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第百五話 格闘大会③

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!!

 サムライが「最強技・居合い抜き」でリュウに下から斜めにブンッと刀を振り抜いた。殺し合いご法度の試合に観客がどよめきの声が上がる。


「安心せよ。回復魔法で回復が出来る傷にしてある・・・ッ?!」


 サムライが刀を鞘に納めようとすると刀身がないことに気付いた。バッとリュウのほうを見る。


 リュウは「人化魔法・竜人化」で牙が生え、銀色の鱗がとこどころに発現し、尻尾が出ていた。どうやらステータスを上昇させ、刀を力ずくでへし折ったようだ。


「正体を見せたな・・・。その姿はなんだ?!」


 サムライはギラッと睨み付けるかのように竜人化リュウを見る。


「あー、蜥蜴族のほうの俺だな。人間と蜥蜴族のハーフで二つの姿があるんだ。」


 竜人化リュウは言い訳の準備してあったかのように取り繕った。


「・・・。」


 サムライは疑心顔で上から下を眺める。


「拙者には騙されぬぞ!?戦って化けの皮を剥がしてやる!!」


 サムライがそう意気込む。


「審判!!収納魔法による武器の持ち出しは禁じられているはず。そうだな?」


 サムライが審判であるアンリ受付嬢に確認する。


「あ、はい。収納魔法から新たに武器を持ち出すと失格になります。武器は事前持ち込み制です。」


「心得た!!」


 サムライは向き直り、刀身のないただの柄をなんと構えたのだ。


「これは多少疲れるのだが・・・。」


 柄を構えると徐々に代替となる刀身が現れる。おそらく自前のエネルギーを刀身に変換しているようだ。


「それは面白いな。」


 竜人化リュウが感心する。武器を失った時のための対策はあったというわけだ。


「行くぞ!刀技・変幻自在!!」


 サムライが刀を振るうとなんと刀身が伸びた。


「!?」


 竜人化リュウが防御姿勢を取ると、直前にまたもや刀身が変形し、絡み付かれる。


「(変幻自在の刀!?)」


「はぁっ!」


 まるで鞭のように竜人化リュウを大きく振り回し、地面に叩きつける。サムライは続け様に「空間魔法・瞬間移動!!」とバッと姿を消した。


 地面を叩きつけられた竜人化リュウが見上げるとサムライが空にいた。


「本性を見せよ!!究極技・闘刃神!!」


 サムライの刀身が変化し、数千もあろうかという刀身が現れた。それらを竜人化リュウに一点集中攻撃した。


「(これは耐えられん!迎撃する!!)」


 竜人化リュウは口の中にエネルギーを貯める。


「ドラゴンブレス(弱体化)!!」


 エネルギー弾と数千の刀身が激突し、互角かのようにバァァァンっと大きく音が鳴り、弾けた。


「なに・・・?」


 空にいたサムライは闘技場に着地する。竜人化リュウは立ち上がり、体勢を立て直す。


「今のは・・・?」


 サムライが首を捻る。心当たりがあるようなないようなそんな素振りだった。


「(神竜様・・・?)」


 竜人化リュウが「さぁ、続きをやろう!」と両拳を叩きつける。その音に我に返るサムライ。


「お前は光魔法を持っていたのだな?」


「あぁ、それがどうかしたか?」


「・・・創造神フォルトゥナ様にお会いになられたことは?」


「む?・・・あるが?」


「(これも創造神フォルトゥナ様の御意志か?)」


 サムライは自前のエネルギーで作られた刀身を消した。それによりただの柄に戻った。


「おい?」


「この通り、刀がなくては戦えぬ。降参するとしよう。」


 あっさりとサムライは降参した。竜人化リュウからしたら、やたらにめわき、自己完結したように見えた。


「だが、拙者はまだ認めてはいない。いずれお前の正体を暴くとしよう。」


「おい、自己完結するな。人の話くらい聞けっつーの。」


