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第百四十八話覇竜の回想⑭ジランドと魔女アルテミシアの関係

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!

ジランドの住む村は今や大所帯となった。


・元からいた村人300人+避難民(人族)70人

・獣人族60人

・エルフ族50人

・妖精族30人


種族ごとに区画を割り振って文化を尊重し合いながら、生活している。


人族は農業や大工、鍛冶など。


獣人族は魔物狩り、採集。


エルフ族や妖精族は魔法が得意なので、それぞれの種族の役割のサポートをしていくこととなった。


ジランドがそれぞれの区画を回る。


 ̄人族区画 ̄


ジランドがまず人族の区画を見回る。


「あ、ジランドさーん。キャベツ実りいいよ!持ってけ!」


「ジランドさん!木刀素振り見てくれませんか!?」


「ジランドさん、見回りお疲れー!」


村人に慕われるジランド。そこに年老いた村長がやってくる。


「村長のおっさん。」


「ジランドや。次期村長として皆を引っ張る決意を固めてくれて何よりだ。」


「戦うことしか能がねぇんだがな。」


「ほっほっ。この村の英雄だ。皆、君を認めている。」


村長は様々な異種族をまとめて引っ張るジランドを次期村長として、指名したようだ。


「だが・・・子供がいないのは困るのぅ。村を治める者として必要な要素。」


「またその話かよ。」


ジランドは耳だこが出来たと言わんばかりに耳を塞ぐ。


「ほれ、やることやれ!!この際、妾作って構わん!!」


この発言からジランドは妻帯者のようだ。


「へーいへーい。」


ジランドが村長から逃げるように獣人族の区画へ向かう。


 ̄獣人族区画 ̄


ジランドは異常ないか見回りに歩く。だが、何やら変な視線を感じる。


「(・・・・?)」


ジランドはただ歩いているだけなのだが、不思議なことに獣人族の女性がチラチラッと視線を送ってくる。


「(もしかして朝食に食べた米粒とかついてるのか?)」


ジランドはそう思い、口元をごしごししたが、それでも通りすがりにチラッと振り向く獣人族の女性が数人。さらに陰ながら覗いてる女性もいた。


「はて?」


ジランドに熱い視線を送る獣人族の女性が多く、訳分からず首を捻る。


その時に獣人族グループをまとめる柴犬の顔をしたシバケンが通りかかる。ジランドはちょうどいいとばかりに声をかける。


「シバケン。」


「あ、ボス。」


シバケンが尻尾を振りながら、ジランドに近寄る。


「何かご用ワン?」


「いや、ちょっとな・・・。」


ジランドが自らに視線を送る獣人族の女性について訊いてみた。


「あぁ、強さが誉れという俺たちの文化は知ってるワンな?」


「あぁ。」


「ボスが一番強いから、寵愛預かろうと考えてると思うワン。」


「(ん?ってことは?)」


ジランドに送る視線は求愛から起こる行動だと気付いた。


「おいおい、オレは人族だぞ?」


「皆も悩んでると思うワン。だけど種は強いほうがいいワン。そうしないと生き残れないワンな。」


「(獣人族の価値観か。)」


ジランドが獣人族の女性の容姿を眺める。


ほとんどは獣に近い人型人間だった。犬や猫、兎などの様々な動物が人型になったような感じである。目の前にいるシバケンも柴犬の人型人間である。


「(モフモフしたいとは思うが、求めるのはさすがに失礼だよな。)」


ジランドはモフモフしたいという己の欲求を我慢する。だが、ふと思う。


「(仮に人族と獣人族が交わったらその子の容姿はどうなるんだろうな?)」


ジランドが首を捻る。


これより後に獣人族好きの人族と交わり、400年経つとメイファのような上半身が人族で頭に猫耳がつき、下半身が猫脚といったハーフが増えたのである。


