第二十五話 VSディモール王国戦①戦争奴隷の現実を知る
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
 ̄ ̄ジランド領・東平原 ̄ ̄
ジランド王国騎士団と冒険者有志は前線部隊、魔法部隊、魔導砲部隊、後方支援部隊を編成し、待ち構えることになった。すべての部隊を合わせて7000人。それに対するディモール王国は戦争奴隷と魔物の大群と後方に奴隷の指示系統部隊で5000体だった。
カインズは騎士団長ラインゴッドと共に苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「戦争奴隷の中に多数の子供がいやがる。ディモール王国め・・・数合わせで入れやがったな。」
多種多様の種族の戦争奴隷は子供が混じり、ボロボロで戦えるかどうか怪しい状態の戦争奴隷もちらほらいた。ジランド王国騎士団、冒険者有志たちもその様子に怒りを買っていた。
「(・・・あれが奴隷なのか?)」
リュウが初めて戦争奴隷を目の当たりにして、驚愕していた。
「(あばらが浮き、生気のない子供まで無理矢理戦わせるのか。ディモール王国は・・・。) 」
現実を知り、言いようもないほどの感情が沸き上がる。
魔物の大群は人型の化け物姿の小さなゴブリン、ゴブリンが進化したボブゴブリン。圧倒的な力で棍棒を振り回す巨体な化け物のオーガ。豚が人型になったような化け物姿のオーク。悪魔の子供姿をしたコモンデビル、その進化形の成人したかのような姿のグレーターデビル。人型に近い魔物が多い。それ以外の系統の魔物はおらず、ドラゴンの姿もなかった。
「どうやら魔物を従わせる隷属の腕輪の効力は人型に近い魔物に限定されるように見えますね。」
太陽によってスキンヘッドが光るラインゴッド騎士団長が魔物の大群を見回して言った。
「Cランク以下の人型魔物が多いな。それ以上は操れないのか、捕らえるのが大変なのかどうかってとこか。」
カインズが全体的に魔物のレベルは大したことはないと判断する。セバスチャンがカインズに「ディモール王国軍の姿が見えません。何かあるやもしれません。」と進言する。
「・・・現状では数では俺達が優勢だが、魔物の大群は侮れねぇ。それに加え、ディモール王国軍が見えねぇときたか。」
「お互いを潰し合わせて、体力を奪われたところにディモール王国軍が急襲をかけると儂は思いますが。」
カインズ、ラインゴッド、セバスチャン、数人の歴戦の騎士たちが知恵を出し、唸る。歴戦の騎士の一人が手を上げる。
「魔竜が来ると見込んで、ディモール王国軍を控えさせているのでは?」
「15年前の魔竜出現はディモール領だった。今回はジランド領だ。距離がありすぎる。それに戦争を始めるタイミングで上手く来るはずもない。隷属の腕輪で従わせているなら話は別だが・・・。」
ラインゴッドが答えるが、カインズが首を横に振る。
「魔竜ほどのやつが隷属の腕輪で簡単に従わせられるほど甘かねぇ。だが、魔竜出現を想定して対策は全員に通達してある。考えても仕方がねぇ。」
カインズが拡声魔道具マイクを持ち、全部隊に向ける。
「皆!戦争奴隷に多数の子供がいる!だが、動揺するんじゃねぇ!!手足を縛って戦えなくしろ!!」
カインズが全部隊にそう通達すると前線部隊にいるリュウたち瞬光の戦乙女チームが作戦を練る。
「戦争奴隷の子供と戦うときはアイリンの植物拘束をお願い。」
アイリンがコクッとする。
「子供以外の戦争奴隷は手練れの者もいるから、気を抜かないように。隷属の腕輪ごと腕を切るか、殺すかしないと止まらないわ。それほど隷属の腕輪の効力は凄まじいわ。皆、気を付けて。」
リーゼが見回すと独り言をつぶやき、目を吊り上げてただならぬ雰囲気をまとうリュウに気付いた。
「マクスウェルは言った。人間には良い、悪いの二種類があると。マクスウェルは奴隷を殺していた・・・。あの強き人間があのような子供にも手をカケテイタノカ。・・・ワルイニンゲンコロシテヤル。」
リーゼが「リュウ!大丈夫!?」と肩をつかみ、「あ・・・。」と正気に戻るリュウ。
「様子が変だったニャ。」
「大丈夫?」
