第百二十五話セイクリッド魔物軍⑬VSミノタウロス
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
 ̄ジランド王国・街中 ̄
「助けてくれー!!」
入り込まれた数体のAランク魔物が暴れ、街中に被害を出していた。
ジランド王国内を警備していた騎士団が立ち向かうも全滅していた。
「あんた、冒険者だろ!」
「無茶言うな!俺はDランク冒険者!Aランク魔物は化け物だ!!だから戦争に参加しなかった!!」
ジランド王国の国民たちが逃げまどう。大型のAランク魔物が逃げ道を塞ぐ。
「どこに行くんだぁ~腹が減ってしょうがないぜぇ~。」
大型Aランク魔物の融合体人間が見下す。ジランド国民たちを食べる気のようだ。
「ひ・・・。」
化け物の圧倒的な恐怖により、萎縮するジランド国民たち。だが、そこにガッシャガッシャと音を立てて地面を揺らす。
「なんだ・・・?」
Aランク魔物の融合体が顔を上げる。大きなロボットが目に入る。それは魔導人形オリハルコンガーディアンだった。
「我が国民に手出しは許さん。」
胸部の操縦室にいるランドルフ王が言葉を発すると恐怖に染まっていたジランド国民たちが一斉に希望が見えたかのように歓喜する。
融合体人間もまた標的であるランドルフ王が現れたことを喜ぶ。
「ランドルフ王!わざわざ首を差し出しに来るとは!お前を討ち取ればジランド王国は終わるわけだ!!さぁやれ!」
融合体人間が大型Aランク魔物に指示し、攻撃させる。
魔導人形オリハルコンガーディアンは大型オリハルコンの盾を前に、防御姿勢を取る。
「オリハルコンの盾!」
大型Aランク魔物は大型オリハルコンの盾にドガドガドガ!と攻撃し、激しい音が鳴る。
周囲のジランド国民たちは怪獣決戦を見てるかのように腰を砕けた。
「ひゃっはー!防ぐだけで精一杯だな!?」
大型Aランク魔物の融合体人間は優勢と思い込んでるようだ。
「気付いてないな。ジランド王国内に入り込まれた他の魔物は片付けた。お前が最後だ。」
ランドルフ王は入り込まれた数体のAランク魔物を倒し回っていたのだ。
「なに・・・。」
大型Aランク魔物の息が上がり、攻撃が止むと同時に大型オリハルコンの大剣を振りかぶる。
「剣技・一刀両断!!」
「ば、ばかなぁぁぁー!!」
軽々と大型Aランク魔物と融合体人間を真っ二つにし、倒した。
「ランドルフ王!」
「ランドルフ王万歳!!」
「万歳!万歳!万歳!!」
ジランド国民が涙を流し、歓喜の声を上げた。
「怪我人、住居に被害が出た者はジランド王国城に向かえ!臨時開放しておる!!」
ランドルフ王がそう言い残し、魔導人形オリハルコンガーディアンがガッシャガッシャと音を立てて、戦争地帯に繋がるジランド王国の正門に向かう。
「(戦争地帯から激しい衝突音がする!!相当なレベルの戦いが繰り広げられているはずだ!!)」
ランドルフ王がカインズ、セバスチャン、ラインゴッド騎士団長を思い起こす。
「(古き友よ!今まで国の防衛に任せきりで心を痛めていたが、この魔導人形オリハルコンガーディアンがあれば、助けとなれるはずだ!!)」
次にリュウを思い起こす。
「(リュウ!魔竜や暴竜といった敵対していたドラゴンが味方になるとは。我が国の居心地が良かったと見るべきか。)」
神竜の予言の中にあった人間の行い次第でジランド王国の滅亡に繋がることに関連して、ジランド国民は多種多様な種族の人間が暮らし、たとえ貧しくても希望に満ち溢れる生活が出来ていた。
「(我が国民のおかげだ。ならばこの国の王として守らねばいかん!)」
 ̄ジランド王国・正門 ̄
