第百五十四話覇竜の回想⑳「ワルーイ王国クーデター④」
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
ワルーイ王が魔女アルテミシアに追い詰められ、尻餅つきながら後ずさる。
「ま、待つじゃも!余が何をしたというのじゃも!?」
魔女アルテミシアが冷酷な表情で見下す。
「お前にとって王はなんだ?答えろ。」
「王は思うがままに出来る存在じゃも。国民全てが余に尽くすのじゃもぉ。ジランドはそれが欲しくて、国民人気取りをやっていたのじゃろ?」
魔女アルテミシアは怒りによって、こめかみに「#」と筋が浮かぶ。
ジランドと魔女アルテミシアはワルーイ王のために国民のためにワルーイ王国のために尽くし、最終的にはワルーイ王の嫉妬心から追い出された。
『ギンちゃん。捕まえて、そっちに連れていけ。』
『あいよ。』
成体覇竜がワルーイ王を三本鉤爪でガシッと捕まえる。
「食われるのじゃも?!や、やめたもれ!!」
ワルーイ王は暴れるが、成体覇竜によってギュッと締め付けられた。そのまま大広間から国全体を見渡せる見晴らしの高台に連れていく。
ワルーイ王に国全体を見せる。
「こ、これはなんじゃもぉ!」
獣系の魔物行進が入り込まれ、あちこち火の手が上がり、国民の阿鼻叫喚が聞こえる。
「最期に訊こう。この光景を見て、お前はどうしたい?」
「し、知らん!!余は死にたくないじゃもっ!!」
国民をないがしろにする返事に魔女アルテミシアは決断した。
「お前が少しでも国民を思いやれば・・・と思っていたが、無駄だったな。」
成体覇竜の口があーんと開く。どうやらワルーイ王を食う準備しているようだ。
「王とは国民を守り、幸せに導くために存在する。いわば国の象徴。だが、お前は贅沢三昧を繰り返した。そのでっぷり付いた脂肪はなんだ?食われるためのものか?」
「や、やめるじゃもぉぉぉ!!」
魔女アルテミシアが『もう食っていいぞ』と成体覇竜に許可する。
成体覇竜は待ってましたとワルーイ王を食おうとした。
その瞬間、両手に二本の剣を持った影が前方の手すりから現れ、バビュッと素早く成体覇竜の鉤爪に裂傷を負わせ、ワルーイ王を助けた。
「遅ればせながら、馳せ参じました!!」
「ラーセイルじゃもかっ!」
その影はラーセイル近衛総大将だった。ほぼ垂直であった見晴らしの高台を駆け上って手すりから現れ、ワルーイ王を奪還したようだ。
「ラーセイルか。」
「魔女アルテミシア!!」
「お前のワルーイ王の忠誠心は見事だが、果たして忠義を尽くす価値はあるのか?」
「先代の王に託されたのだ!!この命を賭して守ると誓った!!」
「やれやれ、頑固者だな。見限れば良いものを。」
「ワルーイ王様、お下がりください!私めが打ち倒してきましょう!!」
ラーセイル近衛総大将が両手の剣を構え、成体覇竜と相対する。
『気を付けろ。ジランドと並ぶほどの手練れだ。』
成体覇竜が『ほう。』とにやりと不敵に笑い、戦闘に入る。
 ̄ワルーイ王国城下町・正門 ̄
「正門が開きっぱなしだ!警備騎士は何を・・・っていねぇ!!門を放棄して逃げたのか!」
ジランドたちが正門に到着すると正門が開きっぱなしでまさに魔物入り放題の状況であった。
「キウル!門を閉じろ!!周囲の魔物はオレたちが片付ける!」
「はい!」
キウルが門扉開閉式のハンドル式レバーを握って円のように漕ぐ。するとギーコギーコとハンドル式レバーの歯車が鳴り、連動してゆっくりと門が閉じようとする。
キウルはその間、無防備になるため、周囲の魔物を片付けるジランドたち。
正門の向こうから飛びきりデカい魔物が現れる。ゼシリアがその魔物を見るなりに叫ぶ。
「ジランド!あれが獣系魔物行進のボスだ!!以前に私の住むエルフの里を滅ぼしたヤツだ!!」
「デカいワン!!」
ジランドがその魔物を認識する。
「Aランク魔物のアーマードベアーか!!めんどくせぇやつだ!!」
Aランク魔物・アーマードベアー
基本は四足歩行だが、立ち上がると7Mある熊の魔物。毛並みが鋼鉄以上に硬く、魔法耐性が高い魔物。ただし弱点は水魔法である。
「水魔法の上級は持ってないかっ?!」
魔法持ちのゼシリアとビラに訊く。
「すまない。私は中級までだ。」
「ごめーん。」
二人は首を横に振る。
「ちと、やりづらくなるな!」
アーマードベアーが四足歩行でノロノロと正門に向かってくる。どうやら鋼鉄以上の毛並みに重量があるらしく、鈍重のようだ。
「キウル!早く門を閉じろ!時間稼ぐぞ!!」
「はい!」
キウルがギーコギーコとハンドル式レバーを回す。アーマードベアーより門が閉じるほうが早いようだ。
「なんだ、おせぇじゃねぇかワン?これなら余裕で門が閉まるだろワン?」
シバケンが閉じられようとする正門から顔を覗かせる。するとアーマードベアーが丸まった。と思いきや転がる。
「熊熊回転!!」
アーマードベアーが勢いよく転がった。閉じられようとする正門を潜り抜けた。そのままシバケンに当てようとする。
「うわぁワン!」
