第百四十九話覇竜の回想⑮ジランド逮捕!?
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!!
ワルーイ王国へ向かう馬車が一台 。だが、見た目は鉄格子が囲まれ、牢屋を連想させる馬車。それに囲み、馬に騎乗する騎士たちが十数人いた。
「ははは、VIP扱いとは嬉しいねぇ。」
あぐらをかくジランドが高笑いする。その両手には手錠がかけられていた。足には逃げられないように重しの鉄球が付けられていた。まるで囚人かのようであった。
「逮捕されたというのに余裕だな。」
馬車を操る騎士が声をかけた。ジランドはどうやら捕まってるようだ。
「余裕なにも想定内だったからな。」
「このまま死刑になるとしてもか?」
「オレは間違ったことしちゃいねぇ。ワルーイ王とラーセイルの馬鹿野郎に文句つけたる。」
ジランドがそう意気込むと騎士が「ひゅー♪」と面白げな表情する。
「さすがですなぁ。俺たちは仕事するだけです。恨まんといてくださいよ。」
「あぁ。オレの村に手出さなければな。」
ジランドは自らのいる村がある方向に目をやる。
ジランドがどうして逮捕されたのか時間を巻き戻そう。
 ̄回想 ̄
 ̄ジランドの住む村 ̄
ジランドはいつも通りに木製の防壁に囲まれた村の出入口を警備していた。
「何事もなく平和が一番だ。」
ジランドの住む村は数週間、波乱もなく平穏に過ごせていた。だが、そこを乱すかのように一人の男が現れた。
「ぜぇーぜぇー。」
走り続けて来たのか、汗にまみれ、息が上がる男。全身鎧に癖毛の金髪で幼さがやっと抜けた好青年ことキウルだった。
「キウル?」
キウルはジランドを見るなりに涙ながらに足にしがみつく。
「助けてくださいぃぃぃぃぃー!!」
「な、なんだ!?」
ジランドが涙目のキウルに事情を訊く。
「実はですね・・・。」
キウルの話によると以前の魔物行進の調査任務をラーセイル近衛総大将に報告する際に二つの情報隠蔽した。
・ジランドの村には異種族が住んでいること
・魔女アルテミシアがドラゴンを従えていること
それがキウルの部下の密告により、バレて、情報隠蔽の罪として死刑にさせられそうになり、逃げてきたとのこと。
「怒られるだろうなと思ってたら、まさか死刑までになるとは・・・。ワルーイ王もラーセイル近衛総大将もジランドさんのことになると目の敵!と平気で越権行為しますねぇ。」
キウルが溜め息つく。そして手を合わせ、謝罪ポーズをとる。
「すみません!ワルーイ王とラーセイル近衛総大将はこれを機に村の取り潰しが行われるべくワルーイ王国騎士団が動いてます!!」
「あーやっぱりそうなるかぁ。」
ジランドが頭を抱える。
「僕はもう騎士団長をクビになりましたので、こっちに住みたいんですよ。死刑は嫌ですよぉぉぉぉっ!!」
「あぁ、オレにも責任があるから、面倒見てやるよ。」
ジランドの言葉にキウルがホッとした。
「ああ、騎士男爵家の父上と母上には顔向けが出来ませんが・・・もうワルーイ王国は嫌です!!」
こうしてキウルもジランドと共に警備の仕事に就いた。
 ̄後日 ̄
キウルの言葉通りに村の周囲にワルーイ王国騎士団が取り囲んでいた。ワルーイ王国の全戦力を投入してますと言わんばかりに圧倒的な人数であった。
村の出入口の開閉門扉式に立つジランドとキウルに一人の全身鎧の男がやってくる。
「村長いるか!」
騎士団の代表格らしき者のようだ。
「騒々しい団体だな。」
「あ、モブじゃないですか!!」
キウルが代表格らしき者に指を差す。
「ジランドと・・・これはこれはキウル『元』騎士団長ではありませんか。」
モブと呼ばれた男がにやにやする。ジランドが思い出したかのような表情する。
「見たことあるな。こいつ、キウルの部下だった男か。」
モブは以前の魔物行進調査任務に同行したキウルの部下のようだ。
「いやぁ、密告しただけであっさりと出世しまして、お陰様で騎士団長になれましたよ。」
「お、お前がチクったのか!?」
どうやら密告したのはモブのようだ。人を蹴落としてまで出世したがるタイプの人間であった。
「くっくっ、お前は死刑から逃げ出したようだが、感謝してるので見逃してやろう。それよりもどうだ?圧巻だろう。」
モブは自慢するかのように騎士団の面々を見ながら、力を手にしたと言わんばかりの表情する。
「自分がこの騎士団の団長かというと胸が熱くなるね。」
自己陶酔に浸るモブにジランドがつまらなそうに耳をほじる。
「魔物にビビってたお前が騎士団長だなんて、ワルーイ王国は人材がいねぇんだな。」
「う、うるさい!」
ジランドの嘲笑に顔を赤くするモブ。
「それで何の用だ?」
「村長を呼べ!!」