メイファとアイリンが心配そうに覗き込んだ。「大丈夫だ。」と答えるリュウ。
ディモール王国の奴隷指示系統部隊が「死ぬまで戦え!」と指示すると戦争奴隷たち、魔物の大群が一斉に動きだし、ジランド王国騎士団と冒険者有志の陣形に向かっていく。
「敵が動いたぞー!」
ディモールの戦争奴隷、魔物の大群が動き出したことで、ジランド王国の軍勢も応じて動き出し、戦争に突入するのであった。
「ご丁寧に戦争奴隷と魔物の大群が別々でちょうどいいぜ!魔導砲部隊!魔物の大群を消していけ!!」
カインズが指示すると鋼鉄製の巨大魔導砲の筒を手動で魔導砲部隊の数人の騎士が力一杯に動かし、照準を合わせる。
「照準よーし!」
カインズに合図する騎士。
「よぉーし!打てぇー!!」
カインズの号令に巨大魔導砲がドォーンッと魔力エネルギー弾が放たれ、魔物の大群の真ん中に着弾し、大半の魔物が消失した。土煙を立てながら、地面がひび割れていたのだった。
「ハハハハ!見たか!!ドラゴンブレスに似た魔力エネルギー弾の威力はどうだ!」
「かの賢者マクスウェルが遺した発明品なのですが、凄まじい威力ですね。」
「だが、1発ごとに巨大魔石の入れ替えが必要でな。金がめちゃくちゃかかるのが欠点だ。騎士団の軍備資金をたくさん使っちまったぜ!!」
「うぅ・・・胃が痛い。」
セバスチャンと胃を痛めるラインゴッド騎士団長を背後にカインズが腕を組みながら、ディモール王国側の動きを見る。魔力エネルギー弾の威力を見たにも関わらず、戦争奴隷も生き残りの魔物の大群も進軍してくる。いや、隷属の腕輪の効力で無理矢理、進軍させているのが正しい。
「魔導砲部隊は巨大魔石の入れ換えをし、待機させろ。魔法部隊、数を減らせ!」
魔法部隊が進軍してくる戦争奴隷、魔物の大群に向けて構える。
「火魔法(中級)・ファイアアロー!」
「風魔法(中級)・ウインドアロー!」
「水魔法(中級)・アクアアロー!」
「土魔法(中級)・ロックアロー!」
数々の遠距離魔法を放つ。だが、戦争奴隷たちも魔物大群も腕が立つ者が「補助魔法(中級)・マジックバリア」で対抗し、被害を減らしていた。そして両軍の距離が縮まったら、魔法部隊を下がらせ、リュウたちのいる前線部隊が動く。
「行くわよ!」
リーゼが号令を出し、瞬光の戦乙女チームが駆け出した。
「(・・・俺はドラゴンだ。人間の奴隷なぞ知ったこっちゃない。まして子供なぞ・・・。)」
人間の奴隷に対し、哀しみと怒りが混じった初めての感情に戸惑うリュウだった。
瞬光の戦乙女チームの最初の敵は悪魔の姿をした人型Cランク魔物のグレーターデビル。大きなフォークを武器に持つ。戦乙女チームは連携を取り、アイリンが「水魔法(中級)・アクアショット」を放つが、フォークで防がれた。リーゼ、メイファが攻撃するも身のこなしが良く、さらりとかわす。
グレーターデビルは声にならない音を出す。どうやら超音波攻撃をしてきたようでリュウを除いて、戦乙女チームを含む周りの者が耳を防ぎ、「ぐっ・・・。」と三半規管を揺さぶられ、倒れるのをこらえる。
「(む!余計なことは考えるな!)」
超音波が大して効いてないリュウは口から魔法陣を出し、「風魔法(下級)・エアクッション」と空気の膜を超音波の出すグレーターデビルの顔全体に包み込む。すると超音波が反射し、グレーターデビル自身に返ってよろけてしまう。その隙を見逃さずにリーゼが剣を振るい、倒した。
「この調子で行くわよ!」
勢いをつける瞬光の戦乙女チーム。戦況が進み、リュウたちは三人の戦争奴隷と対面するのだった・・・。
 ̄ ̄ ̄ディモール領の空 ̄ ̄ ̄
空を颯爽に飛ぶ二つの物体があった。片やピンクの小型ドラゴンに片や黒の巨体ドラゴン。ドラゴン語で喋りながら飛んでるようだ。
「お姉様!!ここを越えれば大量の人間が食べられます!!」
「そうなのね。気配探知スキルでも確かに多数の人間がいるわねぇ~。よくわかったわねぇ。」
「えへへ!なぜか閃いたんですよね!!」
「うふふ、楽しみね。」
二匹のドラゴンは戦争地帯であるジランド領・東平原をめざし、飛んでいたのであった・・・。
最後までお読みくださり、ありがとうございます!評価点orブックマークをお願いします!!




