第七話Dランク冒険者試験②
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けていることが多いと思いますが、よろしくお願いします!
「補助魔法(下級)・スピードアップ」
後衛の魔法使いのアイリンが試合開始と同時に補助魔法を前衛のメイファにかける。
「行くニャ!影分身!!」
メイファが赤まだら模様の猫足でぴょんぴょんと跳ねたかと思いきや、四人になった。
※メイファの「影分身」スキルは実体のない三人を作り出すことが出来る。
次の瞬間、パッと四人が消えたかと思ったら、リュウの四方からメイファが攻めた。
「(くっ・・・速い!反応しても体がついていけない!!)」
あまりの速さに防御体勢に入るリュウ。瞬光の戦乙女チームは力で押すドラゴンキルチームとは違い、速さで押す戦法を得意としているようだ。
「魔爪の舞!!」
四人が一斉に舞うかのように魔爪連続攻撃をした。その間、アイリンは杖を構えて詠唱していた。
「硬いニャ!」
メイファはリュウの頑強さに驚きながらも足を止めずに攻撃を続ける。そして詠唱が終わったアイリンの前に三つの魔法陣が発現する。
「撃ちます!」
アイリンの合図にバッとメイファがリュウから離れたタイミングで「水魔法(中級)・アクアショット!」と唱えた。三つの魔法陣からレーザー状の水弾丸が高速発射した。
それを見たリュウが「ドラゴンスキン(弱体化)」スキルを発動した。
「ぐっ!ちょっと痛い!!」
リュウはやや痛みを感じながらも三つのアクアショットに耐えた。
「私の持つ魔法でスピードも貫通力もピカイチなのに!」
大してダメージを与えられずにアイリンが驚愕した。メイファが影分身三体と共に再び「魔爪の舞!」と四方から攻撃する。
「(攻撃すればするほど、逆にアタイの爪が削られていくニャ。ダメージは与えらていないニャ・・・) 」
攻めているはずが逆にダメージを受けているメイファだった。
「メイファ!拘束します!動けなくさせることでも勝ちになります!」
これは真剣勝負の中にあるルールに従って、動けなくさせて勝負を決める腹づもりのようだ。
アイリンはなにやら地面に種を植える。
「水魔法(下級)・ウォーター!」
種を植えた地面に水をかけた。そしてまた詠唱を開始する。
リュウは「気配感知(弱体化)」スキルで影分身に紛れていたメイファの実体を捉えて、じりじりと反撃のチャンスを伺う。
「(やばいニャ・・・完全に目がアタイを捉えてるニャ。それにスピードアップ効果が切れる・・)」
メイファは補助魔法の効果が切れる前にバッとリュウから離れようとした瞬間に手を捕まれた。同時にメイファの三人の影分身が消えた。※メイファが「影分身」スキルを解除したのだ。
「捕まえた!このまま観客席に吹っ飛ばす!」
リュウはメイファの手を引っ張って、観客席に向けて投げようとする。
「しまっ・・・実体分身!!」
今度は実体のあるメイファが一人現れ、猫足でリュウの手を払った。
※メイファの実体分身は10秒間もう一人を実体化することができるスキル。ただし一日に一回のみ。
メイファ二人が同時に構える。
「食らえニャ!最強技・魔爪双突撃!!」
二人同時に魔爪を立てて、リュウの腹部を攻撃した。
「ぐっ!!」
攻撃の衝撃に耐えきれずに体が「く」のように吹っ飛んで、壁に激突するリュウ。
「今ニャ!」
「エルフ魔法(上級)・植物拘束!!」
メイファの合図にアイリンが魔法を唱えた。すると種を植えた地面から巨木が現れ、無数の太い枝が動き、リュウの体全体を押さえつけるように拘束した。
「ハァハァ・・・これで勝ちニャ。」
安堵しようとしたメイファにアイリンは「気を抜かない!」と注意する。
「くっ・・・身動きが取れない・・・が、口は動く。」
リュウは「火魔法(下級)・ファイア」で口元近くに魔法陣と共に大きな火を出す。
「魔法!?口から出せるの!?」
アイリンが驚きの声を上げる。通常、人間は魔法発動には魔力を込めるため、手で行われることが多い。だが、リュウは四足歩行気味のドラゴンであったため、口で魔力を込めて魔法発動が出来るのだ。
火のあまりの大きさに「でかいニャ!?」と目を見開くメイファ。
「・・・それを焼こうとしても無駄。次からまた次と枝が襲いかかる。」
リュウが拘束している枝を焼こうと思ったアイリンはそう警告した。だが、リュウはその本体である巨木に目を向けていた。
「気を付けろ。」
リュウは自らの出したファイアを大きく吸う。
「ニャニャ!?」
「!!!?」
二人の驚きをよそにリュウは巨木に目掛けて強力に吐く。「ファイア+息」でファイアブレスに変貌した。すると円のように丸い修練場が燃え盛る。※観客たちに被害は出ていない。
「ニャニャー!あちぃニャー!!」
「くっ・・・」
メイファとアイリンは炎に包まれ、巨木が燃えた。やがて炎が消えると二人は膝をついて崩れ落ちてた。最後に立っていたのは枝が燃えて拘束が外れたリュウだった。
 ̄ ̄ ̄修練場・観客席 ̄ ̄ ̄ ̄
「つ、強い・・・・」
リーゼが目を見開いてツーっと汗をかく。
「(蜥蜴族と人族のハーフにしては常軌を逸脱する強さ。瞬光の戦乙女は速さに特化したチームとはいえ、あの二人でも傷さえつけられなかった・・・。私でも勝てるかどうか・・・。)」
「ハハハハ、つよぇーな!」
突如、豪華な全身鎧をまとい、大剣を携えて体格も大きく年配ではあるが、ライオンのような縦髪をし、威風堂々な顔つきでセバスチャンと共に登場した。
「お父様!?」
どうやらリーゼの父のようだ。
「お父様、城のお仕事の方は・・・?」
「ハハハ、部下に任せた!」
「サボりでございます。お嬢様。」
セバスチャンが告げ口するかのように言った。すると「お父様!サボってはいけません!」とたしなめるとリーゼの父は豪快に笑い飛ばした。
「ハハハ、それよりもリーゼ!なんでここにいる!?お前の仲間がピンチだぞ!!」
「え・・・でもこれは・・・。」
これはDランク冒険者試験。真剣勝負のため、死ぬ可能性があるとはいえ、メイファとアイリンは生きてる。リュウはこれ以上、手出ししないだろう。
「でもじゃなーい!助けてこい!自らの中にある恐怖に打ち勝て!!夢があるんだろ!!」
父の意味深な激励にハッとするリーゼ。
「(私はリュウに勝てないと思ってしまうところだった・・・。負けてもいいから恐怖だけには負けない!)」
「ありがとう!お父様!!」
観客席からジャンプして飛び立っていくリーゼ。
「旦那様。素晴らしい激励でございます。お嬢様は先程、恐れていたような目をしていましたが、いやはや今はリュウを倒しきらんばかりの勢いある目でした。」
セバスチャンが恭しく微笑んだ。
「ハハハ!我が娘の戦いを見てみたかったのが本音だ!!」
豪快に笑い飛ばしながら観戦する二人だった。
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