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第百二十四話セイクリッド魔物軍⑫覇竜が死ぬ?

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!!

邪悪竜ヤマタノオロチにより、セイクリッド王国が消滅した。覇竜もリーゼたちも巻き込まれて、消えたかと思われたが・・・。


「うっ・・・・。重いわね・・・?」


リーゼたちは生きていた。リーゼたちは地に這い、何かに覆われていた。リーゼたちがそこから這い出して、覆い被さっている物体を見る。


「覇竜様!!」


リーゼたちを覆っていたのは覇竜だった。邪悪竜ヤマタノオロチのアルティメットブレスからかばったようだ。


覇竜は死んだかのようにぐったりしていた。


「アイリン、シン、リーナ!回復魔法を!!」


ソルの声に三人が一斉に「回復魔法(中級)・エクスヒール!!」とかけた。


「覇竜様!目を覚まして!!」


「お願いニャ!!」


リーゼとメイファが覇竜の身体を揺さぶる。アイリンたちが回復魔法をかけ続ける。


ソル、ポチ、サムライ、ニンジャは生きていてくれ!とばかりに沈痛な表情した。


「だめです!回復魔法の効果がありません!!」


シンが焦る。


「覇竜様の自己再生スキルが発動しない!」


アイリンの言葉にリーゼ一同の頭に覇竜の死がよぎった。


「なんとしてでも助けてくれワン!俺が覇竜を倒すんだワン!!」


ポチがアイリンたちに叫んだ。だが、リーナが膝をつく。


「ごめんなさい~。魔力切れました。」


次にシンが「すみません・・・。」と魔力切れを起こし、膝をついた。


「覇竜様・・・数々の恩を返せずにごめん。」


最後にアイリンが魔力切れを起こし、涙ぐみながら四つん這いになる。


「覇竜様・・・お願いニャ。目を覚ましてニャ。」


メイファもまた涙ぐむ。リーゼが目を伏せて黙る。


「・・・・。」


リーゼがキッと怒ったような表情で覇竜をパシーンと平手打ちする。


「バカリュウ!!目を覚ましなさい!!いつもいつも自分勝手なことをして・・・。どうせ死んだと思ったら、また戻ってくるんでしょ!!」


リーゼが覇竜をリュウとみなし、過去にあった不満をぶちまけた。


「・・・リュウ?そ、そういえばリュウはどこニャ・・・。」


メイファが跡形もなく瓦礫となった周囲を見回す。


「リュウも死んだのニャ・・・?」


メイファががっくりと膝をついた。リーゼたち一同は覇竜の死に悲しみに暮れる中、そこに堕天使ルシフェルが羽ばたきながら登場した。


「守れなかったようですね。四大竜の覇竜ですら敗れた。邪悪竜ヤマタノオロチは世界を滅ぼしに動いた。もはや誰にも止められない。」


リーゼがキッと堕天使ルシフェルを睨み付ける。


「私が邪悪竜ヤマタノオロチを止めてみせるわ!!」


リーゼが口笛を吹く。するとセイクリッド王国から離れて待機していたワイバーンキングとワイバーンが飛来した。


「お、おい・・・!!単身で邪悪竜ヤマタノオロチに挑もうってのか・・・!?」


ソルが焦る。


「ワイバーンキング!あなたの力が必要なの!乗せて!!」


ワイバーンキングは邪悪竜ヤマタノオロチに突撃しろという意味で受け取り、恐怖に震える。だが、死んでいる覇竜を見る。


「(あ、アニキ・・・。)」


ワイバーンキングは覇竜の敵討ちと覚悟を決め、リーゼを乗せた。


「アタイも行くニャー!」


「私も。」


メイファもアイリンもワイバーンに乗る。


「・・・僕たちも行くさ!!ジランド王国が失くなるのは黙ってられない!!」


ソルもポチもシンもワイバーンに乗る。


「拙者たちも行こう。セイクリッド王国は守れなかったが、ジランド王国はまだ間に合う。」


サムライもニンジャもリーナもワイバーンに乗り込む。


そしてリーゼたち一同はジランド王国に向けて飛び立っていった。覇竜と堕天使ルシフェルが残る。


「・・・邪悪竜ヤマタノオロチの力を目の当たりにしても諦めないですか。それに比べて私は実の兄であるヴァシュロンを救えずに何をしているんだろう・・・。」


どうやら神王ヴァシュロンと堕天使ルシフェルは兄弟のようだ。


堕天使ルシフェルが覇竜を眺める。すると覇竜が光輝く。


「!?」


「ドラゴン魔法・時間操作、時戻し!!」


覇竜の瀕死同然の深刻なダメージがたちまちに時間が巻き戻るかのように塞がった。覇竜がむくりと起き上がる。


「は、覇竜、生きていたのか・・・。」


堕天使ルシフェルが驚きながら見上げる。


「いえ、私は・・・。」


銀色輝く覇竜がまばゆい光を放つと共に変身する。体表が純白なドラゴンになる。


「あ、あなたは・・・神竜様!?」


「はい。覇竜の身体を借りています。」


「で、では覇竜は・・・?」


「天界にいます。」


神竜が空を見上げた。覇竜は天界という別次元の世界に行っているようだ。


 ̄天界 ̄


「む・・・・ここは?それにこの身体は人間の姿か。」


