第八十九話 ランドルフ王暗殺暗殺!?
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
◇◇ジランド王国・見晴らしの高台◇◇
ジランド王国の王であるランドルフ・アルフリート五世はジランド王国城の見晴らしの高台から、国民がごった返す広場を眼前に演説を開始しようとしていた。
「親愛なる国民たちよ。この度は不祥事で騒がせてしまったことを申し訳なく思う。」
ランドルフ王は魔道具マイクで国中に響き渡るように音声魔道具が中継され、国民たちの耳に届いていた。
「(フトッチョ様は勿体無いことをされる。ここが歴史の転換であろうというのに。フトッチョ様が王となろうがなるまいが、私の説が正しいことが証明されれば、出世が出来る。キヒヒ。)」
下っ端の国政貴族で歴史学者のネクラがキヒヒと波乱による期待の笑みを浮かべていた。上手くいけば、王を引きずり下ろせる目論みもあり、ジランド王の国賊説が正しかったことによる証明で出世も期待出来る。
「(何があろうとも上手くフトッチョ様に押しつければ良い。そうすれば、私は無傷だ。)」
フトッチョのクーデター作戦が成功しようが失敗しようが、ネクラは安全地帯にいると確信しているようだ。
◇◇とある建物の屋根◇◇
「おいおい、ここから何をしようってんだ?!ジランド王国城に潜入しねぇのかよ!?」
元締め代理が最強暗殺者に向けて騒いでいた。二人はランドルフ王から1キロ離れた建物の屋根にいた。
「何を言っている?ランドルフ王の周りは警戒されているに決まっている。潜入など出来ない。」
「お前なら出来るんじゃないのか?!」
「カインズやセバスチャン、そしてランドルフ王直属の近衛騎士たちの練度を甘く見るな!」
「また死にたくないって言う気か!未来永劫遊べる金はどうするんだよ!!」
最強暗殺者は「ふっ」と苦笑を浮かべた気がする。
「まさか、お前は私の最強技を全力土下座だと思っているんじゃないだろうな?」
元締め代理は最強暗殺者がクレアに向けて、命保持からの全力土下座していたのを目撃した荒くれ巨漢三人から聞いていたのである。
「ち、違うのか?」
「私は暗殺者だ。手の内はそうそう見せん。だが、今回で最後の仕事だ。」
最強暗殺者は背中にあった包んだ何かを手元に持ち出した。それは銃の形をしていた。
「銃?ライフルか?スキルや魔法全盛期にそれはないっつーの!威力も低いって!!」
元締め代理が呆れた反応を見せた。人間相手ならともかく魔物相手には通用しない代物だと認識していた。
「お前はフォルトゥナ教を信じているか?」
「え、いや?」
最強暗殺者の突然の話題転換に面食らう元締め代理。
「この世界はフォルトゥナ様が創造された世界。そして創造神フォルトゥナ様から賜りし、「スキル」「魔法」の二種類がある。そしてその二種類は人間にも魔物にも平等に与え・・・。」
「待て待て、急に講釈垂れるなよ!何が言いてぇってんだ?」
「気配探知と魔法探知というスキルは知っているだろう?それがランドルフ王の周囲に張り巡らされているはずだ。」
「あぁ。」
「だが、それをすぐには探知出来ないものがこれだ。」
最強暗殺者は一発の銃弾を見せる。気配探知も魔法探知もスルー出来る無機物質である。
「これだけ小さければ、一発決めることは可能かも知れねぇが、ここから1キロもあるんだぞ!!」
「問題ない。一発で決める。さぁ、静かにしてくれ。」
「・・・頼むぜ。失敗したら、ずらかる!!」
最強暗殺者は長距離ライフルを構え、元締め代理と一緒にランドルフ王の演説を聞きながら、静観するのであった。
◇◇ランドルフ王◇◇
「さて、私の血筋に疑いが出ているものもいるだろう。」
この言葉にざわざわする国民たち。
「私は初代国王ジランド様の正当な後継者ではない。」
その瞬間、国民たちが声にならない叫びを上げた。そしてネクラは満面の笑みを浮かべた。
「静粛に!!」
ランドルフ王はそう一喝すると国民たちが一斉に黙った。王たる威圧スキルか何かだろうか。
「初代国王ジランド様の音声記録の魔道具がある。それを聞いてから判断とさせていただきたい。」
初代国王ジランドの音声記録の魔道具を用い、国中に放送する。
「儂はジランド。とうとう儂に子供がいないことが国民たちに知られたようだな。それは儂の死後、十年後、二十年後、あるいは百年後なのか。それで国民たちが騒いでいるということは平和なのか?もしそうなら有難いことだが、もはやそこまでの未来の想像は出来ん。何故なら、儂たちは今を必死に生きてきているのだからな。」
初代国王ジランドの声からすると老人の時に記録された音声のようだ。
「儂に子供はいない。何故なら、戦い、戦いの連続じゃったからな。気付けば、ワルーイ王国を打ち倒し、王となっていた。種族の垣根を越えて力を合わせ、安心笑顔溢れる王国を作りたい。その一心でやってきたが、後継者問題が常に付き纏っていた。」
初代国王ジランドの後継者問題に国民たちがごくりと唸らす。
