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第十六話アイリン・シュガーノート

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!

 ̄ ̄冒険ギルド ̄ ̄


ジャイアントロックドラゴンの討伐後に姿が消えたことについては瞬光の戦乙女とジランド王国騎士団、他のチームの証言により、冒険ギルドは後日にサンポート街道の周辺にギルド調査団を派遣し、安全確認が取れたら報酬が貰える方向で話がまとまった。冒険ギルドを出ると辺りはもう暗くなっていた。


「メイファ。連日宿泊は流石に悪い。」


ここのところ、メイファ家に寝泊まりしていたリュウだが、連日では相手に悪いと気づいた。


「えーそんなの気にしなくていいニャ。」


「泊まるところをさが・・・・。」


「今日の宿は私の家。」


アイリンがリュウを最後まで言わせずにガシッと腕を組んで離さない。メイファが「ニャゥー!!」とアイリンを恋敵とみなし、威嚇した。


「リュウ、自制しなさいよね。」


リュウにあらぬ疑いをかけて、リーゼはメイファと共に帰っていった。


__ジランド王国城下町・南街__


アイリンの家はジランド王国の南街にあり、冒険ギルドや商店街が中心に立ち並ぶ中に二階建ての一軒家があった。一人暮らしで賃貸ではあるが、アイリンは魔法使いということもあって裕福のようだ。


「さ、入って。」


アイリンに促され、家に入ると一階はあちこち本だらけだった。


「ごちゃごちゃしてるけど、二階の寝室だけは綺麗だから。」


アイリンが意味深に親指を立てる。リュウはどんな意味が隠されているのかわからず「そうか。」と頷くしかなかった。


「さぁくつろいで。私は日誌に一日の出来事を書くから。」


本がごちゃごちゃしてる一階の居間でくつろぐリュウ。アイリンがジャイアントロックドラゴンの戦闘の経験を日誌に書いているようだ。手持ちご無沙汰のリュウは手近にあった本を手に取る。文字習いたてではあったが、タイトルはなんとか読める。


「なになに・・・高飛車な王子と禁断のボーイズラヴ?」


リュウがパラララーと捲ると男同士のあれなこれな描写が目に入る。


「絵物語のようだが、内容が理解できん。アイリン、これはなんだ?」


アイリンがリュウの手にある本を見るなりに「!!!!!?」とダーッとリュウの手にあった本を奪い取った。


「今のは忘れて!!」


普段は冷静沈着で澄まし顔のアイリンが頬を紅潮し、慌てふためいていた。


「魔法関連で何か重要な本だったのか?」


「い・い・か・ら・わ・す・れ・て!!」


リュウはアイリンの有無言わさない重圧に負けて「わかった・・・。」とたじたじになるのであった。


「それよりもリュウ、頭を見せて。」


「ん?」


アイリンに言われたままに頭を傾ける。リュウの頭には折れ曲がっている二本の角がついている。


「ふむふむ。触っていい?」


「あぁ・・・。」


「感触は蜥蜴のゴツゴツな肌とそう変わりはない。なるほど。」


「(そういえば時おりに俺の体を調べたいと言っていたな・・・。)」


「上半身調べたい。脱いで。」


リュウが冒険者服を脱ぐが、体は人族の男性とそう変わらない。


「ふむふむ。蜥蜴族と人族とハーフだけど、特色としては角があるだけであとは人族と変わらない。尻尾もない。」


アイリンがペタペタとリュウの体を触っていくうちにだんだんと目の色が変わる。


「(*´Д`*)ハァハァハァ・・・萌え。」


「(心なしか鼻息が荒いような・・・。)」


リュウが先ほどのボーイズラヴの本にあった描写を思い出し、アイリンの特殊な性癖に危機感を覚えた。


「アイリン?」


リュウの呼びかけにアイリンが「あ。」と我に返ったようだ。リュウが改めて冒険服を着るとアイリンは咳払いする。


「コホン。蜥蜴族と人族のハーフということだけど、差し支えなければ蜥蜴族について教えて欲しい。生態をよく知らない。」


アイリンがピョコッとエルフ族の長耳を動かす。聞き逃すまいという姿勢のようだ。


「(え・・・それは・・・。)」


リュウが口モゴモゴに焦る。


「色々あったからなぁ・・・。(すまん。ドラゴンなので知りません。)」


だが、その答えにわかってましたとばかりのアイリン。


「ん。やはり苦労した?蜥蜴族は沼地や水辺に住む種族。人族としては合わない環境。おまけに蜥蜴族は爬虫類顔。そのハーフということは背景に様々な苦労が想像される。」


リュウの過去を勝手に想像されてしまうが、これ以上の追及がなくなるようで安堵する。


「次に蜥蜴族はドラゴン語ができるの?」


アイリンの最もな疑問をリュウに訊いた。


「(なにを答えたら正解かどうかわからんが、穏便に・・・)・・・あぁ。」


頷くしかなかったリュウ。 「・・・」と無表情にリュウの目をじっと見るアイリン。


「本当に?」


疑いの目を向けてくる。リュウは慌てながら、そこらへんにあった本を手に取る。


「アイリンは勉強家だな。」


話題を逸らすリュウにアイリンは仕方がなく、追求をやめた。


「魔法をメインにドラゴンや魔物の生態を調べるための本が多い。」


「さっきのボーイズ・・・」


アイリンが目をギロっとされたので蒸し返すのはやめた。


リュウがたまたま手に取った本にはドラゴンの絵からドラゴン関連の本だろうと推測される。自らがドラゴンということもあり、興味本位に「本にドラゴンってどう書かれてるんだ?」と訊いた。


