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第百四話 格闘大会②

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!!

◇ジランド王国 武器保管所◇


 武士道チームの一人であるニンジャがジランド王国の武器保管所に潜入していた。


「(某の任務は一国を消滅させることが出来る新型魔導兵器の存在確認でござる。)」


 ニンジャはジランド王国騎士団による警備の目を掻い潜り、こそこそする。すると魔導兵器である巨大魔導砲を見つける。


「(これはドラゴンブレスを模した巨大魔導砲。賢者マクスウェルにより造られた魔導兵器。だが、違うでござる。)」


 ニンジャの目当ての新型魔導兵器を探し出さんと移動する。開けた場所に出る。


「(む・・・こ、これは。)」


 ニンジャがとある物体を目にした。同時に人影が現れる。


「ここで何してるんでぃ?」


「!?」


 ニンジャがバッと振り返る。そこにはジランド王国最強騎士カインズがいた。


「道に迷ったってことはねぇ・・・よな?」


 カインズは「はぁ〜。」と思いきり溜息をついた。


「ここは・・・軍事機密の場だ!許可なく立ち入る者は誰であろうとも死罪だぞ?!」


「(こ、これが・・・ジランド王国最強騎士カインズ!!)」


 ニンジャがカインズの圧倒的強者に震える。


「(立ち会ってみてわかった!!どんな策を弄しても勝てない!!それどころか逃げられない!!)」 


 カインズとの相当な実力の開きを感じ取ったようだ。


「だがな、セイクリッド王国は同盟国。本来なら死罪のところを・・・半殺しにして幽閉する。もちろん抗議もしよう。」


「や、やはり、ジランド王国は戦争がしたいのでござるか?」


 カインズが複雑な表情で腕を組む。


「・・・セイクリッド王国の立場からの見方だとそうなるのか?いやいや、違うんだよなぁ・・・。」


「ではあれは何でござるか?」


 ニンジャがクイッと親指でとある物体に指差す。


「それはジランド王国に必要なだけだ。」


「ならば脅威!破壊するでござる。」


「・・・どっちが正義か、悪か全ては終わってからわかる話だ!!戦いはいつだってそうだろ!?」


 カインズが大剣を構える。まさに勝てば官軍、負ければ賊というわかりやすい勝負。


 それに応じてニンジャがくないを取り出す。


「(命を賭して、あれを破壊するでござる!!)」


 ニンジャがそう意気込むが、脳裏にもう一人の存在が語りかける。


「(お前では無理だ。交代だ。)」


「(・・・お前なら、勝てると?)」


「(あいつとは一回戦ったことがある。手の内は知っている。問題ない。)」


「(何・・・?)」


 ニンジャがもう一人の存在と人格交代する。


「創造神の御加護・・・」


 ニンジャが早速、印を結ぶが、それよりも速く目の前に現れたカインズが大剣を振る。


「(速い!!)」


 脳裏に本来の人格であるニンジャが焦る。だが、ニンジャはカインズを前に焦りも微塵にも揺らがない。


「瞬歩!!」


 ニンジャの独特の歩法で残像を出し、大剣をギリギリかわす。同時に印を結び終える。


「創造神の御加護・発光の術!!」


 ニンジャの身体から目が眩むほどの光が放たれた。


「うっ!目が・・・。」


 カインズが怯む。


「掌底!!」


 その隙に合わせて、ニンジャが掌底でカインズの顎を揺らした。


「がっ・・・!」


 カインズの脳が揺れたことで三半規管が狂い、バランスを崩す。


「創造神の御加護・影縫いの術!!」


 ニンジャの数本のくないにより、カインズの影に合わせて、縫うかのように貼り付けた。


「なんだこりゃぁ!!」


 なんとカインズが影に縛られたかのように動けなくなった。


「今だ!!」


 ニンジャが好機とカインズの首筋に目掛けて、くないを力一杯に込めた。


一撃狙撃クリティカルヒット!!」


 身動きの取れないカインズが「気合い防御!!」と防御スキルを発動するとくないが弾け飛んだ。


「チッ!ならば、創造神の御加護・土遁堅牢の術!!」


 ニンジャが次なる手を打ち、カインズの四方に土壁が出来上がる。ニンジャが土壁の上部に乗る。


「お前!!実力を隠してやがったのか!!面白れぇ!!」


 格闘大会で見せたニンジャの動きがあからさまに違うことに気づいたカインズがニンジャを見上げた。


「お前は殺せない。よって封印術を使う。しばし、動けなくさせる。」


 ニンジャは四方の土壁の上部を塞ぐ。


「創造神の御加護・土遁堅牢封印術!!」


 ニンジャは土壁に札を貼り、封印した。


「(なんと凄まじい動きでござる。某には出来ないことだ。)