シバケンがかろうじて避けるとアーマードベアーは民家をなぎ倒す。崩れた民家からアーマードベアーが出てくる。
「仕方がねぇ!力ずくで倒すしかねぇか!!」
ジランドが大剣を持って、アーマードベアーと対峙する。後ろにシバケン、ゼシリア、正門を閉じて合流するキウル。※小人のビラは非戦闘要員扱いである。
「ガォォォォッ!!熊熊奮迅!!」
アーマードベアーが四足歩行で突っ込んでくる。
「皆、気を付けろよ!」
ジランドが様子見とばかりに大剣を振るうも全身が鋼鉄並の毛皮で覆われているアーマードベアーからガキッと鈍い音が出る。
「かてぇな!」
余りの硬さに手がジーンとくる。シバケンの攻撃もキウルが弓で矢を射るも効かない。ゼシリアが水魔法で弱らせようと試みる。
「水魔法(中級)・アクアショット×3」
高速の水弾丸を発射するとやや嫌がる素振りを見せる。
「効いてないわけではないが、水量が圧倒的に足りない!!」
「ガオォォッ!!」
四足歩行のアーマードベアーが再び、丸まる。
「熊熊回転!!」
転がる攻撃する。一直線攻撃かと思うジランドたちは簡単に避けたが、角度を変えて転がった。どうやら方向転換機能付きのようだ。
「ちっ!豪腕・一刀両断!!」
アーマードベアーの丸まった身体をボールと見立て、全力で叩き斬る。
「グギャァ!!」
ダメージが入り、丸まった体勢を崩した。だが、衝撃が入っただけで裂傷は負ってなかった。
「らちがあかねぇ!!大量の水をぶっかけて弱らせたほうが早い!!」
「ジランドさん!近くに小川が流れています!そこに誘導しましょう!!」
「採用!!」
キウルの提案に乗るジランド。ちょうどアーマードベアーが丸まる。再び転がるようだ。
「熊熊回転!!」
ジランドたちに目掛けて転がる。
「よし!小川まで引き付けろ!!」
ジランドとシバケンが小川まで誘導する。
「神速!!」
「うおぉぉぉぉワン!!」
ジランドが素早さを上げるスキルを使い、駆ける。シバケンは獣人族の持ち前の獣の脚で駆ける。背後にアーマードベアーが大岩よろしく転がる。
そうして誘導し、途中からスラム街に変わり、強烈な異臭を感じながら、小川にたどり着く。
「もうすぐ小川・・・って汚ねぇ!!汚物の匂いがきついじゃねぇか!!」
小川は泥水のように濁り、汚物がぶちまけられていたのだ。周囲はスラムで管理が届いてなかったようだ。シバケンが犬鼻を両手で抑える。鼻の良い獣人族からしたら、きついだろう。
「あ、止まったワン!!」
シバケンと同じく嗅覚の良いアーマードベアーが嫌がり、留まった。四足歩行で逃げるかのように方向転換しようとする。
「うおっ!待ちやがれ!!」
ジランドがアーマードベアーの前に回り込む。アーマードベアーが立ち上がり、「熊熊クロー!!」と腕を振りかぶろうとする。
「オレと一緒に入ろう!汚物だらけの小川にな!!」
ジランドが大剣を凸に構える。
「剣技・竜牙突!!」
ジランドが突っ込み、アーマードベアーを「く」のように体勢を崩させて、そのままの勢いで汚物だらけの小川に入る。
「くせぇぇぇぇぇぇっ!」!
「ギャァァァッ(くさぁぁぁぁっ!!)」
ジランドとアーマードベアーがあまりの臭さに苦しむ。だが、アーマードベアーが汚物の水を被ったことで鋼鉄以上の毛皮がしなだれていく。
「今です!!」
キウルとゼシリアが弓を放ち、シバケンが投石する。
「ギャァァァッ!!」
さっきまでの硬さが嘘のようにダメージが通るアーマードベアー。防御力が大幅に低下したようだ。ジランドもまた大剣を構える。
「これで終わりだ!」
ジランドが大剣を振るい、アーマードベアーの断末魔の雄叫びを上げて倒れた。
「やったー!!」
キウルたちがアーマードベアーを倒して喜ぶ。ジランドが汚物の小川から這い出す。
「勝利の歓喜を一緒に・・・。」
ジランドが汚物だらけの身体でじりじりとシバケンとキウル、ゼシリア、ビラに近寄ろうとする。
「キウル・・・・。」
「ち、近寄らないでください!」
キウルが後ずさる。
「シバケン・・・。」
「すまんワン。」
シバケンが鼻を抑えて逃げる。
「ゼシリア・・・。」
「私たちの里を滅ぼした敵を討って感謝するが、臭いから近寄るな。」
ゼシリアが顔を背ける。
「ビラ・・・。」
「仕方がないなぁ。浄化魔法の洗浄をかけてあげるよ。」
ビラが浄化魔法をかけると汚物まみれのジランドが綺麗になった。
「助かった・・・。」
「よ、良かったですね。」
キウルの頭にジランドのげんこつが飛んだ。
「いったぁぁぁぁ!」
「ちゃんと管理しろ!衛生環境が悪すぎる!!すべてが終わったら、掃除だ!!」
「すみませんー!!」
「さぁ、門は閉じた。あとは残った魔物を掃討だ!!」
ジランドたちは門を閉じたことで魔物はこれ以上入ってこない。加えて獣系の魔物行進のボスを倒したことで魔物たちの統率が乱れた。
元部下のゲイルとその仲間がワルーイ王国騎士団を掌握し、ジランドたちと共に残った魔物を掃討開始するのであった。
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