なタイプ。金をつぎ込み、カスタマイズすれば強くなると聞く。でもこの大きさを見るとどれだけ金をつぎ込んだのか・・・。」
アイリンが目を見張る。
リュウとクレアが物珍しげに見上げる。
「人間の技術はなかなか脅威だな。そう思わないか?」
「まぁねぇ~。巨大魔導砲を思い出すわ。でもこれは見かけ倒しってこともあるんじゃないかしらぁ。」
リュウとクレアが感嘆の声を上げていた。大型魔導人形の胸の格納部分がガッコンと開いた。
「来たな・・・。」
フトッチョが顔を出した。どうやら胸の格納部分が操縦室のようだ。
「フトッチョ!!」
リーゼが剣を抜き出す。
「カインズとそこの娘のリーゼ!!お前たちのせいで我輩は窮地に立たされている!!だが、この魔導人形ガーディアンでお前たちを倒し、魔導人形ガードたちと共にクーデターを起こし、王となる!!それが我輩の残された道だ!!」
フトッチョの言葉にその場にいた一同はランドルフ王暗殺が思い当たった。
「では・・・ランドルフ王様の暗殺はやはりお前が?」
リーゼの目つきが鋭くなる。
「ふははは、だとしたらどうするのだ?!」
フトッチョが暗殺の関わりを仄めかすとリーゼたちが怒りのボルテージが上がった。
「シャーッ、言質取ったニャ!」
「容赦はしない。」
メイファとアイリンが戦闘体勢になる。リーゼが冷静に剣を構える。
「・・・そう。クーデターね。本気でそんなことが出来ると思ってるの?だとしたら馬鹿ね。魔導人形には弱点があるのよ。魔石の魔力が切ればガラクタ同然よ?」
魔導人形は魔石に含まれてる魔力を使い、動いてる。いわば電池のようなものだ。
「我輩の魔導人形ガーディアンは王家の設計図から流用したもの!!巨大魔石を使用してる!!1ヶ月は動くのだ!!」
魔導人形ガーディアンは王家の設計図から流用したレプリカのようだ。
「・・・仕方がないわね。私たちがスクラップにしてあげるわよ。」
「ほざけ!!」
フトッチョの操縦室である胸の格納部分が閉じ、魔導人形ガーディアンの角張った顔から目が光った。
こうしてリュウたちと魔導人形ガーディアンとの戦いが繰り広げられるのであった・・・。
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