第二十九話 ディモール王国戦⑤若さっていいもんだな
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
『邪魔者の覇竜も消えたことだし・・・。お腹空いちゃった。』
魔竜がリュウが消え去った東の彼方を見上げる。
「(・・・しかし、人間が作った複合爆発魔法に魔力エネルギー弾の武器。覇竜は人間を侮ったら死ぬと言ってた。)」
リュウの言葉に気にかかる魔竜。
「リュウが・・・死んじゃったニャ・・。」
「リュウ・・・。」
メイファとアイリンが青ざめ、リーゼは「あのバカは・・・。」と悔しさから歯を噛み締めた。
瞬間移動でセバスチャンが登場する。
「旦那様、撤退しましょう!!」
セバスチャンが仰向けに倒れてるカインズを上体に起こし、そう進言した。魔竜への対抗手段はもはや残っておらず、カインズは苦渋の表情でセバスチャンに肩を借り、「撤退するぞ!!」とリーゼたちに言った。
だが、リーゼたちは動かない。
「・・・。」
「リーゼたち!逃げよう!!」
ソルたちがリーゼたちに声をかける。命あって物種。そして片思いながらもリーゼたちが死なれては困るからだ。
「・・・。」
だが、リーゼは黙ったまま魔竜と睨む。その雰囲気を察するメイファとアイリン。
「リーゼに付き合うニャ?」
「リーゼの考えていることはわかる。」
メイファとアイリンの声かけにリーゼが決断ついた表情する。
「・・・お父様。ごめんなさい!」
リーゼが魔竜に剣を向ける。
「魔竜と戦うのか!む・・・無理だ!!死に行くだけだ!!」
ソルがリーゼを止めようとする。
「ここで撤退したら、何百年変わらないわ。長年、魔物に怯えながら暮らすことになるわ。何よりリュウが戦ったのに私たちが戦わないで逃げるのはないわ。」
「しかし・・・。」
「ここで逃げたら、きっと・・・私自身を許せなくなってしまう!!」
リーゼはメイファとアイリンに目配せした。
「メイファ!!」
リーゼの声かけにメイファが「リュウの仇を取るニャ!!」と爪を伸ばし、フシャーッとした。
「アイリン!!」
リーゼの声かけにアイリンが「わかってる。」と杖を持った。
リーゼと同様に魔竜に立ち向かうメイファとアイリンの姿に「ありがとう!」と感謝した。
リーゼたちがすべての生態系の頂点に立つ魔竜に挑む。その姿を見たソルが信じられないと言った表情した。
「魔竜と戦うっていうのか・・・こ、怖くないのか・・・。」
狼顔をしたポチが上腕二頭筋をムキムキして、ソルの横を通り、魔竜に立ち向かおうとしている。
「ポチ!お、お前・・・。」
「メイファ、死なせたくないワン。」
ソルがポチの決意たる表情にたじろく。そしてエルフ族のシンも涙目でソルの横を通る。
「シン!?」
「アイリンが立ち向かうというのに私は泣いてられません・・・くっ・・・。」
杖を持ち、恐怖から足を震えながら足取りは遅いながら魔竜に立ち向かおうとしていた。
そして残されたソルは呆然とした。カインズが声をかける。
「若さってのはいいもんだな。俺もそんな時期があった。・・・おめーはいかねーのか?」
「カインズ師匠・・・。」
「おめーがちいせーころからリーゼを負かすくらいに剣は上手かったな。成長するたびにどんどん強くなっていったなぁ。冒険者になってもすぐAランク冒険者に登り詰めた。」
カインズが懐かしむような表情をし、すぐさま引き締めた。
「だが、おめーは魔竜という強敵に恐怖を覚えてるだろ。それも逃げたくなるほどのな。それは仕方がねぇことだ。俺にもあった。」
「カインズ師匠にもそんなことが?」
「今じゃ、ジランド王国最強の騎士だか言われているが、昔はただの若造だ。」
カインズが遠い目をする。
「ディモール王国との戦争は奴隷解放を大義名分に掲げている。だが、魔物相手には大義名分など無意味。そして魔物との戦いに身を置いて、お前にとって守るべきものはなんだ?」
