第九十八話 VSワイバーンキング
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!!
リュウたち瞬光の戦乙女チームは複数のワイバーン及びワイバーンキングを討伐または追い出すべくとある村に赴く。
「アンリ・・・。仲が良いチームと勘違いされてないかしら・・・。」
リーゼが溜め息つく。
「ハッハハハー。何を言う!僕はAランク冒険者ソル・デュミナス!!ワイバーンキングとなれば僕たちの力が必要だろう!!」
ソルは歯をキラッとしながら、格好つけて金髪を手ですくった。
「俺たちもクエストをこなせばランク昇級試験資格が得られるワン。」
「よろしくお願いします。」
Bランク冒険者の狼顔のポチ・ウルフナイツとエルフ族のシン・カッシーナ。
「まぁいいわ。詳しい話を聞きに行きましょう。」
ソルたちを含め、リュウたちは村に着く。人口300人弱の村のようだ。村の周囲に柵で囲み、中には農地と家が並んでいた。
入り口で警備に駐留しているジランド王国騎士団数人が構えていた。
「冒険者だな?」
警備の騎士にリーゼが対応する。
「クエストで来たわ。ワイバーンによる被害は?」
「農作物を荒らされた。幸い人的被害はない。」
ワイバーンは嗜好的に草食で野菜や雑草を好む。人間はあまり食べない。敵対すれば戦うドラゴン。
「何体いるの?」
「ワイバーン五体。その群れを率いるワイバーンキング一体。空から来るから、防ぎようがない。何とかしてくれないか?」
「わかったわ。皆、配置について頂戴。」
リュウたちは村の周囲を沿って警備する。リュウが空を眺める。綺麗な青空に「(しばらく飛んでないな・・・。)」と物思いに更ける。
しばらくすると向こうから羽ばたく影が見えてきた。ワイバーン五体とワイバーンキング一体だった。
「来たわね。」
リーゼがリュウたちを集めさせる。飛んでるワイバーンたちもリュウたちの存在に気付いた。
ワイバーンは体表が青で翼に鉤爪が付き、プテラノドンのような形状をしたドラゴン。全長3Mほど。
ワイバーンキングはワイバーンと似た形状。体表が赤で全長5Mのドラゴン。ワイバーンのボス的存在。
『ボス!戦う気満々のようですぜ!!』
ワイバーンの一体がワイバーンキングにドラゴン語で報告した。
『わかっている。』
ワイバーンキングたちが構えているリュウたちと対面する。リュウが前に出る。
『あー。警告する。これ以上近付くな。引き返せ。ここは人間が暮らすところだ。』
リュウのドラゴン語にワイバーンたちが驚き、立ち止まって羽ばたく。
『ドラゴン語しゃべれますぜ!!どうします!?』
ワイバーンたちが騒ぐ中、ワイバーンキングが羽ばたき、前に出てリュウを見下す。
『人ならざる気配がする。お前は同族であろう!?・・・ドラゴンの間で噂に聞く。四大竜の覇竜、魔竜、暴竜が相次いでジランド王国とやらに消えた。そして四大竜にしか引き起こせない大陸を揺るがすほどの大爆発!!もしや関係があるのではあるまいな!?』
『・・・だとしたらなんだ?』
『下等人間にくだるなど恥!!お前の言葉には耳を貸さん!!例えお前の正体が四大竜の一体であろうともな!!ワイバーンどもよ!こいつの戯言は無視して入れ!!』
ワイバーンたちはリュウの警告を無視して、村に入り込もうとする。
「アイリン!」
「シン!」
リーゼがアイリンに、ソルがシンに指示を出した。
「エルフ魔法(上級)・植物拘束!!」
「土魔法(上級)・ゴーレム召喚!!」
アイリンが巨木を召喚し、無数の枝で飛んでるワイバーン三体の鉤爪足を引っ張り叩き落とす。
シンが5Mの土人形を召喚し、ワイバーン二体を叩き落とした。
「ギャァァァース!!」
『お、お前ら!!』
ワイバーンたちが地面に伏したことでワイバーンキングが激高し、口を開く。
「エアロブレス!!」
空気の塊を噴射し、横一線に凪ぎ払おうとする。
「衝撃一閃×2!!」
リーゼとソルが剣を振り、大きな剣圧でエアロブレスを相殺した。
『なんだと!!』
メイファとポチがシンの5Mの土人形を足場に駆け上がり、飛んでるワイバーンキングに近づいた。
「飛んでるのはずるいニャー!降りろー!!」
