第四十七話 いざ亡国のルクテシア王国へ
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
ギルドマスターのフトッチョから西の亡国ルクテシア王国の調査を強制的に命じられたリュウたち。
数日間、旅の準備と鍛練に当て、態勢を整える瞬光の戦乙女チーム。その過程でリュウは強敵の戦いのたびに人化魔法が解ける欠点を改良すべく、魔法陣の設定をいじった。結果としては人間の枠に収まり、なおかつ更なる力を引き出すことに成功した。
そしてクエストの依頼書が発行され、西の関所を通るにはあと一チーム必要なのだが、それは決まった。
◇◇寄り合い馬車内◇◇
リュウたちは二日間かけ、西のジランド関所まで寄り合い馬車で行くのだが、リーゼ、メイファ、アイリンは不機嫌であった。
「アンリ・・・。良かれと思って手配したのでしょうけど、よりによって・・・。」
リーゼがチラッと見やる。そこには栄光の戦士チームのソルたちの姿があった。
イケメン天才剣士ソル・デュミナスを筆頭にウルフ顔のポチ・ウルフナイツ、 エルフ族のシン・カッシーナ。
「ハハハ、僕たちの強さは知ってるじゃないか!」
ソルが歯をキラッとし、高らかに笑う。
「メイファが危険なところに行くなら、ついていく・・・。」
ポチが真剣な表情をする。
「西の亡国ルクテシア王国方面はあまりにも危険。私の魔法が必要になることでしょう。」
シンがビビりながら、杖を握りしめる。
リーゼ、メイファ、アイリンが盛大に溜め息ついた。リュウはリーゼたちとソルたちを交互に見て、首を捻る。
「ソルたちにリーゼたちへの好意があるのはわかるが、何をそんなに嫌がるんだ?」
リーゼたちが一斉に「生理的に受け付けない。」と言葉を発した。
「ハハハ、そんなツンツンなリーゼもいい。」
ソルは意に介さなかったが、ポチとシンはショック受けていたが。
「(人間の心の機微がまだまだわからんな・・・。)」
リーゼたちとソルたちの関係にリュウが訳分からないといった表情をした。
「それよりも今後のことを話し合いましょう。」
リーゼがそう言い、リーダーとして取り仕切る。
「まずクエストの依頼書では西の亡国のルクテシア王国調査。だけれど、そこはアンデッド系魔物の巣窟。調査は名ばかりでリュウの持つ光魔法で排除しろということね。」
「なぜアンデッド系魔物の巣窟になったんだ?」
リュウの質問にソルが答える。
「暴竜にルクテシア王国を滅ぼされて以降、アンデッド系魔物が沸いて出たらしいが、理由は不明。何せ400年も前のことだからね。西の亡国ルクテシア王国方面は冒険者以外、足を踏み入れることはない魔境とも言える場所さ。」
「暴竜・・・。」
「(会ったことはないが、昔に魔竜に近づくなと注意を受けたことがある。好戦的なドラゴンか?)」
「だが、アンデット系魔物を排除できれば、環境資源が手に入り、ジランド王国が潤うのは間違いないだろう。」
ソルの言葉にリーゼが頷く。
「ギルドマスターのフトッチョはそれを独占しようと狙ってるようね。」
「そのために光魔法持ちのリュウを利用するなんて許せないニャ!」
フシャーッとするメイファ。
「アンデット系魔物で気を付けるべきなのは悪霊とゾンビね。」
悪霊は武器が効かず、魔法で追い払わないと体を乗っ取られる。仮に体を乗っ取られても一発痛いのを食らわせば、出ていくとのことだ。
ゾンビは首をはねない限り、動き続ける。特に騎士や冒険者の出で立ちをしたゾンビは強いこともあるそうだ。
骸骨姿のスケルトンボーンもいるが、骨が脆いので気にしなくていいとのことだ。
「お父様が以前に亡国のルクテシア王国へ行ったことがあるわ。だけど、アンデット系魔物の数の多さに手に負えなかったそうよ。そこで光魔法ってわけね。」
「わかった。」
リュウは自分の役目を理解した。
「アンデッド系魔物に気をつけるのはいいですが、暴竜の存在を忘れてはなりませんよ。」
シンが恐怖心満ちた表情しながら、警戒を促す。
「住処を把握すれば大丈夫。」
アイリンが暴竜に対しては住処を把握し、近づけなければいいとの話に全員が頷いた。
こうしてリュウたちはアンデット系魔物に対して連携を話し合う。そして二日間かけて、西のジランド関所に辿り着いた。寄り合い馬車を降りるリュウたち。そこの関所に駐在しているジランド王国騎士団の騎士がリュウたちを見るなりに寄ってくる。
「ここを通るのか?」
「えぇ、そうよ。」
「身分証を出してくれ。Bランク以上の冒険者が二チーム以上でないと通れないからな。」
全員分の身分証を確認する兵士。
「よし、通れ。ただし、向こうで何かあっても助けに行けん。」
兵士の念押しに頷き、関所を徒歩で通るリーゼたち。そこは草木がボウボウ立ち、整備がなされていない山道が続いていた。
「この山を超えれば亡国のルクテシア王国の跡地があるはずよ。」
リュウたちがそこを目指し、歩くと早速、ゾンビに遭遇する。グロステクな顔で体にウジ虫が沸いていた。
