二
「あー…きっつ…」
「堕精霊の前に一戦交えてるのに二重詠唱なんかするからだよ」
「うっせ」
蒼桜刃を腰に差している桜の花弁が控えめに散る漆塗りの鞘に収め、樹齢何十年と生きていそうな木に凭れ掛かった。
呆れたような顔をする秋明に俺は気怠げにじとりと見て言い返す。
さっき使った月光蝶・雪花は俺が創ったオリジナルの術だが元々、月光蝶という術と雪晶花という術を合わせて少し弄っただけの術なので個々で使うことも出来る。ただ、月光蝶は場にある清浄の気を高めるだけの術だし雪晶花も月光蝶があって初めて本来の力を発揮するような術。だから別々に使うより合わせて使う方が時間的なコストは削減できる。その分、清浄の気は恐ろしく消費するし詠唱も少し長いけれど。どちらにせよ、俺のエゴで作り出した術であるという事実に変わりはない。
俺は弱い…いや、甘いの間違いか…
ぼんやりとしながらベルトポーチからタバコを出して火を付ける。系統の関係で火は使えないがタバコくらいなら空気摩擦による火花で充分だ。
珍しい。精霊が多くいる森でタバコ吸ってる…
援護するのに投げた得物─投擲ナイフの術式を解きつつ、一服する桜哉をちらりと見ると木に凭れてぼんやりと一服していた。
一日に二、三本。多くて三、四本といつでも止めれるような本数しか吸わないけど桜哉は喫煙者だ。と言っても匂いを気にする人や病人の前。それから精霊の近くでは絶対吸わないから基本的に月桃花の喫煙所か執務室、家でしか吸ってるとこ見たことない。
「なに?」
「別にー…珍しいなぁと思って見てただけ」
「ぁー…




