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第百十四話 セイクリッド魔物軍⑤ガイアスの心境変化

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!

◇◇東街・孤児院◇◇


 孤児院の中に子供たちが集まって、リリスとガイアス、スイリューが見守る。


 子供たちは戦争音を聞き、落ち着きのない仕草を見せる。リリスが笑顔で「大丈夫。」と安心させるかのようにかけた。


 だが、ガイアスはジランド王国内に魔物が侵入してきたことを気配察知スキルにより、関知していた。その魔物が暴れながら孤児院に向かってることはわかっていた。


「・・・・。」


 ガイアスは無言で立ち、孤児院から外に繋ぐドアの前に立つ。


「ガイアスさん、どこに・・・。」


 リリスが呼び止めた。


「敵だ。」


 ガイアスの言葉にリリス、子供達が不安げになる。


「今は遠くにいるが、ここに向かってるようだ。」


「待って!!」


 子供達がガイアスの足にしがみつく。中は泣く子供もいた。


「死んじゃ嫌だよ!!」


 度重なる戦争で親を失った子供達がガイアスを父のように慕っていた側面があった。


「・・・泣くな。泣いてもどうにもならんことがこの先多くある。まずは強くなれ。そこからだ。」


 ガイアスが座り、子供達と同じ目線に立つ。


「だが、安心しろ。今はオレが守る。」


「・・・う、うん。」


 子供達は理解し、ガイアスから離れる。


「ガイアスさん・・・。」


 ガイアスとリリスが向かい合う。


リリス。・・・初めて会ったことを覚えているか?」


「はい。」


 リリスがフトッチョの部下荒くれ巨漢たちに襲われたとき、ガイアスが救った話だ。(第七十八話参照)


「・・・オレは人間が嫌いだ。スイリューにケツを叩いてくれねば、リリスを見捨てていただろう。」


「え・・・?」


「オレに妻がいたのは知っているな?」


 リリスが躊躇いがちにコクッと頷く。クレアからバツイチと聞かされていたのだ。


「昔に蜥蜴族を守ろうとして人間に殺された。」


 ガイアスの妻である水竜が蜥蜴族を守ろうとして、ルクテシア王国の人間に殺されたのだ。リリスが黙る。


「当時は何故、蜥蜴族を守るのか理解できなかった。」


 ガイアスが訳分からないと軽く首を横に振る。そしてリリスと子供達全体を見渡す。


「・・・だが、お前たち人間に初めて礼を言われたとき、オレは奇妙な気分を味わった。」


 ガイアスが目を瞑る。当時の気持ちを掘り起こす。


「かすかな・・・それでいて暖かな気持ちだった。・・・今なら、我が妻の行動が理解できる。これは守らねばいけないと感じた。」


「ガイアスさん・・・。」


 ガイアスはふっと笑い、ドアに手をかける。スイリューもまたついていく。


「お前たちとの生活は楽しかった。・・・この戦いが終わればお前たちは真実を知ることになる。」


「ガイアスさん!?それはどういう意味・・・?」


 ガイアスは返事することなく、孤児院の外に出た。そこには魔物一体と融合体がいた。


 オーガキング。化け物顔で人型魔物。がっちりした体格に突起のついた棍棒を持ち、全長5Mと巨大であった。Aランク魔物である。


「はははー壊せ!壊せぇぇー!!」


 融合体の指示により暴れまわるオーガキング。そこにガイアスが立ちはだかる。


「なんだぁー!邪魔するってのか!!」


「・・・人間が魔物化の玉を飲み、魔物となったな?」


「そうだ!神王ヴァシュロン様から奴隷の自分に魔物化の玉をくださり、力溢れん魔物となった!思うがままに世界を壊してやる!!」


 融合体人間が高らかに笑う。


「さぁやれー!」


 オーガキングが棍棒を振り回し、ガイアスを叩きつける。ガイアスは片手で防ぐ。尋常じゃないパワーに融合体人間が唖然とする。


「な、な、なんだお前は・・・?」


「オレはお前のような人間が嫌いだ。」


 ガイアスは「人化魔法・人間解除」で灰色の巨大なドラゴンこと暴竜に変身した。


「お前も魔物化の玉を飲んだ・・・いや、こ、これは本物の暴竜っ・・・?!」


 暴竜を目の当たりにし、後ずさるオーガキングと融合体。


「力を手に入れるとすぐ調子に乗る。身の程を知るがよい!!」


 あまりの威圧感にオーガキングがヒビってしまう。


「子供たちがいる手前、残虐な様子は見せたくない。」


 暴竜が地面に鉤爪を当てる。


「ドラゴン魔法・大地操作、地割れ!」


 大きく地面が裂け、オーガキングと融合体人間が落ちていった。同時に暴竜も入って行った。


「うわぁぁぁー!どこまで落ちるんだぁぁぁー!!」


 オーガキングと融合体人間が真っ逆さまに落ちるところまで落ち、地面に激突する。


「ここは・・・。あちっ!!」


 地面が熱く周りを見回す。暗闇の中、マグマがうねりにうねって、それがおぼろげな光となって照らす。


「マントルだ。地表とマグマの間のところだ。」


 暴竜が羽ばたき、着地した。


「ここがお前の墓場だ。」


「くっ・・・くそぉぉー!!」


 オーガキングが棍棒を振り回す。


「さらばだ。ドラゴンクロー!」


 暴竜の鉤爪による斬撃でオーガキングの棍棒がへし折られる。


「ぎゃぁぁぁぁっ!」


 オーガキングと融合体人間は斬撃を受け、その衝撃により、うねっているマグマに落下した。そのままマグマに飲まれ、跡形も無く消えていった。


「ふん・・・。」


 そして地下から脱出するとそこにリリスと子供達がいた。


「ガイアス・・・さん?」


 リリスが信じられないといった表情で暴竜を見上げた。


「あぁ。お前たちの認識で言うところ、魔物だ。過去にルクテシア王国を滅ぼし、多くの人間を殺したこともある。さらに前回の戦争も意識を支配されていたとは言え、敵対していた。」


「・・・・。」


 リリスが押し黙る。


リリス。怖いか?」


「怖い。・・・・けど、私たちを守ってくれました。それにガイアスさんはドラゴンの湯の店主として私たちのために働き、お金を稼いでます。」


「・・・働かないとクレアがうるさいからな。」


 暴竜の嫌そうな表情にプッと笑うリリス。


「やはりガイアスさんはガイアスさんですよ。」


 リリスの言葉に暴竜は人間に対するわだかまりが消え、和やかな表情になる。


リリス・・・。」


「もう娘って呼ぶのはやめて。リリスです!!」


「・・・あぁ、そうだな。リリス。」


「はい!」


 ドラゴンと人間に愛情が生まれるのだった。


 子供達が暴竜の巨大さを目の当たりにし、興奮したり、泣いたりする。


「飛べるの?乗せて!!」


 子供達の無邪気なリクエストに暴竜がかすかに微笑む。


「この戦争が終わったらな。」


 暴竜が羽ばたき、飛ぶ。


「ガイアスさん、絶対に帰ってきてね。」


「あぁ、スイリュー、守ってやってくれ。」


「ボ・ク・に・マ・カ・セ・ロ・・・。」


 子ドラゴンのスイリューがたどたどしく発音した。人族の言語を初めてしゃべったことにリリスと子供達が驚いた。


「では行ってくる。」


 魔竜と小型炎竜に続き、暴竜も戦争地帯に向かい飛ぶのだった・・・。


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