「ボスならハーレムを築けるワン。男なら夢見るだろワン。」


「お、オレは行くぞ。」


鼻息が荒いシバケンに圧倒され、ジランドは逃げ出すように去る。


「あー、おこぼれを頂きたかったワォーン!!」


下心が出るシバケンであった。


「(次はエルフ族・妖精族の区画に見回りに行くぞ。)」


 ̄エルフ族・妖精族区画 ̄


エルフ族の男女は基本的に耳長の金髪碧眼で容姿端麗である。人族の男性がよく覗きに来るため、トラブルが相次いでいる。


ジランドが見回る。案の定、人族の村人がエルフ族の女性にストーカーしていた。


「(;´Д`)ハァハァ・・・」


劣情を催す人族の村人の頭にげんこつを食らわせる。


「いたっ!」


「オレたちは種族の垣根を越えて仲良くしたいってのにくだらん行動で迷惑かけるんじゃねーよ!!仕事に戻れ!!」


「はいぃぃぃー!」


人族の村人が逃げるように去った。


「まったく・・・。」


ジランドが気を取り直して見回りに歩くとふと再び視線を感じる。それもまた女性だ。エルフ族の。


「はて?」


ジランドは45歳の渋いおっさんである。当然、エルフ族の美男のようにモテるような容姿ではないはず。


歩けど歩けどやはり女性ばかり視線を感じる。先程の獣人族の時と同様の光景であった。


「(まさかな・・・。)」


ちょうどエルフ族をまとめるゼシリアが通りかかる。


「ゼシリア。」


「ジランドか。どうした?」


「いや、ちょっとな・・・。」


ジランドが自らに視線を送るエルフ族の女性について訊いてみた。


「あぁ、ここにいるエルフ族の女性の平均年齢が70歳なんだ。年下のジランドは腕っぷしが強く、次期村長だから狙い目と考えてるんだろうな。」


エルフ族の特徴として長寿ではあるが、繁殖性が低く、子供が作りにくく、平均年齢が上がってしまうのだ。


「こんなおっさんでもいいのか?顔老けてるぞ。」


「我々は容姿が良くてな・・・。美人は飽きるんだ。」


ゼシリアの自慢とも取れる言葉に「(こんな形でモテモテか・・・。)」と複雑なジランドであった。


「私としては人族と交わるのは良しとしないがな・・・。」


ゼシリアがうぅーむと唸る。


これより後に人族とエルフ族が交わり、生まれる子供が個体差で魔法が上手く扱えないという問題が表面化する。エルフ族は魔法が使えて当たり前の環境である。


ハーフで黒髪のアイリンも魔法習得に苦労したのであった。※ちなみに本人は努力して魔法を扱えるようになった


「今は皆の成り行きに任せよう。」


「あぁ、そうだな。」


ゼシリアと別れ、ジランドが再び歩き出すと妖精族の男女小人がわんさか集まる。


「ジランドだー。」


「わーい。」


背中の蝶々羽根をパタパタしながら、ジランドの周りを飛ぶ。


「おう。」


妖精族の女小人が「好きー!」ってジランドの頬にキスする。


「そりゃ、嬉しいね。」


妖精族に人気があるようだ。


「ジランドの子供が欲しい!」


妖精族の女小人の発言にジランドがフリーズする。


「(んん・・・?どうやって?)」


妖精族の小人は全体的に身長15~30センチほどしかなく、一発やることもやれないのである。首を傾げるとビラが笑ってやってくる。


「あははー、魔力を毎日与えれば子供が出来るんだよー。気に入ったエルフ族男女問わずに魔力をもらい受けてるんだ!!」


「ほぉ。」


「どう?私にも一発魔力頂戴!!」


ビラの目が怪しく光る。子供を欲しがってるようだ。


「待て待て。子供の前に愛を育む段取りが必要だろ?」


「イチャイチャするってこと?」


ビラがジランドの肩に乗り、頬擦りする。イチャイチャしてると言わんばかりの行動だったが、くすぐったく感じるジランド。


「オレは剣士。魔力がねぇんだよ。他を当たってくれ。」


「ちぇー。」


ビラは残念そうに去る。


