第十二話 VSゴブリンキングとクイーン
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
ゴブリンキング
ゴブリン系統のボス的存在。三メートル弱のでっぷり肥えた巨大な化け物容姿の男。パワー型のBランク人型魔物。
ゴブリンクイーン
ゴブリン系統の女王的存在。魔女的な化け物容姿の女。ゴブリンを大量繁殖することが出来る。土魔法に長けており、魔法型のBランク人型魔物。命の危機を感じると逃走する傾向が高い。
ゴブリンの巣である洞穴の上にゴブリンキングとゴブリンクイーンが立つ。その下方に洞穴をメインに三方の土壁に囲まれたリュウたちが二人を見上げる構図。
「我ガ子タチヲヤッテクレタナ!!」
ゴブリンキングとクイーンは配下のゴブリンたちを殺されたことで怒っていた。
「ヤルヨ!!」
クイーンが土魔法による岩石を大量に作り出す。それをゴブリンキングが担ぐ。
「岩石落とし!!」
担いだ岩石をリュウたちに向けて放り投げる。
「皆、気をつけて!」
リーゼの声により、岩石を避けるリュウたち。だが次々と岩石が放り込まれる。アイリンが岩石を避けながら、「水魔法(中級)・アクアショット」による水弾丸をゴブリンキングたちに向けて放つが、二人は上方にいるため、角度的に外れる。
「地の利ではあっちが有利。」
洞穴の上から岩石をいくつも放り込まれてはリュウたちが反撃しづらい。
「洞穴を回り込んで、上に登らないといけないわね。そのためには引きつける役が必要ね。」
リーゼがリュウをチラッと見る。
「(引きつける。確かにリーゼたちは引きつけるために俺を欲しいと言ったな。その役が回ってきたと言うことか!上手くやらねば。いい加減に汚名返上したいところだ!!)」
リュウが「任せろ!!」と自信満々に言った。そして上を見上げると勢いよく向かってくる岩石が目の前にあった。
「ヘブゥッ!!」
リュウは岩石にキスするかのようにプチッと押し潰されてしまった。
「(えぇーーーっ!!)」
リーゼたちはリュウが呆気なく岩石に押し潰されて、口をあんぐりする。
「ハハハハ!!アタッタ!!マズハ一人!!」
ゴブリンキングが高笑いした。
「自信満々な表情で潰されるのは後味悪いわよ!?」
「リュウ!!本当に潰れちゃったのニャ?!」
「と、とりあえず回復魔法を・・・。」
リーゼたちが慌てて、リュウに駆け寄ろうとすると岩石が動いた。
「き、効いた・・・。」
リュウが岩石を持ち上げるように立ち上がる。その様子にリーゼたちが安堵した。
「生キテルダト!?」
ゴブリンキングたちが驚愕の表情する。
「お返しだ!!」
リュウが岩石を上高く放り投げ、ゴブリンキングに返す。
「ウガァァッ!!」
ゴブリンキングが岩石を上手くキャッチする。
「コノヤロウ!!」
岩石を再びリュウに向けて放り投げる。
「ふんぬぅつ!!」
リュウが今度は身構えて、岩石を受け止めた。そして再びゴブリンキングに返す。このループが続く。一見、キャッチボールをしているかのようであった。ただそれは狙ってか知らず、リュウがゴブリンキングたちを引きつけていたのだ。
「リュウが引きつけている間に回り込みましょう。」
リーゼ、メイファ、アイリンが手はずの通りに洞穴の上に回り込むために登り始めた。
「っせーの!!」
リュウが岩石をゴブリンキングに放り投げようとしたが、手元が狂ってクイーンの方に行った。咄嗟にゴブリンキングが守るかのように岩石をキャッチした。
「ワテノ女二何ヲスルゥッ!!」
再び、岩石をリュウに向けて投げる。
