第八十八話 フトッチョ・ハゲラン
拙い文章、人物、状況情報など色々と欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
◇◇ジランド王国~西ルクテシア方面の街道◇◇
リュウたちはウルスたち蜥蜴族使節団の護衛をしつつ、移動していた。だが、リュウたちの前に荒くれ巨漢三人が再び現れた。
「あら?逃げたと思ってたわよ。」
リーゼが冷静に腰に付帯してる剣に手を当てる。荒くれ巨漢三人が憤る。
A「鉱床の契約をされたら、フトッチョ様がお怒りになる!!」
B「だから、ここでお前たちを潰す!!」
「たった三人で?」
リーゼが嘲笑う。荒くれ巨漢が憤る。
C「誰が三人と言った!?出てこい!!フトッチョ様直属の親衛隊!!」
街道近くの森林から100人ほどのフトッチョ直属親衛隊が出てきた。
「ぐへへへ・・・。」
ナイフをなめるかのような動作をするフトッチョ直属親衛隊のうちの一人。風貌が悪く、親衛隊というより、盗賊団のような風貌だった。
「ニャニャァ~。囲まれたニャ。」
メイファがキョロキョロ見回す。アイリンが無言で杖をギュッと握りしめる。ウルスたち蜥蜴族使節団も武器を持った。
「(フトッチョ。クレアやガイアス、蜥蜴族にちょっかいかけすぎだ。)」
リュウはフトッチョの悪意に心の中で怒りを感じていた。
A「瞬光の戦乙女チームと言えども、この数には敵わないだろ!!」
B「ハーハハハ、ビビッても遅いぜ!!」
C「さぁ、恐怖に泣き叫べ!!」
荒くれ巨漢三人が高らかに笑う。だが、リュウたちは動じてなかった。
「あなたたちは世間知らずのようね。私たちは二つの戦争を経験したわ。魔竜やリッチ、暴竜に比べたら、全然怖くないわよ。」
リーゼが剣を構える。それを合図にメイファ、アイリン、リュウ、ウルスたち蜥蜴族使節団が構えた。
A「なにぃー!!おめーら、やっちまいな!!」
荒くれ巨漢Aの掛け声に100人のフトッチョ直属親衛隊がリュウたちを襲うのだった。
◇◇場面転換◇◇
フトッチョがドスンドスンと肥満体を揺らしながら、東街にある孤児院の方に向かっていた。
「孤児院の助成金を打ち切って、数日以上立つ。そろそろ根を上げる頃合いであろう。すがりついてくれば、我が妻になるように迫るのみだ・・・グフフ。」
ボサボサ金髪の10円玉ハゲが太陽により光っていた。そして、孤児院に近づくと見慣れぬ建物があることに気付く。なにやら人が並んでいる。
「この匂いは・・・硫黄?」
フトッチョがさらに近づくと「ドラゴンの湯」の看板の石造りの建物を見て、驚く。
「こ、これは・・・まさか温泉!?いや、バカな!!このジランド王国に温泉はないことが確認されてるはずだ!!そもそも温泉を掘り当てるのに莫大な資金と時間が必要だ!!いったいどうやって・・・?」
「ドラゴンの湯」から出るお客様たちが満足そうにしゃべる。
「いやぁ。貴族やお金持ちは風呂に入ってるというが、その気持ちが初めてわかった。」
「そうさな。儂らのような東街の貧困住人は井戸で体を洗うのが当たり前じゃった。」
「しかも温泉だぜ。山奥にあるかないかという話だ。貴族やお金持ちより素晴らしい風呂じゃないか!!それでいて小銅貨5枚。頑張れば週三回行けそうだ!!」
フトッチョはお客様たちとすれ違いで聞く。その瞬間、悪どい笑みを浮かべた。
「何故温泉が出来たのか考えても仕方がない。ともあれ・・・グフフ。」
フトッチョはドラゴンの湯の店に入る。そこに番台で受付しているリリスがいた。スイリューもマスコットとしてくつろいでいた。
「いらっしゃいま・・・。」
リリスがフトッチョを見た瞬間、硬直した。
「久しぶりだな。リリス。我が妻になる決意はしたかね?」
高らかに威張るフトッチョにリリスが溜め息ついた。
「嫌です。」
リリスがきっぱりと断るとフトッチョがギリギリと噛み締める。
「(これはまずいかなぁー。)」
スイリューが話のやり取りに危機感を覚え、どこかに飛んで行った。
「何故だ?我輩は騎士伯爵貴族!!豪華な生活が送れるんだぞ!!」
「貴族を鼻にかけて、威張り散らすあなたと結婚したくありません!!」
徹底拒否するリリスにフトッチョが業を煮やす。
