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第九十六話 貴族対立編完結(少々ほのぼの回)

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!!

 リュウたちは国賊のフトッチョを打ち砕く際、ジランド王国を揺るがすほどの大爆発を引き起こした。事情を知らない国民たちは恐怖に襲われ、騒がれた。


 ランドルフ王は国民たちの騒動の沈静化を図るべく、広報を出した。


〔国賊フトッチョを討ち取るべく新開発の魔導兵器により引き起こした爆発である。〕


 さらに魔導人形ガーディアンと多数の魔導人形ガードを証拠として公開した。そして、フトッチョに協力した貴族たちの家の取り潰しも発表された。ランドルフ王の綱紀粛正により、貴族たちをまとめることが容易になった。数日すると国民たちの騒動は収まったのだった。


◇◇西の街・娼館街◇◇


 大爆発を引き起こした三人のうちの一人であるクレアは、フトッチョが一帯の娼館を所有していた権利を安く買い叩き、オーナーとなった。


「はいはい~みんなー!!」


 エンカがパチパチと拍手し、娼婦全員を集める。クレアが娼婦全員を見渡す。


「じゃんじゃん稼ぎなさい!私はフトッチョと違って、あなたたちから不当に巻き上げる真似はしないわ~。稼ぎの3割を店に収めること!!私も働くからねぇ~。」


 娼婦全員が歓喜の声を上げる。どうやらフトッチョは娼婦に不当なノルマを課し、金を巻き上げていたようだ。


「魔性の館のクレア様がオーナーになって頂けるなんて!!」


「最近じゃ、柄の悪い男たちも大人しいです。クレア様とエンカ様が強いと知ってますからね。」


「トラブルが減ってます!!」


 娼婦たちの嬉しい声にクレアはうんうんと満足気だった。


「怒ると怖いんだよね・・・。それはもうめっちゃ。」


 クレアの本性を知るチェルがボソッと呟くとクレアからチョップが入る。


「いたっ!!」


「借金がなくなったのは感謝なさいよ?」


 チェルは借金から娼婦をやっていたのだ。フトッチョや借金取りがいなくなった今、自由の身となっているのだ。


「それは感謝しています!!」


 チェルがハハーッと大袈裟に頭を下げる。


「なんなら、辞めてもいいわよぉ?従業員増えたしぃ。」


「いえ!やらせてください!!クレア様が幻惑魔法をかけ、男共を昇天させ、鞭を打つだけの仕事!!天職な上に楽な商売!!娼館一帯の支配者クレア様!!一生、ついていきます!!」


 チェルの目が金貨のようになり、金の成る木ことクレアについていくことに決めたようだ。


「もう、調子のいい子ねぇ・・・。」


 クレアが改めて娼婦たちに顔を向ける。娼婦たちも揃って鞭を持っていた。これは欲求不満に群がる男共を叩く気満々だ。


「じゃ、各自働いて頂戴!!」


 クレアは一帯の娼館を経営し、更なる金儲けに精を出すのだった・・・。


◇◇東街・孤児院◇◇


 大爆発を引き起こした三人のうち一人であるガイアスは、リリスと孤児院の子供たちと一緒に「ドラゴンの湯」の風呂掃除していた。


「えいしょっ、えいしょっ!!」


 子供たちの声が賑わう中、床ブラシをかけるガイアスとリリス。スイリューも手伝う。


「ガイアスさんが無事に帰ってきて良かったです。」


 リリスが安堵しながら、ガイアスに向く。


「・・・リリス。兄は残念だったな。」


「えぇ、でもカインズさんから聞きました。」


 オウギは悪事を働く貴族を対象に暗殺していたが、カインズに捕まり、見逃す代わりにフトッチョを監視し、国のために影として行動していた。


「私の兄は罪人。確かに許されないことをしました。ただ最後は私を救おうと必死でした。だから、創造神フォルトゥナ様が許さなくても、私が家族として許したいと思います。私情が思いきり入っていますけど。」