「ん。下位竜、中位竜、上位竜、そしてすべての生態系の頂点に四大竜がいる。その四大竜は天変地異クラスの魔法を操り、人間では太刀打ちできないとも言われる。」


「四大竜は暴竜、魔竜、神竜、そして覇竜様。人族の言葉を解するのは神竜と覇竜様の二体と言われている。このジランド王国は覇竜様に関わる記録が多く、数々の冒険者が勝負を挑んだ証言が多数残ってる。」


「30年前にリーゼのお父さんとその執事のセバスチャン、賢者マクスウェルと共に覇竜様に勝負を挑んで鱗を剥ぎ取ったら、ボコボコにされた・・・とリーゼに聞いた。」


それを聞いたリュウが懐かしい表情をする。


「(リーゼはあのときのやつの娘だったのか・・・)」


 ̄ ̄回想 覇竜のいる南の山 ̄ ̄


「豪腕・竜殺し!!」


全身鎧を着た男が覇竜の首を狙って大剣を振りかぶる。大剣を防ぐために腕で防御するが、鱗を剥ぎ取られた。


「グァッ。」


ダメージを受ける覇竜。


「よっしゃー!いけるぜー!」


喜ぶ男に覇竜は「ダメージを受けるのは久方ぶりだ・・・。お前たち、名はなんという?」と尋ねる。


「カインズ・トランスロッド!Aランク冒険者!!覇竜の首を頂くぜ!!」


全身鎧のカインズが大剣を構える。その横に並ぶ黒髪オールバックの若きセバスチャンがいた。


「私はオルド・ディーラーと申します。Aランク冒険者として活動しております。」


オルドことセバスチャンが徒手空拳で構えた。二人の背後に空中に漂っている白髭ふさふさのヨボヨボ老人が杖を構える。


「フォッフォッ、賢者マクスウェルじゃよ。冒険者ではないがのぅ。」


「カインズ、オルド、マクスウェル。私はこれより本気を出すが・・・死ぬなよ。」


覇竜の言葉に「!?」と三人は身構える。覇竜は飛び立ち、「ドラゴン魔法・天候操作!!」と唱えた。すると積乱雲が周辺にグルリグルリと回りだし、大雨が振り、強風が荒れ狂う。


「なんだぁぁぁぁー!」


あまりの天候の急変に対応しきれず、防御体勢に徹する三人。覇竜がさらに魔法を繰り出す。


「雷魔法(上級)稲妻×3」


「風魔法(上級)竜巻×3」


「水魔法(上級)水柱×3」


三人の三方にそれぞれの上級魔法が迫ってくる。


「こ、これは自分の有利な領域に引き込み、天候によって魔法を増強させ、連発が可能なのかっ!!」


マクスウェルが驚く。


セバスチャンが「稲妻は私が防ぎます!」と稲妻三発を相手にする。


マクスウェルが「なら儂は水柱じゃな。」と水柱三発に対応する。


そして最後にカインズが「うぉぉぉっ!」と竜巻三発を大剣で立ち向かう。


激しい衝突音がしたのだった・・・・。



 ̄ ̄回想終了 ̄ ̄


「(あれから30年か・・・。)」


リュウが感慨更けてるとアイリンが「どうした?」とリュウの顔を覗き込む。


「い、いや、なんでもない。」


リュウが答えると「じゃ、寝よ。」と二人で二階の寝室に入るとベッドが一つ。


「俺はどこで寝るんだ?」


「一緒に寝る。」


アイリンがリュウを引っ張ってベッドインした。


「既成事実歓迎。」


「・・・寝る。」


「残念。」


アイリンはリュウが就寝したのを見届けるとその寝顔をじっくり見る。


「(どうもリュウは嘘をついている気がする。蜥蜴族の肌に年齢層が現れることが多い。十五歳だと聞いていたけど、リュウの角から年齢層を考えると相当な長生きしている。)」


アイリンはリュウの角から木の年輪ごとく肌質から長生きだと見抜いたようだ。


「(それにジャイアントロックドラゴンが姿を消したその時、魔力探知でリュウが魔力を発動していたのを捉えた。おそらく何らかの魔法でジャイアントロックドラゴンを助けたのだとしたら・・・。リュウはドラゴンに関わりがある?)」


「(可能性としてはドラゴンと人間の間に生まれた?いや、ドラゴンの血が濃く、それは不可能。)」


アイリンは色々と可能性を模索するが、リュウが寝ながらアイリンを抱き締める。リュウの可愛い寝顔にアイリンはドキッとして、考えるのをやめてそのまま暖かな気持ちに包まれながら寝るのだった・・・。

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