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第百三十六話覇竜の回想②魔女アルテミシア

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!

 ̄南の山奥・寂れた一戸建て ̄


森林に囲まれ、コテージに近い寂れた一戸建て住宅があった。そこに小さき覇竜はミスリル製の檻に閉じ込められていた。


「ギャァ!(出せぇー!!)」


小さき覇竜がギャァギャァとめわきながら、暴れる。


「騒々しいな。ギンちゃん。」


女の人間が現れる。小さき覇竜をギンちゃんと名前をつけて呼んだようだ。


女の人間が鉄格子の隙間から小さき覇竜を撫でようとする。


『ギンちゃんってなんだよ?!』


小さき覇竜は反発するかのように鉄格子の隙間から尖った歯を見せて、手を噛みつこうとする。


「おっと噛みつかれるところだったな。ははは。」


女の人間は手を引っ込め、暴れまわる小さき覇竜に笑う。


「瀕死状態のギンちゃんを治療したら、あっという間に回復するとはさすがドラゴンだな。」


『出せぇー!!出せぇー!!』


小さき覇竜がめわく中、ドアが開く。そこに男の人間が登場する。


「よぉー。遊びに来てやったぜ!!」


「ジランドか。」


ジランドと呼ばれた男は金属鎧に大剣を装備していた。のちにジランド王国を建てる人物でもある。人族。


「山奥に住みやがって遊びに来るのも大変だぞ。魔女アルテミシア。」


魔女アルテミシアと呼ばれた女の人間はショートカットに髪の先端が縮れ、それぞれまとめ、数本に束ねる。頬に紋様があり、密着型の胸元の開いた服を着込み、タイトロングスカートを履く。人族。


ジランドが小さき覇竜に目が行く。


「なんだぁ?ドラゴンか?小さいな。」


ジランドが好奇心から鉄格子の隙間から小さき覇竜を撫でようとする。


「おい、手を出すのは・・・。」


魔女アルテミシアが止めようとするが・・・。


「ぎゃぁぁぁー!!」


ジランドは小さき覇竜にガブリと手を噛まれた。手をブンブンと振り回し、どうにか離せた。


「いたたた・・・。」


「言わんこっちゃないな。それで何か用か?」


「理由なく遊びに来ちゃ悪いか?」


「邪魔だな。私は忙しいんだ。」


魔女アルテミシアは魔物の文献を漁っていた。


「わかったわかった。実は魔女アルテミシアの知識を見込んで訊きたい。」


「なんだ?」


「ルクテシア王国が暴竜を怒らせ、滅ぼされた。そして西の山に生息していた魔物が一斉に逃げ出し、新たな環境を求めて、魔物行進(スタンピード)を引き起こしている。実際に西の方面で滅ぼされた村がいくつかある。」


「あぁ、そうらしいな。」


「俺たちの住む村に危機が及ぶかもしれない。真っ当に戦えるのは俺とアルテミシアだけだ。さらに魔物行進(スタンピード)は国レベルの防壁がいる。村程度では木製の防壁を並べ、申し訳程度の堀じゃ、太刀打ち出来ない。ワルーイ国に要請したって騎士団は出してくれねぇし。どうしたらいいんだ?」


ジランドが魔女アルテミシアに助言を求める。


「それについてはこいつで実験するさ。」


魔女アルテミシアが小さき覇竜を見やる。


「何を言ってるんだ?」


ジランドが訳分からない表情する。


「ドラゴンは知性が高く、個体によっては攻守共に最強クラスを誇る。上手く手懐ければ魔物行進(スタンピード)など簡単にあしらえるだろう。」


「手懐ける?無茶言うな!!馬や犬などの動物とは訳が違うんだぞ!!魔物だぞ?!」


「なぁに。実験さ。」


ジランドが溜め息をつく。


「実験とか言っててさ・・・それで俺たちの村を焼こうとしたことあったよな!?」


魔女アルテミシアは魔法の実験により、誤って自らの村を焼きかけたのだ。


「失敗は成功の元さ。」


魔女アルテミシアがごまかすように遠い目をする。


「村を追い出されたやつがよく言うぜ。」


ジランドが肩をすくめる。


「そんな小さなドラゴンじゃ、戦力にならねぇよ。」


「私の鑑定によると推定100歳だよ。」


「ほぉ。これで成体なのか?」


「いや、幼生体だ。まだ成長期のようだ。」


「ドラゴンに詳しくねぇが、成長遅くないか?」


ジランドが小さき覇竜のサイズに首を傾げる。


「おそらく大器晩成型のドラゴンだろうな。」


「大器晩成?」


「成長が遅いほど年齢を重ねていけば最終的に強くなる。こいつはそういうタイプだ。通常なら年齢を重ねる前に死ぬことが多いが、こいつはこいつなりに生き抜いたのだろう。」


二人が「・・・。」と小さき覇竜を見やる。


『なんだよー!!出せよー!!』


小さき覇竜がギャァとめわく。


「手懐けられるかは期待しないでおく。万が一、魔物行進(スタンピード)があったら助力頼むぜ。」


「あぁ、駆けつけよう。」


二人は他愛のない会話をし、ジランドはその場を後にする。


魔女アルテミシアは鉄格子を挟み、小さき覇竜の目線に座る。


「ギンちゃん。意志疎通から始めてみようか。」


「ガゥルルル・・・!!」


小さき覇竜は魔女アルテミシアに敵意を見せていた。


「これをあげよう。」


魔女アルテミシアは調理済みのステーキが乗った皿を差し出す。


「・・・クンクン。」


小さき覇竜は香ばしい匂いによだれをたらし、食べ始める。今まで食べたことない味に興奮する。


「美味いだろう。魔物は調味料など使わずに生で食べるだろう?それとは違って新鮮な味だろう。」


『もっとくれ!!』


小さき覇竜がバンバンと皿を叩く。


「もっと食べたいなら、私と意志疎通しよう。」


魔女アルテミシアは試行錯誤しながら、意志疎通を試みるのであった・・・。

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