第八話Dランク冒険者試験③
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてますが、よろしくお願いします。
リュウはDランク冒険者試験の試験官であるメイファたちとの戦闘に決着をつけた。
「レベル2上がりました。魔爪スキルを習得しました。魔爪スキル使用によりドラゴンクロー(弱体化)が使用できます。」
リュウの頭の中でそうアナウンスされた。人間にはレベルが存在し、戦闘を重ねるとステータスやスキル、魔法が習得することが出来るシステム。ただし魔物はレベルシステムは存在しない。
「(ドラゴン姿では爪の出し入れしてたから、魔爪スキルを簡単に習得できたか。)」
メイファたちとの戦闘で学習したことにより、魔爪スキルを習得できたようだ。
「(これで試験終了でDランク冒険者だ!)」
火に巻かれたメイファとアイリンが膝をついて、ゼェゼェと酸素を欲しがるように息を上げていた。その様子から戦闘不能と判断し、内心ガッツポーズするリュウだったが、目の前にリーゼが登場した。
「最後に私が相手よ!」
リュウに剣を向けるリーゼ。
「え?」
冒険者試験は終わったとばかりに思い込んでいたリュウが驚く。審判であるアンリ受付嬢が駆けつけてくる。
「ちょっと待ってくださーい!リーゼさんは試験官として依頼してませんよ!?」
「ごめんなさい。私は瞬光の戦乙女チームリーダーとして、ポッと出の新人には負けられないのよ!」
アンリ受付嬢の制止にリーゼは引かない。
「メイファ!アイリン!下がってなさい。仇は取るわ!」
リーゼの声かけに力なく頷いて、二人は退場する。
「え?え?まだ試験?」
戸惑うリュウをよそにリーゼは張り切る。
「リュウ、あなたは強い。だが、私たち瞬光の戦乙女チームはかの強き覇竜様とお手合わせする夢がある!!」
その言葉に「(いや、目の前にいる。)」とリュウは目をそらしながら、冷や汗をかいていた。
「私は瞬光の戦乙女チームリーダーのリーゼ!Bランク冒険者!!」
剣の平を縦に誓うような仕草をする。剣の平に綺麗な装飾が施されていた。
「この剣はミスリルの鉱石から作られた名剣ヴェンスレイ!さぁ勝負しましょう!!」
リーゼが剣を構える。リーゼの心意気に気持ち良さを感じたリュウが「よし!勝負だ!」と応えた。
二人の間に静かなひとときが流れる。リーゼが先に動いた。
「神速剣!」
目に止まらぬ早業でリュウを斬る。リーゼはスピードアップで素早さを増したメイファと同等のスピードを自らのスキルでやってのけた。だが、リュウは魔力を込めた爪を伸ばし、剣を防いでいた。先程、習得したばかりの魔爪だった。
「魔爪!?ミスリルと同等の硬度だと!!」
※魔爪スキルは魔力の度合いにより、硬度が変化する。
リュウの魔爪の硬度に驚くリーゼ。リュウはリーゼに接近戦に持ち込み、魔爪で斬ろうとするが、リーゼは冷静に突きの構えをする。
「神速剣・全突!!」
リュウの全身に目掛けて目に見えぬ速さで突く。
「くっ・・・ドラゴンスキン(弱体化)!」
リュウは身を固めるが、その攻撃に傷があちこち出来る。これまでの戦いで初めて傷をおった。
「(今日、人間になったばかりの俺ではリーゼ相手にはちょっときついな・・・。)」
冷や汗をかき、苦戦していた。リュウに傷がついたのを見て行けると判断し、追撃しようと剣を振りかぶるリーゼ。
「剣技・五月雨斬り!!」
ジグザグと上下右左と方向斬り返し連続攻撃にリュウは身を固めるように防御に回る。
「(まさに剣の雨のようだ!!何も出来ない!いや、させてくれない!!動きを一度止めねば!!)」
リュウがリーゼの攻勢にジリ貧になるのを避けようと魔法を繰り出す。
「風魔法(下級)・エアクッション」
リュウの口から魔法陣が出て、リュウとリーゼの間に空気圧の入った膜を作った。リーゼは空気圧の膜ごとリュウに目掛けて斬り込もうとした。だが、空気圧の密度が高く膜を切ったら、バンッと風船のようにはじけ、吹っ飛ばされた。「きゃっ!」と転がりながらもすぐに膝をついて素早く体勢を整えようとするリーゼだが、目の前にリュウが魔爪を構えていた。
「まだやるか?」
「くっ・・・。」
剣で魔爪を弾いて、距離を取るリーゼ。
「私の最強技を食らってみせよ!」
リーゼは剣を鞘に納め、構える。リーゼのただならぬ雰囲気にリュウは「(これは斬られる!)」と魔爪を構えた。
リーゼが「神速!」と一直線にリュウの首を目掛けて接近する。
「最強技、豪腕・竜殺し!!」
剛腕スキルにより、一瞬のうちに腕の筋肉を肥大し、抜刀し、斬りつける。それに対してリュウは魔爪にさらに魔力を込め、ドラゴンの手であるかのように具現化した。
「ドラゴンクロー(弱体化)!!」
リーゼの剣に応戦する。魔爪と剣の金属音が周りに激しく鳴り響き、そしてリーゼが吹っ飛んで仰向けに倒れる。
「ふぅっ・・・本気で俺の首を斬ろうとしていたな・・・。」
リュウが倒れたリーゼを見やる。リュウのダメージは爪が少し剥がれた程度だった。
「それまで!それまでー!!」
焦った表情で試合終了を告げるアンリ受付嬢。リュウが「大丈夫か?」と仰向けに倒れてるリーゼに歩み寄る。リーゼは悔しそうな表情していた。
「ふふ・・・強いわね。あなたに負けるようじゃ、覇竜様とお手合わせなんてまだまだ先ね。」
「・・・覇竜とやらは大量の食料と冒険譚さえあればお手合わせしてくれるさ。」
リュウがふっと薄ら笑いながら、その心は「(正体がバレたら夢を台無しにさせてしまう。隠さねば)」と遠い目をした。
こうして無事にDランク冒険者試験を突破するリュウであった。
 ̄ ̄ ̄修練場・観客席 ̄ ̄ ̄
「すげぇ新人が出てきたぞ!」と観客がざわつく中、リーゼ父が高笑いしていた。
「ハハハ、さすが覇竜ってとこだな!」
「声が大きしゅうございます」
セバスチャンが少し慌てた表情でリーゼ父をたしなめた。
「覇竜!冒険者として世界を見てこい!」
リーゼ父はくるりと踵を返し、セバスチャンと共に去っていったのだった。
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