 龍人化リュウの言葉にサムライの耳に届いているのかいないのか、反応せずに闘技場を降りた。


 アンリ受付嬢が戸惑いながら、リュウに勝利を告げた。竜人化リュウは通常の人間に戻る。


「(しかし、セイクリッド王国に人間がオークキングに変身した話は気になる。)」


 リュウは闘技場を降り、通路を通るとリーゼとカインズが待ち構えていた。


「勝ったわね。私も続くわよ。」


「頑張れよ。」


 応援の意味でお互いの片手をパンッとすれ違いざまに叩く。リーゼは次の試合に出場するべく闘技場に赴いた。そしてカインズがリュウの肩を組む。


「ちょいと顔を貸してくれ。シャルロッテ姫がお前に会いたいそうだ。」


「セイクリッド王国のシャルロッテ姫が?」


「十中八九、光魔法が目当てだろうな。詳しい話はシャルロッテ姫に聞いてくれ。」


 カインズが王族展覧席にリュウを案内に連れていった。


◇◇闘技場◇◇


 リーゼとセイクリッド王国のライオンが相対する。ライオンは獅子顔で上半身が黄色の体毛で覆われ、下半身がGパン付きの獅子足であった。


「ふん!サムライも負けやがって・・・。武士道チームリーダーのくせに威張りやがって。」


 ライオンが不満げな表情していた。


「私に勝つ気でいるのね?それは結構。だけど、あなたが負けたらサムライのことは言えないわね。」


 リーゼが剣を構える。


「女ごときが何をほざく。獣人族は強さを追い求めてこそ誉れ!!俺はこの大会で優勝し、世界最強を名乗る!!」


 男尊女卑の気が強いライオンにリーゼが溜め息をつく。


「・・・私の知り合いのポチのほうがまだマシね。」


「狼のヤツか。対戦相手が女のメイファだと躊躇している姿は見た。そんな軟弱者がマシだと言うのか!!」


「少なくともあなたよりはポチのほうが思いやる心を持っているわ。」


「ハッ、甘えぇ!!冒険者は金、名声、強さを追い求めてこそナンボの世界だ!!」


「その土台に国、ひいては国民があることをゆめゆめ忘れてはいけないわね。」


 ライオンが苛立った。


「ああ言えばこう言う!面倒だ!!こうしよう!お前に勝てば俺が正義だ!!」


「わかりやすいわね。私が勝てばその考えを正しなさい。」


 二人はアンリ受付嬢の「試合始めー!!」の号令に戦闘開始した。



◇◇王族展覧席◇◇


 リーゼとライオンの戦闘を観戦しているランドルフ王たち。


「リュウを連れてきたぞ。」


 カインズがリュウを案内した。


「ご苦労。リュウも試合直後でわざわざすまないな。」


 ランドルフ王が労いの言葉をかけ、シャルロッテ姫を見やる。シャルロッテ姫が立ち上がり、リュウに近づく。


「初めまして。シャルロッテです。先ほどの試合を拝見しました。我が国のサムライに勝つ腕前は見事でした。」


 金髪セミロングでブローチが付き、端正の整った美女シャルロッテ姫。背中に白い羽が二枚付き、きらびやかなドレスを身に纏ってた。天使族。


「俺に何か話があるのか?」


 リュウは相手が王族だろうとも気後れすることなく訊いた。


「あ、はい。光魔法をお持ちとの話で是非ともそのお力を借りたいと思いまして。」


 カインズから聞いた通りに光魔法が目当てだったようだ。


「何故?」


「光魔法を用いて、神竜様を降臨させるためです。」


 生態系の頂点と謳われる四大竜の最後の神竜。神竜は創造神フォルトゥナの使いのドラゴン。普段は創造神フォルトゥナと共に天界にいるという。


「それは構わないが、目的があるのか?」


「神竜様は創造神フォルトゥナ様の代弁者。未来に関わるお言葉を頂けます。」


「未来?」


「最後に降臨したのは10年前。賢者マクスウェル様の光魔法と私たち王族の秘術で降臨させたのです。その時は私は小さかったため、立ち会えませんでした。」


 シャルロッテ姫がリュウの手を握る。


「私は神竜様に会えるだけでも良いので会ってみたいのです。」


「それは構わない。俺も神竜に会って、訊きたいこともあるしな。」