村の出入口で騒いでるのを耳にし、駆けつけてくる様々な種族の住人。そしてモブの言葉により村長が杖をつきながら現れた。
「儂がそうじゃ。これは何事じゃ?」
「おい!罪状を読み上げろ!!」
モブの言葉に部下の一人が前に出て、罪状を読み上げる。
「ワルーイ王国の法律に異種族排斥法がある。その法に乗っ取り、人族以外の異種族はワルーイ王国の領民に該当せず、また生活は認められない。よって違反した場合は責任者が死刑となる。」
要は異種族は人間以下の扱いということだ。
「責任者とはこの場合は村長の儂ということになるのじゃな?」
村長がモブに確認を取る。
「そうだ!」
「そうかのぅ。村はどうなるのじゃね?」
「ワルーイ王国騎士団の管理下に置く!」
キウルが横入りする。
「それは嘘でしょう!?管理下に置くだけなら、そんなに多く連れてはこなくていいはずです!!」
「確かに連れてこなくても良かったが、警戒すべき事項が一つある!それはドラゴンの存在。魔女アルテミシアはいるか!?」
モブがジランドに訊いた。
「アルテミシアならここに住んじゃいねぇよ。」
「なに?ジランドとアルテミシアは夫婦ではなかったのか?」
「アルテミシアは実験で村を焼きかけたことがあって、別居中なんだよ。」
「そうか。ならば村長を連れていけ!」
村長はふぅーっと息吐く。死刑だというのに動揺はなく、それどころか達観してるかのような表情。
「儂はもう年老いた。儂の命と引き換えに村を見逃してくれんかねぇ。」
「ワルーイ王様とラーセイル近衛総大将に進言することだな!!」
モブが部下たちに指示し、村長を連れていこうとする。そこにジランドが「待った!」をかける。
「連れていくならオレだ。」
「ジランドや。お前は次期村長だ。儂が死んだあと、村を頼む。」
村長が身を犠牲にしようと覚悟を決めているようだが、ジランドが首を横に振る。
「村長のじいさん。オレが引き起こした問題だ。ならばオレがケリをつけてきてやる。」
「しかしのぅ・・・。」
ジランドが村長の代わりに前に出る。そしてモブに告げる。
「この時を持って、じいさんは村長の立場を降りた。オレが村長だ。」
「はっ、どのみちジランドもアルテミシアも逮捕だからいいだろう!!」
ジランドに手錠をかけられる。
「ジ、ジランドさん!!」
キウルが叫ぶと同時にシバケンとゼシリアが前に飛び出る。
「ジランドは俺たちのボス!!」
「これだから横暴な人族は嫌いだ!!」
シバケンが爪を伸ばし、ゼシリアが弓を手に戦闘態勢に入る。
「ひぃっ。や、やるなら、騎士団が相手になるぞ!」
モブがビビり、後ずさる。騎士団の面々が武器を手に構えようとする。
「待て!落ち着け!!」
ジランドの仲裁により、シバケンとゼシリアが留まる。騎士団も留まった。
「こんなことでお前らを危険な目に遭わせたくねぇ。なぁに、管理下に置くってことは猶予があるはずだ。その間にワルーイ王とラーセイルに話つけてくる。それまで大人しくしてくれ。」
「・・・わかったワン。」
シバケンとゼシリアが不満げに頷いた。
「モブ。これでわかったと思うが、オレの村の住人は血気盛んだからな。手を出すなよ?」
「ふ、ふん!連行しろ!」
モブは青ざめながらも強気な姿勢を見せながら、部下にジランドを牢屋の馬車に連行させた。
「では、この村はワルーイ王国の法律に乗っ取り、管理下に置かれる!大人しくしていろ!!」
ジランドの住む村はワルーイ王国騎士団によって占拠されることとなった。
 ̄回想終了 ̄
「見えてきたな。懐かしのワルーイ王国。」
ジランドが牢屋越しに眺める。若かりし頃に騎士として活動していたところで、第二の故郷というには苦い記憶しか持ってない場所でもあった。
「ワルーイ王とラーセイルが聞く耳持つかどうかだな。」
ジランドは迎えうるであろうワルーイ王とラーセイル近衛総大将との対面を懸念に持っていたのであった。
 ̄ワルーイ王国 ̄
ワルーイ王国の城下町にいくつもののスラム街がある。そこで不審死を遂げるスラムの住人が相次いでいた。
だが、売春、薬物、暴力など犯罪オンパレードなことが当たり前であるスラム街で死者が出るのは不思議なことではなかった。
そのために気付かなかった。魔物が入り込んでいることに。
「カーッカッカッカッ!!」
独特な笑い方をする魔物。その魔物は木に擬態し、人間を「生命吸収」で補食し、体力を回復させていた。
「人間ノ国ナゾ、内側からバレずにユックリ滅ボセバ楽勝ダ!!儂、頭イイ!!」
先日にジランドに敗れたAランク魔物の人面樹の姿があったのだった・・・。
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