メイファとポチがジャンプし、回転しながら、ワイバーンキングの頭にかかとを出す。
「脚技・かかと落とし×2!!」
「ギャワ!!」
二人のかかと落としでワイバーンキングの頭から落ち、地面に激突した。
『くっ・・・。』
ワイバーンキングが顔を上げるとリュウがいた。
『下等人間がお前を落としたのだぞ。まだやるか?』
『ま、まだだ・・・。最強技が・・・。』
ワイバーンキングが奥の手があると言わんばかりの態度を取る。
『ほぉ・・・。やるからには覚悟せよ?』
リュウから威圧的な意味を見せるために擬似的に覇竜の姿を醸し出した。それによりワイバーンキングが恐怖を覚え、ビクッとした。
『い、いや、降参します。もう襲いません。』
ワイバーンキングは翼を広げ、低く体勢を取り、降参のアピールした。
『それでいい。』
リュウが満足気に頷き、ワイバーンキングたちとの戦闘が終了したのだった。
「リュウ、頼りになるわね。おかげでもうクエスト達成よ。」
リーゼがリュウに労いの言葉をかける。
「それで・・・ワイバーンキングたちはどうするんだ?」
ソルがちらっと見る。何やらワイバーンキングとワイバーンたちは従順に翼を縮め、大人しくなっていた。
『もう襲わないよな。帰っていいんだぞ?』
リュウが言葉をかけるとワイバーンキングが首を横に振った。
『アニキ!!自分たちはアニキについていきますぜ!!』
ワイバーンキングが目を輝かせてリュウを見つめる。
『・・・頭でも打ったか?いや、メイファとポチに打たれたか。』
リュウは先程の威勢の良かったワイバーンキングの豹変ぶりに戸惑う。
「リュウ、ワイバーンキングは何言ってるのニャ?」
メイファがドラゴン語がわからず首を捻る。
「なんかついてきたいと言ってるんだが。」
「ニャァ!!こんなおっきなドラゴンが仲間になるのニャ!?」
メイファが猫尻尾をピーンと立てて驚いた。
「・・・連れていくとジランド王国が騒ぐ。スイリューは小さいから見逃してもらえている。」
アイリンがうーんと唸った。リーゼとソルが話し合い、リュウに向く。
「ワイバーンキングたちは草食よね?肉はいらなくていいよね?」
リュウはワイバーンキングに確認してから「あぁ。」と頷いた。
「移動手段を馬代わりにすることも出来るわね。なら、いいんじゃない?世話はジランド王国騎士団に任せてもいいわね。とびきり美味い野菜や草を出すわよ。」
リュウが許可が取れたことをワイバーンキングたちに伝えると喜んだ。
『ワイバーンがまだいるので呼び寄せますぜ!!』
ワイバーンキングが不穏な言葉を発した。
『ん・・・?待て待て!!まだいるのか!?』
リュウが焦って止めようとするが、ワイバーンキングは最強技を繰り出す。
「最強技・ワイバーン集合!!」
ワイバーンキングの咆哮でワイバーンが30体飛んで来た。本来であれば数で攻める最強技だったのだが。
『ボス!お呼びですか!!』
『皆!これからはリュウアニキがボスだ!!』
ワイバーンキングの言葉にリュウが面倒臭いといった表情した。
ワイバーンの群れにリーゼが「これは・・・いいわね。」と感嘆混じりな表情した。
リーゼの考えがわからず、リュウたちは「?」とした。
「ジランド王国竜騎士団を設立して、制空権を握るのも悪くないわね。基本的に戦いは空を握れば有利に事が進む。鳥人族で編成した部隊があるけれど、空の魔物に撃墜される。火力の高い魔法使いがワイバーンと組めば空の魔物にも立ち向かえるわ。ワイバーンを戦闘に利用することになるけれど、いいかしら?」
どうやらワイバーンを軍事利用する方向で考えていたようだ。リュウがワイバーンキングにそう伝える。
『それで置いて貰えるなら構いませんさぁ!!』
ワイバーンキングが了承した。
リュウはワイバーンキングに、リーゼたちはワイバーンにそれぞれ乗り、ジランド王国に向けて飛ぶ。
「あぶみや鞍が必要だな。」
ソルがワイバーンに乗り、バランスの不安定さを口にした。
「えぇ、そうね。ワイバーン専用の道具を発注しないとね。」
リーゼが同様の感想を持った。リュウたちは帰途に着く。
「(・・・確かそこらへんか?)」
リュウがとある森林に向けて、下を眺める。
◇◇場面転換◇◇
「わー、わー!エマージェンシー!!」