「ほ、本当ですか!?」


 リュウが承諾したことでシャルロッテ姫が喜んだ。そして神王代理ミカエルがリュウに振り向く。


「君、さっき変身したでしょう?まさか魔物ではありませんよね?」


 ランドルフ王が「何を言う!?」と嗜めた。神王代理ミカエルが話を続ける。


「我が国に奴隷の人間が魔物のオークキングに変身する事件がありました。」


 ランドルフ王とカインズが驚く。リュウを含め、思い当たることは一致した。


「不可思議なことにオークキングと人間の上半身がくっついた形でした。何か心当たりはありませんかね?」


「そりゃ、ダークだ。」


 カインズが口を挟み、ダークと魔物の玉に関わる経緯を話した。


「魔物の玉ですか・・・。ジランド王国の仕業の可能性を疑ってました。」


「・・・疑われる要素があるのは無理もないが、それを抜きに情報交換と行こう。」


「はい。よろしくお願いします。」


 ランドルフ王と神王代理ミカエルの話がまとまる。その間、闘技場でリーゼとライオンの戦闘進行に異変が起こる。



◇◇闘技場◇◇


「ぐあっっっ!!」


 ライオンが数々の裂傷を負い、ひざまずく。リーゼが剣をライオンの首に当てる。どうやらリーゼが優勢に押したようだ。


「降参なさい。これが殺し合いなら、あなたは死んでるわね。」


 リーゼがライオンを見下す。ライオンがギリギリと歯を噛み締める。女にやられ、見下されるのは最大の屈辱と感じているようだ。


 ライオンは自らの手の甲で剣を弾き、バッと後ろにジャンプし、間合いを取った。


「まだやるというの?」


「ふふふ・・・ちょっと早いが、もういい。何かも壊してやる!!」


 ライオンはポケットから、なんと魔物の玉を取り出した。


「そ、それは・・・。やめなさい!」


 リーゼが見覚えある形状の玉に凄まじく反応し、止めようとする。だが、既にライオンは魔物の玉を飲み込んだ。ポシュゥゥーッとライオンが白い煙を放つ。


「観客たち、早急にここから脱出なさい!アンリも逃げなさい!!」


「はいぃぃぃぃー!!」


 審判を務めていたアンリ受付嬢が逃げ出す。観客は何が起こってるのかわからず戸惑う。


 白い煙が晴れると全長7Mの四足歩行魔物が出現した。前が大きな獅子顔で後ろの尻尾に蛇がついていた。翼が二対付き、その胴体に上半身のライオンがくっついていた。


「Sランク魔物のキマイラキング・・・!!」


 リーゼが焦ったような表情で剣を構え、対峙する。「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」と事態を理解した観客たちが逃げ出す。


「ガォォォォー!!」


 キマイラキングが吠えた。その融合体ライオンが高らかに笑う。


「理性が消え、破壊だけを求める殺戮衝動が沸く!!これだ!これを求めていたんだ!!」


「救いようがないわね。」


 リーゼが冷酷な目で睨み付けた。キマイラキングに乗ってる融合体ライオンが睨み返した。


「さっきはよくもやってくれたなぁー!!」


 キマイラキングが手始めに肉球の付いた足をリーゼに目掛けて踏みつけようとする。


 リーゼは余裕を持って避ける。


「ここは世界規模の格闘大会。手練れが多く集まっている。あなたはどのみち退治される。」


「俺の目的はそれだ。手練れをすべて潰せば神王ヴァシュロン様に歯向かうものはいないからなぁ~。」


 融合体ライオンが重要キーワードを言い放ち、ガハハハと笑う。


「神王ヴァシュロン様が?」


「おっと喋りすぎた。まずは王族を殺す。」


 キマイラキングが翼を広げ、飛び立つ。王族展覧席に目掛けて口を開く。


「獅子光弾!!」


 エネルギー弾がランドルフ王たちを襲う。


「リュウ!!」


 カインズの掛け声に合わせ、ランドルフ王たちの前に出るリュウとカインズだった。

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