「孤児院は我輩が管理している!つまり所有権がある!!もちろんこの温泉もな!!孤児院の敷地内なら我輩の物だ!!取り上げるぞ!!それが嫌なら結婚しろ!!」
フトッチョがリリスの腕を引っ張る。
「きゃー!誰か助けて!!」
リリスの叫び声と同時にフトッチョの首が何者かに掴まれ、宙に浮いた。
「何してるのだ?」
ガイアスがフトッチョの背後に現れ、フトッチョの首を掴んで、持ち上げていたようだ。スイリューが間に合ったとばかりにふーっと汗を拭う。どうやらスイリューがガイアスを呼んだようだ。宙に浮いたフトッチョがバタバタする。
「放せぇー!!」
「・・・娘。こいつは迷惑行為、営業妨害というやつか?」
リリスに確認を求めるガイアス。リリスがコクコクと頷く。ガイアスはフトッチョを店の外に放り出した。
「帰れ。」
ガイアスがフトッチョを見下す。
「我輩は騎士伯爵貴族!!こんなことしてただじゃ済むと思うな!!」
ガイアスにつっかかるフトッチョ。
「・・・意味がわからないな。」
ガイアスはドラゴン故に人間文化に疎く、騎士伯爵貴族という肩書きには文字通りに意味がわからないようだった。
ガイアスとフトッチョが睨み合ってるとそこにクレアが登場する。
「ガイアス。売り上げはどう~?マネジメント料として売り上げの一割頂戴~。」
クレアが指を丸く、金のジェスチャーをしながら、上機嫌に訊いた。
「娘に訊け。オレは計算できん。」
「あらぁ~。」
フトッチョが売り上げという言葉に反応した。
「そこのお前!!孤児院と敷地内にある温泉は我輩の物だ!!売り上げも我輩の物だ!!」
クレアが「・・・誰?」と首を捻る。
「我輩は騎士伯爵貴族、フトッチョ・ハゲランだ!!」
フトッチョが威張るかのように自己紹介した。
「・・・あなたがフトッチョだったの?」
クレアがにっこりと笑う。
「私はクレア。魔性の館を経営してると言えばわかるかしら?」
「・・・っ!お前がクレアなのか!?」
「部下から聞いてないかしら?次にまたやったらあなたのタマを潰すわよ、と。」
クレアが脅迫じみた言葉にたじろくフトッチョ。
「騎士伯爵貴族は強い者が偉いものだと思ってたけれど、あなたは弱いわよねぇ。騎士伯爵貴族ならカインズやリーゼの方がわかるけれど。」
フトッチョが「カインズ・・・。」と何やら苛立ちを見せる。クレアは意に介さずに続ける。
「肩書きで威張ってるのかしら。人間は肩書きに弱い風潮があるわよねぇ。」
「だ、黙れ!!とにかくここは我輩が管理しているのだ!!」
そこに狙い済ましたかのようにドラゴンの湯の店から出てくる二名。
「あーいい湯だったぜ。」
「若返りますね。」
カインズとセバスチャンが湯気だっていた。
「カインズ・トランスロッド!?」
ここで予想外の登場に驚くフトッチョ。
「フトッチョ。ここはお前が管理していたが、今後は俺が管理することになった。」
「な・・・?」
突然のことに驚くフトッチョ。
「こちらにランドルフ王により、辞令が。」
セバスチャンが辞令書を手渡し、フトッチョがそれを読む。確かに孤児院の管理はカインズに一任すると書かれていた。
「な、何故だ・・・?」
「何故もクソもねーだろ!!助成金を横取りして、勝手に打ち切ってんのは知ってるんだよ!!あとな。冒険ギルドのほうでレア素材の横流しの証拠もある。処分は追って通達する!!」
カインズが一喝した。グギギギ・・・とフトッチョが悔しがりながら、カインズに指を差す。
「今に見ていろ!!近いうちにお前や王族は我輩にひれ伏すだろう!!」
「それは無理ね。」
タイミング良くリーゼが登場した。リュウがボコボコになった荒くれ巨漢三人をポイッとフトッチョの足元に放り出した。
A「すんません!!」
B「親衛隊全滅しました!!」
C「強すぎぃー!!」
「お前ら、失敗したのかぁー!!」
フトッチョが地団駄を踏む。
「お父様。フトッチョは鉱床を手に入れたいがために妨害工作していました。」
「もうここまで来ると逮捕出来るな。」
カインズがギロッとフトッチョを見やる。
「(馬鹿な馬鹿な馬鹿な!我輩が捕まる・・・。い、いや、ま、まだだ!!逆転は出来る!!)」
「ふん!ならば、逮捕の令状を持ってこい!!我輩は逃げ隠れもせん!!」
フトッチョが捨て台詞を吐いて逃げ出す。
「あ、嘘吐き。逃げたニャ。」
