第七十一話 衝撃
「久し振り〜」
手を振りながら少し駆け足でセリに近寄る。
「うん、おひさ」
それに気付いたセリは軽く手を振り返した。
無事2人が集合し、じゃあ進もうか?と、言う事になった。
「んでさ、その時グチュ、って鳴ったんだけどさ...あの時の音って一体何だったんだろ?」
「グチュって...まぁ昆虫系モンスターのエリアっぽいからね...ラスボス前にしては精神削り過ぎだと思うけど」
苦笑しながら返すセリ、片手間に無詠唱で魔法を唱えモンスターを一掃している。進化し過ぎだって...
「そんな私達もレベルが10万突破し、100万まであと一歩って言うところまで来たんだけどさ、食料ってどうしてたの?」
アクは70万と少しで、セリは60万までいってる。相当な努力をしたのは分かるが食料と言う問題がある。実は別れる前、食料を買った時に貰った袋にレベル100特典の付与魔法で付加出来る事を思い出し、アイテムボックスを作った。その為食料は半々にしておいたんだけどセリが料理するとは思えない。どちらかと言うと鍋を爆発していそうな雰囲気なのだ。
セリは一瞬ビクッ、っと体を震わせたがいつもと変わらないトーンで
「...意外と昆虫は食べれるんだね」
「え!?」
話を聞いてみたところ、最初に頃は自分なりに料理して食べていたが毎回焦げるか生焼けかの2つで、たまに焼き鳥モドキを食べていたんだと。
だが3日目から何をトチ狂ったか他の昆虫系モンスターが共食いしているところを見て「あいつが食えるんだから私でもイケるんじゃね?」と思い手始めにカマキリっぽい何かを殺さないよう痛めけて、他のモンスターに見習い腹の部分だけを回収し天ぷらにして食べてみたら、少し癖があるものの私のて料理よりは美味い。と感じアクに合うまでは昆虫、焼き鳥モドキ、生野菜。を交互に食べながら生活していたんだと。もうここでサバイバル出来るんじゃないの?と思う程のヤンチャガールだった。てかもう既に出来てるみたいだけどな。
それを聞いたアクは何とも言えない顔になり「今からは美味いご飯食べさせてあげるからな...だからもう二度とゲテモノは食べないでね」と優しく包み込むように言った。
セリの表情は何故か少し不満気だった。好物になっちゃたのかな?
その後、普通にスープとパンで軽く食事を取り出発した。セリは食事中に「こんなの食べてたんだ...」と呟いていたので食べていたのを取り上げそこら辺にいたダンゴムシとカマキリを捕まえ、セリの真ん前に置いた。まぁ両方大きかったのでちょっと小さくしたが...あとそれモドキだ。流石にダンゴムシが人間の腰間で合ったらパリックリなるわ。それに慣れちゃってる場合はどうすればいいんだろ?
食卓に昆虫をのせるのはどうかと思ったがセリは食べた事もあるし、俺は既に食べ終わったので良いかと思いました。反省もクソも無いです。
ま、俺は食の有り難さを伝える為にやったのでセリが「え?...ま、うん。返して?」と講義し始めた瞬間に返してあげた。
まぁセリは「こんなのが私達が食べていた、本来人間が食べるものだったんだ...ありがたやーありがたや」と言うつもりで言ってたらしく、アクの手料理にも限らず人間が作った普通の料理の比べたら昆虫の肉となんて天と地くらい違うわ!と叫びダンゴさんとカマーくんを俺に投げてきた。もちろん避けたがなんだか腑に落ちなかった。




