第五十六話 亡国ルクテシア王国戦⑤リュウVSリッチ
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
◇◇亡国ルクテシア王国の跡地◇◇
太陽が傾きかける中、竜人化リュウと骸骨姿で古びたローブを着たリッチが対面する。アンデッド系魔物の集合体のジャイアントゾンビがやられても、なおリッチの背後に不死軍団がまだ2000体以上、待機していた。
「我ガルクテシア国民ヲヨクモヤッテクレタナ!」
憤るリッチにリュウは見下したかのような表情をした。
「お前は元人間だろ。俺は人間の心の機微がよくわからない。お前にも事情があるんだろう。だがな、これだけは言える。ルクテシア国民達を道具に使ってるお前はもはや魔物だ。」
「ダ、ダマレ!オ前ハドラゴンダロ!ナゼ魔物ガ人間ニ成リスマシテイルノダ!!」
リッチは人間を捨て、アンデット系魔物に。対照的にリュウは魔物であるドラゴンから人間になっている。まさに正反対の存在が相対していたのだ。
「あぁ、確かに俺はドラゴンだ。過去に多くの人間を殺したこともある。人間を食料としか見てなかった時代がある。」
リッチの疑念に応えるかのようにリュウは語る。
「昔に強き人間に殺されかけ、そこから人間を学び、やがて人間に興味を持ち、交流を持つようになった。人化魔法で人間になって初めて仲間を持ち、戦友も持った。」
「人間は我ら魔物と違うところは先見性があることだ。例え障害があろうとも様々な角度から乗り越えようと奮闘する。俺という障害すらいずれは乗り越えられよう。俺は人間の行く未来が見てみたいのだ。」
「・・・リッチ。お前は過去に縛られ、暴竜を倒さんと執念を燃やしてるようだが、その先はどうするんだ?」
リュウは逆に魔物になってまで復讐を突き進むリッチに問うのだった。
「・・・我ラハ止マラン!!暴竜ヲ倒スマデハ!!」
憎悪に取り憑かれたかのようにリッチが杖を構える。
「死霊魔法・悪霊の槍!!」
悪霊が凝縮された数本の槍をリュウに向けて放つ。リュウは「ドラゴンスキン(弱体化)」でガードする。
「不死軍団!捕マエロ!」
多くのアンデッド系魔物がリュウに飛びかかり、埋め尽くす。
「光魔法(上級)(弱体化)・大いなる輝き!」
アンデット系魔物の体が崩れ、「アリガトウ、アリガトウ。」と元ルクテシア国民達の言葉と共に浄化される。その中から出る。
「ヌウッ!!」
リッチがしまったという表情した。
「今のを聞いたか?お前にまだ人間の心が残っているなら、ルクテシア国民達を楽にさせてやれ。」
リュウが哀れみの表情を浮かべる。だが、リッチは「フフフハハハハ!!」と骸骨のくぼんだ両目が赤く光り、不気味に笑い出す。
「オ前ハ目ニ見エル物ダケデ判断シテイル!人間ノ本質ヲワカッテイナイ!!」
リッチが宙に浮き、杖を振りかざす。
「我ラノ心ノ底ヲ覗キ見ヨウ等ト笑止!!我ラノ怨恨ヲ思イ知レ!!」
杖から魔法陣が発現すると同時に地面からボコボコと棺が無数に湧き出る。
「死霊魔法・死者反魂!!」
すると棺からゾンビが次々と出てきた。
「な・・・これは!?」
「万ガ一ノストックニ3000体ノミイラヲ埋メテアッタ!!」
どうやらリッチは過去に3000体のルクテシア国民をミイラにさせ、棺にして埋めたようだ。これで控えていた不死軍団2000体と合わせて約5000体の不死軍団が形成された。
「モウオマエ二構ッテイル暇ハナイッ!!」
リュウの前に地面から四体の棺が出現する。
「イデヨッ!ルクテシア王国最強ノ四体!!」
棺から四体のゾンビが現れるのだった。
◇◇ジランド西の関所◇◇
リーゼ達が西の関所に辿り着く。そこに立番で務めていた警備兵達が戻ってきたリーゼ達の人数の少なさに首を傾げる。
「何かあったのか?」
「騎士伯爵貴族カインズ・トランスロッドの第二女リーゼ・トランスロッドの名に置いて命じる!ここは放棄してちょうだい!」
「な、なぜ・・・?」
「アンデッド系魔物の大群が押し寄せてくるわ!あなたたちは道中の村の避難を誘導しなさい!」
「な、それは本当か!!何故、そんなことに!?」
「ディモール王国との戦争時の首謀者であり、指名手配されているダークが動いていると言えばわかるかしら?!」
「ッ!了解した!!」
警備兵達が慌てて、関所に務めているすべての警備兵に伝えに行く。その間、リーゼたちは馬を借りる。
「夜通し行くわ!」
「わかったニャ!!」
リーゼが馬に乗ろうとするが、「うっ・・・。」と急に立ちくらみしたのか馬に体を預けてしまう。
「どうした?リーゼ!?」
アイリンがリーゼの異変に肩に手をかけると「!?」とアイリンにも異変が起き、倒れてしまう。
「ど、どうしたニャァ〜!!」
メイファが二人の異変に訳わからず、オロオロする。
◇◇リーゼ視点◇◇
「(ここは・・・?)」
