第五十四話 亡国ルクテシア戦③リュウは人間?それとも・・・。
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
リッチ率いる不死軍団がリュウたちのいるルクテシア王国の跡地に向けて進行している。
「さて、こちらに向かっているアンデット系魔物の大群にどう対抗していくか作戦を立てよう。」
栄光の戦士チームリーダーのソルがまとめ役を務め、亡国ルクテシア王国の跡地を見渡す。身を隠せる場所がなく荒れ地に近い状態であった。
「まともに立ち向かっても押し潰されて終わりでしょう。」
シンが恐怖にガクガクブルブルする。
「時間を稼ぐには軍勢を止めることだが、とりあえずシンの土魔法で深堀を作ろうか。陣地形成をしていこう。」
ソルがシンに指示する。
「わかりました。魔力を使いたくないですが、魔力回復薬を使います。苦いんですよね・・。」
「我輩も土魔法を少々使えるである。」
シンとウルスが土魔法で深堀を作り、その側に簡単な土壁を形成する。
「とりあえずこんなものでしょうか。」
「うん。いいんじゃないか。」
迂回されたら役立たずとなる陣地形成だが、短時間ではやむを得ないだろう。
ウルスが「悪霊対策してないであるか?」とソルに訊く。
「悪霊は魔法でしか消せないし、追い払えないんだろう?」
ソルが?と首を捻る。
「簡易的な十字架を身に付ければ体を乗っ取られないである。そこらへんの木の棒で十字架にするだけでいいである。」
アンデッド系魔物に囲まれている環境で長年暮らしていた蜥蜴族ウルスたちが見つけた対抗策のようだ。
「本当かワン!悪霊に乗っ取られて、メイファに股をやられた痛い記憶があるワン!!」
ポチが早速木の棒で十字架を作り、身に付ける。続いてリュウたちも身に付けた。
リュウが望遠鏡で覗く。宙を浮く骸骨が先頭に立ち、アンデッド系魔物の軍勢を引っ張ってるように見える。
「なぁ。あの骸骨を叩いたら、アンデッド系魔物の軍勢は止まるんじゃないか?」
リュウが望遠鏡で覗きながらソルに訊く。
「おそらくだがな。だが、先ほどの暴竜との戦闘ではあの骸骨が後方で守りをガチガチに固めていた。簡単には行かないだろうね。」
「そうか。」
リュウは宙に浮く骸骨に対して「(あいつが長老ロウの言ってたリッチか?)」とそんなことを思った。
◇◇場面転換◇◇
リーゼが豪腕スキルでパワー増強し、アイリンをお姫様抱っこに抱えながら、メイファと共に山の森林の枝を飛び跳ねるように駆けていた。その上にスイリューが飛んでいた。その方が敵と出会わなくて済むからだ。
「リーゼ、怖い。」
「我慢なさい。私もやりたくはなかったのよ。」
リーゼたちは森林の枝を高速移動するが、一歩間違えれば、地面にまっ逆さまに落ちるだろう。
「メイファを抱えて飛び跳ねる人族のリーゼが獣人族のアタイと同じスピードなんて自信無くすニャ。」
メイファは赤まだら模様の猫足の爪を森林の枝に引っ掻き、飛び跳ねる。猫の獣人族としての生まれついた能力を活かしているはずが、アイリンを抱えてのハンデを背負ったリーゼについて来れている。それがプライドに傷をつけているようだ。
リーゼたちが西のジランド関所までの山の頂上付近の中継点に到達する。
「ここを下れば西のジランド関所ね!!」
リーゼたちが亡国ルクテシア王国方面を振り返る。そこにはアンデッド系魔物の大群が亡国ルクテシア王国の跡地に迫らん勢いで進軍するのを目撃する。
「リュウたち、無茶しないで撤退してくれるといいんだけど・・・。」
「・・・リュウは人間だと思う?」
アイリンの唐突な質問だが、リーゼは面を喰らうこともなく、「アイリンも?」と問い返した。
「リーゼも?」
リュウの正体に疑問を持っていた二人が顔を合わせる。※リーゼはアイリンをお姫様抱っこで抱えている。
「・・・ウルスに蜥蜴族の生態を聞いた。蜥蜴族は水辺や沼地に住み、泳ぎも上手い。だけれどリュウはカナヅチ。おかしいと思わない?」
「人族の血が入ってるからじゃないの?」
「ウルスのいたところは上位竜・水竜を守り神にしていたようだけど、そこの蜥蜴族は誰もドラゴン語を扱えないらしい。」
「・・・。」
黙って聞くリーゼ。
