第百三話 格闘大会①
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!!
◇◇ジランド王国◇◇
ジランド王国に花火が打ち上がる。世界規模の猛者が集う格闘大会が開催され、街中は活気に満ち溢れていた。
「ここにて格闘大会を開くことを宣言します!!」
冒険ギルドの修練場で格闘大会の開会式が行われていた。
王族展覧席にランドルフ王が座って、観客に手を振っていた。その隣に天使の羽のついた男が座っていた。金髪長髪で高級なシルクを身に纏う優男のような印象があった。
「神王ヴァシュロンが体調不良により来れなかったのは残念だ。次期神王となるミカエルよ。」
ランドルフ王が残念そうな表情で隣に座っている神王代理となるミカエルに振った。ミカエルは神王ヴァシュロンの息子であり、次期神王となる立場。天使族。
「申し訳ありません。私が神王代理を務めますので、よろしくお願いします。」
「堅苦しいのは抜きにして、楽しんでくれたまえ。そちらはシャルロッテだったね?」
ランドルフ王がシャルロッテを見やる。シャルロッテは優雅に頷いた。
「初めまして。シャルロッテです。」
「リュウに会いたいと聞いている。リュウはこの大会に出場しておる。時間があけば、呼んでおこう。」
「あ、ありがとうございます。」
こうしてランドルフ王たちは格闘大会の観戦を楽しむ。
◇選手控え室◇
「セイクリッド王国の王族を招待するくらいに仲が良いのか?天使族のようだが。」
リュウは開会式で次期神王ミカエルとシャルロッテ姫の姿を拝見し、感想を述べた。リーゼがコクッと頷く。
「貿易で友好な関係ね。」
リーゼがセイクリッド王国について語る。
セイクリッド王国は創造神フォルトゥナ様が降り立った地に作られた王国。そしてあらゆるものを創造し、世界を築いたとされる。さらに現在のセイクリッド王国は貨幣発行元であり、世界を回していると言ってもいいほどである。
王族は創造神フォルトゥナ様の子孫で天使族。種族差別なき世界平和を理念として掲げている。セイクリッド王国とジランド王国との共通点は多いが、奴隷制度を採用しているといった細かな部分で違う。
創造神フォルトゥナ様を信仰し、世界平和を説くフォルトゥナ教を国教に定め、信徒が集う大聖堂があるという。
「創造神フォルトゥナ・・・。」
リュウが覇竜として、昔に夢で会ったことを思い出した。
◇◇回想◇◇
覇竜が身を低くして寝ていた時に夢を見る。
天使の羽が左右に三枚つき、胸が強調されるシルクのワンピースを着て、さながら女神かのような女性が現れた。後光が眩いくらいに差していた。その側に純白の巨大なドラゴンがお付きであるかのようにポジションを取っていた。
「・・・・誰だ?」
覇竜はむにゃむにゃと寝ぼけ顔で対応する。
「私はフォルトゥナ。この世界を創造した神。」
「・・・何か用か?」
「ドラゴンでありながら、人間と仲良くしているのは面白いと思ってな。」
創造神フォルトゥナは覇竜が冒険者と戦い、おしゃべりを楽しんでいるところを天から見ていたようだ。
「それだけか?眠いのだ。」
覇竜は身を低くして寝ようとする。
「こ、こら!私が来ているのに寝ようとするとは何事だ!?」
創造神フォルトゥナが慌てた。
「お前を気に入って、加護を授けてやろうと思ったのに。のぅ。神竜。」
神竜と呼ばれた純白の巨大なドラゴンが口を開く。
「仕方がありませんよ。夢に介入されると夢見が悪いでしょうし。」
「むぅ・・・。まぁ良い。加護を授けるだけ授けよう。・・・聞いとらんな。」
創造神フォルトゥナが言葉をかけるも覇竜はぐーすか寝ていた。
「・・・世界を頼む。」
創造神フォルトゥナはまばゆい光を覇竜に授け、神竜と共に夢から離脱した。
◇◇回想終了◇◇
「(何か言ってた気はするんだが・・・。)」
リュウは夢の詳細を掘り起こそうにも覚えてなかったのであった。
「(・・・ビラが『私たちは創造神フォルトゥナの駒』だとか言っていたのは気にかかるな。)」
リュウは創造神フォルトゥナがこの世界のあらゆる場に干渉される辺り、気持ち悪さを覚えていた。
リーゼはセイクリッド王国について話を続けていた。
「王族に代々伝わる秘術があり、神竜を召還出来るという話ね。ただ秘術には条件があり、最後に召還されたのは10年ほど前ね。」
「ほう。」
「それに立ち会ったのが神王ヴァシュロン様、お父様、セバスチャン、賢者マクスウェル。」
