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第七十八話 ガイアスとスイリュー編

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!

◇◇リュウ邸宅◇◇


 カミュがメイドの仕事として掃除に精を出す。


「ふぅ~。ここも大所帯になりました。」


 リュウ、メイファ、アイリン、クレア、エンカ、ロック、使用人十名(メイファの母込み)。そして新しく入った住人一人。


「新しくガイアスさんという方が入ってきたんですが・・・。」


 チラッと窓の外を見ると庭でゴロゴロしてる男の姿があった。2Mを超え、鬼と見間違えるかというくらいに筋骨隆々の体格を持ち、頭に二つの角がついていた。暴竜が人間の姿になり、名はガイアス。


「あの方、ずーっとだんまりなんです。でもリュウ様やクレア様、エンカちゃんと話している様子はあります。」


 カミュがガイアスの無口さに首を捻る。ガイアスは人間を目の敵としているため、リュウたち同族以外は喋りたくないし、人族の言語なぞ使いたくない考えがあったのだ。


「リュウ様たちの会話に聞き耳を立てたことがありますが・・・。」


 カミュが困惑顔する。


「ギャァギャァ言ってるんですよね・・・。ドラゴン語なのかなぁ・・・。リュウ様たちがドラゴンの子供のスイリューと話をしてるところを見かけます。」


 カミュを含め、執事やメイドたちはこうした疑問が沸くが、全員、一つの答えに辿り着く。


「蜥蜴族と人族のハーフだからなのかなぁ。リュウ様たちは不思議なお方たちです。」


 蜥蜴族と人族のハーフということで納得するカミュたちであった。


 カミュが窓から、ガイアスを眺めているとクレアが寝転んでいるガイアスに近付く。


「あ、クレア様がガイアスさんを蹴っ飛ばしちゃった・・・。」


 カミュの見た通りにクレアがガイアスを蹴っ飛ばした。


◇◇◇◇◇


『何をする!?』


『そろそろ働きなさい。』


 「♯」マークを額につけたクレアが寝転んでいたガイアスを見下していた。


『何故だ?』


『人間の社会は金で回ってるのよ。あなたは食って寝てばかりじゃないの。ドラゴンは人間の数倍、食費がかかるのよ。この穀潰し!!』


『む、むぅ・・・。働くにしても、どうしたら良いのだ?』


『それは自分で考えなさいよ。街に出て、色々見てきなさい!!』


 クレアがガイアスを社会勉強とばかりにリュウの家から叩き出した。


『むむぅ・・・。』


 初めての人間社会に放り出されて、途方に暮れるガイアスは気難しい表情で唸る。


 その時にスイリューが飛んでやってきた。


『おとーさん、どうしたのー?』


『スイリュー。クレアから働けと言われてな。街を見て回ろうかと・・・。』


『ボクも行くよー。案内したげるよ!!』


『悪いな・・・。』


 我が子のスイリューに案内されるみっともない父、暴竜ことガイアスであった。


◇◇南街・商店街◇◇


『ここは冒険ギルドや様々な店、屋台が並んで活気あるところだよー!!』


 ガイアスはスイリューに連れられ、商店街を歩く。


 中世ヨーロッパ風の外観の建物が並び、人族、獣人族、エルフ族、ドワーフ族、妖精族など様々な種族が行き交っていた。


『なかなか盛況だな。』


 ガイアスが都会を訪れた田舎者かのようにキョロキョロ見回す。


『仕事を探すんでしょ。リュウのように冒険者はどう?』


『性に合わん。』


 確かに人間嫌いのガイアスが冒険者として、共に人間と旅し、チームワークを要求される行動は絶対に出来ないだろう。


『ロックのようにジランド王国騎士団に入って、国を守る仕事は?』


 スイリューはドラゴンとして縄張りを守る=ジランド王国騎士団なら、出来るのではないかと思い、提案した。


『何故、オレがリュウの縄張りを守らねばいかんのだ。』


 プイッとガイアスが顔を背ける。人様の縄張りを守る意義が見出せなかったようだ。


 スイリューが仕事を選り好みする父にやれやれと溜め息ついた。


◇◇西街・娼館◇◇


『クレアとエンカが魔性の館を出して、金を稼いでいるよー。』


 ピンクカラフルな建物が並び、露出が高く艶っぽい女性が行き交い、中には鼻の下を伸ばした男性をピンクカラフルな建物に連れ込む女性もいた。


『なんというかここはお前の来る所ではない。』


 その様子にガイアスが親として、まだ子供であるドラゴンのスイリューに注意し、早々に移動したのであった。


◇◇東街・スラム街◇◇


 様々な種族が住むスラム街。特にディモール王国によって滅ぼされた種族が多く住まうところ。そんな中、スイリューがとある場所に向かうと様々な種族の子供たちが遊んでいた。


