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第七十一話 第二章 暴竜編完結

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!


「回復魔法(中級)・エリアヒール!」


 覇竜はダークによって傷を負ったリーゼたちを回復させた。


「何度も私たちを助けて頂き、ありがとうございます。」


 リーゼたちが頭を下げる。


「しかし・・・圧巻だな・・・。」


 ソルが四大竜のうちの三体である覇竜、暴竜、魔竜の巨大さに圧倒される。そこに小型炎竜とスイリューがやってきた。


『おぉ・・・。』


 暴竜がスイリューと対面する。


『水色の体表を持っているな。水竜の血が色濃く受け継いだであろう。』


『おとーさん、痛かったよ!』


 暴竜によってはたかれた部分を手に当てるスイリュー。


『それはすまなかった。名前を付けたかったが、スイリューと名乗っているそうだな。それは覇竜に名付けてもらったのか?』


『違うよ!ここにいるリーゼたちにつけてもらったんだい!!』


『なに・・・。人間だと!?』


 暴竜がリーゼたちを睨み付ける。リーゼたちが「?!」とドラゴン語が理解出来ずに暴竜の殺気の視線により、身の危険を感じた。


『やめなさいよ。』


 魔竜にはたかれる。心なしか「♯」怒りマークがついていた。


『何する!?』


『さっきはよくもやってくれたわねぇ。おかげで身体中、あちこち痛いわ。』


 魔竜は暴竜にやられたことを根に持って、仕返しにはたきまくる。


『いたっいたっ!!』


『もうここには用はないんでしょぉ。さっさと帰りなさいよぉ。』


 魔竜が邪魔とシッシッと手を振る。だけどそれはリーゼたちから離すための行動のようにも思えた。


 暴竜が気難しい表情をする。


『ここにいては魔竜がうるさい。さぁ帰ろう、スイリュー。』


 暴竜は昔からの知り合いで腐れ縁のような関係にある魔竜に苦手意識を持っているようだ。


 暴竜の言葉にスイリューがちょっと考え、翼を羽ばたき、リーゼの頭に乗る。


『ボク、リーゼたちと一緒にいる!!』


『・・・なんだと?』


 暴竜が再びリーゼたちを睨み付けるが、魔竜の視線に深呼吸する。


『人間に何かされたのか?操られているわけではあるまいな?』


『違うよ!!ボクは覇竜たちと一緒にジランド王国で暮らすんだい!!』


『???』


 暴竜が首を傾げる。人化魔法の存在を知らないがためにドラゴンと人間が一緒に暮らす光景を想像出来ないようだ。


 そこに覇竜が口を挟む。


『その話は別の場所にしよう。』


 覇竜がリーゼたちに向き直る。


「では私たちは行く。」


「あ・・・。」


 リーゼがリュウが覇竜に変身し、別れを告げられる夢を思い出す。


「・・・待って!!」


 リーゼが呼び止めて、頭を下げる。そのリーゼの行動に「?」とする覇竜。


「ディモール王国との戦争もこの戦いも人間が引き起こした。本当に申し訳なく思います。」


 リーゼが顔を上げる。


「覇竜様は何故、私たちをお助けになるのですか?」


「・・・私はドラゴンの中でも異端だ。人間が好きだからな。良い人間もいれば悪い人間もいる。そのくらいは理解している。」


 だが、リーゼは覇竜の寛大な心によって救われているだけなのだと理解している。そして見限られる可能性があることも。


「・・・また会えますか?」


「君たち人間が望む限り、また会えるさ。」


 その言葉が覇竜とリーゼたちとの今の関係を現していた。


 覇竜たちが翼を広げ、飛び立つ。


「ありがとうニャー!」


 メイファが思いきり手をブンブン振る。その赤猫尻尾もブンブン振ってた。


「・・・またあとで会いましょ。」


 アイリンが意味深に手を振る。


 リーゼたちの背後に正体を知ってるソル、ポチ、シンがやや頭を抱える。


「・・・リュウにクレア、エンカ、スイリュー。その次が来ても驚かんぞ。絶対に。」


 ソルがブツブツ言うのだった。



◇◇森林奥深く◇◇


『・・・で、どういうことだ?』


 暴竜が覇竜にスイリューの言葉の意味を訊いた。


『まぁ見てなさいよぉ~。覇竜、かけてくれるぅ?』


 覇竜の代わりに魔竜が返事した。


「人化魔法・人間変化!!」


 覇竜が魔竜、小型炎竜に魔法をかけた。すると白い煙が吹き出す。


 魔竜が黒髪ロングウェーブの二つ角付きのグラマーな女性に、小型炎竜がピンクツインテールの二つ角付きロリ少女にそれぞれ変身した。


「人間の名はクレアよ。」


「エンカでーす!!」


 暴竜が驚きのあまりに口をパクパクする。スイリューが『ボクもボクも!!』と騒ぐ。


『お前はまだ小さいから、ドラゴンのほうが都合が良かろう。』


『えー』


 がっくりするスイリュー。最後に覇竜が人化魔法で二つの折れ曲がった角付きのリュウに変身した。


『こういうことだ。私たちは人間に成りすまして、ジランド王国で暮らしているのだ。』


 ようやく理解した暴竜がワナワナ震える。


『覇竜!魔竜!!ドラゴンとしてのプライドはないのか!?』


『この姿のときはクレアと呼びなさい。』


 クレアが続ける。


『私も人間を食料としか見ていなかった。だが、リーゼたち・・・強き人間と戦い、興味を抱いたのよ。そして人間になり、ジランド王国で暮らすと新たな自分を見つけて、楽しんでる私がいるわ。』