「・・・そうか。」


「それと娘、娘って、私はリリスですよ!!」


 呼び名に不満があるのか、頬を膨らますリリス。ガイアスが「む・・・。」と唸る。


「リ・・・リリス。」


 ガイアスは名前で呼ぼうとしたが、やめた。人間にあまり入れ込むと引き返せないと感じたようだ。ガイアスはガイアスなりの線引きがあるようだ。


「また娘って!」


「そろそろ店開きの時間だ。」


「あ、そうですね。」


 ガイアスは「ドラゴンの湯」の店主として勤しむのだった・・・。


◇◇ドラゴンの湯◇◇


 大爆発を引き起こした張本人の一人であるリュウは「ドラゴンの湯」にいた。


「いい湯だな・・・。」


 温泉でまったりするリュウ。ソル、ポチ、シンも一緒に入っていた。


「あの大爆発はお前たちがやったのか・・・。」


 ソルが苦笑いしていた。


「一介の人間がドラゴンでジランド王国を消滅させるほどの大爆発を引き起こしたとなれば、後々に面倒事になります。あの広報で良かったんでしょうね。」


 シンが大爆発を思い出し、恐怖によりガクガクブルブルする。


「迅速な広報を見るところ、ランドルフ王様はリュウたちの正体を知ってたんだな?」


 ソルが訊くと「あぁ。」と頷くリュウ。


「僕たちがその場にいれば、被害を抑えられたかもしれないな。たらればになってしまうな。」


 ソルたちは騒ぎに気付かず、トレーニングに励んでいたのだ。タイミングが悪かったのだろう。


「しかし、フトッチョが魔物化とはな。魔物化の玉・・・か。」


 ソルが頭を抱える仕草した。


「その作成者ダークは所在が不明。どこにいるやら・・・。」


 シンが溜め息つく。その最中、ポチは何やら挙動不審に壁に張り付いてる。


「・・・ポチ、何してるんだ?」


 リュウはポチの挙動不審の理由をわかっているが、それでも訊いた。


「メイファの裸を見たいワン。」


 狼顔のポチは鼻息を荒くしていた。女湯はリーゼ、メイファ、アイリンが入っているのだ。男湯と女湯は壁で仕切られ、覗けないはずだが、声でも聞こうというのだろうか?とリュウは首を捻る。


 シンがふっと笑う。


「ドラゴンの湯を設計したのは私です。こんなこともあろうかと覗き穴を作ってあります。」


「なにぃー!どこだ!!」


 ソルとポチがシンにがっつく。


「おい・・・。」


 リュウがソルたちの不埒な行動を止めようとするも聞かないのであった。



◇◇女湯◇◇


「はぁ~疲れが取れるニャァ。」


 メイファが恍惚の表情を浮かべ、まったり温泉に浸かっていた。リーゼもアイリンも同様だった。


「温泉だから、肌のツヤが良くなるわね。」


 リーゼがふんふーん♪と上機嫌に自らの手足をさすりながら肌のツヤを眺める。アイリンがリーゼとメイファをジト目に見やる。なにやら胸に集中して見てるようだ。


「・・・嫉妬!!」


 胸のないぺったんこなアイリンがリーゼとメイファの人並み以上にある豊満な胸を見て悔しげな表情した。


「リーゼ、アイリン。裸の付き合いニャ!!この際だから腹を割って、二人に訊くニャ。」


 メイファが勢いよくビシッと二人に指を差した。


「アタイに何か隠してることないニャ?」


「あら?いきなりどうしたの?」


 リーゼが問い返した。


「リュウのことをわかってる雰囲気があるニャ!!」


 オリハルコンスライムキングとの戦いでリュウと息が合うかのような行動を見受けられたため、問いただしているようだ。リーゼとアイリンが顔を合わせる。


「・・・リュウとの秘密を共有する仲。」


 アイリンが出し抜いたと言わんばかりに勝ち誇る。


「・・・そうね。私を守ってくれる約束したわね。」


 リーゼが負けじと張り合う。メイファがワナワナ震える。


「リュウはアタイと結婚するのニャー!!」


 ギャーギャー吠えた。だが、すぐピタッと止まる。


「・・・リュウは本当に人間ニャ?」


 メイファはあの大爆発を目の当たりにし、さすがに疑いの目を持ち始めたようだ。リーゼとアイリンが「・・・・。」と押し黙る。そしてリーゼが口を開く。


「リュウは仲間よ。確かに桁外れなことをしでかしちゃうけれど、抜けてるところはあるわよ。それに・・・この際だから二人に言っておくわ。」


 リーゼがキリッとした表情する。


「この先、何があろうともリュウを信頼し、受け入れるのよ。それがリュウのためにもなるのよ。」


 リーゼの言葉に困惑するメイファだが、アイリンは「わかった。」と頷いた。


「・・・意味がわからないけど、わかったニャ・・・。」


 メイファは納得出来ないかのようにプクプクと徐々に温泉に沈む。


『歴史を繰り返さないように。欲深い人間が国の中枢にいれば、また同じことが起きるわ。』


 リーゼは前世の自分シャーロットの言葉が頭の中でリフレインする。


「(ジランド王国の結束は強固となったはず。これでいいわよね・・・。)」


 欲望に突き詰めたがために亡国となったルクテシア王国の二の舞にならずに済むはず。もしフトッチョがランドルフ王を殺し、クーデター成功していたとしたら、大爆発の矛先はジランド王国の可能性があったのではないかと頭がよぎっていた。