リュウがそれは初耳だとばかりに大きく興味を示す。
「それでどうなった?」
リーゼが肩をすくめる。
「詳しくはわからないわ。お父様が話したがらないのよね。」
「(カインズが話したがらないのは余程のことがあったのか?)」
リュウが訝しげになる。そこに格闘大会の運営スタッフが現れる。
「リュウさーん。出番でーす。」
格闘大会シングルの部の予選が行われる。勝ち抜けば決勝トーナメントに出場出来る。
「油断しないようにね。」
「頑張ってニャ!」
「えいえいおー。」
リーゼとメイファとアイリンの応援を背にリュウが親指を立てる。
「あぁ。」
リュウたちは格闘大会の予選を順調に勝ち進み、決勝トーナメントの出場権を得る。何事もなく格闘大会が進行し、決勝トーナメント形式で各々の白熱した戦いが繰り広げられていた。観客が歓声を上げる中、闘技場にメイファがいた。
メイファ(ジランド王国)
vs
ニンジャ(セイクリッド王国)
決勝トーナメントベスト8に勝ち残るべくメイファはニンジャと戦っていた。
「(創造神の御加護によるあらゆるスキルなしでは苦戦する!!)」
セイクリッド王国の武士道チームの一人であるニンジャ。黒装束を身に纏い、目だしのみでそれ以外は隠してるので、正体が見えない。何やら事情があり、本気は出せない模様。
「魔爪連撃!!」
「くっ!!」
メイファは伸ばした爪に魔力を込めて、「魔爪」で硬度を上げ、ニンジャの武器であるくないに応戦していた。
「(ここで勝たないとAランク冒険者に昇格出来ないニャ!)」
気合いを入れてニンジャに攻撃する。
「空蝉の術!!」
ニンジャの防御スキルにより、木板に変わる。
「!?」
メイファが木板に攻撃した。その背後にくないを持ったニンジャが「隙あり!」とメイファを攻撃しようとする。だが、メイファが透けてしまい、空振りした。
「こ、これは影分身!?」
「隙ありニャー!!」
ニンジャの驚きの声と同時にメイファが現れ、ジャンプする。
「場外にふっ飛べ!!脚技・ドロップキック!!」
メイファの両猫脚がニンジャを蹴り飛ばした。
「がはっ!!」
ニンジャが場外に飛んで、観客に突っ込んだ。審判であるアンリ受付嬢が「それまでー!」と試合終了を告げた。
「やったニャー!これでベスト8に残り、Aランク冒険者になれるニャー!!」
メイファがガッツポーズをした。
◇選手控え室◇
「これで全員がベスト8に残ることが出来たわね。」
リーゼがメイファ、アイリン、リュウを見回す。
「Aランク冒険者昇格おめでとう。」
リュウたちはAランク冒険者昇格に決勝トーナメントベスト8に残るという条件を満たしたのだ。
メイファが浮かれ、アイリンがグッと静かにガッツポーズする。
「(皆と一緒に昇格するというのは嬉しいものだな。)」
リュウもふっと笑う。
「だけど、大会は終わってないわ。」
リーゼは不敵な笑みを浮かべた。
「ニャニャァ・・・。リーゼに当たったら怖いニャ。」
メイファが恐怖の色を出した。そこに運営スタッフがやってきて、シングルの部の決勝トーナメントの対戦相手がシャッフルし、発表された。
ーシングルの部ー
リュウ(ジランド王国)VSサムライ(セイクリッド王国)
リーゼ(ジランド王国)VSライオン(セイクリッド王国)
メイファ(ジランド王国)VSポチ(ジランド王国)
ウルス(ジランド領内)VSソル(ジランド王国)
この発表に見知った顔が多くいた。対戦相手を確認したソル、ポチ、ウルスが言葉を発する。
「ウルス。僕は強いぞ。」
腕試しに参戦した蜥蜴族のウルスがソルの言葉に発奮する。
「胸を借りるである。」
ソルとウルスとの間でもう戦いが始まっているかのように目をバチバチさせた。反対にポチは恋しているメイファが対戦相手だと知り、動揺していた。
「・・・やりづらいワン。」
ちらっとメイファを見る。当のメイファは「ボコボコにしてやるニャ!」と息巻いていた。ガァーンとショック受けるポチ。二人は長年の付き合いだが、温度差があるようだった。
「(俺の対戦相手はセイクリッド王国のサムライか。確か武士道チームの一人だったか。)」
リュウがちらっと武士道チームのほうを見る。
武士道チームの四人が囲んで話し合っていた。その中に先ほどメイファと戦っていたニンジャがいた。
「サムライ、申し訳ないでござる。」
