第十話 初クエスト!!
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けていると思いますが、よろしくお願いします。
「もう戻ってくんじゃねーよ。」
ラインゴッド騎士団長が呆れ顔でリュウたちを見送った。偽貨幣の件で逮捕されたリュウがリーゼの示談交渉により釈放されて、たった一日足らずに高級宿で借金こさえて、すぐ戻って来るとは思わなかっただろう。
セレブ高級宿に身包み剥がされて無一文となり、借金をこさえて逮捕されていたリュウはリーゼが代わりに借金を立て替えたので、問題解決したのだ。
「私はあなたの身元保証人になってるのよ。迷惑被る身にもなって頂戴。」
「すまん。」
恩を返そうと意気込んでリーゼたちのチームに入ったのに、すぐ迷惑をかけてすっかり縮こまるリュウにリーゼが溜め息つく。
「宵越しの銭は持たないという冒険者もたまにいるけれど、それはそれとしてリュウには教育が必要と感じたわね。」
リーゼがそう言い、まずは金銭感覚から教育していくのである。店が並んでいる街道を歩く。
「そこのヤキソーバは銅貨3枚。だけど別の店ではヤキソーバ銅貨5枚。」
「料理が同じでも値段が違うのか?」
「素材だったり、量だったり、店舗主の気持ちで値段が左右されるわ。」
「値段を一律にすればわかりやすいのに。」
そうしたら高級宿で身包みを剥がされることもなかったのに、と思うリュウ。
「競争社会よ。全て一律にしたら人間は怠けてしまうわ。」
「む。」
「一般市民の月の収入が金貨15枚ほどよ。その中でやりくりするのよ。」
「月金貨15枚?俺が泊まった宿は一泊金貨30枚以上したぞ。」
「あなたが泊まったのはジランド王国でトップクラスの高級宿なのよ!!外観からしてはっきり違うのがわかるでしょ!!」
先ほど泊まったセレブ高級宿は白タイルで欧風リゾートホテルかのような佇まい。一般の宿は基本的に石レンガで詰まれたかのような中世欧風な外観の宿。リュウは見た目ではっきりと差があることに気づいた。
「一般の宿はだいたい銀貨5枚よ。」
「(値段ってピンからキリまであるのか。その見極めが難しいな。)」
人間の社会についていけるのかと不安になるリュウ。そうこうしている内に冒険ギルドに着く。
 ̄冒険ギルド クエスト掲示板 ̄
リーゼがクエストについて説明しだす。
ソロとチームでそれぞれの掲示板があり、ソロでは自分の冒険ランクとそれ以下のランクのクエストを受けることができ、チームでは一番高いランクを持つ者がそのランクとそれ以下のランクのクエストを受けることが出来る。なお緊急クエストはランク適用外の場合が多い。
リュウは掲示板に張ってあるクエストを見るが、「文字が読めない・・・。」と頭を抱える。
「私が文字を教えてあげる。」
アイリンが文字の教育係として名乗りあげる。
「そうね。アイリンが教えてあげて。今回は声を出して読むけれど、あなたはDランク冒険者。そのランクのソロで出来るクエストを見ましょう。」
ソロDランク冒険者以下クエスト
土建手伝い 一週間金貨1枚
ペット探し 見つけた時のみ銀貨5枚
下水通路清掃 銀貨3枚
などなど・・・
「・・・これらは冒険者の仕事か??」
まるで便利屋のような印象を持ったリュウ。
「国民の信頼を得るのも冒険者の務めよ。魔物退治もあるわよ。」
ゴブリン10体討伐 銀貨5枚
キノコッス5体討伐 銀貨3枚
オオガラス3体討伐 銀貨3枚
などなど・・・。
「これは・・・宿一泊分の値段だな。」
セレブ高級宿で極楽浄土の極みを得たリュウがようやく金銭感覚を掴み始めてきた。
「あなたが持ってきたCランク魔物のボクシングベアーはCランク冒険者がチームを組んで討伐する魔物。一体につき金貨10枚前後をチームで分けるのよ。それを1人で倒せば丸儲けよ。」
「なるほど。」
「一般の金銭感覚がわかってきたところで今日のクエストを受けましょうか。リュウの実力は把握していることだし、魔物退治関連のチームクエストがいいわよね。メイファ。アイリン。」
「オッケーニャ!」
「ん。」
メイファとアイリンの同意を取り付け、リーゼがチームクエスト掲示板の確認する。
「今日は手始めにCランク冒険者のチームクエストを受けましょう。」
リーゼは掲示板に貼られているクエストの紙を手に取って、アンリ受付嬢で手続きするのであった。
ー近隣の大森林ー
リュウたちはゴブリンの大量出現の可能性の調査クエストを受け、大森林に赴いていた。
「リュウ、ゴブリンの生態については知ってるニャ?」
メイファが雑談に振った。
「(・・・・ゴブリン)」
ファンタジーでは定番のゴブリンで気持ち悪い容姿に全裸で腰巻きをつけただけの魔物。リュウのいる世界もその通りであった。ただゴブリンの生態に特徴があった。
「ゴブリンキングとゴブリンクイーンが面倒という話か?」
「そうそうニャ!!」