「え・・・?ジランド王国の国民・・・?」
「それはディモール王国が相手でも同じだ。魔物と戦う際に重要なのは、」
カインズはソルの胸にコツンと拳を当てた。
「自分の心だ!!」
ソルがハッとする。国をたやすく滅ぼすことが可能な魔竜。そんな相手に尻込みしていたら、先ほどのリーゼの言う通り、いつまで経っても怯え続けるだけだ。それが何百年と続いている。だったら、ピンチをチャンスに変えねばならない。
「・・・僕はAランク冒険者、天才剣士ソル・デュミナス!」
自分に言い聞かせ、リュウから貰ったオリハルコンの剣を手に駆ける。カインズが「皆のサポートしてやってくれ。」とセバスチャンを送り出した。
◇◇◇◇
瞬光の戦乙女チームと栄光の戦士チームが合同になり、魔竜に立ち向かう。
セバスチャンが皆に「補助魔法(上級)・オールアップ!」をかけ、短時間であらゆるステータスを大幅に上昇させた。
さらに全員の頭上に「補助魔法(中級)・マジックバリア」をかけ、魔竜の「ドラゴン魔法・重力操作50倍」に対応した。
「短期決戦です!最初から全力で挑まねば、勝機はありません!!」
セバスチャンの言葉に全員が頷く。リーゼとソルが隣同士で剣を持つ。
「ソル。逃げるかと思ったわ。」
「僕はAランク冒険者の天才剣士ソル。自分の心を守りたいがために。それに君を置いて逃げるわけないさ。」
ソルが歯をキラッとしたら、リーゼは薄く笑う。
「・・・ふっ、私の剣にしっかりついてきなさい!!ストーカー野郎!!」
リーゼとソルが魔竜に向かって駆け出す。
メイファとポチが獣人族特有の爪を伸ばし、構える。
「ポチ。今だけ暑苦しいのは我慢してあげるニャ。」
「メイファ、この戦いに勝ったら結婚してく・・・。」
メイファは気持ち悪そうな表情で「嫌ニャ!」とはっきり言い、二人も魔竜に向かって駆け出す。
アイリンとシンが杖を構える。
「ヘタレシン。なぜ来た?」
「アイリンを守るために・・・。」
涙目のシンにアイリンは「逃げてればいいのに。・・・死なないで。」と二人は魔法を繰り出す準備する。
魔竜は立ち向かってくるリーゼたちを見て、『あ〜ら〜。人間、まだ足掻くのぉー。遊んであげるわぁ。』とギャァァーと威圧的に吠えたのだった。
◇◇◇◇
 ̄ ̄ディモール王国近くの森林 ̄ ̄
魔竜のドラゴンブレスにより、消し去ったと思われていたリュウはディモール王国近くの森林に倒れていた。直線状にいくつかの木がなぎ倒されていた。どうやらリュウが上空から落ちてきたときに直線状に激突したようだ。
「くっ・・・体が動かない・・・。」
リュウは重傷を負い、動けなかった。
「回復魔法は自分にかけられないから・・・自己再生(弱体化)。」
「自己再生(弱体化)」スキルにより、体を回復させる。本来のドラゴンと違って、人間では回復に時間がかかる。動けるだけでいいからそこまで戻せば、なんとかなる。ちなみに回復魔法を持っているが、口から魔法を出すため、自分にはかけられなかったのだ。
「よし、動けるようになった。」
リュウが残る痛みを堪え、立ち上がる。
「(今頃はリーゼたちが魔竜と戦っているかもしれない。)」
魔竜に対抗するためにはやはり本来の姿に戻らねばいけないと感じたリュウが全身に魔力を込める。
「人化魔法・人間解除!!」
人間から徐々に大きくなり、翼が生え、手が太く大きく鉤爪に変身し、体表に銀色輝く鱗が現れる。最終的に全長10M超、翼を広げると全幅20M超の本来の姿。覇竜と呼ばれるドラゴンに戻った。覇竜は翼を広げ、飛び立つ。
「魔竜・・・好きにはさせん!!」
リーゼたちのいる戦場に飛んで戻る覇竜であった。
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