セイクリッド王国から来たAランク以上の魔物軍は残すところSランク魔物四体と眷属召喚の悪魔100体。
Sランク魔物+融合体人間
ミノタウロス
VS
ジャイアントロックドラゴンとウルス
「牛突猛進!!」
牛の人型大型魔物のミノタウロスが肩を怒らせ、突進する。
「ドラゴンヘッド!!」
ジャイアントロックドラゴンも対抗して、頭を使い、突進した。激しい衝突音が鳴る。互角のようだ。
ミノタウロスが瞬時にジャイアントロックドラゴンの長い首をヘッドロックばりに両腕回す。
「ブモーーーー!!」
ミノタウロスの全身の血管が浮き出るほどの力を込め、数トンあろうかという巨体のドラゴンを持ち上げた。
「な・・・・。」
「バックドロップ!!」
ミノタウロスが後ろに倒れ込む技を出し、巨体のドラゴンの背を地面にドシーンと倒れ込んだ。
「ぐはぁダス!!」
ジャイアントロックドラゴンは体勢を立て直そうとするが、ミノタウロスは追撃に斧でジャイアントロックドラゴンの長い首に振るおうとする。
ウルスがそうはさせないと魔法を繰り出す。
「土魔法(中級)・ロックレイン!!」
ミノタウロスの頭上に大小の岩石が降るが、巨体の身体を持つミノタウロスにとっては邪魔だと岩石を簡単に振り払う。どうやら動きを止めるだけにしかすぎなかった。
その間にジャイアントロックドラゴンが体勢を立て直す。ウルスが横に並び立つ。
「まずいであるな。」
劣勢の状況にウルスが焦る。ジャイアントロックドラゴンとウルスは戦争による戦いでもはや満身創痍であった。
「相手はSランク魔物。おそらく自己再生スキル持ちである。ならばミノタウロスと融合体人間を同時に倒さねば。」
「・・・ミノタウロスはワスでは勝てんダス。」
ジャイアントロックドラゴンが先程の戦いにより実力の差を思い知ったようだ。
「だが・・・。」
ジャイアントロックドラゴンは戦争突入前を思い起こす。
 ̄回想 ̄
セイクリッド魔物軍に向けて戦争の準備を終えた人間姿のロックがジランド王国騎士団の面々と食事する。最後の晩餐である。
「ジランド王国は二回戦争して疲弊している。おそらく今回の戦争で俺たちは死ぬだろうな。」
騎士団の面々が暗い表情する。
「俺の人生いったいなんだってんだよ・・・戦い戦いばっかじゃねぇか。」
「騎士団に入れば食いっぱぐれないと思ってたのによぉ。なぁ。ロック。」
騎士団の面々の愚痴言い合いにロックを加えようとする。
「ワスはジランド王国を、リュウ様の縄張りを守るダス。」
「かぁーっ。偉いこったぁ。だけど死んだらそれまでだぞ。」
その言葉にロックが首を横に振る。
「ワスは一度死にかけた。だが、リュウ様に救われ、人間に生まれ変わったダス。」
「・・・?」
「ラインゴッド騎士団長の誘いによりジランド王国騎士団に入ったが、ワスは国を、国民のために尽くす騎士の姿にかっこいいと思ってるダスよ。」
その言葉に騎士団の面々がお互い見合わせる。
「ジランド王国を、ジランド国民を守るために死んでも誰かがワスを覚えていればそれでいいダス。」
「・・・目が覚めた。俺たちは騎士。ジランド王国を守るために存在する。」
絶望に満ちた表情していた騎士団の面々の目に力強さが戻った。
「だが・・・この中で一番生き残りそうなのはラインゴッド騎士団長に次ぐ強さを誇るロックだな。」
騎士団の面々がロックに注目する。
「お前が俺たちを覚えておいてくれ。」
「・・・あぁ、わかったダス。」
騎士団の面々の想いをロックに託す。その様子にラインゴッド騎士団長がふっと笑う。
「(あいつらは正体を知らないとは言え、ドラゴンであるロックに託すとはな。)」
