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第百話 妖精の里①

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けていると思いますが、よろしくお願いします。

◇妖精の里付近◇


 妖精の里から離れたところにワイバーンたちを降ろし、留める。


「ここで待っててね。」


 リーゼがワイバーンたちに声をかけると「ギャァッ(わかったー)」と返事してくれた。


「こちらだ。」


 風の妖精シルフの案内の元、リュウたちが歩く。


「妖精女王って顔見知りなのニャ?」


 メイファがリュウに訊く。


「そうだな・・・。ちょこまかと動き回っていた妖精だった。」


 リュウが懐かしむ表情する。


「へぇ。リュウの小さい頃の話かニャ?」


「確かに、弱く・・・小さい頃だったな。」


 メイファがそれまでベールに包まれていたようなリュウが過去を語り、驚きの表情する。


「ニャニャ!もっと小さい頃の話を聞かせてニャ!!」


「あの頃の自分は負けていてばかりだったからな。・・・思い出したら腹が立つ。」


 リュウが400年ほど前の自分を思い起こし、さらに当時のSランク冒険者で初代国王ジランドから、二度の敗北を喫したことを思い出し、苛立ったようだ。


「この話はまた今度だ。」


「気になるニャァー!」


 リュウの正体を知っているソルが違和感を覚える。


「(リュウ、その話はおそらく覇竜として生きていた時代の話だよな?ということは妖精女王様は相当長生きしてないか?)」


 また風の妖精シルフがありえないと言った表情していた。


「(小さい頃?数年前の話か?そんなはずはない。妖精女王様は自分が生まれるよりも前に妖精の里を守ってきたのだ。)」


 風の妖精シルフはリュウに対して疑問を覚える。


「ここだ。」


 風の妖精シルフが案内されたそこには森林が生い茂っているだけだった。


「何もないニャ?」


 メイファがキョロキョロする。ポチが「・・・?」と匂いを嗅ぐが、反応がない。


「妙ね。何か・・・たくさんの気配がするわね。」


「僕もだ。」


 リーゼとソルが森林の先を見やる。何もないはずだが、多くの気配を感じるようだ。


「これは!?」


 アイリンが何かに気づいた。


透明化魔法インビジブル!!」


 シンが魔法の痕跡を見破った。


 その瞬間、透明化魔法インビジブルが解かれた。リュウたちの目の前にこぢんまりとした居住地が現れた。


「ここが妖精の里だ。」


◇妖精の里◇


 妖精の里は木々にツリーハウスの居住を作っており、妖精たちが飛び交っていた。どれもこれもコンパクトサイズであった。


「人間だ。人間だ。人間だ。」


 小人サイズの妖精が集団で羽ばたき、リーゼたちの周囲を回った。


 リーゼたちが「妖精族?!」と吃驚していた。


「場所が知られた。やる?やるか?」


「ダメだ。ダメだ。」


「妖精女王様に会うんだよね、会うんだよね。」


 妖精たちが集団でやや警戒モードに入っていた。


 風の妖精シルフが前に出る。


「妖精女王様のお客様だ。お通ししろ。」


「「「はーい。」」」


 警戒モードに入っていた妖精たちはすぐ離れた。


「ここは君たちにとっては手狭な場所。開けた奥地まで案内しよう。そこに妖精女王様がいらっしゃる。」


 風の妖精シルフがそう言い、開けた奥地まで案内する。


「来た来たきたー!」


 火の妖精イフリートが羽ばたきながら降りてきた。


「俺は火の妖精イフリート!!いざ、尋常に勝負だー!」


 火の妖精イフリートが火の籠ったパンチをリュウの頬に浴びせる。


「・・・ちょっと熱いが。」


「効いていない?!」


 火の妖精イフリートが「ならば・・。」と連続で仕掛けようとする。


「これ!」


 雷の妖精爺ラムウが杖で稲妻を火の妖精に浴びせる。


「ギャァァ!!」


 火の妖精イフリートは雷に打たれ、そのまま地面に落ちた。


「妖精女王様のお客人になんてことをするんじゃ!」