 ニンジャの本来の人格が感嘆の声を上げた。


「(今のうちに撤退だ。やはりカインズは殺しきれない相手。)」


 ニンジャが土壁を背に足を向けようとする。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 なんと身動きの取れないカインズは力づくでニンジャの施した数々の術をぶち破り、土壁を脱出した。


「!?透明化インビジブル!!」


 ニンジャが透明化し、逃走する。


「姿が見えねぇ!!やたらにスキルが多すぎる!!あれか!賢者マクスウェルのおっさんが色々な魔法を使えたようにお前は様々なスキルを使う感じか!!となれば、印を結ばせてやらねぇ!!」


 カインズがニンジャの印の結ぶ弱点を見抜いた。同時に気配を辿る。


「そこだ!裂空斬!!」


 カインズの大剣から飛ぶ斬撃が放たれ、ニンジャの腕を掠める。


「うっ!」


 掠めると同時に姿を現した。カインズがドドドドッと足音を立てて、ニンジャに迫る。


「これはいてぇぞ!」


 ニンジャの腹を目掛けてパンチした。


「ごばぁっ!!」


 軽量級であるニンジャが大きく弾け飛んだ。その勢いで壁に激突する。


「がはっ・・・。」


「(大丈夫か!?)」


「(さすが、カインズだ。創造神の御加護を持ってしても勝てないとはな。)」


 ニンジャがどことなく懐かしさを感じさせる雰囲気を醸し出していた。


「(お前、前世ではカインズと何かしらの関係が・・?)」


 カインズの金属音のブーツがカッカッカッと高鳴る。余裕を持った歩きだ。


 ニンジャがよろよろ立ち上がる。


「お前とは初めてやり合うはずなのに、どことなく覚えがある。」


「それはそうだろうな。」


 ニンジャがマスク越しではあるが、意味深に笑う。


「ますます興味が湧いた。半殺しにしても、口は利けるようにしておく。」


 ニンジャが印を結び始める。


「創造神の御加護・げ・・。」


「させねぇよ。」


 カインズが大剣を振るい、ニンジャの腕を斬った。


「ぎゃぁぁぁぁ!!」


 斬られたニンジャが腕を抱えて痛がる。


「もう大人しくして・・・ん?!」


 確かに斬ったはずのニンジャが突如として消えた。


「これは幻!?」


「その通りだ。カインズに幻術をかけた。」


 カインズが声のする方を見やる。すると驚きの表情する。


「お前は・・・オウギ!?」


 カインズの目の前にはニンジャと・・・幻術の効果により、幻であるオウギがいたのだ。


「(オウギ?某の前世の姿か?)


