第六十六話 亡国ルクテシア王国戦15 リッチの最期
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
「(神メ!!何故、我ラガ同胞ト争ワネバナランノダ!!)」
ジャイアントリッチはリーゼとアイリンをかつての仲間であった姿を思い起こしながら、対峙していた。
ジャイアントリッチ
HP25000/45000
MP4000/12000
「(マズイ!自己再生スキル、死霊魔法・アンデッド合体ノ維持デMPガ尽キテシマウ!!)」
ジャイアントリッチが心の中で焦る。アイリンがジャイアントリッチに向けて杖を構える。
「さぁ・・・覚悟は出来た?」
「(ルルイ・・・。)」
ジャイアントリッチはアイリンの背後に前世の姿がダブって見え、その名を思い起こしたようだ。
「・・・覚悟ダト!!笑止!!」
ジャイアントリッチがアイリンに向けてパンチを繰り出す。
「私のMPをすべて使う。エルフ魔法(上級)・植物拘束!!」
ジャイアントリッチが「ガッ・・・。」とパンチの体勢のまま動かなくなる。
「(ナ、ナンダ!何故、動カナイ!!)」
「それはこういうこと。」
アイリンが杖をちょいちょい操作するとジャイアントリッチの体の内側から無数の植物の枝が出てきた。
「コレハ・・・!?」
ジャイアントリッチがそれを見た瞬間、ソルによって何かを口に突っ込まれたと思い当たった。
「マサカ!」
「アイリンの魔法に必要な植物の種さ。30粒入りの袋を突っ込んでやった。」
空を羽ばたく小型炎竜の両鉤爪に掴まれてるソルがしてやったりと笑う。
アイリンはジャイアントリッチの体内から無数の枝を操作し、体の内側、外側のあらゆる角度から動きを封じ込めようとする。
「ダガ、コノ程度デ・・・。」
ジャイアントリッチが無理矢理に動こうとする。ソルが小型炎竜に「思いきり火を吹けぇー!!」と指示した。
「ニャニャ?そのドラゴンが言うことを聞くわけ・・・」
メイファが首を捻る。
「ドラゴンフレイム!!」
小型炎竜がジャイアントリッチ全体に向けて全力で火を吐いた。
「ニャァ!聞いたのニャー!?」
メイファが吃驚した表情をした。
「グワァァァ!!」
人間姿のエンカとは違い、火力が凄まじい炎を吐いていた。ジャイアントリッチに無数の枝が絡み付ついてることもあり、相乗効果で激しく燃え上がる。
「(マ、マズイ!自己再生ガ枝ヲ邪魔シテ出来ナイ!!)」
燃え盛るジャイアントリッチが激しくのたち回る。ゾンビの集合体といえども火に巻かれ、分離されるかのようにゾンビが次々と焼け落ちていった。どんどん体が小さくなっていく。
「効いてるわ!!」
「もっと火を吐けニャー!!」
リーゼとメイファがのたち回るジャイアントリッチを見上げる。アイリンがジャイアントリッチの体の内側から無数の枝を操作し、小型炎竜が火を吐く。
「(バ、バカナ!暴竜ニ対抗デキルパワーヲ持ツ我ガ・・・。人ノ身ヲ捨テタ我ガ・・・。)」
ジャイアントリッチが脳裏にリュウの言葉を思い出す。
『人間は我ら魔物と違うところは先見性があることだ。例え障害があろうとも様々な角度から乗り越えようと奮闘する。俺という障害すらいずれは乗り越えられよう。俺は人間の行く未来が見てみたいのだ。』
その言葉に憤慨するかのように応える。
「(・・・人間ガ生物ノ頂点ニ立トウトスルノカ!?生物ノ頂点ニ立ツ憎キ暴竜ヲモ超エルノカ!!我ハ人ヲ捨テ、暴竜ヲ倒サント400年費ヤシタ!!認メン・・・認メンゾ!!)」
身体中が燃え盛るジャイアントリッチは無理矢理に拘束されている植物の枝をプチプチ振りほどき、動く。
「ま、まずい!!拘束出来ない!!」
アイリンにより、魔法で抑えつけようとするが、効かないようだった。ジャイアントリッチは火を吐く小型炎竜に向いてパンチを繰り出す。
「ガッ!!」
小型炎竜はまともに受け、両鉤爪の中にいたソルと共に地面に激突した。続けざまにジャイアントリッチがリーゼたちに攻撃を繰り出す。
「悪霊の槍!!」
ジャイアントリッチがアイリンを中心にリーゼ、メイファに目掛けて、十本の悪霊の槍を投げつけた。
「くっ!」
リーゼが前に立ち、剣で捌こうとする。だが、捌ききれずにリーゼ、メイファ、アイリンが裂傷を負い、倒れる。