 雷の妖精ラムウはリュウたちに向き直る。


「申し訳ありませぬのぅ。儂は雷の妖精爺ラムウ。ささ、妖精女王様がお待ちですじゃ。」


 雷の妖精ラムウがシルフと一緒にリュウたちを案内する。背後に「置いていかないでくれぇ」と火の妖精イフリートが慌ててやってくる。


 リュウたちが案内された先に大きな玉座に対して小人サイズの妖精女王が待ち構え、お付きに氷の妖精シヴァがいた。


「妖精女王様、いらっしゃいましたよ。」


 氷の妖精シヴァが瞼を閉じている妖精女王様に優しく語りかける。


 だが、無反応。


「ごめんね。妖精女王様は寿命が残り少ないの。」


 氷の妖精シヴァが申し訳なさそうにする。


「紹介が遅れましたね。私は氷の妖精シヴァ。わざわざの足労に感謝します。」


 それぞれのチームリーダーであるソルとリーゼが前に出る。


「瞬光の戦乙女チームリーダーのリーゼです。妖精女王様の容体が優れないとは知らずに押しかけてしまい、申し訳ありません。」


 リーゼが代表して、頭を下げる。


 まさか妖精女王が死にかけなどとは夢に思わなかった、というのも風の妖精シルフが肝心なところを言わなかったのは話が漏れるのを危惧してのことだろう。


「栄光の戦士チームリーダーのソルです。僕たちに手伝えることはありますか?」


 氷の妖精シヴァが「妖精女王様がお呼びになったお方はどちらでしょうか?」と風の妖精シルフに問う。


「リュウというやつだ。」


 風の妖精シルフがリュウに指差す。


「リュウさん、妖精女王様が力を振り絞って、あなたをお呼びになったのです。ですから、呼びかけてみてください。」


 氷の妖精シヴァがそう指示する。リュウは内心、長年生きた老人かのように寝ているだけじゃないのか?と軽く考えていた。


「・・・ビラ、何寝てるんだ?俺を倒すんじゃなかったか?」


 妖精女王ビラの瞼がゆっくり開ける。妖精シヴァ、ラムウ、イフリートが驚いた。


「・・・ふっ。お前か・・・。」


「俺を呼びつけておいて、寝ているとは偉くなったものだな。」


 妖精女王ビラが玉座にて崩していた体勢を立て直す。


「妖精女王の私は色々忙しいんだ。それくらい大目に見てよ。」


 妖精女王ビラがリュウをまじまじ見る。そしてリーゼ、メイファ、アイリン、ソル、ポチ、シンを見回す。


「ようこそ。私は妖精女王ビラ。とは言っても、女王の座はもうすぐ引退するけどね。次に会うときはシヴァっちがやってくれるわよね。」


 氷の妖精シヴァは氷の彫刻の表情に驚きを見せた。


「え、聞いていませんよ!!女王の座なんて、そんな重要なことをさらっと人前で言わないでくれますか?!私の命の危機が上がるじゃありませんか!!」


「大丈夫大丈夫。シヴァっちは私と違って、強いし!!それじゃ、私の後は任せるわ!!」


「えぇぇーーーー!!」


 何やらリュウたちを前にビラからシヴァに妖精女王の座を引き継ぐことが決まったようだ。


「あ、ごめんごめん。みんなを歓迎してあげたかったけど、私には時間がない。最後にそこの男と話しておきたいの。」


 妖精女王ビラがリュウを指名した。


「その仲間たちは他の妖精たちに任せていいかな?」


 火の妖精イフリートが率先して、「わかりましたー!みんな、こっちだよぉー!」とリーゼたちを案内する。


 リュウと妖精女王ビラが対面するかのように二人きりになる。


「お前とこうやって話すのは初めてかもしれんな。」


「あはは、昔は敵同士だったしね。えっと、覇竜?」


「今はリュウだ。そう呼べ。」


「リュウ、うん。リュウ!」


 妖精女王ビラがイタズラっぽく笑う。


「マジで人間になってる!本当にやっちゃったんだね!!」


「ビラ、お前こそまだ生きているとは驚いた。妖精族の寿命をはるかに超えているだろう?」


「あはは、でももうすぐ死ぬけどねぇ。」


 妖精女王ビラは陽気に笑っているが、無理している雰囲気があった。


「妖精女王として、皆を守る役目があってさぁ、ここまで生きてきたけど、もー限界!!」


「・・・だが、妖精たちが強くなっている感じはあるな。上手くは言えんが、新しい時代の妖精族だな。」