意識が戻ったリーゼの目の前は真っ暗だった。やたらに腐臭が漂っているような気がする。どこにいるのかわからなかったが、やたらに四角い箱にいるようだと感じる。するとどことなく声が聞こえた。
「イデヨッ!ルクテシア王国最強ノ四体!!」
「(・・・ルクテシア王国?まさかリッチ?)」
目の前の板が外れると竜人化したリュウが対面していた。
「(これは?!)」
リーゼはなんとゾンビの姿となって、棺から出ていた。
「(どういうことなのよ!?なんで私がゾンビになっているのよ?!)」
リーゼの困惑をよそに竜人化リュウとリッチが睨み合う。
「サァ、殺セ!!」
リッチの号令に最強の四体はリュウを倒さんために動く・・・と思いきや、動かなかった。
「(馬鹿言ってんじゃないわよ!!)」
リーゼはリッチの命令に反発し、動かなかった。
ゾンビとなっているリーゼが目を動かすと杖を持った女魔法使いのゾンビらしき姿が認識される。
「(アイリンに似ているわ。)」
さらに目を動かすと大剣を持った鎧姿のゾンビがいた。
「(・・・ラインゴッド騎士団長?どことなく雰囲気はあるわね。)」
最後の一人は包帯ゾンビ。
「(身体中が包帯ぐるぐる巻きされているからよくわからないけれど、セバスチャンのような気もするわね。)」
リッチが「チィッ!!」と歯痒い表情する。
「オ前達マデモガ我ニ抵抗スルノカ!!」
リッチが更なる魔力を込めるとリーゼは深い眠りにつくかのように再び意識を失った。
◇◇◇◇
「ハッ!?」
リーゼが目覚めるとその場所は西の関所であり、メイファの顔があった。
「あ、大丈夫かニャ!!」
リーゼと同じくアイリンも目覚めた。アイリンは目を動かすと状況を瞬時把握した。
「・・・見た?」
アイリンがリーゼに対してそう呟きながら、体を起こす。
「やはりアイリンも?」
「うん。」
リーゼと同様にアイリンもゾンビとなって竜人化リュウとリッチとの戦いを目撃していたようだ。
「二人ともどうしたのニャァ???」
「ゾンビになっていた。」
アイリンの返事にメイファがさらに困惑顔する。
「????」
「道中に説明するわ。」
ジランド王国に向けてリーゼとアイリンが馬に二人乗りでメイファが単独で馬に乗って駆けるのだった。
◇◇亡国ルクテシア王国の跡地◇◇
リュウの目の前にはリッチの手駒である最強の四体がピクリとも動かない。
「そいつらも戦いたくないんだ。わかってやれ。」
リュウはそう言いながらも首を傾げる。
「(妙だ。四人の姿からして心当たりがある。その四人の前世の姿か?)」
最強の四体と呼ばれるゾンビ達の姿はリーゼ達の前世に当たる可能性をリュウは訝しげていた。
「オ前達マデモガ我ニ抵抗スルノカ!!」
リッチが更なる魔力を最強の四体にかけるが、言うことを聞かない。
「モウイイ!アトデ時間ヲカケテ支配スル!!」
リッチが最強の四体を下がらせる。
「我ガ排除シテクレルワ!!我ニ集マレ!死霊魔法・アンデット合体!!」
リッチを中心に5000体が合体し、ジャイアントリッチになる。先ほど倒したジャイアントゾンビと同じく巨大でゾンビのような体をし、顔が巨大な骸骨だ。
「フフフハハハハ!」
ジャイアントリッチが高笑いする。
「さっきのジャイアントゾンビと何が違うんだ?」
リュウが冷めた目つきで訊いた。
「(だが、酒はもう使い尽くした。同じパターンの火魔法攻撃が使えないな。)
先ほどのジャイアントゾンビに有効だった攻撃方法を失ったリュウは元の姿に戻らない限り、倒す手段があまりないのだった。
「操作ノタイムラグガ無クナル!!」
ジャイアントリッチは腕を振りかぶってパンチを繰り出す。
「(さっきよりも早い!!)」
どうやらジャイアントゾンビと違って、操作のタイムラグが無くなったことで素早く動けるようになったようだ。
リュウは迫り来るパンチをジャンプして避けて腕に乗って走ろうとするが、腕からゾンビが這い出して、リュウの足を捕まえる。
「しまっ・・・。」
「悪霊の触手!!」
腕から無数の細巻き状の悪霊がリュウをぐるぐる巻きにして、ジャイアントリッチの口に上げる。
「我ラノ怨念ヲ食ラエ!!最強技・死者の咆哮!!」
口から黒い光線が放たれ、リュウが「ぐわぁぁぁぁー!!」と吹っ飛ぶ。黒い光線が遠くの山にぶつかり、ドゴォォッと衝撃と共に巨大な土煙が上がる。
「コレデ死ンダダロ・・・。」
ジャイアントリッチはリュウを倒したと思い、自らの体を分解して、不死軍団5000体に戻す。元の骸骨姿に戻ったリッチは忌々しいダークの命令通りにジランド王国方面に向かう。
その様子に森林に身を隠していたソルたちが青ざめる。
「おいおい・・・。あれは死んだんじゃないか?」
ソルが焦る。
「まずいであるな。辺りは薄暗くなってきた。早く救出せねば。」
ウルスの言葉に「あ、あぁ!!」とソルたちが同意し、リュウの救出に動くのであった。
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