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第三話釈放される

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けていると思いますが、よろしくお願いします。


「人間ってめんどくせぇ・・・・。」


リュウは鉄格子のある部屋もとい牢屋に入れられて、やさぐれていたのだった。無意識に使った銀貨が偽物と言われ、偽貨幣使用の犯罪を犯したと認定されたのだ。


「(冒険者になりたいのにどうしてこうなった?)」


リュウはふて寝する。


そもそもリュウの持っていた貨幣はドラゴンのときに冒険者を食い殺して手に入れたものだ。だが、その貨幣は年代がバラバラで、今回の出した銀貨は400年前の貨幣だったことに気づいてなかったのだった・・・。



 ̄ ̄ジランド王国城下町・正門 ̄ ̄


リーゼの乗った馬車が着いていた。


「お嬢様、お着きになりました。」


白髪オールバックのダンディー執事がそう声かけるとリーゼは馬車から降りて、正門で警備している兵に声をかける。


「あとから護衛が捕らえた盗賊を連れてくるわ。あとは任せる。」


「はい!」


「あ、そうそう。角付きのリュウという方は通られました?」


「あー角付きですね。その方は牢屋にいます。」


リーゼは「は?」とピタリと動きを止める。


「偽貨幣使用の疑いで勾留となっています」


警備兵がそう続けた。冒険者になる予定と言った者がたった数時間の間で犯罪を犯し、牢屋に入れられていることにリーゼが考えるように腕を組む。


「セバスチャン、どう思う?リュウは犯罪を犯す気満々には見えなかったのだけれど。」


背後にいた白髪ダンディー執事ことセバスチャンに意見を訊いた。


「では私が鑑定魔法でお調べいたしましょうか?」


「お願いね。どうもリュウはほっとけないのよね。」


リーゼたちは騎士団長のもとに向かう。



 ̄ ̄ ̄リュウの牢屋 ̄ ̄ ̄


ふて寝するリュウがピクリと反応した。「気配探知(弱体化)」のスキルで何者かが来るのを捉えたのだ。カツカツと足音が鳴り、リュウの牢屋で止まる。鉄格子ごしで対面するとそこはリーゼだった。


「あなた、会ったその数時間後に牢屋に入れられているとは予想外よ。冒険者じゃなくて犯罪者になりたかったの?」


「俺も訳わかんない・・・。」


「ふふふっ、今開けるわ。」


「え!?」


鉄格子のドアが開いた。


「釈放よ。あなたの身分保証人になった私に感謝なさい。」


理解が追いついてないリュウをよそにリーゼは軽く微笑む。


そしてリュウはリーゼに連れられて、騎士団長の部屋に入る。そこには椅子に座っているラインゴッド騎士団長と姿勢良く立っているセバスチャンがいた。


「リュウ、君は条件付きで釈放だ。セバスチャン、説明お願いいたす!」


「ハッ。」


セバスチャンは銀貨を手に取ってリュウに見せる。


「結果から言うと今回使用された銀貨は現在流通されていない貨幣で偽物ではございません。使えませんがね。」


「これはルクテシア貨幣と言って400年前のものです。さらにリュウ様の持っていた貨幣をすべて鑑定魔法で調べました。年代がバラバラの貨幣が多く、特筆すべきなのは400年前のルクテシアの金貨、銀貨、銅貨でございます。」


「これらは昔の西の国のルクテシアという王国が世界で初めて物々交換の代わりに貨幣システムを導入したときに流通された貨幣なのです。ですが、西の山に陣取る暴竜にルクテシア王国は滅ぼされ、ルクテシア貨幣はコレクターの間でしか所持されていないものなのです。」


