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第四十話 騎士貴族学校②

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!

◇◇剣術の授業◇◇


「いーちにーさーん。」


 リュウは生徒たちに混じって、木剣を振っていた。


「そこまで。」


 ソルの声に木剣振りを止める。


「僕たち人間は強大な敵や魔物に対抗すべくスキルと魔法がある。だが、そのどちらも鍛錬しないと伸ばせない。例えばこんな木剣でも僕の剣技にかかれば・・・。」


 ソルが人と同じ背丈の大岩を木剣で割る。子供たちの「おぉぉー」と驚きの声が上がる。


「(岩を割るだけなら俺にだって出来るはずだ。)」


 力に自信のあるリュウの考えを読んだのかソルが木剣を渡す。


「リュウ、やってみるかい?」


「おう。」


 リュウが木剣を力一杯に振ると大岩は割れずに逆に木剣が折れてしまった。


「何・・・。」


「と、いうわけさ。力任せにやってもこうなる。スキルを磨くために鍛錬の大切さを覚えておいてほしい。」


 ソルがドヤ顔しながら、リュウを見やる。


「(さては俺を引き立て役に使ったな。この野郎。)」


 だが、ソルの剣技は紛れもなく本物だ。


「さぁ、木剣を振ったことで体は暖まったことだろう。実戦形式で試合しよう。」


 ルールに沿った実戦形式で相手の体に木剣が当たれば勝ちという試合である。勝ち抜き戦で連勝がストップするまで相手が順番に入れ替わる。


「さぁやるか!」


 リュウが意気込んだのはいいが、あっさり一本取られ、負ける。


「も、もう一度だ!!」


 同じくまた負ける。


「ぐぬぬぬ・・・。」


 剣術の試合とはいえ、Cランク冒険者であるリュウの無様な敗北に子供たちがヒソヒソ話する。


「戦争に行った人だよね。動きが鈍いよね。」


「手柄を立てたのは光魔法があったからじゃないの?」


「光魔法を持っているだけで貴族になったのか。」


 そんな声が聞こえてくる。


「(僕に勝ったリュウがそんな姿を晒すな。やれやれ。)」


 見かねたソルがリュウに声をかける。


「リュウ、受け身が癖になってるな。隙だらけだ。」


「(そういえばリーゼも同じことを言っていた。)」


 ドラゴン時代の防御力の高さから来る自信が今や受け身癖になっている。おまけに木剣の構え方もなってないから、相手からしたら隙だらけと見てとれるんだろう。


「一本入れれば勝ちというルールがあるんだ。命を懸けるやり取りじゃないから、皆の考えることは先手必勝さ。」


「よし、わかった。」


 リュウはソルのアドバイスを聞き入れるとようやく一本取れた。そこからリュウは怒涛の連戦連勝を続ける。


「な、なんだ?動きが変わったぞ?」


「カモだと思っていたのに。」


 リュウを見下していた子供たちの評価ががらりと変わる。 騎士貴族の子供が相手とはいえ、動きはまだまだな分、リュウの方が強かったのである。


「(不慣れな剣術の試合とはいえ、それくらいは出来て当たり前だろうな。)」


 ソルがリュウの連戦連勝に胸を撫で下ろし、次の相手を見やる。


「(だが、次の相手は手強いぞ。)」


「次は俺だ。」


 その相手はリーゼの弟のカイルであった。


「連戦連勝で調子に乗っているようだから、鼻を折らせるぜ。」


「カイルか。俺を足蹴にしたことは根に持っているからな。」


「へっ!」


 試合が始まり、リュウとカイルの木剣が打ち合う。


「親父もリーゼ姉さんもお前を気にかけていてムカつくんだよ!!」


「(俺を目の敵にしているのはそれが理由だとしたら、八つ当たりかよ?!)」


