第二話まさかの犯罪者になる!?
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けていると思いますが、よろしくお願いします。
 ̄ ̄ジランド王国城下町・正門 ̄ ̄
「やっと着いた!」
山から走り続け、徒歩二日間かかる距離をたった4時間でジランド王国に到着した。
リュウは高い城壁を見上げていた。ジランド王国全体に城壁を囲み、堅固な守りを築いているようだ。正門に近づくと槍を装備し、全身鎧を着た警備兵が近寄ってくる。
「君、身分証はあるかね?」
警備兵はそう尋ねた。どうやら正門には複数の警備兵が入門管理をしているようだ。よく見ると身分証を提示しながら通り過ぎる人がちらほらいた。
「持ってない。」
元がドラゴンで人間になりたてホヤホヤのリュウは身分証など持っているはずがなかった。
「じゃこっちにこい。七日間滞在許可証を出すから。身分証が欲しかったら、役所や冒険ギルドで作ってくれ。」
警備兵に言われるがままに正門横の受付所に入った。
「これ書いて。」
机を挟んで警備兵に向かい合い、滞在許可証に必要な書類を渡される。だが、リュウは「文字読めない、書けない。」と返事すると「そうか。代筆してやる」と警備兵は質問事項を述べる。
「名前と年齢は?」
「リュウ 。(500歳とは言えないからこちらの成年は確か・・・)15歳。」
年齢に間があることに警備兵はやや軽く訊き返す。
「もしかして年齢がわからないのか?まぁ見るからに15歳だろうな。」
どうやら自らの年齢がわからない者が結構いるようで警備兵は気にせずに質問事項を進める。
「種族は?」
「・・・人間だ!」
リーゼにした回答をまた繰り返すリュウ。人間と言ってもこの世界には人族、獣人族、鳥人族、妖精族などの種族がいる。種族をひっくるめて人間とみなしているのだ。その返事に困る警備兵。
「う、うーん。角あるから、種族としては蜥蜴族と人族とのハーフに見えるんだが・・。詮索はしないが、そう記入しても構わないか?」
「それでいいぞ。」
これからは種族を聞かれたら、蜥蜴族と人族とのハーフということにしようと思ったリュウ。
警備兵は「質問事項は以上だ。」と記入を終えて水晶玉を用意する。
「犯罪歴をチェックするから、水晶玉に手をかざしてくれ。犯罪をやってたら赤に、やってないと青に光るから。簡単に言えば、水晶型の犯罪発見器だな。」
「・・・。」
水晶玉は犯罪の有無発見器だということを理解し、冷や汗をたらすリュウ。ドラゴンのときに多くの人間を食い殺したことがあり、赤に反応するのでは?と恐れていた。
「(今は人間姿だ。人間ではまだなにもやってない・・・えぇい!)」
水晶玉に手をかざすと青に光った・・・かと思いきや、赤に光り、また青に光った。青と赤と交互に点滅してしまった。
「な、なんだぁーこれは!」
点滅する水晶玉に驚愕する警備兵。
「(やばい・・・・)」
恐れていた事態が起こり、さらに冷や汗を流すリュウ。
「こんなことは初めてだ。私一存では判断がつかないから、ラインゴッド騎士団長を呼んでくる。」
警備兵はそう言い、席を立ち、どこかへ行ってしまった。しばらくして騎士団長らしき者がやってきた。スキンヘッドで頬に傷があり、貫禄のある顎髭をこさえて、全身鎧で背中に大剣を背負っていた。
「こやつが・・・?」
騎士団長はリュウを見るなり、「・・・!!?」と汗が吹き出る。
「(こ・・こやつ・・数々の戦を戦い抜いた儂の勘が言ってる!この国の全ての戦力をぶつけないと殺られる!?)」
ラインゴッド騎士団長はリュウの背後にドラゴンの姿が錯覚として見えていた。汗を吹き出し、警戒するラインゴッド騎士団長の様子に気付かずに警備兵が「どうしました?」と声をかける。
ラインゴッド騎士団長はどうにか平静を装い、机を挟んでリュウに向かい合う。
「あ、あぁ・・・リュウだったな。水晶玉に手をかざしてみてくれ」
ラインゴッド騎士団長に言われた通りにリュウは再度、水晶玉に手をかざすが、同じく青と赤と交互に点滅する。
「確かに・・・。」
確認するラインゴッド騎士団長が考え込む。
「(見るからにジランド王国で事を起こそうとしているようには見えんが、入れさせても良いものか・・・。)」
考えをまとめたラインゴッド騎士団長が威圧するかのようにリュウに指を差す。
「君はグレーだ。よって嘘発見器にかける。いいね?」
「(人間になるって疲れるものなんだなぁ・・・。)」
リュウはどうにでもなれと投げやりに頷いた。ラインゴッド騎士団長は警備兵に鉱石型の嘘発見器を準備させ、質問事項を述べる。
「いくつかの質問をする。はい、いいえで答えよ。」
「君は人を殺したことは?」
「・・・いいえ。(人間姿ではまだやってない)」
ラインゴッド騎士団長はチラッと鉱石型嘘発見器を見る。光らない。どうやら嘘をつくと光る仕様のようだ。
「盗みをしたことは?」
「いいえ」
「人間を拉致したり、奴隷を売ったことは?」
「いいえ」
「偽貨幣を使用したことは?」
「いいえ」
ラインゴッド騎士団長は数々の犯罪を細かく質問するが、すべて「いいえ」で答え、嘘発見器にもひっかからなかった。
「シロだな・・・。水晶型犯罪発見器が壊れているのか?」
首を捻るラインゴッド騎士団長にリュウは安堵した。
「君、滞在許可証作成してやってくれ。」
ラインゴッド騎士団長が警備兵に命じる。
「はい。滞在許可証の作成料金として銀貨1枚いただくが?」
リュウは白金貨、金貨、銀貨、銅貨といった貨幣の存在とその価値を冒険者から学んでいたため、自然に銀貨1枚を出せた。だが、銀貨を手に取った警備兵がピタリと動きが止まる。
「ん・・・?これは・・・偽銀貨?!」
「え?」
間抜けな返事するリュウをよそに「なんだと!」とラインゴッド騎士団長が警備兵から銀貨を奪い取って見る。
「図柄が違うな。そうか・・・そうだったのか!」
ラインゴッド騎士団長が謎は全て解けたと言わんばかりの表情する。
「水晶玉が点滅した理由は偽貨幣を所持していたからだ!所持ではグレーになる。だが、偽貨幣を使用したらアウトだ!」
同時に部下に「ひっとらえよ。調べる!」と指示した。
リュウは予想だにしない急展開に「え?え?」と警備兵二人に両腕を組まれる。
「(えーえー!?人間ってめんどくさぁぁぁい!)」
心で叫び、涙ながらに牢屋に連行されていく。こうしてリュウは冒険者になるはずが思わぬところで犯罪者になるのであった・・・。
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