第百五十二話覇竜の回想⑱「ワルーイ王国クーデター②」
人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
ジランドが死刑執行のために絞首台に立たされ、輪のロープに首を突っ込まれる。それを見たキウルたちがジランド救出のために突入する。
同時に多くの国民がごった返す広場から悲鳴が上がる。
「わー!魔物だ!」
「木の魔物が入り込まれてるぞ!」
多くの国民が木の魔物から逃げ出さんと騒ぐ。先頭に立つのは木の魔物である人面樹だった。※キウルたちは透明のため見えない。
「あれは・・・オレが倒したはずじゃねぇか。」
その様子にジランドが驚く。人面樹が多数の国民など眼中にないとばかりに人々をかきわけ、ラーセイル近衛総大将に向かっていた。
「クソォォォォッ!!」
ゼシリアによって操られ、身体の自由が利かない人面樹は、木の根を足ごとく動かし、駆ける。
「城下町正門の警備は何やってるんだ!えぇい!ラーセイル近衛総大将の手を煩わせるな!!」
周辺を警備していた騎士が数人がかりで立ち向かうも「邪魔するな!」とゼシリアによって操られる人面樹に蹴散らされた。
ラーセイル近衛総大将が帯刀している二本の剣をそれぞれ両手に持ち出す。刀身こそ細いが、取り回し重視の二刀流のようだ。
「(この絞首台に目掛けて一直線に向かってきている。ジランドの仕業にしては・・・違うな。)」
ラーセイル近衛総大将はチラッとジランドの驚く表情を見て判断した。そして応戦すべく、絞首台が設置されている高台から飛び降り、人面樹と戦闘に入る。
「枝の鞭!!」
人面樹の複数の木の枝が伸び、鞭ごとくラーセイル近衛総大将に襲いかかる。ラーセイル近衛総大将が二本の剣を構え、迎え撃つ。
「二刀流・つばめ返し!!」
上手く受け流し、なおかつ切り返し攻撃で枝の鞭を斬りまくる。
「ゲェェェッ!!ツ、強イ!!?」
次々と枝が斬られ、焦る人面樹。
「(人面樹は狡猾な魔物のはず。人前に姿をさらすとは思えん。となれば、操っている術者がいるはずだ。)」
ラーセイル近衛総大将はそうと冷静に見抜き、「気配探知!!」と気配を探る。すると透明のキウルたちを見つける。
キウルとシバケン、ビラがジランドの救出に回り込み、ゼシリアは人面樹を操りながら、人面樹の背後を隠れるように動いてた。
「しまっ!?処刑人!!早く執行しろ!!」
ラーセイル近衛総大将が焦り、処刑人に絞首台の床が開くボタンを押させるように通達した。
「は、はい!」
処刑人がその通りにポチッとボタンを押した。
絞首台の輪のロープに首を突っ込まれているジランドの床が開く。
「うおっ!」
ジランドは一瞬宙に浮き、このまま行けば、首を吊ってしまう。だが・・・。
「えいっ!」
それよりも早くビラがロープを切った。ジランドは首を吊ることはなく、そのまま落下する。ちなみに絞首台が設置されている高台は5Mほどであった。
「な、なんだぁぁぁ!?」
ジランドは事態を飲み込めないまま、落下してしまう。そして落下場所にキウルとシバケンがおり、ジランドをドシンと受け止めた。そこでようやく透明のキウルたちに気付いた。
「キウルたち!?な、何故、ここに!?」
「話は後です!!逃げましょう!!」
「あ、あぁ!」
ジランドには両手に手錠、片足に1つの鉄球がついていた。逃げ足がやや鈍るも駆け出せた。
だが、キウルたちの姿が見えず、気配を探りながら、ややキョロキョロしてしまう。そこにビラと合流する。
「姿が見えないのは不便だから、透明魔法解除するね!!」
ようやくキウルたちの姿が見えた。ジランドたちが逃げようとする先に二人の処刑人が立ちはだかる。
突如、キウルたちの姿を現れたことに対して、二人の処刑人が驚くも「逃がすかぁ!?」と曲刃短剣のククリ刀を振るう。
「うわぁ!」
一人の処刑人のククリ刀をキウルが避けた。
「ぐぬっワンッ!!」
