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第三十四話 打ち上げパーティーとランク昇格

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!

 覇竜は人化魔法で人間の姿のリュウになり、ジランド王国でリーゼたちと共に冒険者活動をする。そこで覇権統一を掲げて世界征服を企むディモール王国が魔物と奴隷を使い、ジランド王国に向けて進出を開始した。それに対し、ジランド王国は奴隷解放を大義名分に応戦することとなる。その争いに乗じて、生物の頂点に立つ四大竜の魔竜と小型炎竜が乗り込んできた。


 リュウが魔竜たちを止めるべく説得を試みるが、戦いになる。だが、人間のままでは敗れることになってしまう。リュウが死んだと思ったリーゼたちは魔竜を相手に奮闘するも敗れる。リーゼたちの窮地にリュウの元の姿である覇竜が助けに入り、改めて魔竜と対面する。覇竜は戦いになるかと身構えていたが、魔竜はリーゼたちに思う部分もあったのか、降参する。


 覇竜たちの手助けにより、ジランド王国とディモール王国との戦争は終結に進んだ。こうしてジランド王国にて凱旋式が執り行われる運びになり、街中はお祝いムードであった。


「ジランド王国勝利にかんぱーい!!」


 冒険ギルドの食堂にて戦争に従事した冒険者有志たちが打ち上げパーティーをしていた。ワイワイガヤガヤと喧騒を立てながら、勝利の美酒を味わっていた。その中にアンリ受付嬢が涙垂らしながら、リーゼに抱きつく。


「魔竜と戦って、よく生きて帰ってきたわね!!」


「あなたのお守りのおかげで生きて帰って来られた。ありがとうね。」


「うぇーん。」


 リーゼが泣いているアンリ受付嬢の背中をポンポン叩く。空気の読める者ならそっとしておくであろう場に空気の読めないリュウが真剣な表情でアンリ声をかける。


「すまん。リーゼたちを守る約束を破ってしまった。針千本は勘弁してくれないか・・・?」


 戦争に出陣する際にアンリ受付嬢と約束していたのだ。約束を破ったら、針千本飲まされることを真に受けていたリュウの表情には真剣さを醸し出し、どことなく恐怖さえ見えた。そんなリュウにアンリ受付嬢が「ぷっ」と吹いた。


「いいのよ。皆が無事に帰って来ただけでも約束は守ったことになるんだもの。」


「そ、そうなのか。」


 ニコッと笑うアンリ受付嬢にリュウはホッとした。針千本は言葉のあやではあるが、リュウにとってはそれがわからず、恐怖を覚えていたようだ。


「戦争に従事した冒険者には後日に報償金が送られます。さらに戦争終結に貢献した者には試験なしのランクアップがあります。」


 アンリ受付嬢が意味深にリーゼ、メイファ、アイリン、リュウを見回す。


「え?それって・・・私、Aランク冒険者に・・・?」


「ニャニャ!も、もしかしてアタイ、Bランク冒険者になれるのニャ?!」


「Bランク冒険者・・・。」


 リーゼ、メイファ、アイリンが挙動不審に興奮していた。リュウは「俺もか?俺は魔竜にやられただけなんだが。」と訊くとアンリ受付嬢は何言ってるのという表情をした。


「リュウさんは光魔法で多くの奴隷を解放したと報告が上がっています!最終的は覇竜様が奴隷全員を解放されましたが、リュウさんも相当な活躍をしたんですよ!!」


「そ、そうなのか?」


 リュウ自身は冒険者として戦闘では良いところは見せられなかったと思い込んでいたが、何も力だけではない。他人の救助もまた人間には評価される部分。


「はい!Cランク冒険者に昇格ですよ。」


 こうしてリュウはDランクからCランク冒険者に昇格が決まった。


「それはそうとして、創造神フォルトゥナ様のご加護を受けた者でないと扱えないと言われる光魔法!!あなたは創造神フォルトゥナ様のご加護があるんですか!?私、フォルトゥナ教に入信しているんですよ!!ご尊顔は拝見したことありますか?!」


 アンリ受付嬢が興奮気味に宗教の信者かのように手を拝みながら、ずいっと前のめりになるとリュウがのけぞってしまう。今まで見たことがないアンリの表情にリュウがビクつく。


「アンリ。落ち着いて。」


 リーゼの言葉に我に返るアンリ受付嬢。


「あ、ごめんなさい。でも、光魔法持ちだと国が放っておかないと思います。」


 アンリ受付嬢の言葉にリュウは「なぜ?」と返した。


「だってねぇ。」


 アンリ受付嬢が顎に手を当て、リーゼに振り向く。


「それはあとで説明するわ。今はパーティーを楽しみましょう。」


「それもそうですね!」


 リーゼとアンリ受付嬢が重要っぽい話を打ち切ったため、リュウは訝しげな表情をする。


「難しいことは後にするニャー。」


「うん。」


 メイファもアイリンも何か知っている雰囲気。人間の世界には光魔法が何やら重要キーワードのようであった。というか絶対に面倒事だと感じられる。


「リュウ!たくさん食べるんだろ!!」

 

