第六十九話 覇竜VS暴竜
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
積乱雲がグルグル回り、雷が鳴り響き、強風が荒れ狂い、大雨が横殴りのように降る。
その中で覇竜が相対するはダークの手によって操られている暴竜。
「光魔法(上級)・大いなる光!」
覇竜が暴竜に光魔法をかけるも効果がなかった。
「・・・闇魔法で操られてるわけではないな?」
覇竜は隷属の腕輪や「闇魔法(上級)・支配の鎖」によって操られていると考え、効果を無効するため、光魔法をかけたのだった。
『覇竜。ダークによって作られたブラックスライムが暴竜の頭の中に寄生しているらしいのよねぇ~。それをどうかしないと。』
魔竜の助言に「ふむ・・・。」と考える。
「(そこらへんにいる魔物のスライムなら魔法に弱いが・・・。)」
暴竜が先制攻撃に「ドラゴンフレイム!」と火を吐いた。それに対して覇竜はリアクションタイムなしで魔法を繰り出す。
「水魔法(上級)・水柱×3」
覇竜の前に大雨が一瞬にして凝縮されるように集まり、三つの水柱を作って迫り来る火を防いだ。
「!?」
この悪天候が覇竜の得意戦法だと気付く暴竜。
『気付いたな。私のドラゴン魔法・天候操作により、雷、水、風の魔法が強力になるのだ。』
覇竜がまたもやリアクションタイムなしに「雷魔法(上級)・稲妻×3」と暴竜の頭に目掛けて細走りの雷を三本落とした。
「グッ・・・・。」
暴竜が感電したかのように痺れるが、それだけのダメージだった。
「(暴竜の頭の中にいるブラックスライムにダメージが行ってないな・・・。)」
小手調べに魔法を放ったが、ブラックスライムは強靭な防御力を持つ暴竜によって守られているようだ。となると暴竜相手に全力で行かねばこちらがやられる。
そう感じた覇竜が暴竜に告げる。
『お前が相手では本気を出さねばなるまい。では行くぞ!』
暴竜が悪天候を味方にする覇竜に対抗するため、自身もドラゴン魔法を繰り出す。
「ドラゴン魔法・大地操作、地割れ!」
覇竜のいる地面が大きく割れる。
「!?」
覇竜がそのまま落ちる寸前に翼を広げ、飛ぶ。暴竜はその隙を狙い、口にエネルギーを収束する。
「ドラゴンブレス!」
暴竜の口から覇竜に目掛けて、エネルギー弾を放った。覇竜は素早く避ける。そのまま覇竜が反撃に移る。
「水魔法(極大)・水神」
大雨の粒々が鋼鉄並の強度となり、暴竜に降り注いだ。
「ガッ・・・。」
暴竜が体全体に大雨の鋼鉄並の強度の粒々が当たる。地味にダメージを受けているようだ。
暴竜は翼を広げ、鋼鉄弾の嵐から回避するために安全地帯に飛んでいる覇竜に接近する。
「近づくな。地面に這ってろ。風魔法(極大)・風神」
強風が大きな弾となり、ダウンバーストに近い現象が発生し、暴竜を地面に打ち落とした。続けざまに魔法を繰り出す。
「雷魔法(極大)・雷神」
雷が集まり、大きな落雷が全長10M以上ある暴竜を包むかのように落ちた。
「ギャァァァァ!!」
暴竜が悲鳴を上げた。現在のところは覇竜の圧倒的な強さを見せる。
その様子を見ている小型炎竜が興奮していた。
『覇竜様、強いです!!』
『えぇ、覇竜は様々な魔法を持つから、厄介のよねぇ。昔、やり合ったときはまだ弱くて私が勝っちゃったけど、今は負けちゃうわねぇ。』
魔竜が昔を懐かしむかのような表情で覇竜を見つめていた。
◇◇場面転換◇◇
黒いローブを羽織ったダークがやや狼狽えていた。
「馬鹿な・・・。世界最強生物の暴竜が押されているだと!!」
四大竜の中で最強の暴竜との触れ込みはなんだったんだ!と憤っていた。
「ダーク!!」
「!?」
ダークが振り向くとリーゼたちがいた。
「な・・・リッチはどうした!?」
「倒したわ!」
リーゼが剣を構える。
「・・・あの役立たずめ。私の手を煩わせやがって。」
「副騎士団長から話は聞いたわ!暴竜からブラックスライムを取り除きなさい!!」
「やだね。世界最強生物の暴竜を手放すはずがない。」
杖を構えるダーク。ソルがやれやれとすくめる。