セバスチャンは一旦ルクテシア銀貨を置いて、別の貨幣を見せる。


「現在の貨幣は北の大陸のセイクリッド王国の貨幣が世界で共通貨幣となってございます。セイクリッド王国の図柄が彫られています。」


「なるほど。」


貨幣の種類を理解し、頷くリュウ。そしてセバスチャンはリュウの持っていた数十枚の貨幣が置かれているところを両手の平で指し示す。


「ここから本題です。条件付き釈放とは流通されていない貨幣のすべての押収を条件に釈放ということです。」


「使えない貨幣はいらないから釈放してくれ。」


リュウはばっさり切り捨てる。ラインゴッド騎士団長が目を開く。リーゼはくすくすと笑う。周りの多種多様な反応に訝しげになる。


「なぜ・・・とはお聞きになりませんか?」


セバスチャンは冷静に意味深に問う。


「??お前らの考えることはわからん。俺は冒険者になるために来たんだ!こんなことでつまずいていられるか!」


面倒ごとは御免だとばかりにいきりたつリュウ。


「・・・使える貨幣は返す。それと滞在許可証だ。持っていけ。」


ラインゴッド騎士団長がそう言いながら、使用可能の貨幣と滞在許可証をリュウに手渡した。


「私が冒険ギルドに案内するわ。セバスチャン、この件の処理任せるわ。」


「ハッ!」


騎士団長の部屋をあとにしたリュウとリーゼ。


ラインゴッド騎士団長とセバスチャンが残される。ラインゴッド騎士団長は顎髭をポリポリとさわる。


「あやつはルクテシア貨幣の価値をわかっとらんかったな・・・。コレクター相手に高く売れるとは気付かなかったな・・・。」


「ホッホッ、お嬢様の言うとおりでしたな。」



 ̄ ̄ ̄回想 ̄ ̄ ̄


「セバスチャンの鑑定魔法で偽貨幣でないことはわかったはずよ?処分は罰金のみの釈放で十分でしょ?」


「リーゼ様!ルクテシア貨幣やその他の年代物貨幣を数十枚も持っていて怪しいです!それにあやつはなにか得体知れないものが・・・」


ラインゴッド騎士団長とリーゼがもめる。その間に割って「私に一案がございます。」とセバスチャン。


「流通されてない貨幣を押収、そしてコレクター相手に高く売却し、軍備資金に回すのはいかがでしょうか?さらにお嬢様がリュウ様の身元保証人となるのです。この条件で釈放はどうでしょう?」


「バカな!やすやすとルクテシア貨幣を手放す馬鹿なんて・・・。」


「いいわね。リュウは金に執着しないと思うし、それでいきましょう。」


「待たれ・・・リーゼ様ぁ!」


話は終わっていないといわんばかりに騒ぐラインゴッド騎士団長をよそにリーゼは牢屋の鍵束を持ってリュウのもとに向かう。


 ̄ ̄ ̄回想終了 ̄ ̄ ̄


「・・・水晶玉の点滅は勘違いとは言え、偽貨幣を所持していたからだと思っていたが・・・違うのかもしれん。」


「違う・・・とは?」


「水晶玉の最大限の警告かもしれん。」


ラインゴッド騎士団長はリュウに初めて会った瞬間の戦慄さを思い出しながら、顔を険しくセバスチャンに尋ねる。


「そもそもリュウは人間か?元Sランク冒険者で鑑定魔法持ちのセバスチャンならわかるんじゃないか?」


どうやらセバスチャンは元Sランク冒険者のようだ。盗賊出現の際も動揺しなかったのは実力者だったからのようだ。


「・・・あの御方は人間です。私たちは見守るのみです。」


セバスチャンは正体をつかんでいるかのような返事を済ました表情で返した。


「・・・・」


二人の間に静寂な時間が流れる。ラインゴッド騎士団長は無理矢理に聞こうにもセバスチャンが実力者のため、聞けないでいるようだ。


「けっ・・・責任は持たねぇ!!」


ラインゴッド騎士団長は唾をはく勢いで言ったのだった・・・。こうしてリュウはなんとか釈放されて、改めてジランド王国に入るのであった。

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