百四十四話覇竜の回想⑩キウル調査隊
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
ジランドが涙目のキウルの顔を見る。そしておぼろげに記憶を手繰り寄せる。
「キウルか?なんかまとわりつくガキがいたな。そうか。成長したな・・・。」
ジランドがワルーイ王国騎士団の騎士団長をやっていたときに幼いキウルがまとわりついていたことがあったのだ。
全身鎧の好青年キウルはすぐ敬礼し、その後ろの数人の騎士も敬礼した。
「ワルーイ王国騎士団の騎士団長キウルです!!ラーセイル近衛騎士総大将により調査任務を拝命しました!!」
「・・・色々聞きたいんだが、まずお前が騎士団長か?確か、若いお前より適任なやつが何人かいたはずだが・・・。それに調査は騎士団長がやることなのか?」
「みーんな辞めちゃいました!!真面目にやる騎士が少なくなりましたからね!!だから小官が来ました!!」
「ワルーイ王国は腐敗してると噂で聞いたが・・・そこまでなのか?」
「はい・・・。」
「ラーセイルは相変わらず貴族に受けるような政策を取ってるのか?」
「・・・。」
キウルの無言が肯定という意味と取るジランド。
「やれやれ、あの馬鹿とはよく衝突した。国民がいるから貴族があり、初めて国が成り立つんだ。」
ワルーイ王国の上層部である多数の貴族が国の舵を取ってる。
ワルーイ王の裏にラーセイル近衛総大将が全権を握り、貴族受けするような政策を打ち出し、国民から税収などを徴収し、貴族にバラまいて求心力を維持している。
かつてジランドは政策の方針にラーセイルと衝突していたのだ。
「ジランドさん、戻ってきてくださいよー!!あなたがいたワルーイ王国は本当に国民が一致団結するような強国でした!!」
「やなこった。それより任務に入ろう。調査とは?」
「はい、魔物行進を全滅させたと報告があり、確認させて貰ってもいいですか?」
「まだそこに残骸があるから見ていけ。」
キウルの指示で調査隊の数人が魔物行進の残骸を検分する。
「他には?」
「あ、はい。魔物行進はおおまかに何体いました?」
「千体はいたな。」
「ひゃぁ~。村が太刀打ち出来るレベルじゃないですね。さすがジランドさんです!!」
キウルが目をキラキラ輝かせる。ジランドは調子に乗り、胸を張る。
「魔物行進との交戦時に戦闘要員はどのくらいで?それとドラゴンの真偽を確かめてこいと言われてます。そこはどうなんですか?」
「(・・・ラーセイルのことだ。キウルから報告が上がれば、面倒になる。)」
ジランドがそう直感した。キウルの肩を組み、ひそひそ話する。
「俺とアルテミシアだ。あとは援護に村人たちだな。」
「あぁ、アルテミシアさんですね!世界でもトップレベルの魔法使い!!ジランドさんとアルテミシアさんが二人組めば立ち向かうところに敵なし!!」
キウルは興奮するが、気を取り直す。ジランドが続けてひそひそする。
「ドラゴンについては確かに関与した。」
「えぇー。本当にいたんですか?ドラゴンは眉唾とばかり・・・。」
キウルがドラゴンの姿を確認しようとキョロキョロする。
「今はいないが、伏せておけ。」
「ジランドさんがそう言うなら報告しませんが・・・。」
「話がわかるな!それでいい!!」
ジランドが喜び、キウルの背中をパンパン叩く。
「いたた・・・。村の状況はどうですか?村にしてはやたらに人数が多く見えますね?」
キウルが村を覗くと住人が多く活動していた。その時、調査隊の数人が叫ぶ。
「獣人族がいるぞ!」
通りかがりの獣人族グループと調査隊数人が喧嘩腰に睨み合う。ジランドが割って入る。
「こいつらは俺の村の住人だ!」
「何言ってるんだ!獣人族は蛮族だ!!ワルーイ王国の国民ではない!!法に乗っ取り、排除する!!」
調査隊数人が槍を構えようとする。
「待ってください!」
キウルが調査隊の数人に待ったをかける。
「ジランドさん、これはどういうことなんですか?」
「俺からもお前たちに文句言いてぇことがあるんだ。避難民の受け入れを断ってるようじゃねぇか?」
「あ、それは・・・。」
キウルがシューンと暗くなる。
「そのしわ寄せがこっちに来てんだ。獣人族もそのついでに受け入れただけだ。」
村の人数がやたらに多かった理由が避難民の受け入れだと理解したキウル。
「本当に申し訳ありません。」
「まぁどうせワルーイ王とラーセイルが受け入れるなと指示があったんだろう。」
「・・・受け入れ感謝します。獣人族については見なかったことにしましょう。」
キウルは獣人族を問題しないように調査隊に箝口令を敷く。キウルはジランドにひそひそする。
「人の口に戸は立てられませんよ。」
「あぁ、わかってる。すまんな。」
「獣人族は人族としてカウントするので人数調査して構いませんか。」
「あぁ。住民登録の帳簿を調べて構わんぞ。」
キウルたち調査隊は魔物行進の調査任務を進める。
「(・・・キウルの報告をラーセイルがどう思うかだな。調査隊を問い詰めればわかることだしな。・・・ん?)」
ジランドがふと目に見えない何かの気配を感じとる。ちょこまかと飛び回ってるように感じる。
「誰だ?」
ジランドが身構える。
「待って待って!敵じゃないよ!!」
パッと蝶々のような羽がついた女の小人が現れる。
「妖精族?人前に滅多に姿を現さねぇのに珍しいな。」
どうやら女の小人は妖精族のようだ。
妖精族は蝶々のような羽がついた小人で姿を隠すことに長けており、人前に姿を現すことが少ない。エルフ族とは仲良い。
その妖精族の女小人がジランドの目の前を羽ばたきながら回る。
「それで何か用か?」
「この村なら私たちを助けて貰えると思って来たの。」
妖精族の女小人はジランドに拝むように懇願するのだった・・・。
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