「そうそうそう!やっぱり、気づいていたんだ!!」


「何かやったのか?」


「ふっふっ、よくぞ聞いてくれました。」


 妖精女王ビラが胸を張る。


◇◇場面転換◇◇


 火の妖精イフリート、風の妖精シルフ、雷の妖精爺ラムウ、氷の妖精シヴァが並んでいた。


「大人の人間は怖いものだと教えられてきたけど、イマイチわかんなくてさ、勝負してくれないか!」


 火の妖精イフリートがリーゼたちに勝負を申し込んでいた。


「えっと、勝負?」


 リーゼが小人サイズのイフリートに問い返した。


「バトルんだよ!!」


 火の妖精イフリートがシュシュとパンチの嵐を見せる。その様子にリーゼたちは困惑していた。無理もない。小人サイズの妖精に戦うイメージが沸かなかったのだろう。


「魔法での勝負なら、いいんじゃないでしょうか?」


 シンが妖精は魔法に非常に長けていることから、助け舟を出す。


「お、魔法か!魔法で勝負だ!!」


 火の妖精イフリートが乗り気になる。


「僕が言い出したことなので、相手しましょう。」


 魔法使いであるシンが杖を構える。


「いっくぞぉ!」


◇火の妖精イフリートVSシン◇


「妖精の秘技・精霊転化!!」


 小人サイズだった火の妖精イフリートが人サイズに大きくなる。


「なんですか、これは?!」


 シンが面を食らった。リーゼたちも同様であった。


「妖精女王様が開発した秘技なのさ!一時的に人サイズになることで力も魔力も大幅にUPするのさ!!」


 火の妖精イフリートがそう説明した。


「火魔法(上級)・サラマンダー召喚!!」


 5Mの燃え盛る火を纏う巨体なものが現れた。


「土魔法(上級)・ゴーレム召喚!!」


 シンが張り合うように5Mの土人形を出した。


「げっ!相性悪いじゃんかよ!!」


 火の妖精イフリートが焦りながらも、サラマンダーを操作する。同じくシンもゴーレムを操作する。


 先にサラマンダーがゴーレムに向けて火を乗せたパンチを繰り出す。


「業火のパンチ!!」


「ゴーレムには火は効きませんよ!よってただのパンチになります!!」


 ゴーレムがパンチを片手で受け止め、サラマンダーと取っ組み合いに持ち込む。


「こうなれば、力で圧倒する!!」


 火の妖精イフリートがパワーこそ正義だと吠える。


「すみません。力勝負に付き合いませんよ。」


 ゴーレムが取っ組み合いの中、自身の体内から土を弾丸として、ダダダダッと連続発射する。シンは変化球の攻撃したようだ。


 サラマンダーがドドドドッとまともに受け、倒れた。


「あぁ!!」


「私の勝ちですね。」


 シンが勝ったのであった。


「ちょちょちょちょっと待て!俺は本気出してない!!今から本気出すから!」


 火の妖精イフリートが負け惜しみを言っているようにも見えるが、氷の妖精シヴァが止めに入る。


「だめ。本気出したら、周辺の森林が燃えてしまうわ。それでもやるなら、私が氷漬けにするわよ?」


「うっ・・・。」


 人サイズだった火の妖精イフリートは小人サイズに戻った。


「また勝負しろ!!」


 その言葉にシンはビビり、首を横に振った。


「嫌ですよ。その妖精の秘技とやらを見て、考えを改めました。強いですよ。」


「強い・・・そうか、うん。強いんだな俺!!」


 火の妖精イフリートは満足気に下がったのであった。シンはホッとした。


「妖精の秘技とやらは面白いな。近接戦闘も出来たりするのか?」


 ソルが興味を持って訊いた。


「近接戦闘ならボクがやるよ?」


 風の妖精シルフが申し出た。


「俺にやらせろワン!」


 狼顔のポチが前に出た。


「あ、おい・・・。」


 風の妖精シルフが「妖精の秘技・精霊転化!」と人サイズになる。


「君は徒手空拳か。合わせよう。」


「さぁやろうワン!!」


◇ポチVS風の妖精シルフ


「風流影脚!」


 風の妖精シルフが間合いを図りながら、風のように移動する。風魔法によるブーストをかけているのか、ローラースケートごとくスーッと動いている。


「面白い移動術を使うワン!!」


「風乱拳!!」