「あ、スイリューだ。」


「ピギャ!!」


 スイリューが子供たちに手を挙げた。慣れている様子からどうやら何度も来ているようだ。


『ここは?』


 ガイアスが建物を見上げる。大きいのだが、とこどころ窓が割れ、古びた建物であった。


『孤児院だよー。』


『孤児院?』


 ガイアスが首を傾げるとシスターの容姿の女性がやってきた。


「スイリュー、また遊びに来たんですねー。ってあら?今日はエンカちゃんと一緒じゃないですね?」


 シスターの女性が首を捻る。女性は若く、ベールをかぶり、黒色の修道服を身につけていた。人族のようだ。


「すっごく大きいお方ですね。初めまして。孤児院を経営しているリリスです。」


 ガイアスに挨拶するリリス。


「・・・・。」


 ガイアスが黙る。スイリューがバシッと尻尾ではたいた。


『人族の言語をまだ覚えてないとはいえ、挨拶くらいは出来るでしょ!!』


 我が子のスイリューにたしなめられるガイアス。


「・・・ガイアスだ。娘。」


「はい!」


 にっこり笑うシスターのリリス。スイリューが子供たちのところへ行って遊び始める。


「いつもはエンカちゃんと一緒に遊びに来てたんですが、今回は別の人でびっくりしました!!」


 ガイアスが様々な種族の子供たちを見やる。その様子にリリスが説明し始める。


「孤児院は親を亡くし、身寄りのない子供を引き取り、育てているんです。戦争が立て続けに起きて、戦争孤児が急増してしまい、お世話するのが大変です!!」


 リリスがふぅーっと溜め息ついた。


「(これはオレのせいにもなるのか?)」


 ガイアスが暴竜としてダークにより、操られ、暴れた。その際に親を亡くしたとしたら、スイリューの親として、人間嫌いのガイアスとしては思うところはあった。


「・・・。」


 ガイアスがだんまりを決め込み、スイリューと子供たちと戯れる様子を眺める。


「(ドラゴンの我が子が人間の子供たちと遊ぶなどかつて見たことも聞いたこともなかったな・・・。)」


 子供たちの底抜けにけたたましく五月蝿いほどのはしゃぎようにガイアスの口元がやや吊り上がる。その様子を見たリリスが「ふふっ」と笑う。


「すっごく大きく二つの角がついてて、鬼みたいなのに優しそうな表情をしてますよ!!」


「・・・むぅ?」


 ガイアスがペタペタと自分の顔を触る。


「(自分ではわからないが、そうなのか?)」


 ガイアスが首を捻る。その時に子供たちが「また来たよー!!」と騒ぐ。


 同時に荒くれ巨漢三人がやってきた。何か包帯を巻いているようだが。


「いてぇよ。」


「最強暗殺者め。裏切りやがって・・・。


「くそ。フトッチョ様、怪我人の俺たちをこき使いやがって・・。」


 荒くれ巨漢三人は最強暗殺者に殺されかけたが、生き延びていたようであった。


「リリスはいるか?!」


 荒くれ巨漢が声高に叫んだ。


 リリスが「はぁ~」と溜め息つきながら、荒くれ巨漢三人に対応する。


「フトッチョ様の妻になれ!!」


「その話はお断りしたはずですよ。」


 どうやら荒くれ巨漢三人はフトッチョの命により、ここに来ているようだ。


「フトッチョ様はこう言っておられる。孤児院の助成金を無くすことだって出来るんだぞ、とな。」


