第二十三話 最強騎士カインズ・トランスロッド
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
「俺と勝負するかっ!?」
ジランド王国最強騎士カインズ・トランスロッドがリュウに勝負を申し込んだ。それに対してリュウは微かに笑う。
「(カインズか。俺の正体をわかってるようだな。)」
昔に覇竜としてカインズたちと戦ったことを思い出した。あれから30年経ち、久しぶりに合間見えたカインズは老けたが、筋骨粒々な身体は健在のようだ。
「ふっ・・・俺たちが本気で戦ったら、ジランド王国はディモール王国と戦争する前に滅ぶだろうな。」
リュウの言葉にカインズが高らかに笑う。
「ハハハ、そりゃそうだな!!」
セバスチャンが「それは困りますね。」と微笑む。そしてリュウはカインズと勝負をすることなく観客席に引き上げるのだった。その傍らでソルたちが無言にがっくりと項垂れていた。
「お疲れ様。お父様と戦うんじゃないかとひやひやしたわ。」
リーゼがリュウを労ってくれた。
「どうだ!リュウは強いニャ!!」
メイファたちがソル、ポチ、シンの三人に対して、どや顔をする。だが、反応がなく、項垂れて座るソルたちであった。
「静かになったのは良いこと。」
アイリンがザマァみろと嬉しそうだった。
カインズとセバスチャンが修練場の真ん中にて、拡声魔道具のマイクを持ち、観客を見回す。
「よーお!俺がジランド王国最強のカインズ・トランスロッドだ!!」
すると観客が熱気を帯びて歓声を上げた。カインズは冒険者に人気あるようだ。アイリンがカインズのジランド王国最強たる経緯を説明してくれる。
「元Sランク冒険者でジランド王国最強の騎士。そしてランドルフ王様の直属の近衛騎士団をまとめる近衛大将。」
世間に疎いリュウですら肩書きから来る響きは相当なものであるとわかる。
「元々は下級貴族の男爵家の末っ子で平民か冒険者しか道がなかった。だけど、冒険者として活躍し、覇竜様の鱗を剥ぎ取った実績でSランク冒険者になり、騎士貴族の男爵を叙爵された。そこから活躍は目覚ましく、今は騎士伯爵貴族になっている。まさに冒険者のエリートコースを歩んだ男と言っていい。」
その話にリュウが「(俺の鱗で出世していたのか・・・)」と複雑な表情をしていた。
「でもね。城の仕事が窮屈だと言って、サボって自由奔放に街中を散策していることもあるわね。その度にお偉い人に捕まって城に連行されていく姿が目撃されるわ。身内としては恥ずかしい限りね。」
リーゼがそう言い、溜め息吐く。メイファがニャハハと笑う。
「でも面白い人だから、国民たちに人気あるニャ。」
カインズはおおらかで誰とでも仲良くなれるタイプ。
「(確かに面白い男ではある。)」
リュウがドラゴンとしてカインズたちと相対したことでカインズの人となりを把握していた。
カインズが話を続ける。
「なんのためにここに集まったかはわかってるようだな!!」
観客が静かになり、カインズが熱弁を振るい始める。
「ディモール王国のバカがまた攻めてきやがった。今回は魔物を使ってきた。やつらは奴隷だけじゃ飽きたらず、魔物に手を出しやがった!」
「お前らの中には15年前の戦争に参加した者もいるだろう!!俺も当時はジランド王国騎士団長としてジランド騎士団と冒険者有志を率い、ディモール王国と戦争した!!奴隷解放を大義名分にな!!」
「確かに俺たちは優勢に押してた!!だが、ディモール領でドンパチやらかしてたら、魔竜に襲われた!!そりゃあ、あと一歩のところでディモール王国を叩き潰せるもんだから、魔竜と戦ってやったよ!!結果は撤退を余儀なくされた!!」
「力が足りなかったばかりに今回の事態になったのは皆にはすまねぇと思ってる!!」
ギリッと歯を噛み締めるカインズ。
「俺は人族だ!だが、ディモール王国にいる他の種族の奴隷を救いたいんだ!!みんな!力を貸してくれ!!今度こそディモール王国を叩き潰してやる!!魔竜が出ようとも俺がなんとかしてやる!!」
その言葉に胸を打たれた多種多様な種族の冒険者が歓声を上げた。カインズは観客に手を振って「戦争概要を頼むわ。」とセバスチャンに交代した。
「オルド・ディーラーです。今回の戦争はディモール王国軍、戦争奴隷のほか魔物の大群と戦うことになります。皆もご存知のように戦争奴隷と魔物の大群は隷属の腕輪が装着されています。」
※ディモール王国の戦争奴隷は人族以外の種族。
「なお、戦争奴隷の扱いについては、前回の戦争では賢者マクスウェルの光魔法で隷属の腕輪を無効化し、大半の戦争奴隷を解放しましたが、今回は光魔法を持つ者がおりません。」
「なので、隷属の腕輪ごと腕を切らねば解放が出来ません。まして戦争。同胞を殺す覚悟をお持ちください。ただ私たちも鬼ではありません。腕を切ったら、回復魔法をかける部隊を準備しております。多くの戦争奴隷を、そしてディモール王国にいる奴隷を助けたいと思っています。」
話を聞いたリュウが思案顔する。
「(光魔法で隷属の腕輪を無効化できるのか。まさかマクスウェルは俺に奴隷解放するように仕向けてるんじゃないだろうな?隷属の腕輪をドラゴンに使う可能性があるディモール王国は叩き潰したいと思うが、人間のいざこざにあまり干渉したくはない。光魔法を使わなくとも腕一本の犠牲で救える方法があるなら、それでいいだろう。)」
ジランド王国とディモール王国の国境にあるジランド王国側関所手前のジランド東平原で迎え撃つ方針。そして万が一、魔竜出現のための対策を講じるという説明をセバスチャンから受けた。最後にカインズがマイクを持った。
「さぁ!覚悟はいいな!出発は明朝!!ディモール王国をぶっ潰してやろうぜ!!」
カインズの声に合わせて、冒険者たちがウオォォー!と歓声が沸き上がった。
 ̄ ̄ディモール王国・謁見の間 ̄ ̄
「出発したか?」
ディモール王国のハゲデブ王がフードをかぶり、黒ローブをまとった怪しげな男に問う。
「えぇ。戦争奴隷と魔物奴隷合わせて5000体が出発しております。だが、それは餌です。魔竜をおびき寄せ、ジランド王国を滅ぼすように仕向けております。」
「ジランド王国を滅ぼし、奴隷を量産し、ディモール王国の世界覇権統治を喧伝するのだ・・・。グヒヒヒ。」
ハゲデブ王が下卑た笑みを浮かべた。
「悲願はまもなくでございます。」
頭を下げて、謁見の間を出る黒ローブ男。
「(我が師マクスウェル。あなたがいれば世界覇権統治が簡単に進めたものを。なぜ、裏切ったのだ?)」
黒ローブ男は歯を噛み締め、「ジランド王国を滅ぼさねば気がすまない。」と去っていったのだった・・・。
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