「この人数の差でやろうというのかい?降参して、暴竜を解放したほうが身のためと思うがね。」
リーゼたちがダークを囲む。ダーク1人に対し、リーゼたちは6人。
「クックッ・・・。やってみるがいい!」
「皆!やるわ!!」
リーゼたちがダークに襲いかかるのであった。
◇◇場面転換◇◇
暴竜がダメージを負い、自己再生する。
「(雷魔法(極大)・雷神を打ち込んでも、ブラックスライムには届かないのか。)」
覇竜がブラックスライムを取り除くためにあらゆる手段を考える。
『コノヤロォ・・・』
暴竜が怒りからくる反応を見せた。
「ドラゴン魔法・火山創成!!」
暴竜が火山を作り出す。カインズたちのときとは規模が違い、大きな火山であった。
『これはまずいな。』
覇竜には止めようがないほどの火山の規模に焦る。
「ドラゴン魔法・大噴火!!」
火山が大きく噴火した。マグマが大きく噴出し、同時に噴石が飛び散り、巨大な火砕流が流れる。
「ドラゴン魔法・噴石流星群!!」
暴竜が大小問わずに噴石を広範囲に降らした。その範囲は戦場一帯、そしてジランド王国にまで影響を及ぼすほどであった。
「グッ・・・。」
覇竜は数々の噴石を受け、防御体勢に入る。ジランド王国にも多数の噴石が飛んで行った。
◇◇ジランド王国・正門付近◇◇
「空間魔法(極大)・空間遮断!!」
正門の上に立つセバスチャンが汗を垂らしながら、数々の噴石を消し去った。
「まずいですね。数が多すぎます!」
セバスチャンが危機感を露わにする。その上に火砕流まで迫ってきている。
「ジランド王国を守りきれるかどうか・・・。」
正門の前方に陣取っていたジランド王国騎士団と冒険者有志たちが慌てふためいていた。そこに包帯をグルグル巻きにしたカインズと同じく包帯を巻いたラインゴッド騎士団長が後方回復支援のテントから出てきた。
「皆!慌てるんじゃねぇ!!」
カインズが一喝すると冷静になるジランド騎士団と冒険者有志たち。
「土魔法を持ってる者は土壁と空堀を早急に作れー!!」
ラインゴッド騎士団長が指示する。だが、巨大な火砕流に「無理では・・・。」と尻込みする声が上がる。
「アホンダラ!国民を守るためにおめーらがいるんだろ!!時間がねぇ!!」
カインズがまた一喝するとようやく動いた。ラインゴッド騎士団長がカインズにひそひそ話する。
「しかし・・・これはまずいですね。国民たちを北門から避難させましょう。」
「いや、間に合わねぇ。火砕流が速すぎるな。二階三階に垂直避難しろと通達出しておけ。」
「はい。」
ラインゴッド騎士団長が部下たちに指示を出す。
迫り来る巨大な火砕流に悔しさから歯を噛み締めるカインズとラインゴッド騎士団長。
「噴火が止まらない限り、火砕流は止まりません。何か手立ては・・・。」
急遽、土魔法による土壁や空堀を造っているが、広範囲に迫ってくる火砕流を止める手立てとしては有効ではなく、時間稼ぎであった。
「何もねぇ・・・が、強いて言えば覇竜がなんとかしてくれるのを信じるしかねぇ。」
「そうですか・・・。」
「ちっ・・・四大竜同士の戦いの余波でジランド王国が滅ぼされるのはやるせねぇな。」
カインズとラインゴッド騎士団長は覇竜と暴竜の戦いを見ていることしか出来なかった。
◇◇場面転換◇◇
『私の縄張りをよくも・・・。』
空を飛ぶ覇竜がジランド王国に迫る危機に怒りを覚えていた。
『私が守ったげるわよ~。』
魔竜がグググッと暴竜から受けたダメージをこらえて飛ぶ。
『でも私の今の体力じゃ、時間稼ぎしかならないから、早く決着つけて~。』
『あぁ、頼んだ。』
魔竜が小型炎竜とスイリューと共に飛んで、ジランド王国に向かう。
覇竜が向き直ると「!?」と目の前に巨大な噴石とその上に乗る暴竜が現れた。
「くっ!ドラゴンクロー!!」
覇竜が巨大な噴石を砕く。だが、その上にいた暴竜がその隙をつき、「ドラゴンテイル!」と尻尾で覇竜を強く叩きつけ、地上に流れている火砕流に突っ込ませた。
『なかなか熱いな・・・。』
火砕流を浴びながら、覇竜が体勢を整える。上空にいる暴竜が口にエネルギーを収束する。そのエネルギーは今までと比べ物にならないほどのパワーを感じる。