「キモいニャ!」
「おぇっ。」
メイファとアイリンが気持ち悪そうな表情をした。
「一体だけね・・・。」
リーゼが冷静に剣を構える。「神速剣!」と素早くゾンビの首をはねる。ゾンビは倒れ、動かなくなる。
「こんなものね。しかし、匂いがつくのは困りものね。」
リーゼがゾンビの体液が付着した自らの剣を眺め、匂いがあるのか少々嫌悪な表情する。
「さぁ、行きましょう。」
リュウたちは整備がなされていない山道をしばらく歩くと前方の地面から三十体もののゾンビが現れた。
「これはこれは熱い歓迎だな。」
ソルの言葉に全員が各々に構える。
三十体もののゾンビが「あーぅーあーぅー。」と群がって襲いかかってくる。
「肩慣らし・・・にしては多いか。」
「アイリン、シンは後方に!リュウは私の指示で光魔法を使ってちょうだい!まずは数を減らすわ!!ソル、いくわよ!」
「おう!」
リーゼとソルが剣を振りかぶる。
「剣技・衝撃一閃×2!!」
二つの剣圧が合体し、大きな剣圧となり、集団のゾンビをバラバラにさせた。
メイファとポチが爪を伸ばし、魔力を込める。
「新技ニャ!魔爪裂空斬!!」
メイファが離れたところから、両手を振りかぶり、縦長の鋭利な斬撃が複数のゾンビを切り刻む。
「獣王狼爪!!」
ポチは上腕二頭筋をムキッとしながら、ゾンビの首をはねるが、気持ち悪い感触と共に爪に腐臭がつき、おぇっと顔を歪む。
「バカ。ゾンビにそんなことしたら、腐臭がつくに決まってるニャ。あ、近寄るな。シッシッ。」
メイファの言葉に涙目になるポチ。アイリンが足元にボウボウ生えてる草に魔力を流す。
「エルフ魔法(中級)・草原拘束!」
草が伸び、複数のゾンビの足を捕まえる。シンはビビりながらも「土魔法(中級)・ロックフォール!」で細かな岩を物量的に多く落とし、ゾンビを潰した。
見事な連携でリュウは感嘆しながらリーゼの指示待ちで静観していた。ゾンビを半分に減らしたら、リーゼが「光魔法を使っていいわ!」と合図が来た。
「光魔法(上級)(弱体化)・大いなる輝き!」
光が広範囲に差し込む否やすべてのゾンビの体が崩れていく。すると魂が出てきた。
「え?ゾンビに魂?」
リーゼたちが驚き、魂はそのまま天に昇っていく様子を眺める。リュウがそんなリーゼたちの様子に不思議そうに尋ねる。
「ゾンビに魂があるのはおかしいことか?」
「ゾンビは魔力を持つ寄生虫が死者の体を使い、操る魔物のはずだったんだけれどね。そもそも光魔法で浄化するのは初めて見ることだし・・・。」
リーゼがうーんと唸る。
「誰かにゾンビにされた・・・わけないかニャ。」
メイファの何気ない一言にアイリンとシンが反応した。
「まさか禁じられし魔法・死者反魂?」
「バカな!ゾンビ三十体いたんだぞ!全員が死者反魂によって蘇生させられたのか!?ありえない!!」
リーゼが 「どういうことよ?」とアイリンとシンに問う。アイリンが答える。
「文献だけの話になる。昔に最愛の人を蘇らせるために死者蘇生の魔法の研究をしていた人がいた。結果は蘇りはしたが、それは人ではなかった。」
アイリンはチラッとゾンビの残骸を見る。
「死者に魂を封じ込めて蘇生したら、このようなアンデット系になる。死者反魂の魔法なら、さきほどの現象に納得がいく。」
「その話が事実なら、死者反魂の魔法をかけた者がいるってことにならないか?」
ソルが肩をすくめる。
「いたとしても誰なんですか!?死者反魂の魔法使うのに膨大な魔力が必要なんですよ!?」
シンが恐怖のあまりに叫んだ。
「死者反魂は闇魔法に位置する。」
アイリンがそう言うと全員が全員思い当たる人物がいた。
「まさかダーク?」
リュウがリーゼたちに訊いた。
「それはないわね。ここに住むアンデット系魔物は400年前からいたのよ。死者反魂をかけた者は今も生きているのか怪しいわね。」
暗中模索するリーゼたちだが、考えてもラチが明かないと感じた。
「・・・この件は保留ね。この先を進みましょう。何かわかるかもしれないわ。」
「(死者反魂か・・・。かけた者は何を思っていたんだろうな?)」
蠢く闇に潜入するかのようにリュウたちは亡国ルクテシア王国の跡地を目指し、山を登るのであった。
◇◇亡国ルクテシア王国の跡地◇◇
「ハハハハ!」
古びたローブを着て、宙に浮く骸骨が高らかに笑っていた。
「ダークノ魔物ヲ操ル技術ノオカゲデ我ガ国民タチガマトマッタ!!」
骸骨の見る先には多くのゾンビ、悪霊、スケルトンボーンが整列に並んでいた。
「コレデ我ガ悲願ガ成就サレル!憎キ暴竜ヲ成敗シテクレルワ!!」
骸骨の両目の部分のくぼんだ穴に赤い光が怪しく光った。その背後に闇魔法で身体中に黒いもやを纏うダークがいた。
「(こいつを支配できれば、不死軍団を手に入れたも同然だ。)」
ダークがクックッと怪しく笑いながら、闇に消えたのだった。
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