 なんてとばっちりな理由だが、それよりも木剣の打ち合いでカイルが手強いと感じた。さすがカインズを父に持つだけあって、それなりの剣の腕だった。


「剣技・五月雨斬り!」


「くっ!!」


 とこどころかするが、全てを捌き切った。次はリュウの攻撃ターンと木剣を大振りする。だが、その行動は剣術の未熟から来るものでカイルに大きな隙を見せることになる。


「剣技・柄払い!!」


 カイルが狙いをすましたようにリュウの剣の柄を当てる。


「げっ!!」


 剣がすっぽ抜けて、グルグルと空を舞う。その間、無防備になるリュウにカイルが嘲笑う。


「はーははは!死ねぇぇぇ!剣技・一刀両断!!」


 見るからにソルと同じように大岩をも砕ける一撃がリュウの頭を襲う。カイルは不慮の事故と見せかけて殺す気満々であった。


「(これはこの身体で受けると痛いやつだ!!)」


 常人なら頭が砕けるであろう一撃にリュウにとっては痛いものだと判断した。※覇竜の姿であれば、ノーダメージ。


「木剣木刃取り!!」


 真剣白刃取りならぬ木剣木刃取りでカイルの木剣を受け止めた。


「ちぃっ!」


「その木剣を貰うぞ!!」


 カイルの木剣を奪い、自分の物にする。同時にカイルは空に舞ったリュウの木剣をキャッチし、お互いの木剣を交換した形になって身構える。


「やるじゃねぇか!!」


「そっちこそな!」


 二人は白熱していた。木剣の打ち合いは実力伯仲のまま続き、最後は相打ちになるのであった。


「そこまで。引き分けだな。」


 ソルがストップをかけると二人は息切れしていた。


「くっ、勝って、吠え面をかかせようと思っていたのに!」


 カイルが悔しげに。


「俺もだ。だが、そういうのは忘れるくらいに良い試合だったな。」


 リュウがストレス発散できましたとばかりに晴れやかな表情であった。授業続きで鬱憤が溜まっていたのだろう。


「・・・・けっ。俺はお前を認めたわけじゃねーからな。」


 照れ臭そうにプイッと顔を背けるカイル。おそらく根はいい奴なんだろうと感じるリュウであった。剣術の試合を経て二人の仲が縮まったようである。そんなリュウの背後に影が差す。


「リュウ、仲良くなって何よりね。やはり男子は喧嘩すれば仲良くなるのね。」


「げっ、リーゼ。」


 リュウの背後から肩を掴むリーゼに驚く。


キーンコーンカーン


 授業終了の鐘が鳴る。


「さぁ、次の授業行くわよ。」


「い、嫌だぁぁぁぁぁぁ・・・・。」


 カイルに見送られ、リーゼによって引きずられるリュウであった。


◇◇◇◇


 数日間、リュウは社交ダンスの授業、食事の作法、地理など騎士貴族必須の授業を受け、頭がパンク状態であった。


「次の歴史の授業で最後よ。」


「本当か!」


 これで学校に来なくていいのかと思うと身が入るリュウ。リーゼに連れられ、歴史の授業を受けるために教室に入る。


「キヒヒヒ、待っていましたよ。」


 何やら根暗な学者である。頬がこけ、黒髪の毛はボサボサ状態。白衣を着て、いかにも学者という雰囲気を出しているが、怪しい人物にしか見えない。


「この方は国政貴族のネクラ・ホオコケさんよ。歴史や考古学の先生ね。」


「ヒヒヒ、愛国心を養うためにジランド王国の建国過程から説明すればよろしいですね。」


「えぇ、お願いね。」


「そこに座りなさいヒヒヒヒ。」


 マンツーマンでの授業になる。「キヒヒ」と時折呟くネクラの陰気な口癖が耳障りだと感じるリュウであった。


「ジランド王国が建国されたのは400年前だね。当時、Sランク冒険者のジランド様が覇竜に戦いを挑んで敗れたが、その心に思いやりを植え付け、国を興したと言われているねぇ。無論、初代国王はジランド様だねぇキヒヒ。」