騎士団の人間たちとドラゴンであるロックとの間に友情が結ばれたのであった。
 ̄回想終了 ̄
この戦争で騎士団は壊滅に近い被害を出していた。ロックに想いを託していた騎士団の面々は逝ってしまった。
「(絶対に死ぬわけにはいかんダス!!)」
ジャイアントロックドラゴンは騎士団の想いを守るために生き抜くと誓う。
「なんとしてでもミノタウロスを倒してみせるダスよ!!」
「ならば自分は融合体人間を倒そう。」
ジャイアントロックドラゴンとウルスがそう決め、ミノタウロスと対峙する。
ミノタウロスの胸に融合する人間が首を捻る。
「はて?Bランク魔物のジャイアントロックドラゴンはどこから出現したんだ?」
融合体人間は人間姿であるロックからドラゴンに変身する様子をよく見ていなかった。
「まぁいい。ジランド王国への進行を邪魔するなら敵だ。排除しろ!!」
ミノタウロスが大きな斧を持ち、ドドドドッと駆け、ジャイアントロックドラゴンに向かう。
「ブレス!!」
ジャイアントロックドラゴンは大きく息を吸い、竜巻状の一線をミノタウロスに向けて放った。
ミノタウロスは竜巻状の一線に目掛けて大きな斧を振りかぶる。
「最強技・トマホーク!!」
大きな斧を投げつけ、物凄い勢いで回転し、竜巻状の一線を割り、そのままジャイアントロックドラゴンの長い首に向かう。
「(まずい!!このままでは首を斬られる!!)」
そう判断したジャイアントロックドラゴンが力を込める。
「防御技・岩石竜!!」
ジャイアントロックドラゴンの背に特徴である大きな岩が全身に散らばり、長い首に岩が巻かれた。岩石ずくめのドラゴンとなる。
そして回転状の大きな斧を岩に巻かれた長い首で受け止める。
「ぐぎぎぎ・・・!!」
火花が散りながらも回転する大きな斧。岩を砕き、長い首に刺さる。
「ぐはぁ!!」
回転はそこで終わり、長い首に斧が刺さる。長い首から血が流れるもジャイアントロックドラゴンは生きてる。
「はぁはぁ・・・なんとかなったダス。」
「ちぃっ!とどめだ!ミノタウロスいけ!!」
ミノタウロスがドドドドッと駆けようとするとウルスが魔法を繰り出す。
「土魔法(中級)・空堀!!」
駆け出す先を予測し、土を掘りあけた。するとミノタウロスがつまずいてドシーンと転ぶ。
「いたた・・・さっきからちょこまかと・・・。」
ミノタウロスと融合体人間が標的をウルスに定める。
「ブモモー!!」
ウルスに目掛けてパンチする。ウルスは避けるが、ミノタウロスが地面に叩きつけることで大きな衝撃が発生し、ダメージを食らう。
「がは・・・。」
ウルスが膝をつく。
「これで終わりだ!!」
ミノタウロスが再び、ウルスにパンチする。この一発でウルスは確実に死んでしまう。
「くっ・・・。」
絶体絶命のウルス。
「そうはさせるかダス!!」
ウルスとミノタウロスに割って入るジャイアントロックドラゴン。そのままミノタウロスと取っ組み合いになる。
「ブモー!!」
ミノタウロスはジャイアントロックドラゴンの首に刺さったままの斧を握る。
「ドラゴントゥース!!」
ジャイアントロックドラゴンはミノタウロスの首に噛みつく。
お互いに死に直結する首をつかみ合う状態になる。
「ふん!例え、ミノタウロスがやられようとも俺が生きている限り、自己再生スキルで復活することが出来る!!逆もしかり!!無駄足掻きだな!!」
ミノタウロスの胸にいる融合体人間が高笑いする。
ジャイアントロックドラゴンとミノタウロスは聞こえていなかった。殺るか殺られるか、魔物の本能に従っていた。
ミノタウロスの斧を力一杯に握り、長い首にさらに食い込む。
ジャイアントロックドラゴンはミノタウロスの首を力一杯に噛みちぎろうとする。