「ハーッハハハ!」
燃え盛るジャイアントリッチが形勢逆転とばかりに高らかに笑う。リーゼ、メイファ、アイリン、ソル、ポチ、シン、小型炎竜がダウンしていた。
「マダ息ガアルナ!トドメヲ・・。」
そこにリーゼが「くっ・・・。」と剣を使い、立つ。
「マダ立ツカ!何故ダ!?」
ボロボロのリーゼが剣を構える。
「ジランド王国を守るため。そこには私の大切な人が多くいる。そしてリュウたちを迎え入れる大切な場所。」
ジャイアントリッチが暴竜によって滅ぼされたルクテシア王国を思い出す。
「我ハ守レナカッタ!ソノ思イヲ砕イテヤル!!」
ジャイアントリッチがそう叫ぶが、リーゼの目は揺らがない。自らの巨体を前に敗北の目をしていないことに違和感を覚える。
「気付いていないのね?もうその力はないようよ?」
「ナニヲ言ッテ・・・ッ?!」
そこでジャイアントリッチは自らの体の異変に気付いた。そして視線がリーゼに近くなっていることにも。
「縮んだわね。オーガと同等サイズになっているわ。」
全長10Mほどあったジャイアントリッチがリーゼたちとの戦いにより、3Mまで縮んだのであった。
ジャイアントリッチは動揺しながら、自らの体を確認しつつリーゼに向かい合う。
「・・・・ダトシテモ、オ前タチヲ蹴散ラセル!!」
燃え盛るジャイアントリッチが「最強技・死者の咆哮」を出さんために口にエネルギーを収束する。
「皆!力を貸して!!」
リーゼが「究極技・アルテマソード」を出すために仲間に呼び掛ける。その技は魔力を集める技であり、メイファ、アイリン、ソル、ポチ、シンが地面に伏せながらも、魔力をリーゼに渡す。リーゼの剣に魔力が集まり、黒くほとばしる。
「最強技・死者の咆哮!!」
ジャイアントリッチの口から黒い光線が飛び放つ。
「究極技・アルテマソード!!」
リーゼが黒くほとばしった剣を振りかぶる。
お互いの技がぶつかり合うと衝撃音と共に力が拮抗する。
ジャイアントリッチの黒い光線にリーゼが歯を食いしばりながら、黒くほとばしる剣で押し切ろうと踏ん張る。
そのさながら、リーゼの背後にリーゼと瓜二つの女が幽霊ごとく出現した。
「リッチ。」
「オ、オ前ハ、シャーロット!!」
ジャイアントリッチは前世のリーゼを差し、名前を叫んだ。突然の出現に動揺していた。
「もはや魔物に堕ちたお前と話すことなどないわ。リッチの中にいるルクテシア王国の民よ。そんな馬鹿に利用されることはない。目覚めよ。」
「シャーロット!ヤハリ裏切ルノカ!!」
リーゼに瓜二つの幽霊はジャイアントリッチの言葉に振り返ることもせず、再びリーゼの中に消えていった。
その間、お互いの技の応酬はまだ続いていた。
「ヌゥ!!魔力ガ足リン!モット魔力ヲヨコセ!!」
ジャイアントリッチが体内にいるゾンビたちに魔力をよこすように要求する。だが・・・。
「ガッ・・・ナ、ナンダ?!」
逆にジャイアントリッチの体から抜けていくように魔力が奪われていく感覚を覚える。
「ナンダコレハ!!魔力ガ奪ワレル!?イ・・・イヤ!我ガ同胞ノルクテシア国民タチガ魔力ヲアノ小娘ニ渡シテイルダト!?」
アンデッド系魔物と化したルクテシア国民たちがリッチを裏切り、魔力をリーゼに渡しているのだ。どうやらリーゼに瓜二つの幽霊の言葉に応えたようだ。それにより、リーゼの剣に魔力が集まり、さらにパワーが増した。
「シャーロット!シャーロットメガァァァ余計ナコトヲォォォォ!!」
するとジャイアントリッチの体に亀裂が入るかのように体が軋み、崩れる。
「(マ、マズイ!魔力ガ残リ少ナイ!!アンデッド合体維持ガ出来ナイ!!)」
そしてジャイアントリッチの黒い光線は弱まり、その瞬間、リーゼはそれを押し斬った。そのままリーゼの斬撃がジャイアントリッチを斬った。
「バカナ・・・!!」
ジャイアントリッチの体が崩れ、集合体であったゾンビが分解された。その中心から抜け落ちるかのようにボロボロのローブを着た骸骨のリッチが飛び出て、岩を背に倒れる。
「グッ・・・。」
「これで・・・終わりね!リッチ!!」
リーゼがリッチに向けて剣を振りかざす。
「・・・何故、ルクテシア国民ハ我ヲ裏切ッタノダ・・・。」
