第一話リーゼ・トランスロッド
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けていると思いますが、よろしくお願いします。
「人化魔法:人間変化!!」
覇竜が煙を吹き出し、徐々に小さくなり、15歳前後の人間に変化した。頭に二つの折り曲がった角が付き、やや小柄な男性だった。容姿的に格好良い部類に入るだろう。
「成功だ!角が付いてるが、それ以外はばっちり人間だ!」
湯気のような煙に紛れ、変身したてホヤホヤであろうという人間の裸のまま喜び回る。だが、ピタッと足を止める。
「おっと・・・裸で人前に出るのはまずいと聞いた記憶がある。。私の冒険コレクションに服があったな。」
覇竜は口に魔法陣を浮かべて、そこに手を突っ込む。すると冒険服が出てくる。どうやら収納魔法だ。以前のドラゴンの姿では四足歩行近い生物のため、魔法を口から出すのが当たり前だった。それを人間口から魔法を出す行動は非常に怪しいのだが、気付いていないのだった・・・。
冒険服を着込み、満面の笑みで高らかに叫ぶ。
「私の人名はリュウ。これから冒険者として生きる!!」
覇竜は人名でリュウと名乗ることを決め、自分のステータスを確認する。
リュウ(覇竜)
レベル1(弱体化)
HP9999(弱体化)
MP2000(弱体化)
攻撃力3000(弱体化)
防御力3200(弱体化)
魔力2400(弱体化)
敏捷性100(アップ)
「人間の姿になると弱くなってしまう辺り、人化魔法の欠点ではあるな。敏捷性だけは身軽になった分上がってるな。魔法のほうは・・・?」
火魔法(中級)(弱体化)
水魔法(中級)(弱体化)
風魔法(中級)(弱体化)
雷魔法(中級)(弱体化)
回復魔法(初級)(弱体化)
光魔法(使用不能)
ドラゴン魔法(使用不能)
補助魔法(初級)(弱体化)
収納魔法
人化魔法
「魔法も弱体化して極大、上級魔法が使えなくなってしまった。さて、スキルは・・・?」
ドラゴンクロー(使用不能)
ドラゴントゥース(使用不能)
ドラゴンテイル(使用不能)
ドラゴンブレス(使用不能)
ドラゴンスキン(弱体化)
自己再生(弱体化)
悪食(弱体化)
気配探知(弱体化)
魔力探知(弱体化)
「ドラゴンのスキルはほぼ使えなくなってしまったが、これから人間の姿で習得できるスキルが増えていくだろう。」
ステータス確認を終えると「よしっ。」と自らの居住地に立て看板を残す。
『覇竜を打倒とせんとする冒険者各位 所用により長い旅に出る。』
リュウは覇竜として多額の賞金がかけられ、冒険者が相次いで来るため、御丁寧にメッセージを残したのだ。ただそれは文字ではなく絵であるが。※文字が書けないのだ。
そしてリュウは居住地である南の山から下りる。
「ぬぅ・・・歩くのが大変だな・・・」
しばらく歩くが、元がドラゴンであるがために二足歩行動作に悪戦苦闘する。手足同時に動いてしまうため、ギクシャクしていた。そして山を抜けると整備された街道が見えてきた。
「今まで聞いた冒険者の話によると街道を二日かけて歩くとジランド王国につくということだが・・・」
街道をしばらく歩くが、ギクシャクしっぱなしで遅いペースだった。
「今のペースじゃ、二日どころか永遠に着かないんじゃないか?」
どうしたものかと考えて「体を慣らす意味で走る」ということを実践してみる。ギクシャクではあるが、走れていた。
「うん。走っていこう。この方が早い。」
このまま走ってジランド王国を目指すリュウ。走り続けていると敏捷性が1上がりました。とステータスアップコールが頭の中に響く。
「このコールは久しぶりだな。」
だんだん体がなじんで速度を上げていく。すると敏捷性1上がりましたコールが連続で鳴りっぱなしになる。ジランド王国までにどれだけ鳴るんだろう・・・と思いながら走る。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄別場面 ̄ ̄ ̄ ̄
ダダダダダッ
年配の白髪オールバックで白髭ダンディーな執事が馬を操って馬車をひく。漆塗りの黒を纏っていて、しっかりした造りの馬車で家紋を掲げていた。家紋は剣が彫られ、絡み付くようにドラゴン模様が彫られていた。馬車周りには護衛が囲っていた。