 風の妖精シルフはポチの周りを回って拳を乱れ打ちかのように連打する。


 ポチが防御に回り、ガードする。威力はさほどではないのか余裕がある。


「弱いなワン!もっと鍛えろ!!」


 ポチがパンチを繰り出すと風の妖精シルフは避ける。


「脚技・風突脚!!」


 風の妖精シルフが両足で思い切り蹴ると少々飛ばされるポチ。そして畳み掛けるようにぐるぐると回る風の妖精シルフがポチの真上に上がる。


「脚技・風脚断頭台!!」


 ポチの首を目掛けて脚を断頭台ごとく回し蹴りする。


「なんの!!」


 ポチはその脚を受け止め、カウンターに足蹴した。


「ぐっ!!」


 風の妖精シルフがたまらず、下がる。その間、ポチは体勢を取り直し、攻撃を仕掛ける。


「獣狼斬撃!!」


 ポチが自ら爪を伸ばし、斬撃を飛ばすと風の妖精シルフが驚きを見せ、避けた。


「獣人族特有の爪か!!忘れていた!!」


 風の妖精シルフが慌てて待ったをかける。


「こう言っては申し訳ないが、弓を使って良いだろうか?負けたくない。」


 獣人族特有の爪を武器とみなし、自らも武器を持ち出したいと提案しているようだ。


「いいぜ!!待ってやるワン!!」


 ポチが同意すると風の妖精シルフは遠巻きに観戦していた別の妖精から、人サイズの弓と矢を受け取る。


「待たせた。では再開だ。」


 風の妖精シルフが再び間合いを取り、スーッとローラースケートのように移動する。


「弓技・乱れ打ち」


 風の妖精シルフが数本の矢を用い、弓を弾き、乱れ打ちを放った。


「おっとワン」


 獣人特有の動きで数本の矢をかわした。ポチが足に力を込め、瞬発力で間合いを縮めた。


「む!ならば!」


 風の妖精シルフはポチと真正面にやり合うのを避け、身近の木の上部にスーッと移動する。


「逃がさねぇワン!」


 ポチも追いかけるように木に駆け上る。


「弓技・一投入魂!!」


 風の妖精シルフが真下方向のポチに向けて力一杯、弓の弦を引き、矢を放った。


 それに対してポチは矢を自身の歯で噛み砕いた。


「何!!」


 ポチが木を駆け上がり、拳を殴れる距離に風の妖精シルフがいた。 


「獣王狼拳!!」


 ポチの強烈なパンチにより、風の妖精シルフがそれをまともに食らい、木から勢いよく落ちた。


「いたた・・・まいった。近接戦闘において、全力を出したのだが、やはり魔法戦闘が妖精族には合っているようだ。」


 風の妖精シルフが負けを認め、妖精族は妖精の秘技により人サイズになったとしても、近接戦闘しない方が良いと理解したようだ。


「魔法なんて軟弱になるだけだ!鍛えろワン!!」


 強さこそ誉れの文化がある獣人族のポチは鍛錬不足だと返した。


「・・・誰か僕の相手してくれないかな。」


 ソルがチラッと雷の妖精爺ラムウや氷の妖精シヴァに目を向ける。


「儂でいいかのぅ?」


「老人をいじめる趣味は持ち合わせていませんが、それでもよろしければ・・・。」


「ふぉふぉふぉっ、魔法を使用するが、お手柔らかにのぅ。」


 雷の妖精爺の目が怪しく光った。同時にソルがその脅威にゾクッと感じていた。


「男たちは血気盛んで困るわね。」


 リーゼたちは大人しく観戦に回っていたが、氷の妖精シヴァが羽ばたきながら、話しかける。


「リーゼさんたちの相手は私がしてあげましょうか?女同士だしね。」


「え、私たち三人であなたと勝負するの?」


「魔法を使用しますが、それでもよろしければ。」


 リーゼがメイファとアイリンに目を配るとリーダーのリーゼが決めていいと返ってきた。


「じゃぁ、やりましょう。」


 氷の妖精シヴァとの勝負を受諾した。


◇ソルVS雷の妖精爺ラムウ◇

◇リーゼたちVS氷の妖精シヴァ◇


 火の妖精イフリートが「シヴァとラムウが本気になったら俺たちじゃ、止められねぇよ。」と不穏な言葉を放つのであった・・・。

最後までお読みくださり、ありがとうございます!ブックマークor評価点をよろしくお願いします!!

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