第百三十九話覇竜の回想⑤VS魔物行進
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!!
 ̄ジランドのいる村 ̄
魔物行進が攻めて来る中でジランドが前線に立ち、戦い続ける。
「ぜぇぜぇ・・・。」
ジランドが息切れを起こし、膝をつく。ジランドがいくら強かろうとも魔物行進の前では多勢に無勢な状況なのであった。
そしてジランドの討ち漏らした魔物たちによって村の木製防壁が壊されようとしていた。
「だめだ!持たない!!」
村人たちが高み矢倉から応戦するが、あまりの数に焦燥感や恐怖に陥る。
「カーッカッカッ!!」
高笑いの声と共に魔物行進を掻き分けて、木の魔物である人面樹が出現した。魔物行進のボスである。
Aランク魔物・人面樹
木の幹に老獪の顔が作られ、知性がある。Dランク魔物であるトレントが長く生きると進化する魔物である。
「暴竜ヲ怒らせタ人間たち!オマエたちのセイで西の山のワシたちノ住み処ヲ追わレタ!!死ヲ持っテ償エ!!」
「ルクテシア王国が何をしたのか知らねぇが・・・俺たちには関係ない!!」
「ワシたちカラすれば人間は皆同じヨ!!」
「自分の勝利が見えたから出てきたんだろうが・・・俺にはチャンスだぜ!!」
ジランドが人面樹に剣を振るう。ボスさえ倒せば魔物行進の統率が崩れるとの判断だ。
「無駄ヨォ無駄ヨォ!!」
人面樹はひらりと避け、再び魔物行進に紛れる。
「逃げるな!臆病者め!!」
「カーッカッカッ!そやつヲ殺し、人間ノ村ヲ攻メ滅ぼスノダ!!」
人面樹の一声に物量でジランドを押しきろうとする。
「くっ・・・。」
その時に村の方から悲鳴が上がる。それを聞いた人面樹は高笑いする。
「カーッカッカッ、人間の悲鳴カ!ナント心良イコト・・・・カ?」
人面樹が攻めていた村を見ると魔物たちが阿鼻叫喚になっていた。
「火魔法(上級)・業火!!」
魔物たちを焼き付くさん勢いで火の手が上がる。
魔女アルテミシアが高み矢倉のてっぺんに乗っていた。どうやら彼女の仕業のようだ。
「お、おい!アルテミシアー!また村を焼く気かー!!」
火の強力な勢いに村人たちが魔女アルテミシアにクレームをつける。
「やれやれ、助けてやったのにとんだ言い草だ。」
「文句言うわ!!お前のたびたび訳わからん実験に俺たちは迷惑してるんだー!!しかも側にドラゴンがいるじゃないか!?」
村人たちが小さき覇竜に指差す。
「どうだ?ギンちゃんだ。可愛いだろう?」
魔女アルテミシアがドヤ顔に胸を張る。だが、村人たちはブーイングだった。
「ペット感覚で魔物を連れてくるなー!!ちゃんと言うことを聞くんだろうな!!」
「もちろんだ。」
魔女アルテミシアが証拠を見せると言わんばかりに小さき覇竜の頭を撫でようとする。
だが、小さき覇竜は「グゥルル・・・!」と尖った歯を見せ、威嚇していた。撫でたら噛みつかれると誰でもわかる光景であった。
「おっと不機嫌のようだ。はっはっはっ。」
誤魔化し笑いする魔女アルテミシアに村人たちが一斉に「(不安だ・・・。)」と思ったのだった。
魔女アルテミシアと村人たちとの話のやりとりはどこか朗らかな雰囲気を思わせるものがあった。村人たちは魔女アルテミシアの実験に頭を痛め、村を追い出したが、関係は良好のようだ。
ともあれ村を攻めていた魔物たちは魔女アルテミシアが打ち倒した。
「ヌゥゥゥー!!」
人面樹が悔しがる。
「やっと来たか・・・。」
ジランドが魔女アルテミシアが来たことにやや安堵ついた。
魔女アルテミシアと小さき覇竜はジランドと合流した。
「なんでそいつを連れてきた?」
ジランドは小さき覇竜を見やる。小さき覇竜は先ほど焼いた茸の魔物であるキノコッスを食っていた。
「なぁに。戦力になるさ。」
「魔物行進を見てもか?」