 ニンジャも同様に驚きの目でオウギを見ていた。


「さて、どこから話をしようか。」


 幻のオウギはポツポツと語り始めるのであった。



◇◇冒険ギルド・修練場◇◇


 格闘大会が開催されている闘技場の周囲に観客たちのけたたましい歓声が鳴り響く中、リュウとサムライが戦っていた。


「刀技・疾!!」


 サムライが太刀筋の見えない剣戟を振るった。


「!?」


 リュウは防御姿勢を取るも冒険服が切り裂かれた。


「む?硬い?オークキングをも斬れる太刀筋を・・・。」


 サムライがさらに連続して見えない太刀筋を浴びせる。


「・・・やっと目が慣れてきた!!」


 リュウは爪を伸ばし、「魔爪」でサムライの振るう刀に応戦し始めた。


 バチバチッと金属音が鳴る。互角の勝負に観客が盛り上がる。


「刀技・つばめ返し!!」


 サムライはリュウの魔爪をいなし、続けざまに切り返し攻撃した。


 リュウはその攻撃の威力が相当なものと感付いた。


「ドラゴンスキン(弱体化)!!」


 ドラゴンの鱗を擬似的に発現させ、防御した。


「む!防がれたか!」


 リュウとサムライが間合いをとる。


「(刀という武器は刀身が細く、力ずくで武器破壊出来ると思ったが・・・さすがの猛者。リーゼと同等の強さを持っている。)」


 リュウがサムライの強さを見極めていた。


「ふむ。戦ってみると何やら底が知れないな。」


 サムライが額につーっと汗を伝い、リュウに問いかける。


「そなたは・・・人間か?」


 リュウが内心動揺するが、表情に出さずに平静に努める。


「・・・どういう意味だ?」


「いや、なに。我が国で人間がAランク魔物のオークキングに変身した事件があってな。」


「!?」


 リュウが驚く。ダークの魔物化の玉が思い当たった。サムライは話を続ける。


「そなたからおかしな気配を感じる。まさか関連があるということはないだろうな?」


「いや、それはダークが・・・。」


 サムライはリュウの言葉を無視して構える。


「正体を現せ!!」


「話を聞け!!」


 リュウとサムライが戦闘を続行する。


◇◇王族展覧席◇◇


 リュウとサムライの戦闘を観戦するランドルフ王たち。その上空をワイバーンとそれに乗る騎士が警備に当たっていた。ジランド王国竜騎士団の者だ。


「あの方が光魔法持ちのリュウですね。」


 神王代理ミカエルがランドルフ王に振り向く。ランドルフ王がコクッと頷く。


「ジランド王国に希少な光魔法のリュウを抱え、さらに竜騎士団。」


 神王代理ミカエルが警備に竜騎士が飛び交っている上空を見上げる。


「ワイバーンをどうやって言うことを聞かせているのですか?30体もいると聞いてます。」


 ランドルフ王がピクッとした。同時に胃がキリキリし始めた。神王代理ミカエルはその様子に気付くことなく話を続ける。


「国を消滅させることが出来る新型魔導兵器。・・・あなたは何がしたいのですか?!」


 ランドルフ王に真意を聞き出さんと語気を強めた。ランドルフ王は平静を務める。


「(他国からしたら、脅威に感じるだろうが・・・違うんだ!違うんだ!!すべてはリュウが関わってるんだ!!)」


 ランドルフ王が胃を痛め、汗を伝う。


「(それに新型魔導兵器などありやせん!!強いてあるのは四大竜という生物兵器だ!!いつ、暴発されるかビクビクしてるんだ!!)」


 リュウが覇竜、クレアが魔竜、ガイアスが暴竜といった四大竜のうちの三体を抱え、頭を悩ませていた。


「・・・ミカエルよ。私は争い事を好まぬ。出来ることなら、平穏を過ごしたいのだ。このところは上手く行かんのだがね。」


「・・・信じてよいのですか?」


 疑心に満ちた神王代理ミカエルが言葉を発すると同時にニンジャが背後に現れた。そして神王代理ミカエルに耳打ちする。


「ミカエル様、国を消滅させることが出来る新型魔導兵器の存在は確認されませんでした。ただ気になる点が・・・ごにょごにょ。」


「ふむ・・・。」


「では御免!!」


 ニンジャがバッと消えた。


「・・・ミカエル。」


 ランドルフ王がニンジャの行動にジランド王国を探られていると直感した。


「あなたは鉱床を手に入れてますよね?」


「正確にはカインズだ。今のところ、国が保有しているわけではない。」


「ではオリハルコンを使って、何を造ろうとしているのですか?」


「・・・何を見たのか知らんが、神王代理であるミカエルには話す必要ないことだ。」


「・・・。」


 二人の間で険悪な雰囲気を醸し出す。


「お兄様、もうおよしになって。」


 シャルロッテ姫が神王代理ミカエルを諌めた。ランドルフ王たちは再び、リュウとサムライの戦いぶりを観戦する。


◇◇◇◇◇


「これでいいでござるか?」


 ニンジャがカインズに畏るように跪く。


「良かねぇが、あの程度の報告なら問題ねぇ。創造神フォルトゥナに会ったオウギの顔を立てて、お前を見逃してやる。」


「・・・某は創造神フォルトゥナ様の御加護を賜りし者。だが、実はオウギによって動かされているのではないかと勘繰ってはいた。・・・違うのだな。オウギは信じるに値する者であったとカインズ殿を見てわかった。」


「はっ、奇妙な縁ではあったな。だが、オウギは信じていい。」


 カインズが高らかに笑う。オウギと再会したことによる喜びも含まれているようだ。


「これにて失礼する。」


 ニンジャが姿を消すとカインズが難しい顔する。


「創造神フォルトゥナ・・・色々でしゃばってるようだな。それが世界に歪みを起こしているとわからねぇのか。」


◇◇闘技場◇◇


「ドラゴンクロー(弱体化)!!」


 リュウが魔爪を振りかぶり、サムライに向けて斬撃を繰り出す。


「ぬぅっ!刀技・空破斬!!」


 サムライもまた斬撃を繰り出し、相殺した。


「正体を見せぬか!ならば、拙者の最強技を食らって見せよ!!」


 サムライが鞘に刀を収め、膝をついて座る。


「・・・?」


 リュウが身構える。


「(アクションを起こさないな・・・。だが、迂闊に踏み込めない感じがする。)」


 サムライの間合いに入ると危険だと直感し、様子を見ようとする。するとサムライが魔法を繰り出す。


「空間魔法(上級)・瞬間移動!」


「!?」


 リュウの目の前にサムライが現れ、抜刀する。


「最強技・居合い抜き!!」


 目に止まらぬスピードでリュウの身体を下から斜めに振り抜くのだった・・・。

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