ジランドはあらかた見回り、最後に村の出入口である開閉式門扉のところに警備に立つ。それがジランドの1日であった。


1日が終わり、自宅に戻る。ジランドは独り暮らしのため、男らしく部屋が汚い。寝るところだけあればいいという考えの男であった。


だが、この日は違った。


「(・・・ん?誰かいるな?)」


自宅のドアノブに手を掛ける瞬間、気配を感じた。ドアを開くと部屋が綺麗になってた。


またキッチンに女の後ろ姿が見えた。魔女アルテミシアだった。


「ジランド。部屋が汚いから掃除しておいた。」


「なんだってんだ。お前が来るなんて明日は雨でも降るかね。」


「悪いか?」


テーブルに食事を並べるアルテミシア。ジランドが全身鎧を脱ぎ、ラフな格好で席に着く。魔女アルテミシアもまた席につく。そして食事開始する。


「・・・・。」


「・・・・。」


お互い無言であった。魔女アルテミシアが来た理由がわからず、ジランドが先に口を開く。


「何か話があって来たんじゃねえのか?」


「そうだな・・・。」


魔女アルテミシアが昔の話を切り出す。


「お前とは昔からの付き合い。幼なじみだったな。」


ジランドと魔女アルテミシアはこの村で生まれ育った。


「まだガキだった頃のオレは騎士を夢見て、お前は魔法使いを夢見た。」


二人はその夢を実現させるためにワルーイ王国へ働きに出た。


「だが、理想と現実は違ったな。」


魔女アルテミシアがふぅーっと溜め息ついた。


ワルーイ王国の城下町はスラムがいくつかあり、窃盗、売春、薬物、暴力など犯罪オンパレードなことが当たり前であった。


その惨状たる現実と戦った二人。ワルーイ王国の駒として利用され、最終的にワルーイ王より目障りとばかりに追い出された。


「だがよ。夢は叶ったじゃねぇか。夢はな・・・。」


ワルーイ王国にいた頃のジランドは王国騎士団長で魔女アルテミシアがSランク冒険者。


「ワルーイ王とラーセイル、そして贅沢三昧を繰り返す馬鹿な貴族。あれと付き合うのは面倒だった。何故、私がお前の妻にならねばならなかったのか。後悔もしてるよ。」


「そりゃ、すまねぇよ。騎士男爵貴族となると妻が必要だったんだよなぁ・・・。」


どうやらジランドは騎士男爵叙爵と同時に魔女アルテミシアを妻として向かえたようだ。


「だいたい、お前が活躍しすぎて、騎士伯爵貴族まで行ったら、礼儀やテーブルマナーが厳しくなるわ。社交の場で上部のお世辞を言い合うわ。歩きにくいドレスを着せられるわ。私には向いてない世界だ。」


「ははは、オレもだ。社交場に出るようなビシッとした服飾は馬子にも衣装だった。村人が貴族なんてなるもんじゃねぇな。」


二人が笑い合う。食事を終わらせると魔女アルテミシアがキリッと真顔になる。ここから本題とばかりだった。


「・・・ジランド。妾は作らないのか?モテモテだろう?」


「そんなこたねぇよ。」


「私に遠慮することはないんだぞ。」


「してねぇよ。」


「お前は私と違って未来がある。」


ジランドがテーブルを叩く。


「オレはアルテミシアと一緒に生きればそれだけでいいんだ!!」


「・・・・。」


魔女アルテミシアが目を伏せる。


「ならば離婚してくれ。君に憂いを残すのは嫌だからな。」


ジランドが歯をギリッとする。


「っ!本気か・・・。」


「準備が整い次第、私はワルーイ王国を潰す。」


「関係ない国民を犠牲にしてまでか・・・?」


「・・・。」


魔女アルテミシアは席を立ち、山奥の寂れたコテージに帰ろうとする。


「おい!アルテミシア!」


「次に会うときは戦場だ。」


魔女アルテミシアはそう言い残し、魔法で飛んでいった。


ジランドと魔女アルテミシアは袂を分かち合い、そして戦場で合間みえるのである。

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