第百十三話 セイクリッド魔物軍④エンカとカミュは友達!!
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
◇◇ジランド王国・正門前付近◇◇
ジランド王国騎士団と冒険者有志たちがセイクリッド魔物軍と交戦していた。その中にウルスとロックの姿があった。
「格闘大会に腕試しとして参加したはずが、こんなことになるとは。だが、世界を滅ぼされる話となれば黙っていられんである!!」
「ジランド王国はワスが守るダス!!」
二人がタッグとなり、奮闘する。
セイクリッド魔物軍はAランク以上の大型魔物と融合体人間が多くおり、ジランド王国騎士団と冒険者有志が次々やられ、倒れていく。
「最終防衛ラインを突破させるな!!」
傷だらけになりながらもカインズとラインゴッド騎士団長、セバスチャンは戦っていた。
「(戦線が持たねぇ・・・。)」
カインズがギリッと歯を噛み締める。その時、戦線が瓦解し、数体の大型魔物がジランド王国に向かってしまう。
「しまっ・・・。」
カインズたちが焦る。このままでは数体の大型魔物により、ジランド王国に危機が及んでしまうのだった。
◇◇リュウ邸宅・庭◇◇
クレアはのんびり紅茶タイムを取っていた。エンカはテーブルに突っ伏していた。その様子にメイドのカミュが苦笑いする。
「こんな時でもブレないですね・・・。」
戦争中だというのにクレアはマイペースだった。
「戦争音がやかましいけれどねぇ。あぁ、美味しいわ。カミュの入れる紅茶は良いわ。」
「ありがとうございます。」
「ねーねー。そろそろ行こうよ~。金ヅルの人間が次々倒れていくよ。今後の商売に困るよぉ。」
エンカが戦いたくてうずうずしているかのように理由をつけた。
「そうねぇ。でも敵はあちらからやってくるようよ。」
クレアの言葉と同時に魔物が現れた。
Aランク魔物で狼系のケルベロス。一つの体に狼顔が三つあり、大型魔物であった。その背に融合体人間がいた。
「やった!」
エンカが喜び、立ち上がり、ケルベロスと対峙する。カミュが心配そうにする。
「エンカちゃん!気をつけて!!」
「まっかせて!!」
エンカがカミュに向けてピースサインした。
ケルベロスの融合体人間が「食え!」と指示し、ケルベロスがエンカに襲いかかる。エンカが身構える。
「ガウルルー!!」
「ドラゴンフレイム(弱体化)!!」
エンカが炎を吐くが、ケルベロスはお構いなしに炎の中を駆け、突進する。
「!?」
ケルベロスの突進にエンカが吹っ飛ばされる。
「エンカちゃん!?」
「こんのーよくもやったな!」
エンカが体勢を立て直し、爪を伸ばし、ケルベロスと戦いを繰り広げる。クレアは紅茶を飲みながら、戦いを見物していた。
「エンカちゃんが心配じゃないんですか?」
カミュがエンカとケルベロスとの戦いにハラハラしながら、クレアに訊いた。
「あの程度ならエンカが本気を出せば敵ではないわよぉ。・・・あなたたちは友達でしょ?」
カミュは面を食らうが、「あ、はい。」と答えた。
「エンカは小さいときに拾って面倒を見てたわ。年が離れてる分、友達じゃなく姉妹という感覚。エンカは同年代の友達がいなくてねぇ。カミュが初めての友達よぉ。」
クレアがエンカ保護者として姉として目を細める。
「でもね。私たちとあなたたちに線引きというのは存在する。あなたはその線を越えて受け入れることが出来る?」
「・・・何の話ですか?」
カミュが訝しげになる。
「それを今から見せるわ。」
カミュはクレアの目線を追い、エンカを見やる。
ケルベロスの狼顔の一つがエンカの胴体を噛みつき、あと二つの狼顔が左右の腕を噛みついていた。
「痛いなーもぉー!!」
エンカは「ドラゴンスキン(弱体化)」の防御スキルで耐えていた。
「引き裂け!ケルベロス!!」
融合体人間の指示により、ケルベロスは力一杯にエンカを引き裂こうとする。クレアがエンカに声をかける。
「エンカ!本気出していいわよ!!」
クレアの言葉にエンカがためらう。
「でも・・・。」
カミュの存在を気にする素振りを見せる。
「いつまでも隠しておけるわけじゃないわ。友達ならなおさらよ!!」
