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第九十九話 セイクリッド王国崩壊の序章?

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!!

◇◇セイクリッド王国城・会議室◇◇


 神王ヴァシュロンを始め、それなりの立場を持つ者が多く集まり、会議していた。全員が天使のような羽をつけ、神王ヴァシュロンが左右に3枚羽。神王以外は左右に一枚羽が付いていた。全員、天使族と呼ばれる種族である。


 ジランド王国を議題に話し合いが行われていた。


「ジランド王国がワイバーンを中心とした竜騎士団を設立しています!」


「どのようにして魔物のワイバーンを従えたのか・・・。」


「隷属の腕輪の可能性は?」


「ジランド王国は奴隷制度がなく、そのような物は使われてないと聞く。」


「隷属の腕輪の供給元であるダークが姿を消したものの、ディモール王国を支配してるのだから、在庫があれば揃えられるはずだ。」


「いや、あの効能は人間と人型に近い魔物しか従わせることが出来ない。それはないだろう。」


「方法を議論していても拉致があかない。我らもそれに対抗出来る力が必要だ。」


「し、しかし防ぐ手立てがないのが実情。仮にワイバーンと魔法使いが組めば、機動性も火力も違いすぎる。我らの鳥人族部隊では立ち向かえない。瞬く間に蹂躙される。」


「竜騎士団だけではない。国一つ滅ぼせる新型魔導兵器。あれは四大竜を倒しうることも出来るレベル。」


「そもそもジランド王国は世界征服を目論んでいるのか?」


「ではなかったら、新型魔導兵器、竜騎士団はなんだというんだ!?」


 会議で紛糾する中、神王ヴァシュロンは苦悩に満ちた表情していた。


「(セイクリッド王国は創造神フォルトゥナ様が降り立った地により作られた王国。創造神フォルトゥナ様の教えを元に世界平和を掲げ、セイクリッド王国を維持してきた。だが、ジランド王国が日に増し、力をつけていくことに皆が恐怖を覚えていることだろう。)」


