第九十二話 アイツが望む物
俺の寒いボケは今に始まった事じゃないから気にして無いよ?
...うん。開き直ろうとしたんだけど逆に自分で傷口をえぐってしまったようだ。
まぁ、悪ノリもここまでにして...て、セリさん?何でこっちに手を向けてるんですか?え?〝王城はどうした〟ですって?やだなぁ〜元からなかったじゃないですか〜ボケるには早すぎいいい!!!ちょ、アイアンクローはやめて!頭割れる割れるから!ぬほおおおおおお!!!!!!
俺の悲痛は叫びが耳に入りキンキンしたのか急に頭を掴んでいた指は力が抜けた。...て違うから。
「んで、そんなことがあって今に至るって訳」
なんとか話を戻し俺の試練の内容とセリが寝ている間に起きた事をある程度話した。その中でも原因である幻想神を消し飛ばしたのは流石にセリを驚かせた。
「でもそれなら私達が帰れないわけ無いでしょ?確実に倒してるとしただけど」
「だよね...勇者(仮)はよく知らんけど幻想神は王城見たらわかると思うけど跡形も無く消し飛んでるからね」
「よく知らんって...でもよくあの幻想神倒せたわね」
ん?あの幻想神って?
「知らないと思ったわ...3体の中でも幻想神は歩く魔封じって呼ばれてるの。で、その理由がね幻想種特有の特性のせいなの」
幻想竜は力を与え物理攻撃、魔法系攻撃以外は効果が無い。
幻想蝶は生を作り出した。その為死という概念は存在しない。
「そして最後に...」
セリが幻想神について言おうとすると突然アクとセリの背後の空間が裂けた。
「ッ!?」
「ほぇ?」
『幻想神は知識を与えた。故に魔法、スキル等の攻撃。つまり物理攻撃でしか倒せない』
アク達の後ろの空間が裂けそこから見えたのは大きな目だった。
『全く...私を倒そうなど不可能なのに毎度毎度同じ様に私を狙って魔王を封印した勇者が襲ってくる。だけど私は神だ。そんな事で怒らないし苛立ちもしない...とでも言うと思っていたのか?』
前あった時とは似ても似つかない声、そして大きさ。
空間から除いて入る幻想神は急に声色を変え続けた。
『流石に堪忍袋の緒が切れた。何度も私の力を借り、激戦を乗り越えて来た筈なのにその恩も忘れ私に刃を向ける。これでキレない奴はいない』
なんの事だ?そうは言い出せなかった。
『だから私は決めたんだ。〝殺られる前に殺ろう〟って。その事を決めた日からは幾分か気が楽になったよ。これまでの鬱憤を晴らすように絶対に倒せない魔王と戦い満身創痍になりながら封印を施した勇者を捻り潰す。そんな事を繰り返しやってたら流石に竜の奴も怒って私に文句言ってきたのよ?正直ウザかった。だから殺した』
目だけしか見えていないがそれだけでもそこ知れぬ闇が見えた気がした。
『結構簡単だったわよ?育った勇者を沢山殺したかられべる?も沢山上がったし、その力で特大の魔法放ったら一瞬で消し炭になってんの。流石に呆気なさ過ぎてその時は涙が出たわ。で、そしたら聞こえて...』
幻想神と名乗った目玉は話を途中で止めアク達の真後ろを見た。
え?なんだ!?なんで見てるんだ!?
勿論アクの声は幻想神の耳には入っておらずただ一心にある一箇所見続けていた。
「...あ、まさか!?」
たしかその位置は勇者(仮)を消し炭にした場所。それと幻想神が勇者に復讐心を懐いてる事と照らし合わせると...