『私もカミュという人間と友達になりましたよー!!』


 クレアとエンカに暴竜が『・・・。』と歯軋りする。


『スイリュー!オレは反対だ!帰るぞ!!』


『いやだーいやだー。』


 暴竜とスイリューが口喧嘩をする。


『まぁ、待て。私たちドラゴンは悠久の時を生きる。その一瞬の間でもいいから、人間を学んでみないか。帰るのはそれからでもいいだろう?』


 覇竜が仲裁に入る。


『ルクテシア王国の人間といい、先ほどの黒ずくめの男といい、何百年経とうが、人間の本質はそうそう変わらん!!』


『だったら、スイリューは私たちが面倒見るから帰りなさいよぉ〜。』


 暴竜を追い返そうとするクレア。


『ぐっ・・・スイリューを置いてはいけん。もしスイリューに害をするようなことがあればジランド王国とやらを滅ぼす!!いいな!?』


 暴竜が威嚇を込めて鉤爪でリュウに差した。


『・・・その前に止めるからな。』


 リュウが人化魔法を暴竜にかけた。白い煙が吹き出て、2Mを超す大柄の男に変身した。裸だったので収納魔法から服を取り出し、着て貰った。


『ロックより大きいわねぇ~。』


 クレアが人間に変身した暴竜を見て言った。


『ロック?来ているのか?』


 リュウが驚きの反応を見せた。ロックがジランド王国に来たとき、リュウはリーゼたちと一緒に亡国ルクテシア王国の調査クエストにより、留守にしていたのだった。


『はい!怪我して、ジランド王国のほうにいます!!』


 エンカが答えた。リュウが「そうか。」と頷き、人間姿の暴竜に声をかける。


『人族の言語を覚えるまでは黙っててくれ。あと人名を考えておいてくれ。』


『あぁ。』


『さて、皆。ジランド王国に帰ろう。』


 リュウたちがジランド王国へ歩を進める。



◇◇ジランド王国・正門◇◇


 ジランド王国騎士団、冒険者有志たちが戦後処理のための撤収作業をしていた。その中にリーゼたちがいた。


「やっと落ち着いてきたから、聞くんだけどニャ・・・。」


 メイファがポチに声をかけた。


「リュウはどうしたのニャ?」


「グッ・・・ワン・・・。」


 狼顔のポチが困った表情する。ソルが「(下手なことを言うな!!)」と念を送っていた。


「あとなんでソルたちが飛んで来たのニャ?」


 メイファはリッチとの戦いでソルたちの登場の仕方に首を傾げる。ポチが返答に詰まり、汗だくになり、暑苦しくなる。どうやら誤魔化すのが苦手のようだ。


「そ、それは・・・。」


「ん?」


「リュウが・・・は、は、は」


 その続きは「覇竜」という単語が想像ついたソルが「(馬鹿!それ以上、言うなぁー!!)」と助け舟を出さんと動く。


「メイファ。あれ見て。」


 アイリンが戦争の跡地に向けて指を差した。メイファがその方向に目を向けるとリュウたちが歩いてきていた。


「リュウだニャー!!」


 メイファが駆けるとそれに続き、アイリンも駆ける。その傍ら、ポチが重大な事実暴露をせずにホッとした。


「(・・・アイリンも気付いてるんじゃないか?)」