あらゆる花が咲き乱れ、花畑の中に覇竜は人間姿のリュウとして立っていた。


「天国か?」


周囲を見回す。花畑の先に一つの大樹があった。その下に椅子に座っている人が見えた。近づいてみると、かつて夢の中で出会った創造神フォルトゥナだった。


金髪ウェーブがかかり、端正な顔立ちに天使の白い羽が三枚翼に巨乳を強調するシルクのワンピースを着て、さながら女神のようだった。


創造神フォルトゥナは二つの椅子にテーブルを挟み、優雅に白いティーカップを口に傾けていた。そしてリュウをチラッと見る。


「まぁ座れ。」


創造神フォルトゥナが椅子に座るように促した。リュウが椅子に座る。


「ここはどこなんだ?」


「天界。人間の言う天国のような存在だな。」


「・・・俺は死んだのか?」


創造神フォルトゥナはふっと笑う。


「まだ生きているよ。私がお前を魂として呼び寄せた。お前の親しき仲間は死んだと思っているようだがな。」


「なに・・・すぐ戻らねば。」


「安心しろ。代わりに神竜が行った。」


創造神フォルトゥナのお付きの純白の体表を持つドラゴンである神竜が見当たらない。


「邪悪竜ヤマタノオロチが顕現されれば、神竜は出てこれないという話だったが?」


「それは身体が一つだからだ。神竜と邪悪竜ヤマタノオロチは表裏一体の存在。ゆえに神竜はお前の身体を借りることになる。光魔法を持ち、神竜と同格のお前だから出来たことだ。」


「・・・・。」


「焦るのもわかるが、あちらは神竜に任せよ。私と話しよう。」


創造神フォルトゥナがティーカップに一口つけてから、切り出す。


「お前のいる世界は私が創造した世界。惑星創造、物質創造、自然創造、魔物創造、最後に人間創造。なかなか苦労したぞ。」


「そして出来上がった世界で多種多様な種族の人間の成長ぶりを時折観察していた。たまに加護を授けて、世界に刺激を入れていた。」


「人間と魔物は敵対し、いがみ合うように設定(プログラム)してあった。神竜を除いてな。」


「5000年経て、人間と魔物が思わぬ方向に進み始めた。まずリッチと水竜を覚えているだろう?」


水竜とリッチ(両者、第二章登場)にリュウが頷いた。


「水竜はルクテシア王国の軍隊から蜥蜴族を守ろうと動いたことに驚きを感じた。私の設定(プログラム)を逸脱していたからな。」


「そしてリッチが開発した死者反魂の魔法は私の設定(プログラム)になかった。下手すれば神の領域を踏んでいる魔法だった。」


「世界の修正が必要かと考えもしたが、このまま様子を見た。案の定、次なる設定(プログラム)を逸脱した者が現れた。それがお前だ。」


「最初は人間と対立していたが、徐々に歩み寄っていく姿を観察していたよ。」


リュウが「まるでストーカーだな。」と軽口叩く。


「神たる私に向かってストーカー呼ばわりするとは良い度胸だ。」


創造神フォルトゥナが笑う。そして話を続ける。


「お前が人間と歩み寄っている間にマクスウェルがディモール王国で生まれた。様々な悪事を働いたことから地獄に落としたがな。」


今は亡き賢者マクスウェルがディモール王国の宰相を務め、魔法の実験に奴隷を大量虐殺など悪事を染めていた。


「最後は自らの間違いを償おうとした姿は認めたさ。刑期は短くしてある。」


創造神フォルトゥナが区切りを入れ、ティーカップを飲む。


「マクスウェルもまた設定(プログラム)を逸脱した者だ。知っているか?マクスウェルは不老不死の研究をしていた。」


「いや、それは知らなかったな。」


リュウは創造神フォルトゥナの問いに首を横に振った。


「マクスウェルは不老不死を追い求めたが、出来たのは人造生命体(ホムンクルス)だった。」


「・・・人間を造ったのか?」


「あぁ。不老不死には程遠く失敗作だったようだ。だが、神の領域を踏み込んだ。」


「未来の数ある分岐を読んでも人造生命体(ホムンクルス)が邪魔する。世界の修正が必要だと考えた。そのためにお前に加護を授けた。」


ここまで聞いたリュウが複雑な表情する。


「・・・設定(プログラム)や世界の修正などとまるで物いじりだな。俺たちは創造神フォルトゥナの持ち物か?」


「不快に思うか?」


「あぁ。俺たちは創造神フォルトゥナにより造られた存在だとしても生きている。俺たちの世界は俺たちが決める。創造神フォルトゥナの心一つで世界を変えていいはずがない!」


リュウがそう言いきると創造神フォルトゥナは顎に手を当てて考える仕草を見せる。


「・・・そうか。介入は今回で最後にしよう。もう神竜を使ってしまったからな。」


リュウがコクッと頷き、「それはそうとして、」と続ける。


人造生命体(ホムンクルス)とは誰を差しているんだ?」


「何度も戦っているはずだよ。」


創造神フォルトゥナが知っている相手だと言わんばかりの表情にリュウがまさか・・・と思い当たる。そして舞台はジランド王国に移るのであった・・・。

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