「(・・・リュウ。)」


 リーゼがリュウのバックに影なるドラゴンを思い起こすのだった。


◇◇女湯・天井裏◇◇


 女湯の天井裏に這いながら潜む全裸のソル、ポチ、シンがいた。


「おい!まだか!?」


「もうすぐです・・。覗き穴は女湯を見渡せる位置にあります。」


「早く見たいワン!!」


 三人はハァハァと鼻息を荒くする。そして覗き穴に到達した。ソルたちが我先に覗き込もうとした瞬間、子ドラゴンのスイリューがパタパタと登場した。目が合うとスイリューはにっこり笑った。


「ス、スイリュー・・・。ここは何も見なかったことにしてお帰り・・・。」


 ソルが穏便に追い出そうとする。スイリューがギャァとめわく。


『覗きはだめだよ!!』


 スイリューが口を開く。


「アクアブレス!!」


 口から鉄砲水が噴射され、三人は「ぎゃぁぁぁー!」とギャグ張りに屋根をぶち破り、飛んでいった・・・。


◇◇女湯◇◇


 スイリューがリーゼたちにソルたちを追い出したと伝えるためにビシッと敬礼する。


「ギャッ」


「ありがとうね。」


 リーゼたちが騒ぎを理解し、スイリューに感謝した。



◇◇男湯◇◇


「やれやれ・・・。」


 リュウがソルたちの悲鳴を聞いて溜め息ついた。


「ハハハ!健全なのは良いこったぁ!!」


 カインズが筋骨粒々の肉体を見せびらかし、登場した。


「カインズ。傷は大丈夫か?」


「回復魔法でばっちりよ!!・・・いたたた!染みる染みる!!」


 温泉に入ったことでフトッチョのヘル・デーモンスパイダーによる攻撃を受けた傷が染みたようだ。


「首尾はどうだった?」


「フトッチョの屋敷をくまなく調べたが、魔物化の玉は見つからず、ダークの行方に繋がる手かがりはなかった。」


「そうか。」


「魔物化の玉を飲むことで人間が魔物になるか。しかし、完全な魔物ではなく、人間と魔物の融合体。」


 カインズがうーんと唸る。


「魔物化の玉を街にでもばらまけば、混乱は必至。どうにかダークを止めねばな。」


「それはこっちの仕事だ。リュウは冒険者として気楽に活動すりゃいい。」


「・・・俺はドラゴン。人間の問題に首を突っ込むことじゃないかもしれんが、もはやここまで来るとダークは見逃しておけん。俺はこのジランド王国が好きだからな。」


「・・・そうか。」


 リュウとカインズは雑談しながら、まったりと温泉に浸かるのだった・・・。



◇◇天界◇◇


 花畑に入り乱れる中に佇むとある者がいた。


「!?ここは・・・?」


「ようこそ。いらっしゃいましたね。ここは天界です。」


 神竜がとある者を迎え入れる。


「純白のドラゴン・・・ま、まさか、神竜・・・様ということは!!」


 とある者が理解に必死に追いつき、全力土下座する。


「創造神フォルトゥナ様はおられますか?!」


「えぇ、あの方は忙しいのですが、あなたには特別にご尊顔が拝謁なされますよ。」


「ありがたき幸せ!!」


 そうすると三対の天使の白い翼を羽ばたき降りてくる。神々しさに眩しく感じさえした。ただ今回は顔が見える。金髪ウェーブがかかり、端正な顔立ちの女性であった。


「そなたがオウギか。」


「創造神フォルトゥナ様!!」


 オウギが全力土下座する。


「よい。顔を上げよ。」


「はっ。」


 オウギが「(な、なんて美しいお方!!)」と感涙の表情。


「魂はなかなか綺麗なものだ。」


 創造神フォルトゥナが魂状態のオウギを見透かして言った。


「ふむ。オウギよ。セレスティア世界の法律に当てはまれば罪人だが、私は違う。見ていたのだからな。」


 オウギの行いは全てお見通しの創造神フォルトゥナがふっとうすら笑う。


「だから、お前を転生させる。」


「は・・・・?」


「本来なら、天国行きと言いたいところではあるが、こちらの都合でな。覇竜たちを助けてやってくれ。」


「話が追いつかないのですが・・・。」


「神竜。セイクリッド王国に送れ。記憶は時期が来たら戻すのが良かろう。」


「はい。わかりました。」


「え、ちょっとちょっと・・・。」


 創造神フォルトゥナと神竜の阿吽の呼吸に焦るオウギは土下座の真下に穴が開いた。


「ああぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!」


 オウギは間抜けな声を出しながら、落ちていった。


「私の世界をこれ以上荒らすな。バグめが。」


 創造神フォルトゥナがダークの存在に舌打ちを入れたのであった・・・。

最後までお読みくださり、ありがとうございます!評価点orブックマークをお願いします!!

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