第百十話 セイクリッド魔物軍①セイクリッド王国潜入
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
◇◇セイクリッド王国付近◇◇
リュウたちはセイクリッド王国から離れたところに到着し、身を隠しながら様子を伺う。
「話に聞いてはいたけど、ひどい惨状ね。」
リーゼがギリッと怒りから歯を噛み締める。セイクリッド王国はすでに崩壊し、火の手が上がり、あちこち魔物とその融合体である人間の姿が何体かいた。セイクリッド国民が殺され、好き放題に闊歩する様子にリュウ一同が憤る。
「・・・サムライ。ここまで来たからには某の創造神の加護のことを明かして良いか?」
ニンジャが小声で武士道チームリーダーであるサムライに訊いた。
「あぁ、確かに戦闘の連携に困るしな。いいだろう。」
「皆の者。某から伝えたいことが二つほどある。」
ニンジャが前に出る。
「一つ目、某は創造神フォルトゥナ様の御加護を賜りし者。両手で印を結べば、あらゆるスキルが使えるでござる。」
「「「!?」」」
リュウたちが驚いた。
「え?!待ってニャ!格闘大会では見せてなかったニャ?アタイとの戦いでは手を抜いてたってこと?!」
格闘大会でニンジャと戦ったメイファが過敏に反応した。強さが誉れのある文化の獣人族として聞き捨てならなかったようだ。
「両手で印という弱点があったがゆえに隠していたのは申し訳ないでござる。」
「・・・また勝負ニャ!」
メイファが再戦!とばかりに指を差した。
「心得た。」
ニンジャは仕切り直しに皆を見回す。
「二つ目だが、某は創造神フォルトゥナ様により、目的も承った。それはバグの排除。」
「バグ?」
リーゼたちが首を捻る。
「某たちは創造神フォルトゥナ様により、創られた生命体。設定と言っておられた。」
「設定・・・。」
リュウはビラの『創造神フォルトゥナ様の駒』の言葉を思い起こした。
「そして、設定から逸脱している者たちをバグと呼んでいるようだ。その者はおそらくダークを差している。ここに来て初めて、創造神フォルトゥナ様に導かれたのだと某は思う。」
「拙者たちはフォルトゥナ教の信徒。創造神フォルトゥナ様の御心に従うまでよ。」
ニンジャと重ねてサムライがきっぱり言い切った。
「(・・・気にいらんな。要するに創造神フォルトゥナの思い通りの世界が欲しいってことだろ。)」
リュウがここまで干渉してくると腹立ちを覚えてきたようだ。
「・・・創造神フォルトゥナ様は頭を痛めておられるようね。どのみちダークを討たねばいけないしね。」
リーゼが改めてセイクリッド王国突入による最終目的を言い渡した。
セイクリッド王国城が崩壊してるのを目の当たりにし、ソルがサムライに訊く。
「僕たちは大聖堂に向かわねばならないはずだが、この有り様じゃ、大聖堂は無事なのか?」
「邪悪竜ヤマタノオロチを降臨させるためには大聖堂の中にある召喚の間が必要。おそらく無事であろう。」
サムライが「ただ・・・。」とつけ加える。
「そこまで行くのにセイクリッド王国の中を通らねばいかん。」
「・・・ということは魔物と融合体の人間の目を掻い潜らなければならないわけね。」
リーゼの言葉に皆が何か手を考え、唸る。アイリンが思いつく。
「・・・私たち火力の高い魔法使いが陽動で引き付ける。リーゼたちはその間に大聖堂に向かって。」
魔法使いであるアイリン、シン、リーナが組み、セイクリッド王国に数は少ないが、のさばっているAランク以上の魔物を引き付け、相手しようと言うのだ。
「無茶・・・と言いたいところだけれど、任せるわ。リスクなしに飛び込めるほど甘くはない作戦。・・・死なないでちょうだい。」
「ん。任せて。」
リーゼがギュッとアイリンを抱き締める。今生のお別れとならないようにお互い気合いを入れる。
シンは青ざめ、ビビり顔になっていた。
「はぁ・・・。死にたくはありませんが、また死ぬ目に遭うんでしょうね。」