「・・・脅しですか?」


 リリスがギリッと歯を噛み締める。荒れくれ巨漢三人がふふんと威張る。怯える子供たち。


「(・・・人間のいざこざか・・・。)」


 あからさまなテンプレな光景で普通なら助けが入るところだが、ガイアスの反応は違っていた。


 その様子を眺めていたガイアスは我関せずを決め込む。


 スイリューが飛んでガイアスの側に近寄る。


『スイリュー、帰ろう。』


 ガイアスはスイリューが側に来たのを見計らい、声をかけた。だが、スイリューが尻尾でガイアスの頭をはたく。


『痛いではないか。』


『助けてあげよーよ。』


『何故だ?』


『人間は困ってる女性を見たら、助けるのが男性の役目なんだって。』


『オレはドラゴンだぞ。』


『今は人間じゃん!いいから助けてあげてよ!!』


 スイリューが無理矢理ガイアスを押して、荒くれ巨漢三人の前にずいっと立ちはだかる形になった。


「なんだおめぇは!!」


 荒くれ巨漢三人がガイアスを見上げる。


「・・・でかいな。」


 荒くれ巨漢三人の誰かが呟いたのが聞こえた。


「ガイアスさん!?」


 ガイアスの後ろにいるリリスがびっくりしたような表情していた。


 ガイアスが面倒な表情で荒くれ巨漢三人に向く。


「・・・帰ってくれ。」


 ガイアスの言葉に荒くれ巨漢三人が憤る。


「手ぶらで帰ったら、我らがボスのフトッチョ様に怒られちまう!!」


 荒くれ巨漢三人がガイアスに殴りかかる。


「きゃー!ガイアスさん!!」


 その光景にリリスが悲鳴を上げる。


「ぎゃぁー!!」


 悲鳴を上げた。・・・その悲鳴はガイアスではなく荒くれ巨漢三人の方だった。


 荒くれ巨漢三人がそれぞれ痛むように手を抱えていた。


「なんなんだ!?なにか仕込んでるのか!!」


 どうやらガイアスに殴りかかったが、ガイアスの体のあまりの硬さに逆にやられてしまったようだ。


「ならば本気だぁぁぁぁぁ!!」


 荒くれ巨漢三人が一斉に「豪腕!」で筋力増強し、再び殴りかかるもまたもや「ぎゃぁー!!」と悲鳴を上げた。


 今度は骨折したようだ。そしてガイアスが巨漢一人を軽々持ち上げる。


「・・・帰ってくれ。」


 巨漢一人を投げ飛ばし、「ぎゃぁぁぁー」と悲鳴を上げながら、やがて姿が見えなくなる。それを見た残りの荒くれ巨漢二人が「ひぃっ!」と逃げるように去った。


 リリスがガイアスに近寄る。


「助けてくれたんですか?」


「・・・。」


 ガイアスが黙る。


「鬼!ありがとうな!」


 子供たちがガイアスの周りを囲む。


「む・・・。」


 子供たちが「ありがとう」合唱する。それに倣い、リリスが満面の笑みを浮かべる。


「ありがとうございます!!」


 ガイアスが「・・・。」と押し黙る。


「(人間に礼を言われるのは初めてだ。こそばゆく、不思議な気持ちだ。)」


 ガイアスがふっと口元を吊り上げる。その後、ガイアスは孤児院に入り浸るようになる。だが、ガイアスは目的を忘れていた。


「金を稼ぎなさーい!!」


 クレアから文句を言われているガイアスの姿があったのだった。

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