 神王ヴァシュロンが口を開く。


「皆の者よ。疑心暗鬼になるな。ジランド王国のランドルフ王は世界征服など考えない男だ。」


「それは甘いかと思われますが・・・。」


「ならば近いうちに世界規模の格闘大会がジランド王国で行われる。その際にランドルフ王に真意を聞こう。それで良いだろう?」


 神王ヴァシュロンの言葉に閉口する面々。このまま会議が終了するかと思われたが、バタバタと仕官が入ってきた。


「騒々しい!何事だ!?」


 立場のある人が仕官を睨み付けた。


「申し訳ありません!神王ヴァシュロン様に急遽報告したいことが!!」


「・・・申してみよ。」


「城下街にAランク魔物のオークキングが出現されました!!」


「なんだと!?どうやって入ってきたのだ!!」


 神王ヴァシュロンをはじめ、立場のある者たちが城門の警備は何していたのだと言わんばかりの表情であった。


「そ、それが不可解なことに奴隷の人間が魔物に変身したと・・・。」


※セイクリッド王国は犯罪者を奴隷にする制度があります。


 その報告に訝しげになる神王ヴァシュロン。


「・・・それでオークキングは?」


「冒険者ギルドきっての武士道チームによって退治されました。オークキングとそれに上半身がくっついた人間の死体があります。」


「わかった。調査隊を派遣し、早急調べさせよ。下がれ。」


「はっ。」


 神王ヴァシュロンが立場のある人たちに振り向く。


「皆の者も聞いたな。何やら不可解なことが起きたようだ。ジランド王国より自国に集中せよ。」


 神王ヴァシュロンが席を立ち、会議は終了した。


◇セイクリッド王国城内◇


「(人間が魔物に変身?何が起きているのだ?)」


 神王ヴァシュロンは難しい表情で歩く。


「・・・お父様?」


 金髪でセミロングにブローチがつき、高級なドレスを着て、天使の羽がついた女性が心配そうに声をかけた。


「シャルロッテか。」


 神王ヴァシュロンの娘のシャルロッテ姫。15歳。天使族。


「顔色が優れません。大丈夫ですか?」


「あぁ、大丈夫とも。」


「でも・・・。」


「そろそろ君にも外交デビューさせねばな。世界規模の格闘大会がジランド王国で行われる。ジランド王国はいいところだ。」


「・・・はい。」


「それに光魔法持ちのリュウとやらがいると聞く。その者の協力を取り付けば君の願いである創造神フォルトゥナ様の使いの神竜に会えるやもしれん。」


「ほ、本当ですか!?」


 シャルロッテ姫がパァァと明るくなる。


「ランドルフ王に話してみよう。」


「楽しみです!!」


「はっはっはっ。」


 二人は仲むつまじく歩いていった。だが、二人はセイクリッド王国崩壊の序章が始まっていることに気付いてなかったのだった。


◇◇場面転換◇◇◇

◇ジランド王国・冒険者ギルド◇


「リュウさん、メイファさん、アイリンさん、ランク昇級試験資格を得ました。」


 リュウたちはいくつかのクエストをこなし、ランク昇級試験資格を得る運びとなった。アンリ受付嬢がランク昇級試験の説明を始める。


「時期によって試験内容が変わりますが、今回は格闘大会でベスト8以内に残るとAランク冒険者に昇級出来ます。」


「格闘大会?」


 リュウが聞き返す。


「ジランド王国が主催となって世界規模で選りすぐりの猛者が集まり、最強を決める大会ですね。シングルの部、魔法使いシングルの部といった部門があります。」


「ちなみに場所は修練場です。わかりますよね。」


 アンリ受付場がこちらですと手のひらで案内した。冒険者ギルド内にある修練場。観客席がぐるりと周囲に並び、大きな闘技場。普段は冒険者の訓練として使用してるのだ。


「エントリー受付始まってますよ。受けますよね?」


「受けるニャ!シングルの部で!!」


 メイファがめらめらとした目で意気込んでた。


「私は魔法使いシングルの部。」


 アイリンもまた静かに燃えていた。


「俺もシングルの部だな。」


 リュウもAランク冒険者に上がるべくエントリーした。


「私もシングルの部エントリーするわ。」


 リーゼがエントリー申し出するとメイファが騒ぐ。


「ニャーニャー!ベスト8に残る確率が下がるから、やめてニャー!!」


「あら、私を倒せばいいでしょ?」


 リーゼが不敵な笑みを浮かべた。メイファがぐぎぎぎ・・・と黙る。


「はい。わかりました。エントリーしておきますね。」


 アンリ受付嬢がテキパキと処理する。そして「それはそうとして・・・」とここから本題と言わんばかりの表情する。


「リュウさん!大変珍しいお客様がお見えになっておりますよ!!」


 紫色ショートボブのアンリ受付嬢が興奮がちになる。


「急にびっくりした。」


 リュウがアンリ受付嬢の態度に面を食らった。


「すみません。」


「誰だ?」


「大きな声は出せない大変珍しい種族ですよ。」


 アンリ受付嬢が声を小さくする。


「・・・あぁ。心当たりはある。」


 リュウがわかったという表情した。先日、空の上で相見えた妖精のことだろう。


「あ、もうわかっちゃいました?」


 アンリ受付嬢が驚きの表情した。


「それでどこにいる?」


「こちらでーす。」


 アンリ受付嬢が特定の部屋に案内しようとする。そこに妖精のお客様がいるのだろう。


「私たちもいいのかしら?」


 リュウ指名にリーゼ、メイファ、アイリンが同席してもいいのかと訊く。


「えぇ仲間なら、案内してもいいとのことですよ!!」


 特定の部屋に案内された先に風の妖精シルフがいた。何やらお茶菓子を頬張っていた。


「うまうまい・・・もぐもぐ・・・。」


「・・・。」


 リュウたちが入ってきたのに気づかず、テーブルにてお茶菓子を堪能する風の妖精シルフ。


「ぐっ!!」


 風の妖精シルフがようやくリュウたちに気付いたが、喉にお茶菓子を詰まってしまったのか、おもちゃサイズのティーカップを啜って、飲み込んだ。


「か、かわいい・・・じゃなくて大丈夫ですか?」


 アンリ受付嬢がそんな風の妖精シルフの行動にときめきつつも、状態を確認する。


「問題ない。」


 風の妖精シルフがキリッと真顔になる。間抜けなところを晒してしまった印象を拭いたいのが伝わってくるほどである。


「(これぞ妖精って感じよね。)」


「(ニャハハ、妖精ってこういう印象あるニャ。)