もう一人の処刑人のククリ刀をシバケンが爪を伸ばし、魔力を込め、硬化させ、「魔爪」で受け止めた。
「ここで逃がせば俺たちの首が文字通り飛んでしまう!!」
二人の処刑人と戦闘に入る・・・かと思いきや背後に影が現れる。
「「ぐはぁっ!」」
二人の処刑人がその影に不意打ちを受け、倒れた。
その影がシュタッと素早い動きでジランドたちに対してひざまずいた。
「ジランド騎士団長!お待ちしておりました!!」
その姿は全身鎧に甲冑を被っていた。
「その声は・・・元部下のゲイル?!」
ゲイルと呼ばれた男は、かつてジランドがワルーイ王国騎士団長を務めていたときの部下だった。
「ハッ!魔女アルテミシアの言いつけ通りにクーデターの準備は整ってございます!!」
「クーデター?!待て!お前は何を言ってる!?」
「ジランド騎士団長が再びワルーイ王国に現れたときこそがクーデターを起こすときだと魔女アルテミシアは申しておりました!その時を待ち、仲間と共に力を蓄えておりました!!」
どうやら魔女アルテミシアはジランドの知らないところでゲイルとクーデターについてのやり取りを行っていたようだ。
ジランドがハッとキウルたちを見る。
「まさかお前たちもか?!」
「やろうワン!!村を焼き討ちしようとしたワルーイ王国に報いを受けさせるワン!!」
シバケンが吠える。
「いや、僕は反対したんですけど・・・。」
キウルが苦い表情する。
「アルテミシアはどこにいる!?」
ジランドが国民たちを犠牲にする方法を取ろうとするアルテミシアを止めねばと焦る。
その時に人面樹が「ギャァァァァッ!!」と断末魔の悲鳴が上がった。振り返ると幹を斬られ、再び切り株となった人面樹の姿があった。
「くっ!人面樹がやられた!!」
ゼシリアがジランドたちと合流する。
ラーセイル近衛総大将が人面樹の切り株を足蹴に二本の剣を両手に持ち、厳しい表情する。
「ジランド!!やはり反逆を企てていたな!?」
「あ、あー。お前からしたら、そうなっちまうか・・・。誤解しないでくれ!オレは・・・。」
「黙れ!ワルーイ王様及びワルーイ王国に仇なすものはこの私自らが殺してくれよう!!」
ラーセイル近衛総大将は威圧感を放ち、殺気がほとばしった。
ジランドたちは逃げるために背を向けたら、斬られると直感し、相対したままじりじり下がる。
「おい、ラーセイル・・・。」
「死刑執行の続きだ!!」
ラーセイル近衛総大将が二本の剣を振るわんと動こうとした矢先に周囲の国民たちがまたもや悲鳴が上がる。
「な、なんだ?」
ジランドたちもラーセイル近衛総大将も足を止め、キョロキョロする。
「狼の魔物が入り込まれてるぞ!」
「こっちは熊だぁー!!」
国民たちが狼と熊の魔物が現れ、逃げ惑う。
「ジランド!これもお前の仕業か!?」
「ちげぇ!オレも次から次と何がなんだかわかんねぇっつの!!」
そこにモブが現れる。ラーセイル近衛総大将に地を這うようにガタブル平伏する。
「も、申し訳ございません!魔女アルテミシア逮捕及びドラゴン捕縛に失敗しました!!」
「・・・なんだと!」
ラーセイル近衛総大将がモブにギロリッと冷酷な目付きで見た。
「ではこれは魔女アルテミシアの仕業か?!」
「は、はい!!」
「ならば死ねっ!!」
「ぎゃぁぁぁー!!」
ラーセイル近衛総大将がモブを斬り殺した。
国民の広場に狼と熊の魔物たちが現れ、阿鼻叫喚になる中、上空に一体の魔物が飛来する。その側に一人の女性がいた。
それは銀色のドラゴンこと成体覇竜と魔女アルテミシアだった。その方向先はワルーイ王国城であった。
「アルテミシア!!」
ジランドの声に魔女アルテミシアはにやりと笑う。
「英雄になるための御膳立ては出来た。」
魔女アルテミシアはそう言い残し、成体覇竜と共にワルーイ王国城を襲撃するのであった・・・。
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