ニンジャが謝る先に刀を所持し、黒袴に青羽織を着こみ、侍であるかのような男がサムライだ。長い黒髪を結び、なかなかの男前。武士道チームリーダーで人族。
サムライは首を横に振る。
「そなたの相手は二つの戦争を経験した瞬光の戦乙女チームの一人だ。荷が重いというものよ。それにお前のスキルは人前で見せるものではない。」
「・・・印を結ぶ弱点が露呈されては、面倒というのは理解しているでござるよ。」
「ジランド王国の動向がわからない以上、手の内を見せない方針だからな。」
セイクリッド王国の方針なのか、手の内を見せることを嫌っているようだ。
サムライが決勝トーナメント表を確認する。
「セイクリッド王国から多数の実力者がエントリーされたが、もはや拙者とライオンだけとはな。」
「だらしねぇな!!」
ライオンが高らかに吠える。獅子顔で上半身が黄色に近い体毛で覆われ、筋骨粒々な男であり、獣人族。
サムライがリュウを見やる。
「ふむ。拙者の対戦相手はリュウ。だが、なにやらおかしな気配を感じる。ニンジャ、どう思う?」
「某にはわからぬ。蜥蜴族と人族のハーフのようだが。蜥蜴族のウルスとやらと仲良くしているでござるよ。」
その時、ニンジャの脳内に「(くっくっ。)」と薄ら笑いするもう一人の存在。
「(知っているのか?)」
「(さてな。)」
「(某はお前が前世の自分だということは知っているが、いい加減に教えろ。)」
ニンジャのもう一人の存在とは長い付き合いだが、前世でどう生きてきたのか知らないようだ。
「(何でもかんでも語るわけにはいかないが、時期が来たら教えてやるさ。)」
ニンジャは忍者装束によって顔を隠しながらも気難しい表情していた。
「ふむ。・・・戦えば何かわかるかもしれないな。」
サムライがリュウを怪しんでいた。
「では某は極秘調査がある故に動くでござるよ。」
「あぁ。」
ニンジャがバッと消えた。こうした流れから、武士道チームは純粋に格闘大会に参戦しているわけではないようだ。
運営スタッフが続いて魔法使いシングルの部の決勝トーナメントの対戦相手が発表された。
ー魔法使いシングルの部ー
アイリン(ジランド王国)VSフィリア(セイクリッド王国)
シン(ジランド王国)VS火の妖精イフリート(ジランド王国)
レイン(ディモール王国)VS風の妖精シルフ(ジランド王国)
ミリス(サンポート港)VSガイル(ジランド領内)
アイリンが対戦相手である武士道チームの天使の羽が付いた女を見やる。
その女はフィリア。白髪ロングでシルクのローブを羽織り、天使の羽が左右に一枚付いていた。天使族。
「・・・天使族独特の魔法に注意。・・・それよりも胸が大きい。嫉妬!!」
アイリンが呟き、最後にチッと舌打った。フィリアもまたアイリンを見ていた。
「エルフ族と人族のハーフのようなのね。エルフ族独特のエルフ魔法に気を付けなきゃ・・・。」
二人はお互い対策を思考していた。
「シン!リベンジだー!!本気出してやるから覚悟してろ!!」
火の妖精イフリートがメラメラ燃えていた。その反対にシンは「えぇ・・・。」と溜め息ついた。
「私も本気出さなきゃ、まずいですよねぇ・・・。あぁ、格闘大会のことを言わなければ良かった。」
シンがぶつぶつと独り言を呟く。
「リュウさん、サムライさん、出番ですよ!!」
運営スタッフの声掛けに二人は闘技場で相対する。真ん中に審判のアンリ受付嬢がいた。闘技場周囲から歓声が鳴り響く。
「殺し合いご法度!!降参宣言もしくは場外で決着。魔法は攻撃魔法は不可。ただし、回復、補助魔法使用可となります。スキルを駆使し、体一つで戦うこと!!」
アンリ受付嬢がルール説明していた。その中でリュウとサムライが構える。
「拙者はサムライ。」
サムライが腰にかけている刀の鍔に手をかける。
「俺はリュウ。」
リュウが徒手空拳で構える。
「そなたは瞬光の戦乙女チームの一人だろう。光魔法、そして戦争の活躍といった数々の武勲は聞いている。ジランド王国最強騎士カインズやラインゴッド騎士団長、Aランク冒険者のソル、リーゼといった豪傑の者もな。」
サムライはジランド王国の事前の情報を把握しているようだ。
「・・・手加減無用で行くぞ!」
「それでは始めー!!」
アンリ受付嬢が試合開始と同時に二人が動いた。リュウとサムライの戦いが始まったのだった・・・。
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