「ウルスから気になることを聞いた。リュウに変身能力があるらしい。それは見たことある?蜥蜴族にそのような能力は備わってないと。」
リーゼの脳裏に夢でリュウが覇竜に変身するところを目撃したのを思い出す。
「(あれは夢・・・じゃない?夢と現実が混ざったような・・・。)」
「リーゼ、私はリュウの正体が・・・。」
リーゼがアイリンの口を塞ぐ。アイリンが「むぐぐっ・・・。」とやや苦しむ表情を見せる。
「リュウはリュウよ。確かに人間としての枠を逸脱するほどの強さだけど、冒険したいだけの年頃の男よ。」
メイファが「早く行かないかニャ。」とリーゼたちに声をかけた。
「リュウから話してくれるのを待ちましょう。それがいいと思わない?」
「・・・わかった。」
リーゼとアイリンはリュウの正体を詮索することはなく、再び森林の枝を飛び跳ねるように駆けていった。
◇◇亡国ルクテシア王国の跡地◇◇
リッチが亡国ルクテシア王国の跡地に深堀と土壁が出来ていることに不審に思い、不死軍団を止める。
「ナゼ我ガルクテシア王国ニコノヨウナモノガ・・・?」
「光魔法(上級)・大いなる輝き!!」
土壁に隠れてるリュウが不死軍団に向けて、光魔法を放った。光が広範囲に差し込み、次々とアンデッド系魔物が浄化される。
「コ、コレハ光魔法!?」
リッチが驚くのをよそに土壁に隠れてるシンが追撃に魔法を繰り出す。
「土魔法(中級)・ロックフォール!」
複数の大小入り混ざった岩石がアンデッド系魔物の上に降って落とし、潰した。
「ヌゥッ!闇魔法(上級)・大いなる闇!!」
リッチが光り輝く光魔法に対し、黒く塗りつぶす闇魔法で相殺した。
「ナニ者ダ!姿ヲ現セ!!」
リッチが杖を振りかざし、「死霊魔法・悪霊の槍!!」と複数の悪霊を数本の槍にし、土壁を壊した。
「おいおい、時間を稼ぐはずがあっという間に土壁を壊されてしまったじゃないか。」
歯をキラッとしながら、剣を構えるソル。
「強度もなかったから、仕方がないである。」
ウルスが槍を構える。
「どのみちやってやるワン!」
ポチが上腕二頭筋をムキムキし、爪を伸ばし、構える。
「あぁ・・・怖いよ・・・。」
シンがビビりながら杖を構える。
「お前がリッチか?」
リュウが宙に浮く古びたローブを着込む骸骨に指を差し、問う。
「イカニモ・・・。」
「ルクテシア国民に死者反魂の魔法をかけて、アンデッド系魔物にしたのは何故だ?」
「・・・。」
リッチは400年前の当時のルクテシア王国を思い出す。ルクテシア王国はとりあらゆる分野で最先端の技術を誇っていた。貨幣システムを作り上げ、世界に広め、ルクテシア王国を中心に世界が回ろうとしていた矢先だった。蜥蜴族の住み処にオリハルコン、ミスリルといったレアな鉱石がある鉱床と判明した。
ルクテシア王国の欲深きな人間は蜥蜴族を追い出さんために軍隊を出した。だが、ルクテシア王国は知らなかった。蜥蜴族は守り神である上位竜・水竜がいたことを。そして暴竜のつがいであることも。
ルクテシア王国の軍隊は水竜を倒したことで暴竜の怒りを買い、ルクテシア王国は暴竜によって滅ぼされた。
当時、リッチは高名な闇の魔法使い。暴竜に最愛の妻を殺され、ルクテシア国民を殺されたことに嘆き、魔法力を上げるために人の身を捨て、魔物となった。
そして死者蘇生を施した。だが、結果はアンデッド系魔物に成り変わるだけだった・・・。
「儂ハ妻ヲ・・・ルクテシア国民タチヲ生キ返ラセタカッタダケダ!ダガ無理ダッタ!!ルクテシア国民タチハ痛ク苦シク暴竜倒シテクレト叫ンデイルンダ!!」
「おいおい・・・。お前がアンデッド系魔物にしたんだろう・・・。」
ソルが冷めた目で言うとリッチが「ダマレ!!」と怒鳴った。そしてリュウに指差す。
「オ前ハ人ノ姿ヲシテイルガ、暴竜ト同ジダロウ!!」
「!?」
リッチは魔物特有の本能でリュウの正体を見抜いたようだ。そのことにやや動揺を見せるリュウ。ウルスを除いてソルたちが「?」と訳わからない表情した。
「憎キ暴竜ト同ジナラバ倒サネバナ・・・。行ケ!!不死軍団!!」
リッチの号令に不死軍団がリュウたちに向けて進軍する。そしてリュウたちも迎撃に動くのだった・・・。
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