 食堂のおばちゃんが大量の料理を持ってきた。


「あ、ありがとう!おばちゃん!!」


 リュウはこれから降りかかる面倒事の前に腹を満たしておこうと考え、料理にがっつく。そこに栄光の戦士チームの天才剣士ソルが体に包帯を巻き、勝利の美酒入りコップを片手にやってくる。


「やぁ。君が死んで、悲しむリーゼを慰める予定だったが・・・生きてたのか。」


 リュウに嫌みを言い放つソルだが、表情はどこか清々しかった。


「レベル5の新米冒険者かと思いきや、僕たちを倒すわ、光魔法で奴隷解放するわ、魔竜とタイマンするわ。素直に完敗だと認めよう。だが、リーゼのことは諦めた訳じゃないからな。」


 ソルはそう言い残して、リーゼに振り向く。


「リーゼ。Aランク冒険者の昇格が決まったんだってな。」


「えぇ。ソルは?」


 ソルはAランク冒険者。戦争の終結に貢献した者たちに数えられるなら、試験なしのランクアップの話が来ている可能性がある。だが、ソルは首を横に振る。


「残念ながら、Sランク冒険者はさすがにない。魔竜に敗北したしな。」


 ちなみにSランク冒険者に上がる条件が国に認められる事だ。ジランド王国ではカインズとセバスチャンがSランク冒険者に認定を受けた過去がある。その二人は今は「元Sランク冒険者」となっている。


「と言うことは並んだわね。」


リーゼとソルはAランク冒険者同士となった。


「そうだな。どちらかが先にSランク冒険者になるか競争だな。」


 リーゼは済ました顔で傷ついたソルの体にコツンと当てた。


「いたたた・・・。何するんだ?」


「ランクだけに目を奪われてはいけないわね。」


 リーゼが意味深にチラッと料理にがっついているリュウを見やる。ソルがリュウの存在を思い出したかのように「どこぞの得体知れないやつに追い越されるかもな。」とフッと笑った。


 次に栄光の戦士チームのウルフ顔のポチがやってきた。


「リュウ、お前は強いワン。獣人族の男たるものは強くあらばならない・・・。メイファを懸けてまた勝負してくれ!!」


 そこにメイファがポチの頭を叩く。


「グワァン!?」


「アタイはポチと結婚しないニャ!諦めろニャ!!」


 メイファとポチがもめる。だが、お祝いムードの場もあり、言い争いはすぐ終わる。


「ところで、ポチはAランク冒険者になったのかニャ?」


「話は来たが、辞退したワン。まだそこまでのレベルじゃないワン。それに魔竜に一発でやられたワン。」


「え・・・。」


 メイファがフリーズした。ちなみにポチはBランク冒険者。無条件でAランク冒険者に上がれる権利を放棄したのである。


 メイファがまたポチを叩く。


「いたっ!な、なんだワン!?」


「昇格に浮かれていたアタイが馬鹿みたいじゃないかニャ!?」


 ポチをポカポカ叩くメイファを尻目に栄光の戦士チームのエルフ族のシンがやってきた。


「魔竜のドラゴンブレスを受けても、なおピンピンしているリュウには驚かされます。通常なら、消し飛ばされているはずなんですが、防御スキルを使ったのでしょうか?時間があるときに体を見せてもらって宜しいでしょうか?」


 シンはどことなくリュウを実験対象に目を輝かせていた。以前にアイリンがリュウの体を調べて、鼻息を荒くしていた。それと似た雰囲気があった。そんな二人をアイリンは人知れずに涎を垂らしこむ。


「リュウ×シン。これはいい。」


 アイリンは皆には内緒のBL趣味がある。二人を対象にあらぬ妄想をしていた。そんな妄想をかき消すように首を横にふる。


「リュウは私のもの。色々調べる。だからだめ。」


「少しくらいいいじゃないですか。」


「薄い本が一冊できちゃうから、だめ。」


「え?」


 薄い本(同人誌のアレ)にシンが意味わからないと首を傾げる。


「そ、それよりシンはAランク冒険者に昇格した?」


 うっかり口にしたアイリンが誤魔化すように話題を転換する。


「いいえ。ポチと同じく辞退しました。魔竜によって氷漬けにされて、何もできませんでしたからね。」


 シンもまたBランク冒険者。ポチと同じく無条件でAランク冒険者に上がる権利を放棄したようである。


「そう。」


「Bランク冒険者同士仲良くやりましょう。これが一番の目的だったりしますね。」


 シンはアイリンに好意を持っていた。だが、「無理。諦めて。」とアイリンは一蹴し、涙目になるシンだった。


「もぐもぐ・・・・。」


 ソルたちの話をよそにリュウは料理に一生懸命がっついて、話を聞いていないのだった。


 打ち上げパーティーがお開きになるとリーゼがリュウに話があると冒険ギルドの部屋を借りる。メイファ、アイリンも同席していた。光魔法に関連した話だろうとリュウは思っていたのだが・・・。


「あなたはおそらく貴族になるわ。」


「・・・・は?」


 リュウは思いがけない貴族の単語に呆気を取られるのであった・・・。

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