 第四話にてリーゼと同じ話を繰り返し聞かされる。


「(それは曲解されてるっつーの。)」


 当時からいたリュウ(覇竜)は心の中で否定していた。ネクラの話は続く。


「だが、それは建前だねぇキヒヒ。」


「(おぉ?)」


「私は歴史を調べるのが好きでねぇ。キヒヒヒ。」


 ネクラは怪しげな笑みを浮かべる。


「(さすが歴史学者。何かわかっているのか?)」


 嘘の歴史を教えられると眠くなりそうだったが、そんなことはないようだ。


「この国は覇竜を崇めるように誘導されているんじゃないかと思っているんだよねぇキヒヒ。」


「(お、なんかわかっているっぽいな。)」


 リュウが身を乗り出す。この国はやたらに覇竜を信仰している節がある。その理由が垣間見えるのかと期待する。だが、リーゼがストップをかける。


「ネクラ。曲解された歴史は教えないで欲しいのだけれど。」


「キヒヒヒヒ。今教えているのが曲解された歴史だとしてもですかな。」


「あなたの提唱する説はいらないわよ?どうしてもというなら証拠を出しなさい。そして歴史学者を集めて、歴史を見直しなさい。」


「残念キヒヒ。」


 リーゼの注意にネクラが肩をすくめる。


「今の話は忘れて頂戴。」


「いや、聞かせてくれ。」


「リュウ、ネクラさんの与太話よ?」


「それでもいいさ。」


 ネクラが弾けるように喜び、マシンガントークごとく話し出す。


「えぇ、私の提唱する説ではジランド王国の前身がワルーイ王国の名称であり、その国を覇竜が滅ぼした。その国をジランド様が乗っ取ったのではないか。えぇ、魔物を使ったクーデターの見方もありますねぇ。それだとジランド様は国賊ということになるんですよねぇ。ジランド様国賊説という名称はどうですかね?あぁ、ジランド様が覇竜と手を組んだ可能性というのはありますかねぇ。だから覇竜を神格化しているんじゃないかキヒヒ。となると初代国王ジランド様の血が流れているランドルフ王様は国賊の血筋ですかねぇキヒヒ。どうですか。面白い説でしょう?」


「・・・・。」


 リュウが苛立ったかのような表情していた。


「証拠は?それに覇竜様に事実確認を取ればわかることでしょう?」


 リーゼが冷たい視線を浴びせながら、指摘する。


「いえいえ、怒らせたら殺されるでしょう?キヒヒ。喋れるドラゴンといえども魔物。怖いですよキヒヒ。」


「(目の前にいる。そりゃ、食い殺したい気分さ。)」


 ネクラは飄々しながら躱していたが、まさか当人が聞いているとは思うまい。同時にリュウは物思いに耽る。


「(ジランド王国の前身であるワルーイ王国の悪政に苦しんでいた国民たちを助けたのがジランドだ。だが、国賊と強いて言うなら、もう一人の存在が隠されているようだな。もう一人の存在と共にその証拠を見つけたら、ランドルフ王が大変なことになるのか?)」


 万が一、ネクラが国賊の証拠を提示されたら、国の基盤を揺るがすことになるのかビジョンがイマイチはっきりしないリュウであった。


「喋るだけ喋って気が済んだでしょ。真面目に授業なさい。」


「キヒヒ。わかりましたよ。」


 ネクラがリーゼに言われた通りに授業に戻る。


「初代国王ジランド様は種族差別なき国家を目指し、当時は種族排斥法というのがあちこちありましてねぇ。それを撤廃したんですよ。素晴らしいでしょキヒヒ。それだけではなく・・・。」


 初代国王ジランドの数々の実績を挙げ、今のジランド王国があるのは初代国王ジランド様のおかげとまとめた。


キーンコーンカーン


「終わったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 リュウが思わずガッツポーズする。


「お疲れ様。あとは卒業試験ね。」


「(なぬっ!?)」


 寝耳に水とばかりにリーゼに振り向く。


「卒業試験とは?」


「騎士貴族は前線で戦うことがメインだから、ダンジョンをクリアすることで卒業資格が得られるわね。」


 リュウはダンジョンと聞き、目に期待感が宿る。


「(巨体なドラゴンの身ではダンジョンに立ち入ることが出来なかったから、どんなところか気になっていた。)」


 リュウは今までダンジョンに入ったことがなく、ダンジョンという未知の世界に胸が高鳴るのであった・・・。

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