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第百四十七話覇竜の回想⑬ジランドVS小型覇竜

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!

小型覇竜は倒れた千手観音熊を足蹴に「ギャオォォッ!(勝った!)」と叫び、上機嫌だった。

そして熊と狼の魔物が数十体倒れているのを目にする。


『数十体の熊と狼の魔物を倒したが、こんなには持ち帰れない・・・。』


そんな小型覇竜にジランドが近付く。


「嬉しそうにしてるところ悪いが・・・。」


小型覇竜はそこでやっとジランドと逃げ出していくキウルたち集団の存在に気付いた。


『(ジランドとかいう男だ。何故、こんなところにいるのか知らんが・・・)』


小型覇竜はジランドが大剣を構え、敵意のある様子に「グルル・・・?(やるか・・・?)」と唸る。


「先日は人面樹を倒した際、協力してくれたことには感謝するが、お前は魔物。人間と魔物とは相容れぬ。お前を今、排除せねば後々に厄介なことになりそうなんでな。」


ジランドが目付きを鋭く、踏み込む準備する。その様子に小型覇竜は魔女アルテミシアの言いつけを思い出す。


『(アルテミシアはジランドとはいずれやらせると言ったが・・・こうも敵意を見せられて我慢出来る訳がないっ!!)』


小型覇竜が雄叫びを上げ、ジランドと交戦する。


ジランドが大剣を振りかぶる。それに対して小型覇竜が鉤爪を出す。


「ドラゴンクロー!」


ジランドの大剣とぶつかり合い、金属音が高鳴り、響き渡る。


「ふむ。ドラゴンは全体的に硬いが・・・斬れる!あたたたたー!」


ジランドが凄まじい剣戟の連続に小型覇竜が防戦一方になる。


『なんの!絡みつけ!ドラゴンテイル!』


小型覇竜の尻尾がジランドの片足を捕まえる。


「!!」


ジランドが絡み付いた片足に気を取られる。小型覇竜が回転し、その勢いにジランドを仰向けにグルグルとぶん回す。


「うおおおぉぉぉっ!」


そして小型覇竜が離すとジランドは連続で並んでいる木々をへし折りながら、吹っ飛んで倒れる。


「やるじゃねぇか!」


ジランドが起き上がると小型覇竜が大きく息を吸い込んだ。


「ブレス!!」


横一線の竜巻がジランドを襲う。


「なんの!剣技・衝撃剣圧!!」


大きな剣圧を出し、相殺する。


ジランドと小型覇竜が合間見える。


「くっくっくっ!」


「ギャッギャッギャッ!!」


ジランドと小型覇竜がお互いに不敵の笑みを浮かべる。


 ̄場面転換 ̄


迷いの森を脱出したキウルたちが遠巻きにジランドと小型覇竜の交戦を見守る。


「たった一人でドラゴンと渡り合ってるワン・・・。」


「なんてレベルの高い戦い・・・。」


シバケンとキウルが唖然としていた。その横にゼシリアが首を傾げる。


「何故、ジランドはあのドラゴンと戦う必要があった?あのドラゴンが千手観音熊に目を向けている間に逃げれば無用な戦闘だったはずだ。」


「そういえば、そうですよ・・・ね。」


そこでキウルがハッとする。


「(ジランドさんはあのドラゴンに用があると言ってた。まさか先日の植物系の魔物行進(スタンピード)との戦闘に加わっていたというドラゴン?)」


キウルが小型覇竜をまじまじ見る。


「(ジランドさんが力ずくで従えてる訳でもなかったのか。)」


キウルが植物系の魔物行進(スタンピード)を全滅させた際に小型覇竜がどう介入したのか、経緯を詳しく知らず首を捻る。


そしてジランドと小型覇竜の交戦も終盤を迎えつつある。


「だんだんとジランドが押しているな。」


ゼシリアの言葉にその場にいた全員がホッと胸を撫で下ろす。そこにとある女がやってくる。


「やれやれ。遅いと思ったら・・・。」


「あ、あなたは・・・。」


キウルが見覚えあると言わんばかりの表情する。


 ̄場面転換 ̄


『うおぉぉぉっ!』


小型覇竜が低空飛行で突進する。ジランドが迎え打つ。


「剛腕・一刀両断!!」


『ぐわぁぁぁぁっ!』


小型覇竜が斬られ、低空飛行していたため、勢いよく地面に引きずりながら、倒れた。


「ハッハッ、オレの勝ちだ!とどめを・・・。」


『くっ・・・。』


このままジランドが小型覇竜にとどめをさそうとする。


「そこまでだ。」


魔女アルテミシアがかばうように小型覇竜の前に登場し、ジランドと相対する。


「アルテミシア!」


「ジランド。ギンちゃんをいじめないでくれ。」


「何言ってやがる!そいつを今、始末しとかねぇと手に負えない存在になる!!」


「だとしても私はギンちゃんが必要なんでな。」


「・・・クーデターのことか!!そうはさせんぞ!!」


ジランドが魔女アルテミシアの首元にピタッと大剣を留める。だが、魔女アルテミシアはピクリと動かず平然とする。


「やらんのか?」


「・・・・。」


ジランドは首をはねずに背中に大剣を納めた。


「・・・お前は甘い。私は突き進むぞ。」


ジランドの選択は魔女アルテミシアがワルーイ王国のクーデターを起こすべく突き進むのであった。


魔女アルテミシアが小型覇竜に回復魔法をかける。


『ジランドとはやる機会を与えると言ったのに。今のお前ではまだ勝てんよ。』


『あっちから喧嘩売ってきたんだ!』


『これでわかったろう?お前はまだまだ強くなるさ。』


小型覇竜を回復させる。


『獲物を持ち帰りたい。持ち帰れるか?』


『あぁ、収納魔法がある。』


魔女アルテミシアは熊と狼の魔物数十体を収納魔法に入れた。


「私たちは行く。また人助けしたようだが、食糧として魔物をいくつか村に置いていこう。」


「あぁ・・・。」


魔女アルテミシアと小型覇竜はジランドと別れ、飛んで行った。


「ちっ・・・。」


ジランドは煮え切らない思いを抱え、キウルたちと共にジランドの住む村に帰る。


怪我人の治療と種族差別なきジランドの住む村に感銘を受けたエルフ族と妖精族が新たな住人として加わるのであった・・・。


後日


 ̄ワルーイ王国 ̄


キウルたち調査隊は植物系の魔物行進(スタンピード)任務を終え、ワルーイ王国に帰った。そしてキウルは騎士団長としてラーセイル近衛総大将に報告書を上げる。


「(報告書だけで済ませられないかなぁ・・・。)」


キウルがドキドキしながら仕事する。


「(ジランドさんに言われた通りにドラゴンは伏せておいたけど、部下たちがばっちりと目撃してしまっているし・・・。あれは魔女アルテミシアが従えてるのかな。)」


「(それに異種族と一緒に住んでいるのも法律に触れているし。それも伏せているけど。)」


「(すべて部下たちから漏れれば、ラーセイル近衛総大将は怒るだろうな・・・。)」


そこに部下が走ってくる。


「キウル騎士団長!ラーセイル近衛総大将がお呼びです!!」


「あぁぁぁぁぁぁー!!」


キウルが頭を抱え、机に涙ながらに突っ伏す。


「ジランドさん、僕は地獄行きのようです・・・。」


キウルは憂鬱な表情しながら、ラーセイル近衛総大将の執務室に向かうのであった・・・。

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