「はぁはぁ・・・ロック!!」
手負いのウルスが救う手立てを考えるもジャイアントロックドラゴンの目が「(ワスはいい!融合体人間を殺れ!!)」と言っていたのがわかった。
ウルスが融合体人間を倒す技を準備する。
ミノタウロスのパワーが上回り、ジャイアントロックドラゴンの首を半分まで斬る。
「ぐっ・・・。」
ミノタウロスに噛みつく力が弱まる。ジャイアントロックドラゴンは瀕死に近い状態になる。
「(・・・騎士団の皆の想いは無駄になるようダス。)」
一瞬諦めに似た感情に襲われるジャイアントロックドラゴン。だが、どこからとなく幻聴がする。
『おい、ロック。ジランド王国を守るんじゃなかったか?』
『頼むぜ。死んでもそいつを倒してくれ。』
『頑張れ!頑張れ!頑張れ!!』
騎士団の面々の幻聴だったが、ジャイアントロックドラゴンがハッとする。
「これで終わりだぁー!!」
融合体人間が叫ぶと同時にミノタウロスがジャイアントロックドラゴンの首をはねた。
だが、ジャイアントロックドラゴンはまだミノタウロスの首に噛みついたままだった。
「邪魔だな。剥がせ。」
ミノタウロスが死んだと思いしきジャイアントロックドラゴンの歯を剥がそうとする。だが、力一杯に剥がそうとしても剥がれない。
「何やってるん・・・。」
首だけとなったジャイアントロックドラゴンの目に生気があった。
「ば、ばかな・・・。まだ生きているのか!!」
「最強技・死竜牙!!」
ミノタウロスの首を噛みちぎった。ミノタウロスの首が飛ぶ。
「ミノタウロス!!」
融合体人間が慌てるも冷静になる。
「なぁに自己再生スキルで復活するさ・・・。」
自己再生スキルを発動しようとするが、槍を振りかぶるウルスを目にする。
「ま、・・・まて・・・。」
「最強技・ゲイボルグ!!」
ウルスが槍を思いきり投げ、ミノタウロスの胸にいた融合体人間を貫いた。
「こ、こんなバカな・・・。Sランク魔物ミノタウロスが格下に破れるとは・・・。」
ドシーンと首を失い、胸に穴が空いたミノタウロスが倒れた。決着がついたのだ。
ウルスは手負いの傷を抱えながら、よろよろとジャイアントロックドラゴンの顔に近づく。
 ̄天界 ̄
「ん・・・?ここは・・・?」
花畑に囲まれる中、ジャイアントロックドラゴンは人間姿のロックになっていた。
「お前も来ちまったか。」
「騎士団の皆・・・。」
ロックの周りに騎士団の人間が多数いた。
「お前、ドラゴンだったのかよ!?」
どうやら戦いの最中に聞こえた幻聴と思わしき声は現実のようだった。
「あぁ、死んでしまったか。すまなかったダス。」
ロックが申し訳ない表情する。騎士団の面々が慌てる。
「いやいや、なんっつーか、お前のほうが騎士らしかったぜ!!俺たちなんて呆気なく死んじまったぜ。」
「・・・ドラゴンと知っても、なお気にしないダスか?」
「あ、あー。びっくりはしたがよぉ。ジランド王国守ってくれたんだろ。だったらいいじゃねぇか。」
ロックの背中をパンパン叩く。
「さぁ一緒に行くか!」
ロックは「・・・あぁ。」と笑顔で騎士団の面々と共に逝く。
 ̄ウルス視点 ̄
「ロック!!」
ウルスがジャイアントロックドラゴンの顔を覗き込む。
「・・・なんだ。良い笑顔であるな・・・。」
ジャイアントロックドラゴンは笑顔で死んでいた。その横に手負いのウルスはがくっと座り込む。
「・・・ありがとう。」
ウルスはドラゴンであるロックに感謝した。そして戦いは次なる舞台に移るのであった・・・。
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