コンクリートと雲
ずっとずっと歩いてきた
いくつもの壁を超えてきた
時には空が見えなくなるくらい高い壁もあった
途中まで登っては怖気づいた
「でも、それでも、超えなくちゃ」って自分に言い聞かせて超えてきた
時にはつかみどころもない壁もあった
何度もよじ登っては滑り落ちた
「誰も助けちゃくれない」って自分に言い聞かせて超えてきた
ああ、またコンクリートの壁だ
もう何度も見て見飽きた、一面の灰色
「待った会ったね」って壁に呟いて
「悪いけど、また超えさせてもらうよ」って呟いて
ずっとずっと歩いてきた
いくつもの雨に耐えてきた
時には砂となって降ってきた
いくら振り払っても鬱陶しさは変わらない
ただただ私を嘲笑って嫌がらせみたいに
時には槍となって降ってきた
壁に傷はつかないのに、私は傷ついちゃう
「もう諦めろ」って言ってるみたいで
時には涙となって降ってきた
それはそれは冷たくて、体が勝手に震えだした
「もう無理だよ」って言ってうずくまる時もあった
ああ、また雲から雨が落ちてきた
ついさっきまで雲の一部だったのに
「ごめんね」って水たまりに向かって呟いて
雨があるからこそ今を生きていけているって気づいて
「ありがとう」って呟いた