「(そこがかわいい。)」


 アンリ受付嬢だけでなくリーゼ、メイファ、アイリンの女性陣には妖精に対して、そういう印象を持たれているようだ。


「では私はここで失礼しますね。」


 アンリ受付嬢が部屋から退出すると風の妖精シルフが背中にある蝶の羽が羽ばたき、礼する。


「ボクは風の妖精のシルフ。先日、あなた方を見ていた者だ。」


「あぁ、俺はリュウだ。」


「あなたの特徴は非常にわかりやすく、冒険者ギルドに問い合わせたら、すぐわかった。」


 リーゼ、メイファ、アイリンが一斉に角を見やる。


「(折れ曲がった角がついただけで他と変わりない人族なんてあまり見かけないよな。クレア、ガイアス、ロックくらいか。)」


 リュウが納得顔する。


「わざわざここに来るくらいだ。何か用事でも?」


「妖精女王様があなたをお呼びになっておられる。」


 リュウは妖精女王の言葉に反応する。


「・・・あの羽虫が?」


 風の妖精シルフが「♯」と額に印をつけた。


「妖精にその言葉はやめろ。虫扱いするな。」


 リーゼがリュウの頭をペシッとはたく。


「・・・それは悪かった。」


 リュウが自分に非があるのをすぐ認めた。


「だが、その言い方は・・・妖精女王様を知っているのか?」


「ビラ・・・と言ったか?」


「馬鹿な!!妖精女王様の名は妖精族以外には知られぬように秘匿とされている!!」


 妖精族は最弱の種族ゆえに万が一ことがあってはならないように妖精女王の名は秘匿するように努めているのだ。


 風の妖精シルフがリュウの顔を凝視する。


「知り合い・・・なのか?」


「いや、そうでもない。顔見知り程度だ。」


 風の妖精シルフが「???」と妖精女王とリュウとの関係性に首を捻る。


「とりあえず妖精女王様とやらに会いに行けばいいのだな?」


「あぁ、ボクらの妖精の里に来て欲しい。案内しよう。」


「リーゼたちもいいだろうか?」


「場所を秘密に出来るなら、仲間たちも来られるが良い。」


 リーゼたちも同行を許可した。そうして風の妖精シルフは風に擬態するかのように姿を消した。だが、気配はあるので、同行に問題ない。


「ワイバーン専用のハミ、あぶみや鞍が出来たはずよ。ワイバーンたちで行きましょう。」


 リュウたちが連れてきたワイバーンの群れは時間と共にジランド王国の国民たちは慣れて気にならなくなっていた。


「以前はワイバーンが一匹出ただけでも騒いだけれど、今は受け入れてる皆がいるわね。そのうちドラゴンは怖くないと言い出しそうね。」


 ワイバーン係留地に到着するとソル、ポチ、シンがいた。


「みんなー!ハミやあぶみ、鞍が出来たぞ。乗ってみたが、いい感じだ。」


 ワイバーンに乗るソルがリュウたちに向けて、声をかけた。


「それは良かったわね。ワイバーンたちを借りて行くわよ。」


「・・・妖精か?」


 ソルが姿の見えない風の妖精シルフを言い当てる。


「む、お前は先日、いたな。何故、ボクがわかる?」


 風の妖精シルフが姿を現した。


 ソルが自らの金髪を手ですくってポーズを決める。


「ハハハハ、僕ほどの剣士なら、わかるさ!!」


 ポチが驚きの目で見る。


「妖精じゃねぇかワン!匂いが全然しねぇワン!!」


 シンも瞼を開き、凝視する。


「妖精は久しぶりに見ます。子供の前なら、よく出てきますが、大人に対しては滅多にないですね。」


 ソルが「ふむ?」妖精シルフとリュウたちを交互に見やる。


「面白そうだ。ワイバーンの試験飛行も兼ねてついていこう。」


「場所は秘密にしろ。いいな。」


 ソルたちが風の妖精シルフの言葉に了承し、同行することが決まった。


「皆、ワイバーンに乗ったわね!行くわよ!!」


 こうしてリュウたちは風の妖精シルフの案内により、妖精の里を訪れるのであった・・・。

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