クレアの叱咤激励により、エンカが真顔になる。
「・・・・わかった!!」
エンカは「人化魔法・人間解除!!」で徐々に大きくなり、炎竜の幼生体で約3Mのピンクドラゴンに変身した。
その様子にびっくりするカミュ。ついでにケルベロスと融合体人間もだ。
「なに・・・ドラゴン!?」
小型炎竜が面食らうケルベロスと融合体人間に向けて口を開く。
「最強技・ファイアブレス!!」
炎の光線を吐き出す。
「ぎゃぁぁぁぁー!!」
ケルベロスと融合体人間は瞬く間に消し炭と化した。
「倒したー!!」
小型炎竜が喜ぶが、ハッと気付き、すぐさまにカミュの方を見やる。
「・・・エンカちゃん?」
カミュが目をぱちくりし、小型炎竜に近付く。
「・・・うん。騙してたわけじゃないけど、ごめん。」
小型炎竜はカミュと同じ目線に姿勢を低く、罰悪そうな表情する。カミュが「ううん。」と横に首を振る。
「なんとなくそうじゃないかとは思ってたよ・・・。」
「え・・・。」
小型炎竜が驚く。カミュが続ける。
「家の中でたびたびドラゴン語が出るでしょ。色々と研究して、もしかしたら・・・というのはあったの。」
「・・・私たち、友達?」
カミュは力一杯に「うん!!」と小型炎竜を張り付くかのように抱き締める。小型炎竜が涙目を浮かべる。人間とドラゴンが真の友達として繋がったのだ。
「良かったわね~。」
カミュが振り向くと黒く巨大なドラゴンを目にして驚いた。クレアが魔竜に変身していたのだ。
「・・・クレア様?」
「そうよぅ。」
「・・・やはり、リュウ様もガイアスさんもロックさんもそうなんですか・・・?」
「ふふっ。言っておくとリュウがいなかったら、あなたを食ってたと思うわよ。」
ディモール王国の戦争奴隷となってたカミュはジランド王国との戦争でリュウがいなければ魔竜や小型炎竜に食われていたことだろう。
カミュはその発言にハッと気付いた。
「リュウ様は・・・覇竜様ですか?」
「えぇ、感謝することね。私たちも人間との生活で色々知らない自分に出会えたしねぇ。」
魔竜がニコッと笑う。
「さて・・・行くわよ。」
魔竜が羽ばたく。小型炎竜も同じく羽ばたいた。
「戦争終わらしてくるねー!!」
魔竜と小型炎竜は戦争地帯に向かうべく飛ぶ。
「クレア様!エンカちゃん!!絶対に帰って来てね!!絶対だよ!!」
カミュがその後ろ姿を見届けるのだった。
◇◇リュウ邸宅◇◇
「え、えぇぇ?!ドラゴンに変身したよ?!」
風の妖精シルフが一部始終を目撃し、慌てていた。
「ふぉっふぉっ。」
雷の妖精爺ラムウは軽快な笑いで顎髭をさすった。
「どうやらこの戦いにおいて、ジランド王国は劣勢のようですし、仕方がありませんね。私たちもサポートに出ましょう。」
妖精女王シヴァたちも戦いに出ることを決めたようだ。
「え、え、二人は驚かないのか?」
「ごめんなさい。私は事前に聞いていたもので。」
「ふぉっふぉっ。見りゃ、わかるわい。年の功ってやつじゃな。」
妖精女王シヴァは事前にランドルフ王から聞いていたが、雷の妖精爺ラムウは長年の経験からリュウたちの正体を見抜いていたようだ。
「えぇ・・・。」
完全に置いてけぼりを喰らう風の妖精シルフを横に、妖精女王シヴァは妖精族の仲間たちに「ここから出ないように。」と指示する。
「ほら、イフリート。お望み通りの戦いですよ。」
妖精女王シヴァが周囲を見回す。いるであろうと思った火の妖精イフリートの姿が見えなかった。
「イフリート?」
「あやつなら、シンにこっそりついて行きおったよ。」
雷の妖精爺ラムウが他人事のように顎髭をさする。それはリュウたちについて行ったことを意味していた。
「あの馬鹿は・・・ってさむっ!」
風の妖精シルフが急に凍える仕草を見せ、原因となる妖精女王シヴァを見る。明らかに怒りによって、周囲が急速に冷えていく。
「・・・氷漬けにするわ。」
妖精女王シヴァはラムウとシルフを引き連れて、その怒りをぶつけるべく戦いに出ていくのであった・・・。
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