メイファが冷静に突っ込み、その様子を眺める。
「どうせ逃げ先はフトッチョの屋敷だろう。ラインゴッドに手配を任せるとしよう。セバスチャン!」
「かしこまりました。」
セバスチャンがラインゴッド騎士団長の元に「空間魔法(上級)・瞬間移動」でパッと移動していった。
「君たちが蜥蜴族だね?」
カインズがウルスたち蜥蜴族使節団と対面する。
「俺がカインズ・トランスロッドだ。」
カインズがウルスに握手を求める。
「蜥蜴族代表ウルス・トカゲだ。」
ウルスが握手に応じた。
「すまないが、こちらはゴタゴタしていてな。落ち着いたら、我が王に会わせよう。」
カインズはウルスたち蜥蜴族使節団を引き連れていった。
「これで護衛は終わった・・・が、俺の虫の居所が悪い。」
リュウがそう言うとリーゼ、メイファ、アイリンが一斉に頷いた。
「私もよぉ。落とし前をつけに行きましょう。」
クレアも同意し、リュウたちと一緒にフトッチョ邸宅に赴くのだった。
◇◇フトッチョ邸宅・自室◇◇
あれだけ威張っていたフトッチョに恐怖の色が濃かった。追い詰められているのかボサボサ金髪にあった10円ハゲがさらに大きくなっていた。歯を噛み締めながら、机に這いつくばるかのように突っ伏す。
「何故だ・・・!何故思い通りにならない!!」
ダンダンと机を叩く。
「カインズ・・・!!お前が一番目障りだ!!」
フトッチョが若かりし頃を思い起こす。
カインズとフトッチョは同年代でカインズは下級貴族の男爵貴族の末っ子だった。それに対し、フトッチョは上級貴族の騎士伯爵貴族。身分の差からフトッチョはカインズに対し、威張っていた。
だが、カインズのざっくばらんな性格により同年代の上級貴族、下級貴族問わずに受けが良かった。フトッチョはそれが我慢ならなかった。
そしてカインズは15歳成年になると同時に平民か冒険者の選択肢を迫られた。カインズは迷うことなく、冒険者を選択した。フトッチョは目障りなカインズが冒険者に落ちぶれていく様にせいせいしていた。
それなのにフトッチョの父である先代ギルドマスターがカインズに才能があると目をかけられる。
その通りにカインズは冒険者活動ですぐ頭角を表し、、最終的にはSランク冒険者に登り詰め、驕ることなく活躍し、国民に慕われ、騎士伯爵貴族になった。
その裏でフトッチョが穀潰しのような存在になった。先代ギルドマスターはフトッチョがカインズであれば良かったとぼやいていた。
先代ギルドマスターの死後、フトッチョが騎士伯爵貴族を引き継ぎ、そしてギルドマスターを引き継ぐ。
フトッチョはギルドマスターとして仕事はせず、冒険ギルドにはあまり顔を出さなかった。顔を出したとしてもレア素材があれば横取りする。冒険ギルドで働く従業員は全員、フトッチョを快く思わなかった。
金に執着が強く、様々な悪事を働いていたフトッチョに断罪が下ろうとしていたのだ。
「力が欲しい・・・力が欲しいっ!!」
フトッチョの嘆きに応えるかのように「力が欲しいか?」と声がした。
フトッチョが驚き、自室の周りを見回す。すると霧状の物体が現れた。
「誰だ!?」
「ダークだ。」
フトッチョがガタッと椅子から立ち上がる。
「ダークだと!?何の用だ!!」
「困っているようだから、力を与えよう。」
ダークがポイッとグロステクな玉を渡す。
「これは・・・?」
「これは魔物化の玉だ。人間が魔物に堕ちる過程から研究し、魔物化技術に昇華したのだ。その結果は私を見ればわかるだろう。」
フトッチョは霧状に揺らぐダークの姿にごくりっと喉を鳴らした。
「・・・我輩に魔物になれというのか!?」
「飲めば力を得るのは間違いない。どうするかは自由だ。ククククッ・・・。」
ダークは闇に紛れ、姿を消した。
「・・・・。」
フトッチョは魔物化の玉を手にする。
「ふん・・・。まだ我輩は終わっていない!!」
フトッチョは巨体を揺らしながら、格納庫らしきとある場所の扉を開ける。そこには巨体な物体が眼前に置かれていた。
「我輩には最強の魔導人形ガーディアンがある!!」
ダークの思い通りにならないと言わんばかりにフトッチョは一発逆転を狙うのだった・・・。
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