 ソルはアイリンの行動に違和感を持つが、それをかき消されるように2Mを超す人間姿の暴竜に注目した。


「はぁー、やはりそうなんだろうな・・・。」


「ジランド王国、大丈夫ですかね・・・。」


 ソルとシンがため息をついた。メイファがリュウたちに近づくと驚きの表情をする。


「あれ!?クレアがいるニャ!?地面の中に落っこちたんニャ・・・?」


「自力で這い出したわよぉ~。」


「エンカもいるニャァ!?遠くに投げ飛ばされたはずニャ・・・?」


「走って帰ってきました!!」


 クレアとエンカの言葉に「二人ともすごいニャ・・・。」と真に受けて納得したのだった。


 リュウたちが正門に到着するとリーゼが腕を組んで待ち構えていた。


「何やっていたのよ!?また無茶したんでしょ!!」


「そ、それは・・・。」


 リュウが頭をかく。


「どうせソルたちの言うこと聞かなかったんでしょ。それで突っ走ってやられたんでしょ!!」


 まるでルクテシア王国の跡地でのリッチとの戦いを見てきたかのような言い方にリュウが「え?」とソルたちの方を見る。


 ソルたちが「(言ってない。)」と首を横に振る。


 リーゼがルクテシア王国最強のゾンビ四体のうちの一人として対面していたことにリュウもソルたちも気付いていなかった。


「・・・あなたは生まれ変わりは信じるかしら?」


「・・・ま、まさか、あのゾンビ?」


 そこでリュウはようやくリーゼの前世の姿であったゾンビに思い至った。


「(確かにどことなく雰囲気はあったが、あのゾンビの生まれ変わりなのか?)」


「ふふっ。」


「(・・・あいつの仕業か?)」


 長年生きてきたリュウでさえも不可思議な現象に理解が追いつかなかった。リーゼが和やかな表情になる。


「・・・お帰り。」


「あぁ、ただいま。」


 疑問の残る出来事ではあったが、リュウは疲れてそれどころではなかった。


 リュウたちは夕焼けに染まるジランド王国の正門をくぐる。こうして激しい戦いが終わり、しばらくの間、平穏が訪れるのだった・・・。



◇◇◇◇◇



◇◇リッチ視点◇◇


「ハッ・・・ココハ・・・。」


 覇竜の光魔法によって強制的に昇天させられた骸骨姿リッチは見慣れない場所にて目覚めた。


 何やら花が入り乱れ、花畑と呼ぶにふさわしく天国のような場所であった。


「やっと来ましたね。ここは天界ですよ。」


 リッチの目の前には純白のドラゴンがいた。あまりの神々しさに圧倒され、また違った意味でリッチは恐怖を覚え、後ずさる。


「マ、マサカ、神竜!!神ノ御遣イト言ワレルペット!!」


 これまでに登場した覇竜、魔竜、暴竜、そして四大竜最後の一体が目の前にいるドラゴンである。無論、最強クラスである。


「ペットなどと不本意なことを言いますね。」


「神ハ・・・神ハイルノカ!?」


「あの方は忙しいので私が代わりに。」


「フザケルナ!ルクテシア王国ガ滅ボサレタノハ、神ガ仕組ンダコトダロ!!」


 リッチの憤りに神竜は溜め息ついた。


