第百四十三話覇竜の回想⑨獣人族グループ
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
 ̄ジランドのいる村 ̄
避難民の受け入れに村を拡張し、避難民の区画を作り出す。住居を構えるに当たって、素材は木の魔物であるトレントから削って魔法で乾燥させる手順に入る。そうすると建設資材になる。
魔法に長けている魔女アルテミシアが面倒そうに魔法で木を乾燥させる。
その側に小さき覇竜は素材を抜き取り済みの魔物を手当たり次第に食っていた。
『小さいのによく食う。おかげで焼く手間が省ける。』
『強くなりたいし、さっさと進化したいんだよ。100年、生きてるけど変わんないんだよ!!』
『ふむ。魔物特有の進化か。』
魔物に強くなるための進化が備わっている。
レベルによる自動的進化。
生存本能による進化。
食糧を大量に食うことで進化。
進化のための条件が個体によって様々だ。
『魔物は周囲の魔素を吸収している。それ故に魔物は魔力の扱いが長けていることが多いが、君は見たところ、魔力の巡りが悪い。だから、進化出来ないのかもしれんな。』
『なんだって!?』
『魔力の巡りを直せば進化の可能性がある。そこを模索していこう。だが、今は手が空かないからゆっくり食ってくれ。』
『早くしろよなー。』
魔女アルテミシアは魔法による木の乾燥を継続し、小さき覇竜は魔物の残骸を食する。
 ̄場面転換 ̄
村人たちと避難民たちが総出で魔物行進の残骸の素材抜き取り、片付けに勤しむ。
だが、トラブルが起きる。
「何してるんだよ!!」
「たくさんあるんだから、少しくれたっていいじゃねぇかワン!!」
どうやら以前にジランドにこてんぱんにされた獣人族グループが盗人猛々しく漁りに来たようだ。
「これらはジランドさんたちが倒したんだ!!」
「うるせぇワン!」
村人たち(避難民含む)と獣人族グループとのいざこざが起きる。
「やるかワン!?」
獣人族グループが戦闘体勢に入ろうとする。
「くっ・・・くわを持てぇ!!」
怯えを見せながら農具を武器に持ち出す村人たち(避難民含む)。
「そこまでだー!」
ジランドが仲裁に入る。獣人族グループがジランドを見るなりにビクッとする。
「前にこてんぱんにのされたのに懲りないのか?」
「あの時は腹減って力が出なかっただけワン!!」
「それで魔物行進に自らの住む村を滅ぼされたのか?どんな戦いだろうが、言い訳はみっともねぇ。」
「ぐっ・・・。」
ジランドは押し黙る獣人族グループの面々を見る。獣人族特有の身体は強靭ではあるが、毛並みがボロく、過酷な避難生活を送ってることがわかる。それに奥に怪我人や女子供がいる。
「獣人族たる者は強さが誉れという文化があるんだろう?飯食わせてやるから、ボスを決める勝負と行かないか?」
「なに・・・。」
獣人族グループが騒ぐ。
「ボスを勝ち取れば言うことを聞いてやろう。ただし俺が勝てば従って貰うぞ。」
「いいだろうワン。」
「おい、飯を出してやれ!それと手当てしてやれ。」
ジランドからの指示に村人たちは躊躇いを見せるも従って食糧を出し、手当ても行おうとする。
獣人族グループは罠じゃないか?と勘ぐるも空腹に勝てず、食糧にがっつく。
そうして獣人族グループをまとめる者がジランドの前に立つ。
「俺はジランド。」
「シバケンだ。食糧と手当ては礼を言う。だが、ボスを決める勝負となれば話は別だワン。」
「さぁ、やるか。」
柴犬顔をする獣人族。両者が戦闘に入る。なかなかの戦いを演じていた。確かにシバケンは以前にこてんぱんにされた時より動きが良い。
だが・・・。
「俺の勝ちだな。」
シバケンが仰向けに倒れ、ジランドが百戦錬磨ごとく不敵の笑みを浮かべる。
「ぐっ・・・。人族はフィジカルの面では総じて獣人族より弱いはずなのにやはりお前は強いワン・・・。」
「さぁ俺がお前たちのボスだ。言うことを聞いて貰おう。」
「あぁ・・・二言はない・・・。」
「とりま、避難民の建設に協力してくれ。お前たちの分も作ってやる。」
「なに・・・。」
ジランドは獣人族グループを受け入れようと言う。
「今や生物の頂点に魔物が立ってる。魔竜や暴竜のことだな。それだけじゃなくても強力な魔物に対抗するためには力を合わせなくちゃいけねぇ時代だと思ってるんだ。」
「それなのに人族や獣人族、エルフ族などの様々な種族が種族同士のいざこざを起こしてどうするっちゅーねんって話だ。」
「・・・。」
「あぁ、なに、いきなり人族の生活にお前たちを巻き込もうって訳じゃねぇ。区画を決めて、獣人族ならではの文化を尊重する。お互い歩み寄るんだ!!」
ジランドの熱弁に胸を打たれる獣人族グループ。
「わかったワン。我らはジランドをボスと認め、ついていくワン。」
獣人族グループが誠意を見せるとばかりに畏まって膝をつく。
ジランドが村人たち(避難民含む)に振り向く。
「お前たちもわかったな!!仲良くしろ!!」
「は、はい!!」
村人たち(避難民含む)もまたジランドを信頼し、ついていくのだった。
そして村を拡張し、元からジランドのいる区画、人族の避難民区画、獣人族の区画を作り上げる。生活と共に役割も振り分けられるようになる。
人族は農業や大工、鍛冶など。
獣人族は魔物狩り、採集。
少々の衝突はあれどもお互いを尊重することが出来るようになった。
 ̄数日後 ̄
村の開閉式門扉のところにジランドと魔女アルテミシアが立っていた。小さき覇竜がバタバタと翼を羽ばたく。
「帰るのか?」
「やることもなくなったしな。」
魔女アルテミシアは小さき覇竜と共に山奥の寂れたコテージに帰ろうとする。
「そうか。」
「ふっ、獣人族を受け入れるなぞ人族至上主義のワルーイ王国が知ったら面倒事になる。」
「そんときはそんときに考える!」
「やれやれ、行き当たりばったりだな。だが、お人好しなのは変わらんな。」
「うるせぇ。それよりもそのドラゴン、寝首をかかれる前になんとかしろよ。敵意があるのは見え見えだ。」
ジランドが小さき覇竜に指差す。グルル・・・と唸る小さき覇竜。
「確かに助けて貰ったが、敵対すれば容赦しないからな!」
ジランドが小さき覇竜を見ながら言った。
「ふっ、そうだな。敵対したら遠慮なくやってくれ。」
魔女アルテミシアが意味深に返した。やはりワルーイ王国のクーデターに関連して、企てているようだ。
魔女アルテミシアは「風魔法(上級)・飛翔」により、小さき覇竜と共に飛び立つ。
「お、おい!」
ジランドは呼び止めようとするが、既に飛び去っていってしまった。
「ちっ・・・。」
ジランドは頭をボリボリ掻く。その入れ違いで団体の訪問客が来る。
「ジランドさぁぁぁーん!!」
突然、涙ながらの青年がジランドに飛び込む。
「な、なんだ!?」
「僕です!キウルです!!」
団体の訪問客はワルーイ王国から来たキウルの調査隊であった。魔物行進の調査である。だが、そこで一波乱が待ち受けていたのだった。
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