第百五十話覇竜の回想⑯魔女アルテミシアが動く
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
 ̄山奥の寂れたコテージ ̄
コテージに包囲するワルーイ王国騎士団の面々。その騎士団長のモブが高らかに声を上げる。
「魔女アルテミシア!出てこい!!」
コテージから魔女アルテミシアが出てくる。
「騒々しい。何事だ?」
「罪状を読み上げろ!」
モブが部下に指示し、読み上げさせる。
「魔女アルテミシアには国家反逆罪の嫌疑がかけられている。ドラゴンを使役し、ワルーイ王国の転覆を企てる恐れがある。よって、魔女アルテミシアを逮捕及びドラゴン捕縛する。」
「なお、お前の住む村を占領してる。つまり村人たちが人質だ!反抗などは考えるな!!」
モブはそう脅し、魔女アルテミシアを大人しくさせ、小型覇竜を捕縛出来ると見込んでいた。
魔女アルテミシアがやれやれと溜め息つく。
「私はジランドのように甘くはないよ。」
「反抗するつもりか!?」
「私はワルーイ王国が嫌いなんだよ。それに・・・死ぬ覚悟してないだろう?」
「なんだと?!」
魔女アルテミシアが「ギンちゃん!」と高らかに叫ぶ。するとどことなく木々をかきわけ、銀色のドラゴンが現れた。
「な・・・な・・・。」
モブが驚きの目で見る。ジランドと戦ったときよりさらに成長し、約10M級の成体である。
「モブ騎士団長!話が違います!5M級の小型ドラゴンではありませんでしたか!?捕縛は不可能です!!」
モブの部下たちに恐怖の色が出る。
『なんだ?』
『こいつを捕まえろ。』
アルテミシアがモブに指を差す。成体覇竜がその通りに鍵爪の手であっさりとモブを握りしめる。
「ぎゃぁー!待て待て!人質がどうなってもいいのか!?」
「私に脅しは通用しない。」
魔女アルテミシアの本気の目にモブが青ざめ、ジタバタする。だが、成体覇竜に握りしめられ、脱出が出来ない。
「お、お前ら!た、助けろ!!」
モブの部下であるワルーイ王国騎士団の面々に助けを求めるも、部下たちは恐れをなし、蜘蛛の子のように散り散りに逃走していった。
「に、逃げるなぁぁー!!」
「お前、人望がないな。」
誰もモブを助けようとしない様子に魔女アルテミシアが嘲笑した。
「確か、村を占領してると言ったな。引き上げさせろ。」
「そ、それは困る!ワルーイ王様とラーセイル近衛総大将に殺される!!」
「なら、今死ぬか?あとに死ぬか?選べ。」
「ぐっ・・・。わ、わかった。引き上げさせるから、助けてくれ・・・。」
魔女アルテミシアは頷き、モブを握りしめた成体覇竜と共に村へ向かう。
 ̄ジランドの住む村 ̄
村人たちを一つに集め、まとまってる形になり、ワルーイ王国騎士団の面々が見張っていた。
「めんどくせぇ・・・。焼き払えば仕事は終わりだろ?」
「あぁ、楽な仕事と言うから来たのにな。終わったら、酒場行きてぇ。」
村を占領しているモブの部下たちはやる気なさそうな表情だった。
その会話を聞いたシバケンがギリッと歯を噛みしめ、ゼシリアが憤る。
「ボスは何故、こいつらの言うことを聞くんだ!!」
「ジランドは対話で解決しようとしているが、会話を聞く限りそう思えない!」
「こうなればやるかやられるかの問題になるワン!!」
二人の怒りが村人たちに伝染する。このままでは暴動が起きる状況にこれはまずいとキウルが「落ち着いてください!」と止める。
「元と言えばお前のせいだワン!」
シバケンがキウルに掴みかかる。
「ぼ、僕はジランドさんに、村に、火の粉が振りかからないように報告しました!だけど、僕の力不足は認めます!!」
それでもシバケンの怒りが収まらず、キウルを殴ろうとするが、妖精族の小人のビラがシバケンの顔に張り付いて止めた。
「揉めても仕方がないでしょ!!」
「だけどよ、どうすればいいワン!黙ってやられろと言うのかワン!!」
そこに元村長のじいさんがシバケンの肩をつかむ。
「焦りは良い結果を生まぬ。静かに待つのじゃ。力ずくで行っても鎮圧されるだけじゃ。」
「・・・ちっ。」
シバケンはどっかりと座り込む。ゼシリアも蜂起しかけていた他の村人も座り込んだ。元村長の言葉に冷静となり、暴動を防げた格好になった。
「あ、ありがとうございます。」
キウルがホッとした。
そしてしばらくすると村を占領していたワルーイ王国騎士団の悲鳴があちこち上がる。
「な、なんだワン?」
村を囲む木製の防壁の外から、ドスンドスンと地響きが鳴る。そこに逃げ惑うような悲鳴も聞こえた。心なしか防壁のさらに上にドラゴンの角が見える。