「おっと!?」
リュウが岩石をキャッチし、再び投げようと見上げるとゴブリンキングも降ってきた。体を反りながら、両手を組み、両腕を上に上げる。ハンマーのような形になる。
「トールハンマー!!」
ゴブリンキングは岩石を抱えているリュウに目掛けて両腕を振り下ろした。
「うぉ!!」
リュウは岩石を盾にするが、あっさり砕かれる。その衝撃で吹っ飛んで転がる。
「岩石キャッチボールはもう終わり・・・がっ?!」
ゴブリンキングは追撃にリュウの顔面を鷲掴みにし、土壁まで勢いよく押した。
「バフスラッシャー!!」
土壁を使い、リュウの背中を削り取るかのように移動する。
「防御技・ドラゴンスキン(弱体化)!!」
リュウはドラゴンの擬似的な鱗を纏わり付かせるが、削られていく。だんだん擬似的な鱗が剥がれて、「いてててて!!」とダメージを受け始めた。ゴブリンキングの引きずり攻撃は止まない。※ドラゴンスキンは打撃や斬撃には強いが、削られる攻撃には弱い。
「こんの!?ドラゴントゥース(使用不可)!!」
リュウは顔面にゴブリンキングによって掴まれた手に噛みついた。ドラゴントゥースのスキルは使えずにただの噛みつき攻撃になる。
「イテッ!!」
ようやくリュウから手を離したゴブリンキング。
「(この体でBランク魔物相手にどこまでやれるか試してみようじゃないか。)」
リュウは爪を伸ばし、魔力を込めて硬度を高める。そしてゴブリンキングと肉弾戦する。
「ドラゴンクロー!!(弱体化)」
「ヌゥッ!!」
リュウの斬撃攻撃に対して、ゴブリンキングが防御に身を固めるが、裂傷をあちこち負う。
「ム!!コイツ、強イ!!」
攻撃を受けたことでリュウの実力を測った。
「ゴブリンキングパンチ!!」
ゴブリンキングがパンチする。ゴブリンキングとリュウとの身長に差があるため、下に目掛けてパンチする形になる。だが、リュウは避けてその腕を使って、一本背負いする。ゴブリンキングの巨体が回るかのようにドッシーンと仰向けに倒れ込む。
「もう終わりか?」
リュウが挑発するとゴブリンキングが「#」と青筋を立てながら、起き上がった。
「ガァァァァ!!」
リュウがゴブリンキングと戦いを続ける中、リーゼとメイファが回り込んで洞穴の上にいるクイーンを取り囲む。
「アンタ!!敵ガイルヨ!!モドレ!!」
クイーンがゴブリンキングを呼び戻そうと声をかけた。ゴブリンキングはハッと洞穴の上を見やり、リーゼとメイファを認識するとリュウとの戦いを中断し、ジャンプする仕草を見せる。
「イマ行ク!!」
「(まずい!このまま行かせたら、リーゼたちに危機が及び、引きつける役割に失敗することになる!!)」
リュウが洞穴を見るなりに閃いて、「風魔法(下級)・エアロ」とつむじ風を巻き起こす。それを勢い良く吸い込む。
「エアロブレス!!」
「ヌ!?ウワァァァァァ!!」
強烈な風の旋風がゴブリンキングを巻き込み、洞穴の中に突っ込ませた。同時にリュウも洞穴に入って行く。
「リュウ、見事に役割を果たしているわね!!」
リーゼとメイファがクイーンに対して戦闘態勢に入る。
「ゴブリンクイーン一人なら、アタイたちでも倒せるニャ!!」
ゴブリンクイーンは魔法タイプのため、接近戦闘は苦手としていた。前衛がゴブリンキング、後衛にゴブリンクイーンという戦闘スタイルがよくあることだった。
「クッ!!土魔法(下級)・土埃!!」
クイーンは目眩しのために土を巻き上げた。
「きゃっ。」
リーゼたちが目を腕で覆うと次の瞬間にクイーンは逃げた。
「逃げたニャ!!」