「驚くだろうが、今の王は前身のワルーイ王国のワルーイ王の35番エリエリザベート王妃の子孫に当たるだろう。」
ワルーイ王国の王家の子孫であることが判明し、国民たちが「えぇぇぇー!!」と騒ぎを起こす。
「ワルーイ王国の王家に関係するものは全て処刑、処分した。だが、子供は極力殺したくなかった。」
初代国王ジランドの葛藤たる本音も響いた。
「それ故に儂の想いを引き継ぐ後継者にふさわしい者をその中から選んだのだ。そして今もジランド王国があるならば、その者は正しい導きをしてきたのだろう。信じていい。その者を。」
初代国王ジランドがランドルフ王を差して信じていいと言いのけた。
「・・・ぶっちゃけるとこの儂だって王家にゆかりのある血筋でもない。ただの人間だ。・・・国民たちを安心笑顔に平和に導けるなら、誰が王になったって構わないんだ。むしろ王国を傾けようと騒ぎを起こしている元凶を突き止めて成敗してくれるわ!!と思うね。ハッハッハ。」
その放送にネクラや元締め代理が焦る。
「(キヒヒ、これはまずいですね。となると強硬手段に出るしかありませんねぇキヒヒ。これもまた歴史の転換!!さぁ最強暗殺者!!頼みました。キヒヒヒ!!)」
ランドルフ王を眺めていたネクラが相変わらず悪どい笑みを絶やさなかった。その間も初代国王ジランドの音声放送は続いていた。
「最後に、覇竜と仲良くしてくれ。あいつは・・・俺たちの子供みたいなもんだ。」
魔道具の音声記録はそこで終わった。ジランド王国と覇竜との繋がりを示唆する言葉であったが、もはやここまで来れば、国民たちの騒ぎは沈静化に持っていける。
「初代国王ジランド様の想いは伝わっただろうか。そして400年経ったジランド王国を振り返って欲しい。私、そして歴代の王は間違った導きをしてきただろうか?」
国民たちはシーンとしていた。
「私は初代国王ジランド様の子孫ではない。むしろ血塗られたワルーイ王国の王家の血筋。だが、それはもはや過去のこと。私は初代国王ジランド様の想いは確実に受け継いでいる。それは皆もそうだろう。だから今のジランド王国がある。改めて、私を王と認めてくれまいか。」
国民たちは初代国王ジランドの言葉に納得したのか、歓声が上がる。
「ランドルフ王万歳!!ランドルフ王万歳!!」
「・・・ありがとう。」
ランドルフ王は涙を浮かべる。この出来事により、国民たちの絆が深まり、国民たちから改めて王と認められた瞬間でもあった。
それを良く思わないネクラが「(早くしなさい!!)」とまだかまだかと焦ったく足踏みする。
◇◇◇◇◇
「おいおいまずいっ!撃てよ!!」
「五月蝿い。」
最強暗殺者はライフルでランドルフ王の眉間に狙いを定める。
「(この一発でジランド王国の運命を変える。)」
最強暗殺者は脳裏にカインズとセバスチャンと敵対していた場面が思い浮かぶ。
◇◇数年前の回想◇◇
「まさか、ツートップが出張ってくるとは。」
最強暗殺者がカインズとセバスチャンを相手に小刀を逆手に間合いを取る。
「貴族が次々と暗殺され、夜も眠れない日々が続いてるんだ。俺たちの出番ってわけさ。」
「ふっ・・・。悪事に手を染めている貴族を懲らしめているだけだ。」
「・・・それじゃ、やるか!!」
カインズが大剣を構える。その背後にサポートするセバスチャン。
最強暗殺者はその二人の最強レベルの実力を肌で感じた。最初から全力で行かねば、と。
「・・・最強技、全力土下座!!」
最強暗殺者はカインズたちを前に土下座するのであった。
「・・・は?」
カインズが呆気を取られる。ただ背後のセバスチャンは気を許していなかった。
「いやいや、ここはやる流れだろ!!」
「まだ私は死にたくない。」
「・・・お前のやっていることは犯罪。見逃せねぇ・・・と言いたいところだが、お前は悪事に手を染めている貴族を暗殺し、その金を孤児院のために寄付しているのは知っている。あれだ。義賊ってやつだろ。」
「!?」
「最強暗殺者って触れ込みだが、名前なんて言うんだ?」
「・・・オウギ。」
「オウギ。見逃す代わりに頼みがあるんだ。フトッチョを監視してくれ。」
◇◇回想終了◇◇
「(フトッチョの下に入り、数年の動向や情報、証拠をカインズに渡した。カインズからの仕事はこれで終わりだ。・・・心置きなく撃てる!!)」
どうやら最強暗殺者ことオウギはフトッチョ傘下に入り、フトッチョの動向を監視していたようだ。だが、オウギはカインズの指示以外は自由にやらせてきた。全ては金のためだ。
「鷹の目スキル発動!!」
オウギは目を鷹の目のように変化し、ランドルフ王の眉間に照準を合わせる。そしてライフルの引き金に指をかける。ふとリリスの顔を想い浮かべる。
「・・・真の最強技、一撃狙撃!!」
オウギは引き金を引き、目に見えない小さな弾丸が発射される。それはランドルフ王の幾多の警戒網を掻い潜り、あっという間にランドルフ王の眉間に到達したのであった・・・。
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