メイファが首をコクコクする。アイリンが補足的に口を挟む。
「ゴブリン系はわかりやすく言うと蟻と同じ。そこらへんに出現するゴブリンは働き蟻。そして指揮部隊に青年の化け物容姿のボブゴブリン。そのボスがゴブリンキングとゴブリンクイーン。高確率で組んでいることが多い。」
アイリンがゴブリンの生態を蟻に例え、解説した。
「今回はゴブリンの出現率が尋常じゃなく、ゴブリンキングとゴブリンクイーンが近くにいるのではないか?と言うことで調査よ。ついでにゴブリンの間引きも必要ね。」
「なるほど。調査と言うが、ゴブリンキングとクイーンを見つけたら倒していいのか?」
「いいけれど、Bランク魔物よ。私たちでは手こずるわ。」
「Bランク魔物。そう言えば、魔物にランクをつけていると言うが、基準はあるのか?」
アイリンが魔物のランク付けの説明する。
強さで一番下のGからF、D、C、B、A、Sランク魔物が存在し、基準は戦闘能力などで振り分けられている。特にAとSランク魔物は街を滅ぼせるレベルの個体が存在する。
「人間側にもその魔物たちに対抗するために軍事力を持つ騎士団。そして腕の立つ冒険者たちがいる。それで平和が成り立っている。だけど、怒らせてはいけない魔物が数体、存在する。」
アイリンの言葉の続きにリーゼが喋る。
「Sランク魔物で四大竜は別格ね。神竜、魔竜、暴竜、そしてこの近くに住われる覇竜様。数多の生物の頂点にいる最強の四体。」
「ふふん。」
その最強の一体であるリュウ(覇竜)が思わず胸を張るとリーゼが「?」とした。
「私のお父様も覇竜様に戦いを挑んだことがあるわ。敗北したけどね。」
「(ん?俺はリーゼの父と戦ったことあるのか。そういえば、リーゼの戦い方に見覚えが・・・。)」
リュウが記憶をたぐり寄せようとするとメイファが声を上げる。
「ゴブリン発見ニャ!!」
リーゼたちが大森林の中を歩いていると六人編成のゴブリンに遭遇した。だが、ゴブリンたちはリュウたちに気づいていないようだ。
「どうする?やっちゃうニャ?」
メイファが爪を伸ばし、戦闘準備する。
「いえ、ゴブリンたちは気づいていないわ。隠れて様子を見ましょう。もしかするとゴブリンの巣に帰っていくかもしれないわ。」
瞬光の戦乙女チームリーダーであるリーゼの言葉に従い、茂みに隠れてゴブリンたちの様子を伺う。ゴブリンたちはそろぞろ歩いていく。方向性に乱れなく決まって歩いているようであった。しばらくすると洞穴に辿り着いた。
「ゴブリンたちが洞穴に入っていったわね。」
リーゼたちが茂みから洞穴を伺う。ただそれだけでは洞穴の奥が見えなかった。
「メイファ。匂いはどう?」
獣人族のメイファが匂いを嗅ぐ。
「臭いニャ。ゴブリンばかりの匂いニャ。」
「ゴブリンの巣であることは間違いなさそうね。でもただのゴブリンの集まりなのか、ゴブリンキングとクイーンが率いているのかどうかわからないわね。」
メイファの言葉にリーゼがゴブリンの巣だと判断を下した。
「中に入る?」
アイリンの問いにリーゼが顎に手を当てて考える。敵がただのゴブリンだけであれば問題ないが、ゴブリンキングたちがいれば命を落としかねないと考えているようである。
「きゃぁぁーーー、誰か助けて!!」
リーゼたちがバッと顔を上げると見知らぬ女冒険者がゴブリンたちに引っ張られて、洞穴に入ろうとするところを目撃した。
「ど、どうするニャ!」
「行く?」
「待って。皆、冷静に・・・」
メイファとアイリンが今にも飛び出しかからん体勢でリーゼが抑えようとした瞬間、リュウが飛び出した。爪を伸ばし、魔力を込めて硬度を高める。
「キッ!?」
不意をつかれたゴブリンたちはフリーズする。リュウが大きく腕を回す。
「ドラゴンクロー(弱体化)!!」
「ギャァァァッ!!」
ゴブリンたちを瞬殺し、女冒険者を助ける。
「大丈夫か?」
リュウが洞穴を背に女冒険者に語りかけた。
「は、はい。大丈夫・・・う、後ろ後ろ!!」
女冒険者が怯えた表情でリュウの後ろにある洞穴に指差す。
「ん?」
リュウが振り向くとゴブリンの大群に襲われた。
「のわぁぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
どうやら揉め事を聞いたゴブリンたちが一斉に襲いかかってきたようである。
「剣技・五月雨斬り!!」
リーゼがゴブリンたちを斬り、リュウを助けた。
「馬鹿!もっとスマートに救出できる方法があったのに!!こんなところで騒ぎを起こせば、出てくるに決まってるじゃないの!!」
リーゼがリュウを叱った。洞穴からまだまだゴブリンが出てきた。
「仕方がないわね。皆、やるわよ。」
リュウたちはゴブリン軍団と戦闘を開始するのであった・・・。
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補足
銅貨1枚=100円
銀貨1枚=1000円
金貨1枚=一万円