「ワイバーンの群れが真上にいるよぉぉぉぉ!!」
「総全員警戒せよせよ!!」
小人サイズで蝶々の羽の付いた妖精たちが騒いでいた。
「氷の妖精シヴァ様。どうしますかー?」
氷の彫刻かのような表情の女の妖精が顎に手をあてる。
「どうする?雷の妖精爺ラムウ。」
雷のような黄色の髪型の妖精の爺ラムウが目を細める。
「よくよく見れば、人間もじゃな。」
風のような緑色の髪の妖精に振り向く。
「風の妖精シルフ。行けるかいのぉ?」
「偵察だな。問題ない。風に擬態する。」
風の妖精シルフが風のように擬態し、飛んでいった。
「俺は?俺は?」
血気盛んの赤髪の妖精が出番をくれと言っているようだった。
「だめ。火の妖精イフリートは待機。」
氷の妖精シヴァがたしなめる。
「ちぇー。」
「妖精女王様に報告せねばのぅ。」
雷の妖精爺ラムウが雷のように素早く姿を消した。
◇◇◇◇◇
「(ワイバーンキングに、ワイバーン約30体の群れ。それに人間が7人も乗っている。人間がワイバーンに乗っているなどと奇妙な話だ。)」
風に擬態している妖精シルフが遠巻きに偵察していた。そしてワイバーンキングに乗っている人間が一番のボスとみなし、凝視する。
「(角つき人間。こいつがワイバーンたちを従えている可能性が高い。)」
ワイバーンキングに乗っているのはリュウだった。
「・・・悪いな。通らせてくれるだけでいい。何もしない。」
リュウの小声が風に乗って妖精シルフに届いた。
「(バレている?!馬鹿な!!)」
風の妖精シルフが汗のようにブワッと流れた。
「空の上だというのに・・・何か気配がするな。」
ソルが剣を出そうとする。
「いえ、殺気はないわよ。この感じはおそらく妖精よ。」
リーゼが剣を納めるように言った。
「あぁ、妖精か。何もしないさ。」
即座にソルも理解し、両手をひらひらする。戦う意思はないとアピールしているかのようだ。
「ニャに?妖精がいるのニャ、どこどこ?」
仲間に妖精の存在が知られ始めると風の妖精シルフは「(逃げなくては!!)」と逃げていった。
「もう消えたわよ。」
リーゼがメイファにそう言うと「妖精族はシャイだニャ。」と残念そうな表情する。
「妖精族は小人サイズで魔法に非常に長けているが、最弱の種族の存在。」
アイリンがそう説明し、「妖精は滅多に姿を現さない。」と付け加えた。
◇◇◇◇◇
「妖精女王様、人間が引き連れていると思われるワイバーンの群れは去りました。」
風の妖精シルフがそう報告した。
「にして、人間たちはどこの者であった?」
雷の妖精爺ラムウが訊いた。
「様々な種族が乗っていたこと、また飛んでいった方向からジランド王国の者だと思われる。」
「ジランド王国なら、安心よね。あそこは妖精族が少しいるし。」
氷の妖精シヴァがホッとした。
「あそこ、大爆発起こしたの忘れていねーか?」
火の妖精イフリートが肩をすくめる。
「ジランド王国の事情など儂たちの危害に及ばなければ、関与せん。ともあれ問題はないと思われます。妖精女王様。」
雷の妖精爺ラムウがまとめに入った。
玉座についている妖精女王が眠っているかのように瞼を閉じていた。
「(妖精女王様・・・寿命が間近であられる。)」
四人の妖精が妖精女王の容体に目を伏せた。
「・・・見ていた。」
妖精女王が言葉を発すると四人の妖精が驚きと共に顔を上げる。妖精女王は力を振り絞って口を開いていた。
「ワイバーンキングに乗っている人間、あれは・・・知らない仲ではない。どうか呼んでくれまいか。」
妖精女王がまるで後生の頼みだと言わんばかりに。
「風の妖精シルフ!ジランド王国までの道はわかっておろうな。行け!!」
「あいわかった!」
雷の妖精爺ラムウが風の妖精シルフに指示した。すると風に擬態し、ピューッと飛んでいった。
◇◇◇◇◇
妖精たちの騒ぎはよそにリュウたちはワイバーンを引き連れて、ジランド王国に到着するなり、国民たちに騒がれたが、リーゼたちが事情を伝え、すぐに収まった。のちにジランド王国竜騎士団を新しく設立する。
だが、これがセイクリッド王国に伝わり、反感に拍車をかけるのだった・・・。
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