まだまだ数百体の植物系の魔物がいた。
「ボスはAランク魔物の人面樹だ。だが、その中に紛れて、姿を見せない。」
「そうか。エルフ魔法さえあれば一発で倒せるが、あいにくエルフ族がいないし、私も使えん。植物系の魔物に最も効果のある火魔法で片っ端から倒そう。」
「強力な魔法を乱発すると魔力が持たないだろう?」
ジランドが指摘すると魔女アルテミシアは目をキラッとする。
「エコにやるためにはギンちゃんの出番さ。」
小さき覇竜に目を向く。ちょうど小さき覇竜はキノコッスを食べ終えた。
『さぁギンちゃん、強くなるためのレッスンしよう。』
魔女アルテミシアがギャッギャッとドラゴン語を使ったことに驚くジランド。
『何するんだ?』
『ファイアブレスは吐けないか?』
『体内に火袋を持ってないから吐けないよ。』
『火魔法は使えるか?』
小さき覇竜は首を横に振る。使えないと意思表示。
『私が火魔法を使うから、それを吸い込んでブレスを吐け。』
魔女アルテミシアは手順を示すが、嫌がる小さき覇竜。
『火傷したくないなー。』
『ドラゴンなら耐性高いだろう。言うことを聞け。』
『へーいへーい。』
渋々了承する小さき覇竜。
「・・・話は済んだのか?」
ジランドがそう言うと魔女アルテミシアと小さき覇竜が魔物行進の前に立つ。
「火魔法(下級)・ファイア」
魔女アルテミシアが火を出すと小さき覇竜がそれを吸い込む。そして吐く。
「ファイアブレス!!」
火の息が勢いよく広範囲に広がった。火魔法の下級であるファイアとブレスが合わさって威力倍増したのだ。数十体の魔物が火に巻かれ、苦しむ。
「おぉ!こりゃ、役に立つな!!逆転の目が見えてきたぜ!!」
ジランドが喜び勇み、改めて魔物行進に突っ込み、大剣を振るいまくる。
小さき覇竜は予想以上の威力に目を丸くした。
『な、なぁ、他にも出来るのか?アクアブレスとか・・・。』
ドラゴンの攻撃ブレスは様々な種類がある。
ブレスは大きく息を吸い込んでつむじ風以上の攻撃を吐き出せる。多くのドラゴンが持ち得て、個体によっては竜巻を巻き起こせる。
ファイアブレス、アクアブレスなどの属性攻撃ブレスは体内に火袋や水袋などを持ち合わせていれば、吐き出せる。主にAランク魔物のドラゴンが多い。
最後にドラゴンブレスはエネルギーを収束させ、放つ攻撃。攻撃ブレスの中で最も強い。最強クラスのドラゴンにしか扱えない。
小さき覇竜は様々な攻撃ブレスに憧れていた。
魔女アルテミシアがふっと笑う。
『興味津々のようだな?私の持つ魔法に限られるが、やってみようか?』
『あぁ!』
魔女アルテミシアと小さき覇竜が連携して様々な攻撃ブレスを吐く。
「エアロブレス!!」
切り裂くブレスを広範囲に吐き出し、魔物を切り刻んだ。
「アクアブレス!!」
貫通性の高い水鉄砲を一直線に魔物を貫くかのように吐き出した。
「サンダーブレス!!」
雷の光線かのように横から振るかのように吐き出した。魔物が黒焦げになる。
『打ち止めだ。』
魔女アルテミシアは自らの持つ火、水、風、雷の攻撃魔法を使いきった。
『魔法とブレスを合わされば、このような使い方が出来るのか・・・。』
小さき覇竜は何か学んだような表情。
『どんなに力が弱くとも工夫次第さ。さぁ、満足したならファイアブレスを吐きまくれ。』
『ちっ・・・その代わりに強くさせてくれよ!!』
魔女アルテミシアと小さき覇竜は連携して、魔物行進の数を減らす。
「グヌゥゥゥ!!」
魔物行進に紛れている人面樹が次々と同胞である魔物が倒れていく光景に悔しがる。
「魔法使いノ女と小さきドラゴンが厄介ダ!!ナラバ・・・。」
人面樹が魔物行進の影に潜み、何かを企んでいるのであった・・・。
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