「(真っ向勝負と行こうか!!)」
覇竜も応じるかのように口にエネルギーを貯める。
「真・ドラゴンブレス!!」
暴竜が地上にいる覇竜に極太光線を放つ。
「ドラゴンブレス!!」
覇竜が飛んでいる暴竜に迎え撃つようにエネルギー弾を放つ。
お互いのエネルギー弾の押し合い勝負が始まる。だが、その勝負はすぐ覇竜に分が悪くなっていく。
「(私を上回るドラゴンブレスのようだな。ドラゴンブレスの押し合い真っ向勝負では勝てない。)」
暴竜の力溢れん光線に覇竜は敗北を認める。
『(だが、このままやられるわけにはいかん。)」
火山から流れてくる火砕流を見やる。
「(暴竜の大地操作で地面の下にマグマが活発に流れているはず。私の火魔法で引っ張り出そう。)」
覇竜はドラゴンブレスを放ちながら、それに乗せるように魔法陣を描く。
「火魔法(極大)・火神!!」
覇竜の地面の下から噴火したかのように勢いよくマグマが噴出し、自らのドラゴンブレスに上乗せした。
「火神・ドラゴンブレス!!」
「!?」
暴竜はドラゴンブレス同士で押し勝つ寸前まで行ったところ、次第に押し戻され始めて驚きを見せた。
『すまない。負ける訳には行かないかった。』
火魔法を上乗せしたドラゴンブレスで暴竜を喰うかのように直撃した。
「ギャァァァ!!」
覇竜のドラゴンブレスはマグマが混じっていたため、暴竜はマグマを浴びる。ダメージを受けているようだが、そのマグマを嫌がるように頭を避けた。
「・・・?」
暴竜の不自然な行動に首を捻る覇竜。
「(私の様々な魔法を浴びても耐えた暴竜がマグマを嫌った?暴竜ほどのドラゴンなら耐えられるはず・・・。)」
覇竜がマグマがきっかけで思い出す。
「(人間は生肉を食う習慣はない。焼くことで目に見えない寄生虫などを取り除いていると聞いたな・・・。)」
ブラックスライムは暴竜の頭に寄生している。
「(ブラックスライムを寄生虫だと例えれば、高熱に弱い可能性があるな。そうとわかれば対処方法は見えてきた。)」
覇竜は大噴火に震える火山を見やる。
「ギッ!!」
暴竜が地上にいる覇竜に接近する。接近戦となり、取っ組み合いになる。暴竜のパワーに押される。
『どうやら接近戦では分が悪いようだ。ならば・・・我慢比べと行こうではないか!?」
覇竜が翼を広げ、暴竜を無理矢理に抱きくみ、噴火の真っ最中である火山に向かう。暴竜が覇竜の意図に気付き、暴れるも火山の噴火口に突入した。マグマ溢れる中を潜る覇竜と暴竜。
「ギャォォォス!!」
覇竜は暴れる暴竜を抑えながら、深く深く潜ろうとする。
『暴竜!我慢比べだ!!ドラゴンと言えども長時間は耐えられん!!』
だんだん身体が熱くなっていくのを感じる。暴竜は変わらず暴れながら、脱出しようと試みていた。
『(まだブラックスライムに高熱が届いてないようだな。)』
覇竜が暴竜と共にさらに潜る。マグマの温度が2000度、3000度、4000度と潜れば潜るほど上昇していく。そして5000度に到達したら、暴竜に異変が起きた。頭を抱えて苦しむ。
『効いてきたな!私も熱い!!だが、まだまだ行くぞ!!』
覇竜が暴竜を引っ張り、さらに潜り、7000度に到達する。すると暴竜の耳からサウナばりの汗だらけブラックスライムが出てきた。だが、その瞬間、マグマに焼かれて溶けて行った。それにより、暴竜が正気に戻った。
『ここは・・・・ってあつぅぅっ!!』
暴竜がマグマのあまりの熱さに驚いた。
『熱い!何故、俺はここにいるのだ!?』
暴竜からしたら長い眠りから覚めたら知らない場所にいる感覚であった。
『暴竜。正気に戻ったか。』
『お前は・・・・。』
暴竜は覇竜の姿を認識した同時に全てを悟った表情した。
『いや、おぼろげながら記憶にある。覇竜だな。』
『そうだ。こんなところにもう用はない。上がろう。』
こうして四大竜同士の激しい戦いに決着はついたのだった。
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