「シン、来なくていい。」
アイリンが先頭に立って歩く。シンが慌ててついていく。
「アイリンが行くなら私も行きますってば。」
「うん。頼りにしてる。」
その二人の様子にリュウが「(なんだかんだ言って仲はいいじゃないか・・・。)」と内心笑う。
「よろしくお願いしますぅ~。」
天使族のフィリアがぽわぽわな雰囲気で背中の白い羽を伸ばし、低空飛行でアイリンとシンについていった。
魔法使い組の三人が一足先にセイクリッド王国に入る。一体のAランクの虎の巨大な魔物と融合体の人間が気付く。
「なんだぁ?まだ人間が残っていたのかぁ?食ってやろうかぁ。やれ!」
融合体の人間が虎の巨大な魔物に指示し、噛みつかんばかりに勢いをつける。アイリンが前に出る。
「・・・私は今までの戦いで強くなった。その力を見せてあげる。」
アイリンが魔法を唱える。
「エルフ魔法(極大)・大樹降誕!!」
一帯に大小様々な大樹が現れる。アイリンはさらに続ける。
「千年亀召喚!!」
大小様々な大樹の枝が絡み合い、巨大な亀の姿を作り出した。アイリンが亀の背に乗る。向かってくる虎の巨大な魔物に向けて亀は口を開く。
「光合成砲!!」
ピカッと光線が発射した。
「ぎゃぁぁぁぁー!!」
虎の巨大な魔物とその融合体の人間が黒こげになり、倒れた。
「すごいですぅ・・・。」
フィリアが目を見張った。だが、この戦いで他の魔物と融合体人間が気付き、集まる。どれもAランク魔物。
「集まってきました・・・。」
シンがビビりながらも杖を構える。
「アイリンが呪文の最高である極大とは負けてられません・・・。」
魔法を唱える。
「土魔法(極大)・タイタン召喚!!」
いつもの5Mのゴーレムよりさらに大きく造形がはっきりした強面顔の土人形だった。剛性がかなり上がってるようだ。
「行け!」
タイタンが動き、暴れる。
「二人とも極大ですかぁ。私も負けませんよぉ~。」
複数のAランク魔物を相手に暴れるアイリンとシンに低空飛行のフィリアも奮起する。
「天使魔法(極大)・天使の十字架!!」
光の十字架が発現し、Aランク魔物数体にダメージを与える。
「今のうちに通るわよ!」
魔法使い三人が陽動でドンパチをやらかしている間にリーゼたちはセイクリッド王国に潜入し、大聖堂まで駆けるのだった。
◇◇場面転換◇◇
◇ジランド王国・正門前◇
ジランド王国騎士団と冒険者有志たち3000人が配置につき、カインズとラインゴッド騎士団長、セバスチャンが並び立つ。巨大魔導砲も準備してあった。
「・・・来たか。セイクリッド王国を滅ぼした魔物軍が。」
Aランク以上の魔物と融合体人間が200体いた。どれも巨大な魔物であった。
「なんなんだよ・・・。系統の違うAランク魔物が徒党を組むってありえねぇだろ・・・。」
「人間が融合してるのか・・・化け物。」
「こんなんの勝てねぇだろ・・・。」
目の当たりにした騎士や冒険者が尻込みする。ラインゴッド騎士団長が巨大魔導砲を運用する魔導砲部隊に指示する。
「撃て!」
「はい!」
巨大魔導砲が火を吹き、ドラゴンブレスに相当する魔力エネルギー弾が放たれ、魔物軍に着弾する。数を減らすには減らせたが、スキルや魔法でしのぐセイクリッド魔物軍。
「巨大魔石入れ替えを急げ!ありったけの巨大な魔石を使え!」
巨大魔導砲を連発で発射する。すべて撃ち尽くしたときはセイクリッド魔物軍は150体になっていた。50体しか減らせなかったようだ。
カインズとラインゴッド騎士団長、セバスチャンが前面に立つ。
「皆!恐れるな!!俺たちの力の見せ所だ。行くぞ!!」
カインズとラインゴッド騎士団長、セバスチャンが駆け、騎士や冒険者有志3000人を引っ張る。
「(戦友のリュウ、リーゼたち、頼んだぞ。)」
カインズが大剣を振るう。ジランド王国を守るための戦争が始まるのだった。
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