「リーゼお嬢様、ジランド王国まであと一時間ほどで着きましょう。」
ダンディーな執事が馬車内に向かって声をかけた。
「わかったわ。ありがとう。」
リーゼと呼ばれた女性は金髪碧眼で髪をポニーテール風に結び、上半身に鎧を身につけて、下は動きやすいように耐久性のあるスカートをはいていた。※イメージすると『くっ殺せ・・・』と言うようなキャラが想像しやすい。ただし本作はそのような描写はありません。
いきなり馬車が止まる。リーゼは冷静に「何事よ?」とダンディーな執事に声をかけた。
「申し訳ございません。盗賊です。只今、護衛が応戦してございます。お待ち下さい。」
ダンディー執事も盗賊に遭った割には冷静だった。
「そう・・・」
リーゼは剣を持ち、馬車から出る。見渡すと盗賊が暴れている。護衛が応戦しているが、数で押されていた。
「上流貴族だと思いきや、騎士の成り上がり貴族か。外れを引いてしまったが、皆殺しだ!」
盗賊の頭らしき者が叫んだ。リーゼは意に介さず、何故か馬車の天井の上に立つ。
「私は誇り高きトランスロッド家の第二女リーゼ・トランスロッド!!そしてBランク冒険者でもある!!盗賊よ!私に合間見えたことを後悔なさい!!」
ダンディー執事がパチパチと拍手を送る。リーゼは結ばれた金髪がひらりと背を低く剣を携え構える。
「神速け・・・」
技を繰り出そうとしているところに砂埃を上げながら走ってくるリュウが登場する。
「わぁぁぁー止まらない止まらないー!!」
リュウは体が言うことを聞かず、数人の盗賊をはねまくる。
「何事よ??」
「な、なんだぁ!?」
いきなりの出来事に目を見開くリーゼと護衛、そして盗賊。
「もしやあの方は・・・」
皆の驚きの中にダンディー執事は意味深な発言をする。
ハッとリーゼが我に返り、残りの盗賊を「神速剣!」と目に止まらぬ早業で斬っていく。リュウは走ってはねてしまった盗賊を見て、動揺して頭を抱えていた。
「やっちまったぁぁぁー!!冒険者になるはずが、犯罪者になっちゃったぁぁ!!人間同士で傷付けたら捕まると聞いた!!やばい!!」
盗賊を見て「(・・・食えばバレない?バレないな?)」ともろ犯罪者一直線である考えをしてしまうリュウ。
「大丈夫よ。」
そこにリーゼが声をかける。「え?」と振り向くリュウ。
「あなたがはねた者たちは盗賊よ。犯罪者になることはないから安心して。」
リーゼがニコッと笑顔で安心させるように手を差し出す。
「あ、それは良かった・・・」
リュウは心底から安堵した顔で握手した。
「私はリーゼ・トランスロッドよ。」
「あ・・・私は・・・」と言おうとしたが、冒険者たるものはなめられたらおしまいだと冒険者の心得を思い出した。
「俺はリュウだ。冒険者になる予定だ!」
リーゼはリュウの頭の二つの折れ曲がった角を見る。
「リュウ。あなたは・・・人族かしら?それともハーフ?」
リュウは腕を組んで「(種族なんて考えてなかったが)・・・人間だ!」と総称で返事した。
「あ、ごめんなさいね。でも安心して。この先に種族差別なきジランド王国があるわ。あなたが来た方向を見るからにそこに向かうところだったでしょ?」
リーゼはその返事に何か深読みしたらしく、フォローをかける。
「あ、そこまでどのくらい?」
「馬で一時間ほどでございます。」
そこにダンディー執事が来てリーゼの代わりに返事した。
リュウはダンディー執事を見て「・・・・懐かしいな。」と目を細め、微笑んだ。ダンディー執事もまた微笑んで軽く会釈する。リーゼはその様子に「?」と首をかしげる。
「良ければ馬車に乗っていかれます?」
ダンディー執事の提案にリュウは首を横に振って断る。
「体がなじんでないので、ちょっと走る。」
リュウは走っていった。
「あ、ちょっと・・・。いきなり現れたかと思えば、パッと消えていっちゃって慌ただしいわね。」
難しい表情するリーゼにダンディー執事は微笑む。
「ホッホッ、冒険者になる予定と言ってましたので、また会えるでしょう」
「それもそうね。盗賊を後片付けしましょう!」
「ハッ!」
リーゼはダンディー執事と護衛に指示をし、リュウの後ろ姿を見て「(彼とは長い付き合いの予感がするわね。)」とその身を翻した。
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