村人たちを包囲し、見張っていた騎士たちも何事かと村の出入口へ様子を見に行く。すると「うわぁぁぁー」と悲鳴が上がる。
キウルもシバケンもゼシリアもビラもその他の村人たちも何事かと村の出入口に駆ける。
そこには巨大なドラゴンの姿があった。その側に魔女アルテミシアがいた。
「引き上げさせたから、助けてくれ!!」
成体覇竜に握りしめられているモブがワルーイ王国騎士団を引き上げさせたようだ。
『離してやれ。』
成体覇竜はポイッとモブを投げ捨てる。
「ひぃぃぃぃー!!」
モブはそのまま逃げ出していった。
魔女アルテミシアがキウルたちのほうに振り返る。
「ジランドはワルーイ王国に行ったのか?」
「あ、はい。」
キウルが返事した。
「そうか。相変わらず甘いな。ワルーイ王とラーセイルに対話で解決できる訳がなかろうに。」
魔女アルテミシアが盛大に溜め息ついた。
「あの、その・・・ドラゴン大きくなりましたよね?ちゃんと言うこと聞いてるでしょうか?」
キウルが大きくなった成体覇竜にビクビクしながら、魔女アルテミシアに訊いた。
「強くさせてやると条件を交わし、言うことを聞いてもらってる。今はジランドのリベンジに燃えてるようだ。そして目的達成に協力してもらう。」
「目的?」
「ワルーイ王国を潰す。」
魔女アルテミシアの言葉にキウルたちが驚く。
「それはいいワン!!ドラゴンを使って潰すのか!?」
「ワルーイ王国の横暴には辟易していたところだ!協力させてくれ。」
シバケンとゼシリアが賛同する。だが、キウルが待ったをかける。
「待ってください・・・そこに住む国民を犠牲にするつもりですか!?」
だが、シバケンとゼシリアが冷酷な目付きでキウルを見る。
「先程のワルーイ王国騎士団を見ただろワン!!」
「我々のような異種族をつまはじきにする。それにお前はワルーイ王国を捨ててきたはずだ。」
「ぐっ・・・。」
キウルが黙り込む。
「すまない。言葉足らずだったか。」
魔女アルテミシアがワルーイ王国を潰す発言を補足する。
「ワルーイ王国の腐った上層部を排除する。クーデターだ。だが、私のやろうとすることは国民に血を流すことに変わりはない。」
「クーデター?具体的にどうやるの?」
ビラが首を傾げる。
「ふむ。・・・お前たち、英雄の一員になる気はあるか?」
魔女アルテミシアはそう言い、クーデターの概要を伝える。
するとキウルが愕然とした表情する。シバケンとゼシリアがにやりと笑う。
「それでジランドが王になるなら悪くねぇワン!俺は乗った!」
「私もだ。ジランドなら私たち異種族を対等な立場に引き上げてくれるだろう。」
二人はクーデターに同意し、協力するようだ。
「そんなに上手く行くのかな・・・。」
ビラが腕を組んで考える。
「クーデターはジランドがキーとなる。そのためにお前たちにジランドの救出を任せる。少人数でな。」
「あぁ、わかったワン!」
魔女アルテミシアがキウルに振り向く。
「ワルーイ王国の中を知るお前が案内してくれ。頼んだぞ。」
「ま、待ってください!あなたが歴史に残る大罪人となってしまうのではありませんか?!ジランドさんはそう望んでないと思います!!」
キウルが反対するも魔女アルテミシアは「優しいな君は。」とふっと笑う。
「誰かがやらねばいけない。それが私だったということだ。」
「アルテミシアさん・・・。」
「私は行く。仕込みが必要だからな。」
魔女アルテミシアは「風魔法(上級)・飛翔」で空を飛ぶ。成体覇竜も翼を羽ばたき飛ぶ。キウルたちと別れる。
 ̄成体覇竜の視点 ̄
魔女アルテミシアをついて飛ぶ成体覇竜。
「(ワルーイ王国を潰す。そしてそこでジランドと再戦の機会を与えると魔女アルテミシアはドラゴン語で言った。)
「(だが、先程の人間たちの会話から察するに・・・おそらくボクを悪役として仕立て上げるようだな。)」
成体覇竜は人族の言語をとこどころで理解出来るようになっていた。魔女アルテミシアは理解出来ていることに気付かない。
「(ボクがワルーイ王国を暴れまわって、ジランドに退治される。すると周りから英雄と持てはやされるようだ。なるほど。)」
成体覇竜はにやりと笑う。
「(アルテミシアの思い通りにさせない。ジランドを倒し、ワルーイ王国を滅ぼしてやる!)」
魔女アルテミシアの目論見を粉砕してやる!と目をギラつかせる。
こうしてワルーイ王国に戦乱を巻き起こす時が刻々近づいていくのであった・・・。
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