「とんでもない言いかがりをつけますね。人間の強欲さに蜥蜴族を、水竜を死に追いやったのをお忘れですか。それにより、暴竜を怒らせただけのこと。その報いが返っただけでしょう。」


「神ハ、ソノ方向二行クヨウニ操ッタダロ!!我ラガイル世界二介入デキルコトハ知ッテイル!!」


 神竜は再び溜め息ついた。


「その話は平行線になりそうなので、これ以上は聞きません。では罪状を伝えましょう。」


「罪状ダト!受ケイラレン!!我ガ神二鉄槌ヲ下シテクレルワ!!」


 リッチが神竜に歯向かうように飛びかかる。


「ドラゴン魔法・時間停止。」


「ガッ・・・。」


 リッチは飛びかかる体勢で時が止まったかのように硬直した。


設定プログラムを逸脱するバグに創造神フォルトゥナ様は頭を痛めておられます。」


「バグ?!ナンノコトダ!?」


「あぁ、こちらの話です。」


 神竜はなんでもないと表情を作る。


「では罪状をお伝えしましょう。」


・蜥蜴族大量虐殺罪

→ルクテシア王国の上層部として蜥蜴族の殲滅を主導した。


・禁忌魔法使用罪

→死霊魔法により魂を体に封じ込め、大量のアンデッド魔物を作り出した。


・魔物騒乱罪

→アンデッド魔物を引き連れ、ジランド王国を混乱に陥れた。


 神竜が様々な数々の罪状を読み上げると「ウルサイウルサイ!」大声でめわくリッチ。


 神竜がたまらず耳を塞ぐポーズを取る。


「よって地獄行きが決定されました。」


「受ケイラレン!神ヲ出セ!!」


 神竜は淡々な表情する。


「あの方は忙しいのですよ・・・。」


 その時、花畑の花びらが舞い上がるように入り乱れた。


「騒々しいな。」


 三対の純白の翼を羽ばたき降りる人物。あまりの神々しさに全体像が把握できないほどである。


「創造神フォルトゥナ様。」


「オ前カ!!」


 リッチが神竜の「時間停止」により、動けないにも関わらず、魔法を繰り出そうとしていた。


「死霊魔法・・・ヌッ、魔法ガ発動シナイ!!」


「ここは私の領域だ。いかなる魔法も無力化される。」


「ナラバ、コウダァァァァ!!」


 背骨を巧みに使ったのか、骸骨が射出されるように創造神フォルトゥナに噛みつこうとしていた。


「地獄行きで更生させ、輪廻転生の機会を与えようとしたが、バグとなるともういらんか。」


 創造神フォルトゥナは指をクイッと上にあげた。


「創造神魔法・強制削除デリート


 すると骸骨とその体が一瞬で塵となっていく。


「知っているか。魂が消えたら、その先は無だ。」


 創造神フォルトゥナは仕事は終わったとばかりに神竜に振り向く。


「さて、ダークは?」


「依然と捕捉できませんね。」


「チッ、バグめが。」


「何なら、私がセレスティア世界に降りましょうか?」


「バグを消しても消しても数百年単位で湧いてくる。放っておけ。」


「でも、私の未来視では世界滅亡の線がありますよ?」


「それは覇竜たちの行動次第だ。」


 創造神フォルトゥナと神竜はセレスティア世界全体を眺めるのであった。

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