リーゼとメイファがクイーンを追う。クイーンが洞穴から離れて大森林に身を隠そうとするが、そこにアイリンがいた。
「エルフ魔法(上級)・植物操作」
アイリンが木を操り、クイーンを拘束する。
「想定通りね。」
リーゼがしてやったりの表情。どうやらゴブリンクイーンの逃走はリーゼたちには想定できていたことだった。
「ヤ、ヤメロ!!ワタシハ女王!!ゴブリン帝国ノ繁栄ニ必要ナ存在!!」
「ゴブリンは蟻と同じ存在。分布を広げられると迷惑なのよ。」
リーゼが剣でゴブリンクイーンの首を刎ねる。
「ギャァァァァァァ!!」
その際にゴブリンクイーンの断末魔が響き渡る。その声がリュウとゴブリンキングの耳に入った。
「(どうやらリーゼたちがクイーンをやったようだな。これで汚名返上できたか。)」
「シ、シマッタ!!オノレェ!!人間ドモメェ!!」
洞穴の中はあちこち火の手が上がり、ゴブリンの焼死体が転がっていた。※リュウのファイアブレスによるものである。
リュウがふと骸骨の山に目をやる。
「これは人間の骸骨だな?」
「アァソウダ!!人間ヲ皆殺シニシテ喰ッテヤル!!オマエモダ!!」
「・・・そうか。」
リュウが物憂いかのような表情を見せた。何か思うところがあるようだ。
ゴブリンキングが全身に力を入れるかのような態勢を取る。
「最強技・パーサーカー!!」
※ステータスを底上げする代わりに全てを破壊尽くす狂戦士になる技。
ゴブリンキングはまるで狂ったかのような表情でリュウに襲いかかる。
「・・・人間が魔物に脅威を感じたら排除に動くことが多々ある。逆に魔物は理不尽に思うこともあるだろう。だが、魔物にしたら弱肉強食が常の世界。喰うか喰われるか。力が全てだ。俺もそっち側だからわかる。」
ゴブリンキングの攻撃を受けると同時に「人化魔法・人間解除」とだんだん大きくなる。とこどころに銀色の鱗が発現する。ドラゴンになろうとしているようだ。
「ギッ!!ガァァァァァァツ」
ゴブリンキングはそれでも攻撃を続けるが、とうとうリュウは銀色輝く体表を持つ覇竜に戻った。
「人間は美味かったか?その人間たちの無念を私が晴らしてやろう。」
覇竜は暴れるゴブリンキングを捕まえて「ドラゴントゥース」にて瞬殺するのであった・・・。
ー洞穴手前ー
「リュウは大丈夫かしら?」
「パーサーカーにでもなってたら手に負えないニャァ!」
「でも戦闘の音がしない。」
リーゼたちが洞穴手前に戻ると同時にリュウが洞穴から出てきた。
「ゲェーップ。」
リュウはみっともなく喉を鳴らした。首だけのゴブリンキングを手にしている。その様子にリーゼたちが驚く。
「まさか倒したの?」
「あぁ、討伐証明必要だよな?これでいいか?」
リュウがゴブリンキングの首を差し出す。
「す、すごいニャ!!一人でBランク魔物倒しちゃったニャ!!」
メイファがうわーうわーとゴブリンキングの首を眺める。
「どうやって倒した?参考までに聞きたい。」
アイリンがそう訊くとリュウが「喰って・・・」と言いかけて、口をつぐんだ。
「ともあれ、解決したし、帰ろう。」
誤魔化すかのように歩き出すリュウにリーゼがとある部分に目が行く。
「・・・リュウ、お腹が妙に大きいわよね?」
リーゼの指摘にリュウがギクっと冷や汗に流しながら、スタスタ歩いて逃げる。こうしてリュウたちはゴブリン大量出現の可能性の調査クエストのはずが原因の元となるゴブリンキングとクイーンを倒して解決となり、ジランド王国に帰るのであった・・・。
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