「ルクテシア国民は疲れたのよ。安らかに休ませるべきよ。」
「ソウカ、我二ツイテクル者ハイナクナッタ・・・。ダガ!」
リッチが歯軋りをする。
「認メン!認メンゾォォォォォ!!」
リッチは最後の力を振り絞り、「死霊魔法・死者反魂!!」と唱えた。すると広範囲に魔法陣が出現し、戦争で死んだ者がアンデッド系魔物として蘇り、さらにジランド王国内でもアンデッド系魔物が出現した。
「リッチ!貴様!!」
「ハーハハハッ!オ前タチノ亡骸ヲ利用シテヤル!!」
◇◇リュウの邸宅◇◇
「剣技・五月雨斬り!!」
リュウの執事ラビットが家の周りに出現したアンデッド系魔物を倒し、家を守っていた。
「どこから出現したのやら。墓地辺りですかな。」
ラビットが次々近付くアンデッド系魔物を斬る。
「ラビットおじさん!大丈夫ですか!?」
家の窓から声をかけるカミュ。
「ほっほっ。これしきのことでやられはせん。お茶でも作って待ちなさい。」
余裕顔のラビット。アンデッド系魔物と戦いながら、ふと小さな気配を感じ、振り向く。
そろりそろりと足音を立てないように歩くスイリューの姿があった。
まるで見つかったら怒られると言わんばかりの行動であった。
「・・・スイリューですかな。どこにいくのやら?戦場はだめですよ?」
水色の体表を持つ50センチの子ドラゴンがギクッとする。
「家にいなさいとクレア様にきつく言われているのでしょう?あなたはまだ力がない。」
『でも・・・。』
スイリューが言葉代わりにシュンとする態度を見せる。ラビットが「・・・見なかったことにしましょう。」と優しく撫でる。
「その代わり見るだけに留めなさい。戦っても死ぬだけですよ。」
スイリューがパッと喜び、颯爽にリーゼたちのいる戦場に飛んで向かうのだった。
◇◇場面転換◇◇
戦争により、死んだジランド王国騎士団や冒険者有志たちがアンデッド系魔物として蘇り、戦場が再び混沌してしまった。
「ハーハハハ!」
「リッチ!お前を倒せば・・・。」
リッチを止めようと剣を向ける。だが、時既に遅し。アンデッド系魔物がリッチを守るかのように横槍を入れたのだった。
「くっ・・・。」
リーゼの周囲にアンデッド系魔物が並んでいた。これではリッチを倒せない。
「サァテ、オ前タチノ魔力ヲヨコセ!!」
リッチの元に集結せんがためにアンデッド系魔物がそろぞろ集まりだす。魔力を回復したら、アンデッド合体により、巨体化するのは目に見えていた。
「ハーハハハ!シャーロット!!形勢逆転ヨ!!」
リッチがリーゼをシャーロットと呼び、高笑いする。
突如、空に魔法陣模様が現れ、戦場を含め、ジランド王国全体が光に包まれる。その光によってアンデッド系魔物が次々と倒れていく。
「・・・ハ!?コレハ光魔法!?」
「リッチ。お前の負けだ。もう逝くがよい。」
覇竜が上空に現れた。
「覇竜様!?」
覇竜の登場に見上げるリーゼたち。
「光魔法(極大)・昇天の光!!」
覇竜はジランド王国全体にアンデッド系魔物に強力な効果がある光魔法をかけた。リッチも含めてだ。
「グワァァァァァ!コノ光魔法ハ覚エガアル!!貴様ハアノ時ノ・・・!!」
リッチが覇竜=人間姿のリュウだと気付いた。リッチは光魔法でやられかけるが、しぶとく耐える。
「我ハ暴竜ヲ倒スマデハヤラレ・・・。」
「いい加減にしなさい!執着しすぎると嫌われるわ!!」
リーゼの言葉を聞いたソル、ポチ、シンがリーゼたちに対しての恋に盲目さながらの指摘にギクッとする。
リーゼはリッチに剣で突き刺すようにとどめを差した。
「ガッ・・・。」
リッチは骸骨が崩れ、白い粉になるのだった。
リーゼが上空にいる覇竜を見上げる。
「回復魔法(中級)・エリアヒール!」
覇竜は怪我していたリーゼたちを回復させる。
「ありがとうございます。助かりました!」
「私は行く。そちらがまずい状況なんでな。」
覇竜が急ぐかのように飛ぶ。
「え?」
リーゼたちが暴竜とカインズたちの戦場を見やる。
そこで目にしたのは生物の頂点に立つ四大竜の暴竜と魔竜が戦っていたのだった・・・。
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